会社から退職するように言われてどのように対応すればいいのか悩んでいませんか?
退職勧奨は、通常以下のような流れで進んでいきます。

まず、あなたは退職勧奨に応じる義務は全くありません。それを前提に、あなたがどのような対応をしていくかを決めることになります。
具体的には、あなたは、「退職勧奨に応じる」又は「退職勧奨を拒否する」という2つの選択肢があります。
どちらの選択肢を取るかについては慎重に検討する必要がありますし、いずれの場合にせよ注意すべきポイントがあります。
退職するかどうかというのは、あなたの生活や人生とも密接に関わる重要な問題です。そのため、会社に言われるまま、十分に検討することなく安易に退職しないように注意してください。
今回は、退職勧奨された場合の選択肢と対処法を解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明します。

この記事を読めば、退職勧奨された場合にどのように行動するべきかがわかるはずです。
退職勧奨された場合のNG行動と正しい対処法は、以下の動画でも詳しく解説しています。


目次
退職勧奨とは何?|解雇との違い
退職勧奨とは、会社が労働者に対して退職するように促す行為をいいます。
退職勧奨というのは、あくまでも労働者が自発的に退職するように説得するものなので、これに応じるかどうかは労働者の自由な意思に委ねられています。
そのため、あなたは、退職勧奨に応じたくなければこれに応じる義務は全くありません。
これに対して、解雇は、あなたの意思に関係なく、会社が一方的にあなたをやめさせるものです。つまり、解雇と退職勧奨の違いは、あなた自身の意思が尊重されているかどうかです。
解雇には、法律上とても厳格な条件が定められています。そのため、会社は、解雇して紛争となるリスクを避けるために、労働者が自発的に退職するように促すのです。
ただし、会社は、退職を促す際には、あなたのためにも退職した方いいなどと述べることが多いので、直ぐに真に受けずに慎重に対応するようにしましょう。
退職勧奨とは何かについては以下の記事で詳しく解説しています。

退職勧奨の流れ
退職勧奨は、通常以下のような流れで進んでいきます。

まず、会社は、退職勧奨が行われる前に、業務改善命令や配置転換を行うのが通常です。会社は、可能な限り、労働者の雇用を維持するように努力しなければならず、これを怠ると、労働者が退職勧奨を拒否した場合に解雇ができない可能性があるためです。
そして、退職勧奨が行われる場合には、通常、面談などに呼ばれて30分程度話し合いが行われます。よくある例としては、「あなたの業務成績や勤務態度が悪いため、これ以上雇い続けることが難しいので、今月いっぱいで退職してほしい」などと言われます。
これに対するあなたの回答により、その後の流れは変わってきます。
退職勧奨に応じる場合の流れ
退職勧奨に応じる場合には、退職日や退職理由、退職金などについての協議が行われることになります。その後、協議の内容を合意書にします。
ただし、会社によっては、会社に都合がいいように記載された退職届に署名押印だけ求めてくる場合もありますので注意してください。
退職後、あなたは失業保険の手続きなどを行うことになります。
退職勧奨を拒否した場合の流れ
退職勧奨を拒否した場合には、その後の流れは会社により異なります。
会社によっては、あなたが退職勧奨を拒否すれば、それ以上、退職の話にはならないこともあります。
しかし、多くの会社では、あなたが退職勧奨を拒否した場合にも、「退職勧奨を続ける」又は「解雇する」という手段により、どうにか退職させようとしてきます。
例えば、あなたが面談で退職勧奨を拒否しても、その後、改めて「退職金を払うからやめてくれないかとの打診」や「退職条件が記載された書面の交付」がなされることがあります。
あなたがこのような会社の提案にも応じない場合には、会社は、解雇に踏み切ることがあります。
会社が解雇を行う場合には、通常、解雇の予告がされることになります。労働基準法上、原則として、30日前までに解雇を伝えることが義務付けられているためです。
そして、会社によっては、この解雇予告期間中に退職勧奨に応じるかどうかもう一度考え直してほしいとして、自宅待機を命じることがあります。
最終的に、退職勧奨に応じず、解雇日が到来した場合には、あなたはこの解雇を争うかどうかを検討することになります。

退職勧奨への2つの選択肢と簡単な対処法
退職勧奨をされた場合、あなたには、「退職勧奨に応じる」又は「退職勧奨を拒否する」という2つの選択肢があります。
どちらの選択肢を取るかについては慎重に検討する必要がありますし、いずれの場合にせよ注意すべきポイントがあります。
以下では、
・退職勧奨に応じるかどうかの判断基準
・退職勧奨に応じる場合の対処法
・退職勧奨を拒否する場合の対処法
について説明していきます。
退職勧奨に応じるかどうかの判断基準
退職勧奨に応じるかどうかの判断基準としては、主に以下の3つがあります。
・解雇された場合にそれが有効となるか
・その会社で働き続けたいか
・退職した場合に生活を維持できるか
これらの要素を考慮して、あなたにとって退職勧奨に応じた方がいいのか、拒否した方がいいのかを判断します。
それぞれの判断基準について、もう少し詳しく説明していきます。
解雇された場合にそれが有効となるか
退職勧奨に応じるかどうかの判断基準の1つ目は、解雇された場合にそれが有効となるかどうかです。
あなたが退職勧奨を拒否した場合には、会社は解雇に踏み切る可能性があります。
もしも、その解雇が有効とされてしまう可能性が高いのであれば、退職条件について協議した上で退職勧奨に応じた方があなたにとってメリットになることがあります。
例えば、以下のような場合です。
①懲戒解雇により退職金をもらえなくなってしまう場合
②重責解雇により失業保険を受給できなくなってしまう場合
③再就職との関係で解雇の履歴を残したくない場合
①会社によっては、退職金規程で、懲戒解雇の場合に退職金を支給しないと規定していることがあります。そのため、懲戒解雇により退職金をもらえなくなってしまう場合には、退職金をもらえることを条件に退職勧奨に応じた方がいいこともあります。
懲戒解雇と退職金については、以下の記事で詳しく解説しています。

②重責解雇となった場合には、会社都合退職として扱ってもらえず、失業保険の受給に際して、支給までの期間や支給金額でデメリットがあります。そのため、会社都合退職とすることを条件に退職勧奨に応じた方がいいこともあります。
③解雇された場合には、再就職をする際の面接などで前職の退職理由を尋ねられた場合に困ることがあります。そのため、解雇が有効とされる可能性が高いのであれば、自ら退職した方が再就職をしやすいことがあります。
ただし、解雇には厳格な条件がありますので容易には認められません。解雇の条件については、以下の記事で詳しく解説しています。

その会社で働き続けたいか
退職勧奨に応じるかどうかの判断基準の2つ目は、その会社で働き続けたいかどうかです。
会社から退職勧奨をされた場合には、会社との関係も悪化してしまい会社に居づらくなってしまうこともありますよね。
あなたがその会社で働き続けることにそこまで積極的ではない場合には、例えば、条件次第で退職を検討するというのも一つの選択肢です。
退職した場合に生活を維持できるか
退職勧奨に応じるかどうかの判断基準の3つ目は、退職した場合に生活を維持できるかどうかです。
会社を退職してしまうと、それ以降の賃金が支払われなくなります。そのため、会社を退職する場合には、退職した後の生活を維持できる見通しが立てられていることが必要です。
具体的には、以下の4つを確認しておきましょう。
①再就職の見通し
②失業保険を受給できるまでの期間や日数
③会社からもらえる特別退職金や解決金の金額
④貯金額
退職勧奨に応じるかどうかを判断する上で、まず重要なのは、①再就職の見通しです。見通しを立てるのは難しいでしょうが、再就職までの期間の目安を把握しておくことで必要な生活費なども分かります。
次に、②失業保険を受給できるまでの期間や日数も確認しておくべきでしょう。
失業保険を受給するまでの流れは以下のとおりです。

また、失業保険の受給日数は以下のとおりです。
自己都合退職の場合には、雇用保険の加入期間により、失業手当の給付日数が決まり、以下のとおりとされています。
これに対して、会社都合退職の場合には、雇用保険の加入期間と退職した時の年齢により、失業手当の給付日数が判断されることになり、以下のとおりとされています。
会社都合退職については、以下の動画でも詳しく解説しています。
更に、退職勧奨に応じる場合には、③会社から特別退職金や解決金をもらえる場合があります。これについては、後ほど説明します。
最後に、④あなたの貯金額も退職後の生活を維持できるかを検討する上で、重要な要素です。
退職勧奨に応じる場合の対処法
退職勧奨に応じるかどうかを慎重に検討した上で、条件次第では応じてもいいと感じた場合には、退職の条件等について協議していくことになります。
退職勧奨に応じる場合の対処法は、以下のとおりです。
対処法1:条件に納得するまでは会社で働き続ける意思を示しておく
対処法2:退職条件の提案は書面でしてもらう
対処法3:特別退職金又は解決金の交渉をする
対処法4:退職条件がまとまったら合意書にする

それでは順番に説明していきます。
対処法1:条件に納得するまでは会社で働き続ける意思を示しておく
退職勧奨に応じる場合の対処法の1つ目は、条件に納得するまでは会社で働き続ける意思を示しておくことです。
退職の条件がまとまっていないのに、あなたが会社を辞めることを前提とした発言をしてしまうと、あなたには「就労の意思がなかったので賃金は支払わない」又は「黙示の合意退職が成立している」と争われることがあります。
具体的には、会社に対して、再就職の活動をしている状況を報告したり、早く会社を辞めたいと言ったりしないようにしましょう。
また、会社は、あなたに働き続ける意思がないと感じると、特別退職金や解決金の支払いに応じないことがあります。これらの支払いをしなくても、待っていれば退職してもらえると考えるためです。
対処法2:退職条件の提案は書面でしてもらう
退職勧奨に応じる場合の対処法の2つ目は、退職条件の提案は書面でしてもらうことです。
口頭のみで退職条件の交渉をしていると、やり取りが不明確となり、退職条件があなたの認識していたものと異なる場合があります。
また、退職条件を書面でもらえば、専門家に相談する際にも具体的に助言をもらうことができます。
そのため、会社からの退職条件の提案については書面でもらうようにしましょう。
対処法3:特別退職金又は解決金の交渉をする
退職勧奨に応じる場合の対処法の3つ目は、特別退職金又は解決金の交渉をすることです。
多くの会社は、退職勧奨をする場合には、最初は特別退職金又は解決金の提案をせずに、退職するように促してきます。
そして、あなたが何も言わずにこの退職勧奨に応じてしまうと、特別退職金又は解決金を支払ってもらうことはできません。
例えば、「仮に退職に応じる場合でも再就職するまでの生活があるため、その間の生活を補償していただけないと検討は難しい」などと返答するのが通常です。
退職勧奨の特別退職金又は解決金の相場は、
です。
しかし、決まりがあるわけではありません。解雇が有効となる可能性がほとんどないような事案では、1年分の賃金相当額が支払われることもあります。
特別退職金については、以下の動画でも詳しく解説しています。
対処法4:退職条件がまとまったら合意書にする
退職勧奨に応じる場合の対処法の4つ目は、退職条件がまとまったら合意書にすることです。
会社と合意した内容を書面で明確にしておかないと、後から、会社が「そのようなことは言っていない」と述べてくる可能性もあります。
例えば、以下のような合意書を作成するのが通常です。
※御通知のダウンロードはこちら
※こちらのリンクをクリックしていただくと、合意書のテンプレが表示されます。
表示されたDocumentの「ファイル」→「コピーを作成」を選択していただくと編集できるようになりますので、ぜひご活用下さい。
退職勧奨を拒否する場合の対処法
退職勧奨に応じるかどうかを慎重に検討した上で、退職勧奨に応じたくないと感じた場合には、退職勧奨を拒否することになります。
退職勧奨を拒否する場合の対処法は、以下のとおりです。
対処法1:面談で退職勧奨に応じる意思がないことを明確に伝える
対処法2:何度も退職勧奨をされる場合にはメールや書面により警告する
対処法3:自宅待機を命じられた場合には業務指示をするように求めておく
対処法4:解雇予告手当や退職金は受け取らない
それでは順番に説明していきます。
なお、会社に解雇された後の対処法については、以下の記事で詳しく解説しています。

対処法1:面談で退職勧奨に応じる意思がないことを明確に伝える
退職勧奨を拒否する場合の対処法の1つ目は、退職勧奨に応じる意思がないことを明確に伝えることです。
会社はあなたの意思に反して退職を強制することができません。
また、退職する意思がないことを明確に示しておくことにより、黙示の退職合意などの無用な争点が生じることも避けることができます。
そのため、まずはあなたに退職の意思がないことを明確に示しておくことが重要なのです。
対処法2:何度も退職勧奨をされる場合にはメールや書面により警告する
退職勧奨を拒否する場合の対処法の2つ目は、何度も退職勧奨をされる場合にはメールや書面により警告することです。
会社が執拗に退職勧奨をする場合には、違法となる可能性があり後述のとおり慰謝料請求の対象となることがあります。
そして、あなたが退職の意思を示しているのに何度もこれを行うことは、会社の悪質性を強める事情となります。
例えば、メールや書面により、「私は退職勧奨に応じる意思はありませんので、今後は退職勧奨をしないでください。執拗な退職勧奨は違法となりますので、貴社がこれをやめない場合には法的手続きを行うことも検討しています。」などと、送付すること考えられます。
これにより会社は退職勧奨を行いにくくなりますし、万が一退職勧奨が繰り返される場合には慰謝料を認めてもらえる可能性が高まります。
対処法3:自宅待機を命じられた場合には業務指示をするように求めておく
退職勧奨を拒否する場合の対処法の3つ目は、自宅待機を命じられた場合には業務指示をするように求めておくことです。
会社から退職勧奨について検討する期間として自宅待機を命じられることがあります。そして、会社によっては、期間を指定せずに待機を命じることもあります。
このような場合には、会社に対して、退職勧奨には応じるつもりがないので、業務を指示してほしいと求めておくことが重要です。
なぜなら、長期間、業務の指示を求めずに出勤しないでいると、会社からあなたには働く意思がなかったと反論されることがあるためです。
対処法4:解雇予告手当や退職金は受け取らない
退職勧奨を拒否する場合の対処法の4つ目は、解雇予告手当や退職金は受け取らないことです。
解雇予告手当や退職金を会社から受け取ってしまうと、あなたが退職に同意していたと反論されます。
そのため、退職勧奨に応じない場合又は解雇を争う場合には、これらについては受領しないように注意しましょう。
ただし、会社によっては、一方的に銀行口座に振り込んでくることがあります。このような場合には、退職扱い又は解雇をされた後の賃金として受領する旨を会社に通知することになります。
退職勧奨が違法な場合には損害賠償を請求できることがある
退職勧奨が違法な場合には、あなたは、退職勧奨により被った精神的苦痛につき慰謝料を請求できる可能性があります。
退職勧奨は、社会的相当性を逸脱した態様により、半強制的ないし執拗な態様で行われた場合には、違法となります。
そして、退職勧奨が違法な場合には、民法上の不法行為に該当するとして、損害賠償の対象となることがあるのです。
違法な退職勧奨の慰謝料金額の相場は、
です。
しかし、特に態様が悪質な場合には、より高額な慰謝料が認められることもあります。
退職勧奨が違法な場合の慰謝料については、以下の記事で詳しく解説しています。


退職勧奨でうつ病になった場合には労災になることがある
退職勧奨で適応障害やうつ病等の精神疾患を発症した場合には、労災と認定されることがあります。
労災とは、業務が原因で災害が生じた場合の補償に関する問題です。
業務上の出来事の心理的負荷の程度が「強」とされると、業務が原因であると認めてもらいやすくなります。
行政通達では、心理的負荷の程度が「強」とされる場合として、以下のとおり記載されています。
【「強」である例】
・退職の意思のないことを表明しているにもかかわらず、執拗に退職を求められた
・恐怖感を抱かせる方法を用いて退職勧奨をされた
・突然解雇の通告を受け、何ら理由が説明されることなく、説明を求めても応じられず、撤回されることもなかった
これに対して、心理的負荷の程度は「弱」又は「中」とされる場合として、以下のとおり記載されています。
退職勧奨が行われたが、その方法、頻度等からして強要とはいえない場合には、その方法等から「弱」又は「中」と評価
(参照:平成23年12月26日基発1226第1号「心理的負荷による精神障害の認定基準について」)
そのため、会社からの退職強要により適応障害又はうつ病等の精神疾患を発症してしまった場合には、労災と認定してもらえる可能性があるのです。
退職勧奨をされる理由
退職勧奨をされる理由は色々ありますが、よくあるのは以下の3つです。
・成績が悪い
・勤務態度が悪い
・会社の業績が悪い
成績が悪い
まず、よくある退職勧奨の理由の1つ目は、成績が悪いとの理由です。
他の従業員の方と比べてあなたのミスが多いことや、売り上げが低いこと、会社へ貢献できていないことなどを理由に退職を促されます。
しかし、会社は、本来、成績不良を理由にあなたを解雇する場合には、十分に業務改善の機会を与えなければいけませんし、配置転換等をして雇用を維持することを検討する必要があります。
加えて、少し成績が低いだけで雇用を継続できないほどではない場合には、解雇はできません。
そのため、あなたの成績が悪い場合でも、会社は、本来あなたを簡単にはやめさせることができないことを知っておきましょう。
成績不良を理由とする解雇については、以下の記事で詳しく解説しています。

勤務態度が悪い
次に、よくある退職勧奨の理由の2つ目は、勤務態度に問題があるとの理由です。
業務命令違反や協調性不足を理由に退職を促されます。
しかし、本来あなたを解雇するには、勤務態度に問題がある場合でも、成績不良の場合と同様、その程度が雇用を継続できない程に重大である必要がありますし、会社はあなたに改善の機会を与えなければなりません。
そのため、あなたの勤務態度が悪い場合でも、会社は、本来あなたを簡単にやめさせることができないことを知っておきましょう。
業務命令違反や協調性不足を理由とする解雇については、それぞれ、以下の記事で詳しく解説しています。


会社の業績が悪い
よくある退職勧奨の理由の3つ目は、会社の業績が悪いとの理由です。
会社の売り上げの低下や業務の減少を理由に、退職を促されます。
しかし、本来あなたを解雇するには、会社の業績が悪い場合でも、あなたに落ち度がないことからは、以下の4つの要素考慮し慎重に行わなければなりません。
・人員削減の必要性
・解雇回避努力
・人選の合理性
・手続の相当性
そのため、会社の業績が悪い場合でも、会社は、本来あなたを簡単にやめさせることができないことを知っておきましょう。
会社の業績が悪い場合に行われるリストラについては、以下の記事で詳しく解説しています。


ブラック企業が労働者を退職させる手口
会社によっては、労働者を退職させるために様々な手口を講じることがあり、近年その手口も巧妙化してきていますので注意が必要です。
労働者を退職させるブラック企業の手口としては、例えば以下の3つがあります。
・いじめや嫌がらせ
・遠方への転勤や降格などの人事上の措置
・外部機関の利用
順番に説明していきます。
いじめや嫌がらせ
ブラック企業が労働者を退職させる手口の1つ目は、いじめや嫌がらせです。
例えば、特定の労働者の事を孤立させようとしたものや、ひどい事案だと暴言や暴力が行われたりしたものもあります。
このようなブラック企業の行為は、違法とされる可能性があります。
遠方への転勤や降格などの人事上の措置
ブラック企業が労働者を退職させる手口の2つ目は、遠方への転勤や降格などの人事上の措置です。
例えば、片道2時間半の通勤を要する遠方の勤務先へ出向させたものや、降格・配転により給料を半分程度にしたものなどもあります。
このようなブラック企業の行為は、濫用として無効となる可能性や違法となる可能性があります。
外部機関の利用
ブラック企業が労働者を退職させる手口の3つ目は、外部機関の利用です。
例えば、会社が辞めさせたい従業員を人材派遣会社に出向させて、その人材派遣会社に「他の業界で働いた方がうまくいく」などと転職を勧めさせて、従業員に退職したいと思わせようとするのです。
このようにブラック企業の行為は、複雑化してきていますので、外部機関の意見についても安易に真に受けないように注意しましょう。
退職勧奨されたら弁護士に相談しよう
会社から退職勧奨をされた場合には、弁護士に相談するようにしましょう。
まず、退職勧奨にどのように対処するかについては、解雇された場合の見通しが重要となります。
また、弁護士に相談をすれば、「会社と面談をする際にどのようなことに注意すればいいのか」や「どのような証拠を集めた方がいいのか」を教えてもらうことができます。
退職勧奨の時点から弁護士に相談しておけば、万が一、会社に解雇された場合にも、慌てることなく対処することができるはずです。
初回無料相談を利用すれば費用をかけずに相談することができますので、これを利用するデメリットは特にありません。
そのため、退職勧奨されたら弁護士に相談することがおすすめなのです。

まとめ
以上のとおり、今回は、退職勧奨された場合の選択肢と対処法を解説しました。
この記事の要点を簡単にまとめると以下のとおりです。
・退職勧奨をされた場合には、あなたには、「退職勧奨に応じる」又は「退職勧奨を拒否する」という2つの選択肢があります。
・退職勧奨に応じるかどうかの判断基準としては、主に、①解雇された場合にそれが有効となるか、②その会社で働き続けたいか、③退職した場合に生活を維持できるかの3つがあります。
・退職勧奨に応じる場合の対処法は、①条件に納得するまでは会社で働き続ける意思を示しておく、②退職条件の提案は書面でしてもらう、③特別退職金又は解決金の交渉をする、④退職条件がまとまったら合意書にする、の4つです。
・退職勧奨を拒否する場合の対処法は、①面談で退職勧奨に応じる意思がないことを明確に伝える、②何度も退職勧奨をされる場合にはメールや書面により警告する、③自宅待機を命じられた場合には業務指示をするように求めておく、④解雇予告手当や退職金は受け取らない、の4つです。
この記事が会社から退職勧奨をされて悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。

