不当解雇・退職扱い

解雇予告手当は平均賃金30日分!5ステップで簡単な計算と請求方法

会社から突然解雇されると、その後の生活にも困ってしまいますよね。

会社は、解雇をする際には、原則として、

30日以上前

に予告をする義務があります。

この解雇予告を怠った場合には、会社は、労働者に対して、解雇予告手当を支払う義務があります。

解雇予告手当は、原則として、

平均賃金の30日以上分

です。

しかし、解雇予告をせず、かつ、解雇予告手当も支払わずに、労働者を解雇する会社が非常に多いのが現状です

会社に解雇予告手当を支払ってもらうためには、解雇予告手当の計算方法や請求方法を知っておかなければなりません。

この記事では、誰でも分かるように、計算方法については5つのステップごとに、請求方法についてはテンプレートを付けて、解説していきます。

具体的な記事の流れは以下のとおりです。

突然解雇されて悩んでいる方に解雇予告手当の計算方法と請求方法を知っていただければ幸いです。

目次

解雇予告手当とは

解雇予告手当というのは、会社が労働者に対して予告をしないで、いきなり解雇する場合に、支払わなければならない手当です。

労働者は、会社から、給料をもらって生活しています。そのため、いきなり解雇されてしまうと、生活していくことが難しくなってしまいます。

そのため、いきなり解雇する場合には、一定の手当を支給しなければならないとすることにより、労働者の生活を保護しているのです。

例えば、会社は、労働者に対して、「今日でクビだから明日から来ないでほしい」というような場合には、原則として、解雇予告手当の支払いをしなければなりません。

簡単!解雇予告手当を請求できるかどうかの確認!

解雇予告手当を請求できるかについて、

・解雇の予告がされていない場合に請求できること
・やむを得ない事由により事業が継続できない場合には請求できないこと
・労働者に帰責性がある場合には請求できないこと
・労働者の属性次第では解雇予告手当を請求できないこと
・解雇でない場合には請求できないこと

の順で説明していきます。

原則:解雇の予告がされていない場合に請求できる

解雇予告手当は、原則として、解雇の予告をされていない場合に請求することができます

会社は、解雇する場合には、労働者に対して、30日以上前にその予告をしなければなりません。

例えば、以下のような「解雇予告通知書」として、解雇が予告されるのが一般的です。

これを怠った場合には、労働基準法上、解雇予告手当の支払いが必要とされています。

また、解雇の予告をされた場合であっても、解雇までの期間が30日未満であった場合には、30日に足りない日数分の平均賃金を解雇の予告手当として支払わなければなりません。

例外1:やむを得ない事由により事業の継続が不可能となった場合には請求できない

会社が「やむを得ない事由」により、「事業の継続が不可能となった」場合には、解雇予告手当を請求することができないとされています。

例外に該当するのは、「やむを得ない事由」と「事業の継続が不可能となった場合」、双方の条件を満たす場合ですので、それぞれについて説明します。

「やむを得ない事由」

「やむを得ない事由」というのは、天災事変に準ずる程度に不可抗力で、かつ、突発的な事由を言います。

例えば、以下のような場合はこれに当たります。

【該当する例】
・過失によらない火災により事業場が焼失した場合
・震災に伴う工場、事業場の倒壊

これに対して、以下のような場合はこれに当たりません。

【該当しない例】
・経済法令違反のため強制収容され、又は購入した諸機械、資材等を没収された場合
・税金の滞納処分を受け事業廃止になった場合
・会社の経営上の見通しの甘さから資材入手難、金融難になった場合
・従来の取引先が休業状態となり、発注品がなく、金融難になった場合

「事業の継続が不可能となった」

「事業の継続が不可能となった」とは、事業の全部又は大部分の継続が不可能になった場合をいいます。

例えば、以下のような場合はこれに当たりません。

【該当しない例】
・重要な建物、設備、機械等が焼失を免れ多少の労働者を解雇すれば従来通り操業できる場合
・従来の事業を廃止するが多少の労働者を解雇すればそのまま別個の事業に転換しうる場合
・一時的に操業を中止したものの、近く復旧の見込みが明らかである場合

例外2:労働者の責めに帰すべき事由がある場合には請求できない

「労働者の責めに帰すべき事由」に基づき解雇された場合には、解雇予告手当を請求することはできないとされています。

「労働者の責めに帰すべき事由」というのは、労働者が予告期間なしで解雇されてもやむを得ないと認められるほどに重大な規律違反や背信行為をいいます。

例えば、以下のような場合はこれに当たります。

【該当する例】
・事業場内における盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為があった場合(極めて軽微な場合の除く)
・賭博、風紀紊乱等による職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合
・重要な経歴を詐称した場合
・他の会社に転職した場合
・2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合
・出勤不良又は出欠常ならず、数回に亘って注意を受けても改めない場合

~懲戒解雇と解雇予告手当~

懲戒解雇が有効であっても、解雇予告手当の支払いを請求できる可能性があります。

会社は、懲戒解雇の場合には、「労働者の責めに帰すべき事由」として、解雇予告手当の支払いをしないことが通常です。

しかし、万が一、懲戒解雇が有効であったとしても、当然に「労働者の責めに帰すべき事由」にあたるとは限りません。

個別の事案に応じて、解雇予告なしで解雇されてもやむを得ないといえる程度に、労働者に落ち度があるかを検討する必要があります。

そのため、懲戒解雇が有効であっても、解雇予告手当を請求できる場合があるのです。

例外3:労働者の属性次第では解雇予告手当を請求できない

労働者の属性次第では、解雇予告手当を請求できない場合があります

・法律上請求できないとされている属性
・悩まれる方が多い属性

について、それぞれ説明します。

法律上請求できないとされている属性

法律上、以下の方は、解雇予告手当を請求できないとされています。

・日日雇い入れられる者
・2か月以内の期間を定めて使用される者(季節的業務の場合は4か月以内)
・試用期間中の者

それでは、順に見ていきます。

日日雇い入れられる者

日日雇い入れられる者とは、1日の契約期間で雇い入れられ、その限りで契約が終了する者のことです。

ただし、日々雇い入れられる者であっても、1か月を超えて引き続き使用されている場合には、解雇予告手当を請求することができます。

2か月以内の期間を定めて使用される者

2か月以内の期間を定めて使用されている者は、解雇予告手当を請求できません。

ただし、2か月以内の期間を定めて使用されている者も、所定の期間を超えて引き続き使用されている場合には、解雇予告手当の請求をすることができます。

なお、季節的業務、つまりその業務が季節、天候その他自然現象の影響によって一定の時期に偏して行われるものである場合には、「2か月以内」ではなく、「4か月以内」となります。

試用期間中の者

試用期間中の者は、解雇予告手当を請求できません。

ただし、14日を超えて引き続き使用されている場合には、解雇予告手当を請求することができます

悩まれる方が多い属性

以下の場合には、解雇予告手当を請求できるかどうか悩まれる方が多いです。

・パートやアルバイトの方
・内定を取り消された方

順に説明していきます。

パートやアルバイトの方

パートやアルバイトの方も、会社に対して、解雇予告手当を請求することができます

パートやアルバイトの方も、保護されるべき労働者だからです。

内定を取り消された方

内定を取り消された方については、解雇予告手当を請求できるかについて、見解が分かれており、現時点で、判例は見当たりません

厚生労働省は、採用内定により労働契約が成立したといえる場合には、労働基準法20条が適用され、解雇予告手続きを適正に行う必要があるとしています。

学説は、試用期間中の者でも14日を超えるまでは解雇予告に関する規定が適用されない以上、内定者にも適用されないと考えるべきであるとするものがあります。

解雇でない場合には解雇予告手当を請求できない

そもそも解雇されたわけではないという場合には、解雇予告手当を請求することはできません

例えば、以下の場合です。

・契約期間満了により契約を終了する場合
・退職勧奨により合意退職する場合

順に説明します。

契約期間満了により契約を終了する場合

契約期間満了により契約をする終了する場合には、解雇予告手当を請求することはできません

なぜなら、契約期間満了は解雇ではないためです。

例えば、契約期間1年とされた者が、1年満了時に契約を更新されずに、契約が終了する場合には、解雇予告手当は請求できないことになります。

学説には、契約期間満了にも解雇予告手当の支払いが必要であるとする説もありますが、解雇以外の場合にも、解雇予告手当の規定を適用することは解釈論上難しいため、実務には定着していません。

退職勧奨により合意退職する場合

退職勧奨により合意退職する場合には、解雇予告手当を請求することはできません

なぜなら、解雇は一方的に会社が行うものであり、合意による場合は解雇に関する規定は適用されないためです。

退職勧奨に応じる場合には、解雇予告手当は請求できません。しかし、退職したくない場合には、これを拒むことができますし、労働者から条件を提示することもできます。合意する前に、どの程度の金額を支払ってもらえれば、退職に応じることができるかを会社に伝えておくのがいいでしょう。

解雇予告手当の計算方法

解雇予告手当の計算方法について、以下の順序で説明します。

・計算式と5つのステップ
・解雇予告手当と相殺
・解雇予告手当の端数処理

計算式と5つのステップ

解雇予告手当の計算式は、以下のとおりです。

具体的には、以下の5つのステップに従い計算します。

ステップ1:平均賃金の算定期間と総日数を確認する
ステップ2:算定期間に支払われた賃金総額を確認する
ステップ3:平均賃金が最低保証額を下回らないかを確認する
ステップ4:解雇予告日の翌日から解雇日までの日数を確認する
ステップ5:式に明らかになった金額や日数を入れて計算する

それでは順に説明していきます。

ステップ1:平均賃金の算定期間と総日数を確認する

解雇予告手当を計算するためのステップ1は、平均賃金の算定期間と総日数を確認することです。

平均賃金の算定期間は、賃金の締切日がある場合とない場合で異なります。

賃金の締切日がある場合の算定期間は、

解雇日の前日に最も近い締切日の以前3か月間

となります。

賃金の締切日がない場合の算定期間は、

解雇日前日の以前3か月間

となります。

ただし、いずれも、雇用されてから3か月未満の場合には、雇入日までの期間となります。

算定期間が明らかになったら、その日数を数えることになります。

~総日数から控除される期間~

算定期間中に以下の期間がある場合には、算定期間の総日数から控除します。
・業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
・産前産後のために休業した期間
・会社の帰責事由による休業期間
・育児介護休業法による休業期間
・試用期間
平均賃金の金額が不当に低くなるのを防ぐためです。

ステップ2:算定期間に支払われた賃金総額を確認する

解雇予告手当を計算するためのステップ2は、算定期間に支払われた賃金総額を確認することです。

解雇予告手当の基礎となる平均賃金の算定にあたり、賃金総額に含まれる賃金と含まれない賃金の例をまとめると以下のとおりです。

上記賃金総額に含まれる賃金につき、算定期間中の合計額を計算することになります。

ステップ3:最低保証額を下回らないかを確認する

解雇予告手当を計算するためのステップ3は、平均賃金(賃金総額÷平均賃金の算定期間の総日数)が最低保証額を下回らないかを確認することです。

算定期間に自己都合休職などが含まれていると、平均賃金が著しく低くなってしまうため、一定の補償が必要であるためです。

・日給制、時給制、出来高払制の場合
・日給月給制の場合

について、それぞれ説明します。

日給制、時給制、出来高払制

日給制、時給制、出来高払制の場合の最低保証額については、労働基準法上、以下の方法により計算するとされています。

賃金の総額をその期間に労働した日数で除した金額の60%
日給月給制

日給月給制の場合の最低保証額については、行政通達(昭和30年5月24日基収1619号)により、以下の方法により計算するとされています。

欠勤しなかった場合に受けるべき賃金の総額をその期間中の所定労働日数で除した金額の60%

日給月給制というのは、月によって賃金が定められているものの、期間中の欠勤日数若しくは欠勤時間数に応じて賃金が減額される制度です。

日給月給制では、月単位で支払われる手当についても減給の対象に含まれます。

月給日給制の場合

月給日給制の場合の最低保証額については、行政通達(昭和30年5月24日基収1619号)により、以下の方法により計算した金額の合算額になるとされています。

【欠勤日数や欠勤時間数に応じて減額された部分】

欠勤しなかった場合に受けるべき賃金の総額をその期間中の所定労働日数で除した金額の60%

【欠勤日数や欠勤時間数に応じて減額されていない部分】

その部分の総額その期間の総日数で除した金額

 

月給日給制というのは、月によって賃金が定められているものの、期間中の欠勤日数若しくは欠勤時間数に応じて賃金が減額される制度です。

月給日給制では、月単位で支払われる手当についても減給の対象に含まれません。

ステップ4:解雇予告日の翌日から解雇日までの日数を確認する

解雇予告手当を計算するためのステップ4は、解雇予告日の翌日から解雇日までの日数を確認することです。

なぜなら、予告期間が30日に足りない日数分の平均賃金を支払うことになるためです。

ステップ5:式に明らかになった金額や日数を入れて計算する

解雇予告手当を計算するためのステップ5は、式に明らかになった金額や日数を入れて計算することです。

ステップ3で計算した最低保証額が平均賃金を上回っている場合には、平均賃金は最低保証額で置き換えることになります。

~計算例~

それでは、試しに解雇予告手当を計算してみましょう。

令和2年1月に会社に入社したAさんが、令和2年10月25日に、当日付けで解雇を言い渡されました。
Aさんの賃金は日給月給制で、基本給25万円、通勤手当2万円です。残業はしておらず、他の手当もこれまで支払われていません。
賃金の締日は月末で、Aさんの試用期間は令和2年3月末日付で終了しており、入社後に休職をしたことはありません。

もっとも、Aさんは、9月に1日欠勤しました。そのため、Aさんの月ごとの合計賃金額は以下のとおりとなっています。
7月分27万円、8月分27万円、9月分25万6500円

所定労働日数は7月が21日、8月が20日、9月が20日とします。

この場合の解雇予告手当について、ステップ1~5の順で説明していきます。

⑴ ステップ1:平均賃金の算定期間と総日数を確認する
まず、令和2年10月25日に当日付で解雇されており、Aさんの会社の賃金締切日は月末なので、平均賃金の算定期間は、7月1日~9月末日までです。
日数は

92日

となります。
⑵ ステップ2:算定期間に支払われた賃金総額を確認する
Aさんの賃金は、基本給、通勤手当であり、いずれも賃金総額に含まれる賃金です。

そのため、Aさんは、令和2年9月分27万円、同年8月分27万円、同年7月分25万6500円の

合計79万6500円

が算定期間に支払われた賃金総額になります。
⑶ステップ3:最低保証額を下回らないかを確認する
Aさんの会社では、日給月給制がとられており、欠勤や遅刻をしなかったのであれば支払われたであろう賃金は81万円となります。所定労働日数は合計61日です。
そのため、最低保証額は、

81万円÷61日×60%=7967円

となります。

⑷ステップ4:解雇予告日の翌日から解雇日までの日数を確認する
Aさんは、当日付で解雇を言い渡されていますので、解雇予告日の翌日から解雇日までの日数は

0日

です。
⑸ ステップ5:式に明らかになった金額や日数を入れて計算する
まず、ステップ1とステップ2で明らかになった日数と金額から平均賃金を計算すると、

79万6500円÷92日=8657.60円

となります

ステップ3で計算した最低保証額は7967円ですから、今回は平均賃金が最低保証額を上回っていることになります。そのため、最低保証額で平均賃金を置き換える必要はありません。

ステップ4で明らかになった解雇予告日の翌日から解雇日までの日数は0日を式に入れると、支払うべき解雇予告手当の金額は、

8657.60円×(30日-0日)=25万9728円

となります。

解雇予告手当と相殺

解雇予告手当請求に対して、会社側が労働者に対する何らかの債権を理由に相殺を主張することは認められない可能性があるとされています。

確かに、解雇予告手当は、賃金ではなく、労働基準法により創設された手当と言われています。

もっとも、解雇後の労働者の生活の糧となるものであり、賃金に準じて考えられるべきものです。

そして、賃金について、賃金全額払いの原則というものがあり、会社が労働者に債権を持っていても相殺せずに全額を支払わなければならないとされています。

そのため、解雇予告手当についても、これと同じように、相殺は許されないと考えるのです。

なお、行政通達は、解雇予告手当については労働者に債権が発生するわけではなく、予告手当の支払いはその限度で予告義務を免除するものにすぎないので、相殺の問題は生じないとしています(昭和24年1月8日基収54号)。
しかし、解雇予告手当は債権ではないとの考え方は、現在の実務に沿っていないものと感じられます。実際、労働基準法114条は、付加金に関する規定ですが、「裁判所は、第20条の規定に違反した使用者…に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払い金のほか、これと同一額の付加金の支払いを命ずることができる」と規定しており、解雇予告手当の未払金も請求できることを当然の前提としています。

解雇予告手当の端数

解雇予告手当の計算をするにあたり、

・平均賃金
・解雇予告手当

の金額について、端数が出る可能性があるので、それぞれ説明します。

平均賃金

平均賃金の端数については、

少数第3位以下を切り捨て

ます。

例えば、平均賃金算定期間の賃金総額が79万6500円、算定期間の総日数が91日だった場合は、平均賃金は、

79万6500円÷91日=8752.747252円

となります。
そのため、少数第3位以下を切り捨て、

8752.74円

とします。

解雇予告手当

解雇予告手当の端数については、

1円未満の端数を四捨五入

します。

例えば、平均賃金8752.74円で、当日付で解雇を言い渡されたため、予告期間が足りない日数が30日で合った場合には、解雇予告手当は、

8752.74円×30日=26万2582.2円

そのため、1円未満の端数を四捨五入し、

26万2582円

となります。

解雇予告手当の支払日・支払方法

解雇予告手当の支払い日と支払い方法は以下のとおりです。

・支払日:解雇の申渡しと同時
・支払方法:現実の交付・振り込み・郵送等

順に説明します。

解雇予告手当の支払日

解雇予告手当の支払は、行政通達により、

解雇の申渡しと同時

にしなければならないとされています(昭和23年3月17日基発464号)。

具体的には、以下のとおりとなります。

解雇予告手当の支払方法

解雇予告手当は、労働者が受け取ることができる状態におかれた場合に支払われたものとされます。

実際には、面談室などで労働者に現実に交付する方法か、給料口座に振り込みをする方法により支払われることが多いです。

労働者が解雇予告手当の受領を拒んだ場合には、会社は解雇予告手当を法務局に供託することができます。

他にも、行政通達では、

①郵送等により発送する方法
②支払う旨を通知する方法

が挙げられています(昭和63年3月14日基発150号)。

郵送等により発送する方法

郵送等の手段により労働者あてに発送を行い、この解雇予告手当が労働者の生活の本拠に到達したときは、支払いがなされたと認められます。

この場合、直接労働者本人が受領するか否か、労働者の存否は関係ないとされます。

支払う旨を通知する方法

労働者に解雇予告手当を支払う旨通知したものの、労働者が受領に来なかった場合についても、解雇予告手当の支払いがなされたと認められます。

ただし、支払日を指定していたか否かにより、支払いが認められる日が異なります。

支払日を指定していたものの、労働者が受領に来なかった場合については、その指定日に支払いがなされたものと認められます。

支払日を指定しておらず、労働者が受領に来なかった場合については、労働者の通常出頭し得る日に支払いがなされたものと認められます。

解雇予告手当の時効

解雇予告手当の時効は、解雇の申し渡しから

2年

です。

「賃金」ではなく、「その他の請求権」ですので、労働基準法改正による時効期間の延長はありません。

なお、行政通達は、解雇予告手当は、解雇の意思表示に際して支払わなければ解雇の効力を生じないものと解されるから、一般には解雇予告手当については時効の問題は生じないとしています(昭和27年5月17日基収1906号)。しかし、解雇予告手当は債権ではないとの考え方が正しいのかどうかについては、前記のとおり議論があるところです。

解雇予告手当の請求方法

解雇予告手当の請求をする場合には、

ステップ1:解雇予告手当請求書の送付
ステップ2:交渉
ステップ3:裁判手続

という順序で行います。

それぞれについて、説明します。

ステップ1:解雇予告手当請求書の送付【テンプレート付き】

解雇予告手当を請求する場合には、まず、解雇予告手当請求書を送付することになります。

例えば以下のような通知を送付します。
御通知のダウンロードはこちら
※こちらのリンクをクリックしていただくと、御通知のテンプレが表示されます。
表示されたDocumentの「ファイル」→「コピーを作成」を選択していただくと編集できるようになりますので、ぜひご活用下さい。

解雇予告手当を請求しても支払いがない場合には、訴訟手続き等を検討することになります。

ステップ2:交渉

解雇予告手当請求書を送付した後には、会社との間で交渉を行うことになります。

例えば、会社が労働者の責めに帰すべき事由があるため、解雇予告手当の支払いを行わなかったと主張したとしましょう。

労働者としては、このような会社の主張を受けて、解雇事由が労働者の責めに帰すべき事由には当たらないと主張することになります。

このように、双方が主張を行い話し合いによる解決が可能かを検討することになります。

ステップ3:裁判手続

話し合いによる解決ができない場合には、裁判手続きを行うことを検討することになります。

労働者は、自分自身で請求する場合には、少額訴訟がおすすめです。

少額訴訟は、原則として1回の簡便な手続きで解決することが可能です。

ただし、①少額訴訟を用いることができるのは60万円以下の場合に限られること、②相手方から反対された場合にはこの制度は利用できないことにご注意ください。

解雇予告手当が支払われなかった場合

解雇予告がされず、解雇予告手当も支払われなかった場合には、以下の問題が生じます。

・解雇の効力
・罰則
・付加金
・遅延損害金

順に説明していきます。

解雇の効力

会社が、解雇の予告をせず、かつ、解雇予告手当の支払いもしなかった場合には、その解雇通知は、即時解雇としては効力を生じないことになります

ただし、会社が即時解雇に固執する趣旨でない限り、以下のいずれかの時点において解雇の効力が生じます。

・解雇通知をした後30日の期間を経過した時点
・通知後に解雇予告手当の支払いをした時点

(参照:最判昭35.3.11民集14巻3号403頁[細谷服装事件])

~行政官庁の認定がない場合~

解雇予告手当の支払いの例外1(「やむを得ない事由により事業が継続できない」場合)に当たること及び例外2(「労働者の責めに帰すべき事由がある」場合)に当たることについては、行政官庁の認定を受けなければならないとされています。

しかし、行政官庁の認定を受けないで即時解雇された場合でも、解雇は無効にならないとされています(東京地判平14.1.31労判825号88頁[上野労基署長事件])。

行政官庁の認定は、行政庁による事実の確認手続きにすぎないとされているためです。

そのため、労働者は、会社が、行政官庁の認定を受けていないことを理由に、解雇の無効を主張することはできないことになります。

罰則

解雇の予告手当の不払いについては、労働基準法上、以下のとおりの罰則が定められています。

6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金

付加金

解雇予告手当の不払いについては、付加金が定められています。

付加金とは、裁判所が、労働者の請求により、支払いすべき解雇予告手当の金額に、更にこれと同一額の金額も加えて支払うように命ずるものです。

つまり、会社は、解雇予告手当の金額を2倍にして労働者に支払わなければいけないことになります

常に認められるわけではなく、訴訟において、会社の悪質性が高いとされた場合に認められるものです。

付加金は、違反のあった時から

3年以内

に請求しなければなりません(2020年10月現在)。

遅延損害金

会社は、解雇予告手当の支払いを怠っている場合には、支払日の翌日以降、民法所定の

年3分

の割合による遅延損害金を支払う必要があります(2020年10月現在)。

解雇を争う場合における3つの注意点

解雇を争う場合には、解雇予告手当について、以下の3点に注意する必要があります。

・解雇予告手当を請求してはいけないこと
・銀行に振り込まれた場合には解雇日以降の賃金として受領する旨を伝えること
・現実に交付されそうになったら受領書には署名押印しないこと

なぜなら、解雇を承諾したと受け取れるような行動をとると、信義則上、解雇の無効を主張することが制限される場合があるためです(大阪地判平成4.9.30労判620号70頁[新大阪警備保障事件]。

また、就労の意思を否定されて、解雇日以降の賃金を請求できなくなる可能性もあります。

上記3つの注意事項について順に説明していきます。

解雇予告手当を請求してはいけないこと

労働者は、解雇を争う場合には、解雇予告手当を請求してはいけません

解雇の効力が生じていることを積極的に認めることになってしまうためです。

解雇予告手当請求した後に、解雇が無効であると主張すると、会社から解雇について争っていなかったではないかと反論されることになります。

解雇予告手当を振り込まれたら解雇日以降の賃金として受領すると伝えること

解雇予告手当を会社から一方的に銀行口座に振り込まれてしまった場合には、解雇予告手当としてではなく、解雇日以降の賃金として受領する旨を伝えるべきです。

振り込みの場合には、労働者の意思に関係なく、解雇予告手当が支払われてしまいます。

もっとも、解雇予告手当が振り込まれたのに、これを無視していると、解雇予告手当が振り込まれたことについて、何ら異議を唱えなかったと、会社から指摘されることになります。

そのため、労働者としては、解雇予告手当としてではなく、解雇後の賃金として受け取ったのであって、解雇については争う意向であることを伝えておくのです。

解雇予告手当を現実に交付されそうになったら受領書には署名押印しないこと

解雇予告手当が現実に交付されそうになったら、受領を拒否して、受領書にも署名押印しないようにしましょう。

解雇予告手当を現実に交付する際の、会社側の目的は、労働者が自己の意思により解雇予告手当を受け取ったという事実を受領書に残すことです。

後日、解雇の無効を主張した場合に、労働者が解雇を争っておらず、自己の意思により解雇予告手当を受け取ったことの証拠として、この受領書が提出されることになるのです。

そのため、解雇予告手当を現実に交付されそうになったら、受領を拒否して、受領書への署名押印も拒否しましょう。

万が一、解雇予告手当を受け取ってしまった場合には、速やかに会社に対して、解雇日以降の賃金として受領した趣旨であることを通知しましょう。

解雇予告手当の税金・社会保険・雇用保険料

解雇予告手当についての税金・社会保険料・雇用保険料は以下のとおりとなっています。

解雇予告手当には、社会保険料や雇用保険料の徴収の対象にはなりませんが、所得税や住民税との関係では退職所得として扱われます

そのため、以下では、解雇予告手当に関する

・所得税
・住民税

について説明します。

所得税

解雇予告手当からは、所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されることになります。

源泉徴収される金額は、

・退職所得の受給に関する申告書が提出されていない場合
・退職所得の受給に関する申告書が提出されている場合

で異なります。

退職所得の受給に関する申告とは、退職手当等の支給を受ける人が、所得税法に掲げる事項を申告書に記載し、退職手当等の支払者に提出する手続です。
(出典:国税庁 [手続名]退職所得の受給に関する申告(退職所得申告))

それぞれについて説明していきます。

退職所得の受給に関する申告書が提出されていない場合

退職所得の受給に関する申告書が提出されていない場合には、

20.42%

が解雇予告手当から源泉徴収されることになります。

退職所得の受給に関する申告書が提出されている場合

退職所得の受給に関する申告書が提出されている場合には、

勤続年数に応じて計算された金額

が解雇予告手当から源泉徴収されることになります。

詳細は以下のリンクをご確認ください。
国税庁 No.2732 退職手当等に対する源泉徴収

住民税

解雇予告手当からは、住民税の特別徴収が行われます

退職所得控除額を控除した後の金額により、徴収額が異なります

詳細は以下のリンクをご確認ください。
総務省:退職所得に係る道府県民税・市町村民税の特別徴収税額早見表

よくある4つの悩み

解雇予告手当に関してよくある悩みとして以下の4つがあります。

・解雇予告手当をもらった場合に退職金をもらえなくなるのか
・即日解雇された際に有給が残っている場合どうなるのか
・解雇予告と同時に自宅待機を命じられた場合には解雇予告手当はもらえないのか
・解雇から30日経過した後は解雇予告手当を請求できなくなるのか

順に説明していきます。

解雇予告手当をもらった場合にも退職金は請求できる

解雇予告手当をもらった場合にも、退職金を請求することができます

なぜなら、退職金と解雇予告手当は、別のものだからです。解雇予告手当をもらっても、退職金をもらったことにはならないのです。

ただし、退職金の支給条件や支給金額は、会社ごとに定められるものです。そのため、実際に退職金を請求できるかについては、会社の退職金規程をご確認ください。

即日解雇された際に有給が残っていても消化や買い取り請求はできない

労働者は、解雇予告手当を支給されて、即日解雇された際には、有給休暇の消化や買取り請求はできません

労働者は、解雇の効力が生じた後は、労働者ではなくなってしまいます。そのため、解雇後に有給休暇を取得することはできません。

また、労働者に有給休暇の買取りを請求する権利は、原則として、認められていません。

そのため、即日解雇された際に有給が残っていても、これを消化したり、買取りを請求したりすることはできないのです。

ただし、会社が、退職の際における有給休暇の残日数に応じた手当の支給に関する制度を設けているのであれば、これを請求できる余地があります。

解雇予告と同時に自宅待機を命じられた場合には賃金請求の問題となる

労働者が会社から解雇予告と同時に自宅待機を命じられた場合には、解雇予告手当の請求ではなく、賃金請求の問題となります。

なぜなら、解雇予告と同時に自宅待機を命じられた場合でも、即日解雇をされたわけではないため、解雇予告手当の支払いは不要であるためです。

自体待機を命じる合理的な理由がない場合には、「債権者の責めに帰すべき事由」(民法536条2項)により勤務できなかったものとして、自宅待機期間中の賃金を請求できることになります。

解雇から30日を経過した後も解雇予告手当を請求できる

解雇から30日を経過した後も、解雇予告手当を請求することができるとの考え方が有力です

会社が即時解雇に固執する趣旨でない限り、解雇通知をした後30日の期間を経過した時点で解雇の効力が生じるとされています。

そのため、解雇予告手当が支払われていない場合でも、30日を経過した場合には。解雇予告手当は請求できなくなるのではないかとの悩みが生じます。

しかし、裁判実務においては、解雇されて、解雇予告手当の支払いを受けていない労働者が、解雇予告手当を請求すれば、これが認められる例がほとんどであるとされています。

実際、裁判例では、30日が経過した場合においても、会社は、労働者に対して、解雇予告手当を支払うべき公法上の義務を負担するとしたものがあります(東京地判昭51.12.24判時841号101頁[プラス資材事件])。

解雇されたら弁護士の初回無料相談を!

解雇されたら、弁護士の初回無料相談を利用することを強くおすすめします。

その理由は、以下の4つです。

・解雇予告手当の計算方法や請求方法について助言してもらえる!
・解雇を争う余地があるかどうかについて助言してもらえる!
・解雇手当以外の請求権についても検討してもらえる!
・初回無料相談であれば費用はかからない!

解雇予告手当の計算方法や請求方法について助言してもらえる!

弁護士に相談すれば、

・解雇予告手当の計算方法
・解雇予告手当の請求方法

について、助言してもらうことができます。

解雇予告手当の計算方法や請求方法については、この記事で説明させていただきました。

しかし、実際に、具体的な事例で計算や請求をしようとすると悩む部分も出てくるでしょう。

弁護士に相談すれば、計算方法や請求方法のポイントについて、教えてもらうことができます

そのため、解雇予告手当の計算や請求について悩んでいる場合には、弁護士に相談することがおすすめです。

解雇を争う余地があるかどうかについて助言してもらえる!

弁護士に相談すれば、解雇を争う余地があるかどうかについて、助言してもらうことができます

判例上、解雇が認められる場合は限定されています。会社が行う解雇の多くは、実は無効である可能性が高いのです。

会社に解雇されたのだから仕方がないと考えている方もいるかもしれませんが、一度、その解雇が不当なものでないか弁護士に相談してみましょう。

実際、今まで、解雇について相談に来ていただいた方の多くの事例は、正当な解雇とは言い難いものでした。

解雇手当以外の請求権についても検討してもらえる!

弁護士に相談すれば、解雇手当以外の請求権についても検討してもらうことができます

例えば、以下の請求権が挙げられます。

・退職金
・解雇後の賃金請求または賃金相当額の損害賠償請求
・慰謝料

解雇予告手当以外の請求をできると知らなかったという方も多いでしょう。

しかし、他の請求もすることができるのに、これを知らないために請求を怠ってしまうというのは、労働者としても悔しいことです。

後悔しないために、まずは、自分がどのような請求をすることができるのかについて弁護士に相談するべきです。

初回無料相談であれば費用はかからない!

初回無料相談を利用すれば、費用をかけずに弁護士に相談することができます

弁護士に依頼するかどうか悩んでいる方でも、まずは初回無料相談を受けてから、依頼するかを決めればいいのです。

初回無料相談を利用することにつき、特にデメリットはありません。

まとめ

以上のとおり、今回は、解雇予告手当の計算方法と請求について解説しました。

この記事で説明した要点をおさらいします。

解雇予告手当の計算方法は以下のとおりです。

ステップ1:平均賃金の算定期間と総日数を確認する
ステップ2:算定期間に支払われた賃金総額を確認する
ステップ3:平均賃金が最低保証額を下回らないかを確認する
ステップ4:解雇予告日の翌日から解雇日までの日数を確認する
ステップ5:式に明らかになった金額や日数を入れて計算する

解雇予告手当の請求方法は以下のとおりです。

ステップ1:解雇予告手当請求書の送付
ステップ2:交渉
ステップ3:裁判手続

この記事が突然解雇された方の役に立つことができれば幸いです。

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このような悩みを抱えていませんか。このような悩み抱えている方は、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。

解雇を争う際には、適切な見通しを立てて、自分の主張と矛盾しないように慎重に行動する必要があります。

初回の相談は無料ですので、まずはお気軽にご連絡ください。

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