不当解雇・退職扱い

退職勧奨に応じる際は退職届ではなく退職合意書によるべき!例文付き

会社から退職勧奨をされた際に、退職届を提出するように言われて悩んでいませんか?

結論としては、退職勧奨に応じる場合には、退職届ではなく、退職合意書を作成することがおすすめです。

理由は、退職届ですと、①退職条件が不明確になりますし、②退職届では会社側の意思が書面に残らないためです

つまり、退職届では、「退職条件」や「退職理由」について、後日トラブルになりがちなのです。

ただし、既に退職届を提出してしまい、退職理由について会社に自己都合として処理された方も、ハローワークで相談すれば会社都合と扱ってもらえる可能性がありますので冷静に対処しましょう。

また、今から退職勧奨に応じて退職届を作成しようとしている方は、そもそも本当に退職勧奨に応じるべきなのかについても、もう一度考えてみましょう

会社は、多くの場合、「退職勧奨に応じなければ解雇とする。自分で退職した方がいい。」などと退職を勧めてきます。しかし、法律上、解雇は簡単にはできません。このような退職勧奨が行われる多くの事案では、実際には解雇を正当化する事由はないのです。

もしも、少しでも退職勧奨に疑問を感じたら迷わず弁護士に相談しましょう。

今回は、退職勧奨に応じる際に提出する「退職届」や「退職合意書」について詳しく解説していきます。

具体的には以下の流れで説明します。

この記事を読めば退職勧奨で退職届を提出するように言われた場合にどうすればいいのかがわかるはずです。

 

 

退職届と退職合意書の違い【例文付き】

「退職届」と「退職合意書」は違うものです。

退職届とは、あなたが会社に対して退職の意思を示す書面です。会社の意思は示されません
法的には、「辞職の意思表示」又は「合意退職の申し込み」の2つの可能性があります。辞職は、会社の承諾の有無にかかわらず一方的に退職するものです。合意退職の申し込みは、会社が承諾してくれた場合に退職するものです。いずれか曖昧な場合には、「合意退職の申し込み」と評価されます。

例えば、よくある退職届の例文としては以下のようなものです。

退職届(退職勧奨)※御通知のダウンロードはこちら
※こちらのリンクをクリックしていただくと、退職届のテンプレが表示されます。
表示されたDocumentの「ファイル」→「コピーを作成」を選択していただくと編集できるようになりますので、ぜひご活用下さい。

退職合意書とは、あなたと会社が退職について合意した内容が記載される書面です。あなたと会社双方の署名押印がなされますので、「あなたの意思」と「会社の意思」いずれも示されます。

例えば、よくある退職合意書の例文としては以下のようなものです。

合意書(退職勧奨)※御通知のダウンロードはこちら
※こちらのリンクをクリックしていただくと、合意書のテンプレが表示されます。
表示されたDocumentの「ファイル」→「コピーを作成」を選択していただくと編集できるようになりますので、ぜひご活用下さい。

「退職届」と「退職合意書」は、両方の書面が作成されることは多くなく、いずれか一方を作成する会社が多いでしょう

このように退職届と退職合意書は違うものなのです。

退職勧奨に応じる際も退職届は法律上必須ではない

あなたが退職勧奨に応じる場合であっても、退職届の提出は法律上必須とはされていません

退職は口頭で行うことも可能ですし、合意書で行うことも可能です。

また、会社によっては、あなたが退職届を提出することが法律上の義務であるかのごとく説明することがあります。しかし、退職届を提出するかどうかはあなたの自由です

そのため、あなたは、退職勧奨に応じる場合であっても、退職届を提出する必要はないのです。

 

 

会社が退職届を提出させたがる2つの理由

多くの会社は、退職勧奨の場合であっても、労働者に対して「退職届」を提出させたがります。

会社が労働者に「退職届」を提出させたがる理由としては、主に以下の2つがあります。

理由1:事務処理上の便宜
理由2:自己都合退職として扱いたい

順番に説明します。

理由1:事務処理上の便宜

会社が労働者に退職届を提出させたがる理由の1つ目は、事務処理上の便宜です。

会社によっては、退職者に同一の書式で退職届を作成してもらい管理している場合があります

また、退職合意書ですと、その内容につき顧問弁護士に相談するなどして個別に検討する必要があるため、会社によっては嫌がることがあります。

理由2:自己都合退職として扱いたい

会社が労働者に退職届を提出させたがる理由の2つ目は、自己都合退職として扱いたいためです。

本来、退職勧奨による退職については、解雇と同様に会社都合退職として扱われる傾向にあります。しかし、会社都合退職としてしまうと、会社が助成金を受給する際の障害になることがあるため、会社はこれを嫌うのです。

会社が自己都合退職として扱う目的で退職届の作成を求めている場合には、あなたが退職届に「退職勧奨を受けたため」などと記載すると受領を拒んだり、「一身上の都合」に書き換えるようにと指示したりしてきます

なお、実際には、退職届を提出したからと言って直ちに自己都合退職となるわけではありません。その記載内容や状況次第では、会社都合退職としてもらえる可能性もあります。

万が一、会社に自己都合退職として処理されてしまった場合の対処法については後述します。

退職勧奨に応じる際は退職届ではなく退職合意書によるべき2つの理由

退職勧奨に応じる際は、退職届ではなく退職合意書によるべきです

その理由は、以下の2つです。

・理由1:退職届では退職条件が不明確となる
・理由2:退職届では会社側の意思が書面に残らない

順番に説明します。

理由1:退職届では退職条件が不明確となる

退職届ではなく退職合意書によるべき理由の1つ目は、退職届では退職条件が不明確となるためです。

退職勧奨により退職する場合には、例えば以下のような条件について話し合われるのが通常です。

・退職日
・退職理由(自己都合・会社都合)
・解決金又は特別退職金
・退職金
・未払い賃金の支払い
・有休の消化・買取り
・口外禁止

しかし、退職届では、退職の条件が具体的に記載されていないことが多く、後日、会社とトラブルになりがちです

例えば、あなたが特別退職金をもらえると考えていた場合であっても、会社がそのような約束はしていないと言ったら、退職条件について証明できず困ることがあります。

そのため、退職勧奨に応じる際は、退職合意書により退職条件を明確にしておくべきなのです。

理由2:退職届では会社側の意思が書面に残らない

退職届ではなく退職合意書によるべき理由の2つ目は、退職届では会社側の意思が書面に残らないことです。

退職届は、退職についてのあなたの意思は記載されますが、会社がそれをどう考えているのかは記載されません

例えば、あなたが退職届に「退職理由は退職勧奨を受けたため」と記載していても、会社の認識は異なる可能性があるのです。

そのため、退職勧奨に応じる際は、退職の条件について会社の意思も明らかにするために退職合意書によるべきです。

 

解雇理由があることが明らかな場合には退職届の提出も検討

誰の目から見ても解雇理由があることが明らかであり、会社が自主退職の機会を与えてくれたにすぎないような場合には、退職届の提出も検討するべきでしょう

このような場合、会社は、あなたが退職届を出さなくても、あなたを解雇すればいいと考えます

そのため、退職合意書に記載するような退職条件を具体的に交渉することが難しいこともあるのです。

例えば、懲戒解雇などになると、退職金額や再就職にも影響が出てくるリスクがありますので、あなたが自主的に退職することがメリットになる場合もあるのです。

このように解雇理由があることが誰の目から見ても明らかである場合には退職届の提出を検討してもよいでしょう。

ただし、解雇が正当化されるケースは特に限定的な場合です。懲戒解雇ともなれば、なおさらです

そのため安易な判断は禁物です。

解雇が正当とされる理由については、以下の記事で詳しく解説しています。

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退職届を出してしまい会社に自己都合とされた場合の対処法

もしも、あなたが退職届を提出した場合に、退職勧奨による退職であるにもかかわらず、会社が自己都合退職と処理しても、焦らずに対処しましょう。

具体的には、ハローワークに行き退職理由が違うこと、実際には退職勧奨により退職したものであることを説明しましょう

その際には、退職勧奨をされていたことがわかるメールやチャット、録音、書面、メモ、日記などを持参するといいでしょう。

例えば、退職した後には、以下のような離職票が会社から届きます。
離職票ー2(出典:ハローワークインタネットサービス)

そして、離職理由を確認してみると、「退職勧奨」ではなく、「労働者の個人的な事情による離職(一身上の都合、転職希望等)にチェックされていることがあります

そのような場合には、放置せずに上記対処をするようにしましょう。

 

本当に退職勧奨に応じなければいけないのか

あなたが、まだ退職届を提出していない場合には、そもそも本当に退職勧奨に応じるべきなのかについても、もう一度考えてみましょう

会社は、多くの場合、「退職勧奨に応じなければ解雇とする。自分で退職した方がいい。」などと退職を勧めてきます。

しかし、法律上、解雇は簡単にはできません

解雇を行うためには法律上厳格な条件があります。例えば、会社は、あなたがミスをしたような場合でも、それにより重大な損害が生じていない場合には、解雇はできない傾向にあります。また、会社は、解雇する前に、あなたに対して、改善の機会を与えたり、他の業務内容に転換すること雇い続けることができないかを検討したりする必要があります。

退職勧奨が行われる多くの事案では、実際には解雇を正当化する事由はないのです。

もしも、あなたが退職勧奨に応じて、退職届を提出すると、解雇された場合と比較して、それを争うハードルは高くなってしまいます

解雇の理由がないことだけではなく、今回の退職届が退職勧奨に応じなければ解雇されるとの勘違いにより提出されたものであること等を立証する必要が出てきてしまうためです。

退職届の撤回については、以下の記事で詳しく解説しています。

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少しでも退職勧奨に疑問を感じたら、退職届を提出する前に迷わず弁護士に相談しましょう。

退職届を出す前に弁護士の初回無料相談を利用しよう!

あなたが退職勧奨に応じて退職届を出そうとしている場合には、これを出す前に弁護士の初回無料相談を利用することがおすすめです。

退職するかどうかはあなたの人生や生活に関わる重大な問題です。

弁護士に相談することで、会社が本当にあなたを解雇することができるのか、どのような条件を検討すべきなのかを助言してもらうことができるためです

また、退職届や退職合意書を作成する場合の注意点についても教えてもらえるはずです。

初回無料相談を利用すれば費用をかけずに相談できますので、これを利用するデメリットは特にありません。

そのため、退職届を出す前に一度弁護士の初回無料相談を利用しておくべきなのです。

 

まとめ

以上のとおり、今回は、退職勧奨に応じる際に提出する「退職届」や「退職合意書」について詳しく解説しました。

この記事の要点を簡単にまとめると以下のとおりです。

・あなたが退職勧奨に応じる場合であっても、退職届の提出は法律上必須とされていません。

・会社が労働者に「退職届」を提出させたがる理由としては、主に①事務処理上の便宜との理由、②自己都合退職として扱いたいとの理由の2つがあります。

・退職勧奨に応じる際は、退職届ではなく退職合意書によるべきです。なぜなら、①退職届では退職条件が不明確となり、また②退職届では会社側の意思が書面に残らないためです。

・あなたがまだ退職届を提出していない場合には、そもそも本当に退職勧奨に応じるべきなのかについても、もう一度考えてみましょう。

この記事が会社から退職届を提出するように言われて悩んでいる方の助けになれば幸いです。

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弁護士 籾山善臣
神奈川県弁護士会所属。主な取扱分野は、人事労務、離婚・男女問題、相続、企業法務、紛争解決(訴訟等)、知的財産、刑事問題等。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。
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このような悩みを抱えていませんか。このような悩み抱えている方は、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。

解雇を争う際には、適切な見通しを立てて、自分の主張と矛盾しないように慎重に行動する必要があります。

初回の相談は無料ですので、まずはお気軽にご連絡ください。

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