不当解雇された場合には解決金の支給という方法で決着することがあります。
法的な権利としては、復職やバックペイの請求となりますが、実際には解決金による金銭解決が多く用いられているのが実情です。
今回は、不当解雇の解決金とは何かを説明したうえで、相場や高額になるケースについて、解決事例を紹介しながら解説します。
この記事の要点
・不当解雇の解決金とは、解雇に関する紛争を解決するために支払われる対価のことです。
・不当会の解決金の相場は、賃金の3か月分~2年分程度です。
・不当解雇の解決金額が高額になるのは、訴訟で解雇が無効との心証が示され、 労働者の復職の意思が強い一方で、会社が復職に応じることができないような場合です。
この記事を読めば、不当解雇をされた場合に適正な解決金を獲得する方法が分かるはずです。

目次
不当解雇の解決金とは
不当解雇の解決金とは、解雇をめぐる争いを終わらせるために会社から労働者へ支払われるお金のことです。
法律上、解雇が無効であれば「職場に戻る権利」がありますが、実際には会社との信頼関係が壊れていて戻ることが難しいケースも多いため、お金を支払ってもらうことで最終的な決着をつける方法がよく選ばれます。
解決金が持つ法的な意味
解決金は、法律で金額や支払い義務が明確に決められているものではなく、あくまで紛争を解決するための対価として支払われるものです。
本来であれば、不当な解雇を受けた労働者は「解雇は無効なので今も従業員のままである」と主張して、働けなかった期間の給料を請求したり、職場へ戻ったりすることを求めます。
しかし、会社側と話し合いを行い、お互いに譲歩して解決を目指す際に、その「折り合いをつけるための名目」として解決金が使われます。
例えば、会社側が「解雇は有効だと主張するけれど、早期解決のために一定額を支払う」と提案したり、労働者側が「お金を受け取る代わりに退職に合意する」と判断したりするケースがあります。
このように、法的な争いを円満に終わらせるための調整役となるのが解決金なのです。
なぜ職場復帰ではなく金銭解決が多いのか
不当解雇のトラブルでは、実際に職場へ戻るよりも、解決金を受け取って退職する「金銭解決」が選ばれることが実情として多くなっています。
なぜなら、一度解雇を言い渡された会社に戻っても、以前と同じように気持ちよく働いたり、上司や同僚と良好な関係を築いたりすることが難しい場合が多いからです。
例えば、無理に復職しても不当な扱いを受けたり、周囲の視線が気になって精神的に負担を感じたりする可能性もあります。
そのため、これまでの未払い賃金や慰謝料を含めた「解決金」をしっかりと受け取り、それを再就職までの生活費に充てて新しい人生のスタートを切るという選択をする方が多いのです。
不当解雇の解決金相場
不当解雇の解決金には決まった金額のルールはありませんが、一般的にはお給料の3ヶ月分から2年分程度が目安になることが多いです。
解決金の金額は「会社との話し合い」なのか「裁判所の手続き」なのかといった、解決を目指す場所によって大きく変わります。
不当解雇の解決金の相場を簡単に整理すると以下のとおりです。
・裁判外の交渉|3~6か月分程度
・労働審判|6ヶ月分~1年分程度
・訴訟|1年分から2年分程度
それでは、それぞれの手続きにおける相場の違いについて順番に見ていきましょう。
裁判外の交渉|3~6か月分程度
会社と裁判所を通さずに直接話し合う「裁判外の交渉」では、解決金の相場はお給料の3ヶ月分から6ヶ月分程度になることが一般的です。
裁判外の交渉では、裁判所の心証が示されない中で和解することになります。
そのため、会社側は、裁判外の交渉では、解雇が不当であることを前提としたような金額は提示してこない傾向にあります。
労働審判|6ヶ月分~1年分程度
裁判所で行われる労働審判という手続きを利用する場合、解雇が不当とされた場合の解決金の相場はお給料の6ヶ月分から1年分程度です。
労働審判では、裁判所が解雇の有効性について心証を示してくれるため、裁判外の交渉に比べて適正な金額となりやすいです。
ただし、訴訟になって裁判所の判断が変わる可能性もあるため、あくまでも暫定的な心証であり、訴訟に比べると金額が上がりにくいです。
また、労働審判はスピーディーな手続きであり、和解時点でバックペイの金額もあまり溜まっていない傾向にありますので、その意味でも訴訟より金額が上がりにくいです。
なお、解雇が有効との心証が示された場合には、解決金の相場は賃金の2~3か月分程度となる傾向にあります。
訴訟|1年分から2年分程度
本格的な裁判である訴訟にまで発展した場合、解決金の相場はお給料の1年分から2年分、あるいはそれ以上の高額になることがあります。
訴訟で不当解雇との心証が示されている場合には、このまま判決になれば、復職でき、かつ、復職までのバックペイが遡って払われることになります。
訴訟については審理に1年以上かかることも多く、裁判所の心証が示される頃にはすでにバックペイの金額も高額となっていることが多いです。
そのため、裁判外の交渉や労働審判に比べて解決金も高額になりやすいのです。
不当解雇の解決金が高額になるケース
不当解雇の解決金は、特定の条件が重なった場合に相場よりも高い金額になることがあります。
解決金の額は「解雇がどれくらい不当であるか」という法的な評価や、会社側が「どうしても辞めてほしい」と願う切実な事情によって左右されるからです。
どのようなケースで金額が上がりやすいのかを知っておくことは、会社との交渉を有利に進めるための大きな武器になります。
例えば、解決金が高額になりやすい具体的なケースとしては以下の3つがあります。
ケース1:訴訟で和解する場合
ケース2:解雇が無効であるという心証が示されている場合
ケース3:労働者の復職の意思が強く会社が応じられない場合
それでは、それぞれのケースについて順番に見ていきましょう。
ケース1:訴訟で和解する場合
裁判所での「訴訟」が進み、最終的な判決が出る直前で話し合い(和解)をする場合は、解決金が高額になりやすい傾向にあります。
これは、裁判が長引けば長引くほど、もし解雇が無効だった場合に会社が支払うべき「バックペイ(解雇期間中の給料)」の金額が積み上がっていくからです。
例えば、裁判に1年以上の時間がかかっている場合、会社側は負けたときのリスクを恐れて、高額な解決金を提示してでも早期の決着を望むことがあります。
このように、時間をかけてじっくりと争う姿勢を見せることが、結果として高い金額につながるのです。
ケース2:不当解雇との心証が示されている場合
裁判官が証拠などを見て「この解雇はおそらく無効だろう」という仮の判断(心証)を固めた場合、解決金の額はぐっと上がります。
会社側にとって、負けが濃厚な状態で裁判を続けるメリットはなく、判決が出る前に労働者側に有利な条件を提示して穏便に終わらせようとするからです。
例えば、解雇の理由が客観的な証拠に欠けていたり、会社側が適切な手続きを全く踏んでいなかったりする場合に、このような状況が生まれます。
裁判官から「解雇は厳しいのではないか」という言葉が出ることは、高額な解決金を得るための強力な追い風となります。
ケース3:労働者の復職の意思が強く会社が復職に応じられない場合
労働者側が「お金はいらないから職場に戻してほしい」と強く主張している一方で、会社側が「どうしても戻ってほしくない」と固辞している場合も、解決金は高額になります。
会社側は、労働者に職場復帰をあきらめてもらうための「代償」として、通常よりも高い金額を積まざるを得なくなるからです。
例えば、専門的なスキルを持っていて代わりがいない場合や、職場の人間関係を理由に会社が復職を拒むケースなどが挙げられます。
このように、復職するという強い覚悟を示すことが、結果として会社側から高い条件を引き出す鍵となるのです。
不当解雇の解決金を増額するポイント
不当解雇のトラブルにおいて、受け取る解決金を少しでも増額させるためには、事前の準備を怠らず、毅然とした態度で粘りづく交渉するといいでしょう。
なぜなら、解決金は法律で金額が自動的に決まるものではなく、会社側がこのまま争い続けるのはリスクが大きいと思ってようやく良い条件を引き出せるからです。
例えば、解決金を増額させるための具体的なポイントとしては以下の3つがあります。
ポイント1:解雇の不当性を示す事実と証拠を集める
ポイント2:復職する覚悟をもつ
ポイント3:訴訟で時間と労力をかけて裁判所を説得する
それでは、それぞれのポイントについて順番に見ていきましょう。
ポイント1:解雇の不当性を示す事実と証拠を集める
解決金を増やすために最も重要なのは、会社側の解雇理由がいかに不当であるかを証明するための「証拠」をしっかりと揃えることです。
会社側が主張する解雇の理由が事実と異なっていたり、手続きが不十分であったりすることを客観的な資料で示すことができれば、交渉を有利に進められます。
例えば、日々の業務報告のメールや、上司とのやり取りを記録したメモ、あるいは解雇理由が書かれた「解雇理由証明書」などが有力な証拠となります。
このように、一つひとつの事実を積み上げて会社側の非を明らかにすることが、高額な解決金への近道となります。
ポイント2:復職する覚悟をもつ
意外に思われるかもしれませんが、「お金はいらないから職場に戻してほしい」という強い意思(復職の意思)をはっきりと示すことは、解決金の増額に大きく影響します。
会社側にとって、一度解雇した労働者が職場に戻ってくることは大きなプレッシャーとなり、「高めのお金を払ってでも退職に合意してほしい」という動機を強めることにつながるからです。
例えば、安易に「お金さえもらえればすぐに辞めます」と言うのではなく、「解雇は無効なので明日からでも出社して働きます」という姿勢を貫くケースもあります。
このように、復職の覚悟を持って交渉に臨むことで、結果的に解決金額が大きくなることもあるのです。
ポイント3:訴訟で時間と労力をかけて裁判所を説得する
安易に妥協せず、必要であれば「訴訟(裁判)」まで視野に入れてじっくりと争う姿勢を見せることも、解決金を増やすための有効な手段です。
訴訟には長い時間がかかりますが、その分だけ会社側は「負けた場合に支払うべき金額(バックペイ)」が膨らんでいく不安を感じるため、最終的に好条件での和解が成立しやすくなります。
例えば、裁判所の手続きを通じて粘り強く自分の主張を伝え、裁判官に「この解雇はおかしい」と理解してもらう努力を続けることが重要です。
労力はかかりますが、最後まであきらめずに裁判所を説得し続けることで、高い水準の解決金を手にしやすくなります。
不当解雇の解決金の解決事例
弊所において不当解雇の解決金を獲得できた解決事例を紹介します。
給料の減額をされた直後の解雇で約2000万円を獲得した事案
【相談前】
会社から「期待する成果が出ていない」という理由で給料を減らされた直後に、そのまま解雇を言い渡されてしまったという事例でした。
会社側の指摘はご本人の認識とは大きく異なっており、内容も抽象的で不明確なものばかりでした。給料の減額も解雇も納得がいかず、どうにかしてほしいという切実な思いを抱えていらっしゃいました。
【相談後】
労働審判を申し立て、会社側の主張がいかに不自然であるかを整理し、裁判所に対して説得力のある説明を尽くしました。
その結果、不当性が認められ、最終的に約2200万円という解決金を獲得することができました。
ご相談者様からも、無事に解決できたことへの感謝のお言葉をいただくことができました。
【弁護士のコメント】
法律上、給料の減額はしっかりとした根拠や理由がなければ認められませんし、大幅なカットは権利の濫用となることがあります。
また、一度は「給料を減らしてでも雇用を続ける」と判断したにもかかわらず、改善の機会を十分に与えないまま直後に解雇するのは、論理的に矛盾しています。
このように、会社側の対応に不合理な点がある場合は、早めに弁護士へ相談することが解決への近道となります。
ハラスメントを理由とした解雇で3500万円を獲得した事案
【相談前】
外資系企業において、管理職として働いていた方が、セクハラを理由に解雇されました。
しかし、セクハラとの言い分は、相談者の認識とは異なる部分があり、また性的な意図もないため過大な処分となっていました。
高齢でもあったため転職は厳しく、今後の生活の上でも大きな悩みを抱えていました。
【相談後】
不当解雇であるとして、労働審判を申し立て、併せて、未払い残業代の請求も行いました。
概ね当方の請求を認めてもらうことができ、復職の意思が強かったこともあり、3500万円の解決金となりました。
【弁護士のコメント】
ハラスメントを理由とする解雇が増えてきていますが、ハラスメントがあっても解雇まで認められるケースは限られています。
しっかりと交渉していくことで不当性を裁判所に認めてもらえることも多いです。
退職日を将来に変更し約1500万円の利益を獲得した事案
【相談前】
会社から何度も賃金の減額や退職勧奨を求められ続け拒否していたら、最終的に解雇されました。
業務態度が主な理由とされていましたが、会社側の理由は杜撰であり、これまでの会社側との交渉経緯とも整合していませんでした。
【相談後】
労働審判を申し立てましたが、会社側が強硬的な態度を崩さず、調停は成立しませんでした。
労働審判では解雇が不当と認めてもらえましたが、訴訟に移行することになりました。
訴訟では労働審判の結果をもとに早い段階から和解の協議がありました。
最終的に退職日を将来に変更したうえで、賃金や解決金として合計1500万円の利益を確保することができました。
不当解雇の解決金についてよくある疑問
不当解雇の解決金によくある疑問としては、以下の5つがあります。
Q1:不当解雇の解決金の税金は?
Q2:試用期間だと不当解雇の解決金はどうなる?
Q3:不当解雇の解決金とバックペイの関係は?
Q4:不当解雇で慰謝料を請求できることもある?
Q5:不当解雇の解決金を払わない会社への対応は?
これらの疑問を順番に解消していきましょう。
Q1:不当解雇の解決金の税金は?
A.解決金については、紛争を解決するための支払いとされる場合には、一時所得として処理されることが多いです。
給与に比べて節税効果が高く、源泉されません。自分で確定申告することになります。
ただし、最終的には税務署により実態で判断されることになります。
Q2:試用期間だと不当解雇の解決金はどうなる?
A.本採用後に比べて若干相場が下がる傾向にはあります。
解雇のハードルが本採用後よりも低い関係で、労働者としてもリスクが生じてくるためです。
試用期間の解雇については、以下の記事で詳しく解説しています。
Q3:不当解雇の解決金とバックペイの関係は?
A.バックペイも踏まえながら不当解雇の解決金の金額を決めることが多いです。
例えば、バックペイが6か月溜まっている場合において、退職前提の和解をするのであれば、バックペイ6か月分に、再就職に必要な4か月分を加算して、10か月分とするなどの議論がされます。
Q4:不当解雇で慰謝料を請求できることもある?
A.不当解雇で慰謝料が認められることがあります。
ただし、解雇の無効が認められ、バックペイが支払われた場合には、精神的苦痛が填補されるため、慰謝料まで認められるには特段の精神的苦痛がひつようとされています。
また慰謝料が認められる場合でも相場は50万円~100万円程度です。
Q5:不当解雇の解決金を払わない会社への対応は?
A.粛々と法的手続きを進めていくことになります。
地位の確認とバックペイについての判決を取得したうえで、これにも応じないようであれば、差し押さえなどの強制執行を検討することになります。
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解雇されたら、是非、リバティ・ベル法律事務所にご相談ください。
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まとめ
以上のとおり、今回は、不当解雇の解決金とは何かを説明したうえで、相場や高額になるケースについて、解決事例を紹介しながら解説しました。
この記事が不当解雇をされて十分な解決金を獲得したいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。





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