公務員

地方公務員の分限及び懲戒

 地方公務員には、一般の企業等に勤める労働者と同様に解雇や懲戒処分はあるのでしょうか。また、地方公務員はどのような場合に免職されたり、懲戒されたりするのでしょうか。
 今回は、地方公務員の分限及び懲戒について解説します。

地方公務員とは

 地方公務員とは、普通地方公共団体、特別地方公共団体または特定地方独立行政法人に勤務し、その事務処理に従事することによって、給与、報酬あるいは手当といった対価を得ている者すべてをいうものと解されています。
 地方公務員には、特別職と一般職があります。特別職には、地方公務員法が適用されませんので、以下では一般職を前提に説明します。

地方公務員と労働関係法の適用関係地方公務員には、一般の企業等に勤める労働者と同様に労働関係法は適用されるのでしょうか。今回は、地方公務員と労働関係法の適用関係について解説します。...

分限の意義と分限事由

分限とは

 分限とは、職員の身分上の変動をいいます。公務の能率の維持及びその適正な運営の確保を目的として認められています。分限は、懲戒と異なり職員の責任を追及する制度ではありません
 分限処分には、①降任、②免職、③休職、④降級があります。
 ①「降任」とは、「職員をその職員が現に任命されている職より下位の職制上の段階に属する職員の職に任命すること」をいいます(地方公務員法15条の2第1項第3号)。
 ②「免職」とは、職員をその意に反して退職させることをいいます。
 ③「休職」とは、職員に職を保有させたまま一定期間職務に従事させないことをいいます。
 ④「降級」とは、職員について決定されている給料の額より低い額の給料に決定することをいいます。

分限事由

⑴ 分限事由法定主義

 「意に反して」分限処分を行うには、それぞれ以下の場合でなければなりません。なお、「意に反して」とは、同意を得ないで一方的にとの意味です。

①「降任」若しくは②「免職」は、法律で定める事由による場合でなければできません。
③「休職」は、法律又は条令で定める事由による場合でなければできません。
④「降級」は、条例で定める事由による場合でなければできません。

地方公務員法27条(分限及び懲戒の基準)
2項「職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、若しくは免職されず、この法律又は条令で定める事由による場合でなければ、その意に反して、休職されず、又、条例で定める事由による場合でなければ、その意に反して降級されることがない。」

⑵ 降任又は免職の事由

ア 総論

 降任又は免職の事由につき、地方公務員法28条1項は、以下のとおり列挙しています。

①「人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合」
②「人身故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」
③「前2号に規定する場合のほか、その職に必要な適格性を欠く場合」
④「職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」

地方公務員法28条(降任、免職、休職等)
1項「職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。」
一「人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合」
二「人身故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」
三「前2号に規定する場合のほか、その職に必要な適格性を欠く場合」
四「職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」

イ 「人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合」

 「勤務実績がよくない場合」の該当性は、当該事実を示す書面等の客観的証拠足りうる資料に依拠してなされるとされています。
 また、国においては、「人事院規則11-4」及び「人事院規則11-4の運用について」により、要件や手続きの明確化が図られたところであり、各地方公共団体においても、こうした国における取組の内容を踏まえ、適切な対応が求められています(平26.8.15付総行公67号・総行経第41号)。そのため、「勤務実績がよくない場合」の判断においても、下記の「人事院規則11-4」及び「人事院規則11-4の運用について」が参考になります。

人事院規則11-4第7条(本人の意に反する降任又は免職)
1項「法第78条第1号の規定により職員を降任させ、又は免職することができる場合は、次に掲げる場合であつて、指導その他の人事院が定める措置を行つたにもかかわらず、勤務実績が不良なことが明らかなときとする。」
一「当該職員の能力評価又は業績評価の全体評語(人事評価政令第9条第3項(人事評価政令第14条において準用する場合を含む。)に規定する確認が行われた人事評価政令第6条第1項に規定する全体評語をいう。次条第1項において同じ。)が最下位の段階である場合」
二「前号に掲げる場合のほか、当該職員の勤務の状況を示す事実に基づき、勤務実績がよくないと認められる場合」
人事院規則11-4(職員の身分保障)の運用について
第7条関係
3「この条の第1項各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、同項の『人事院が定める措置』として次に掲げる措置のいずれかをとるものとする。」
⑴「職員の上司等が、注意又は指導を繰り返し行うこと。」
⑵「職員の転任その他の当該職員が従事する職務を見直すこと。」
⑶「職員の矯正を目的とした研修の受講を命ずること。」
⑷「その他任命権者が職員の矯正のために必要と認める措置をとること。」

ウ 「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」

 「心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合」とは、当該職員の心身に故障があり、職務に支障が生じ、かつ、その回復の見込みがないか、極めて長期の療養を要する見込みである場合をいいます。
 心身の故障は、その該当性判断に際しては医師の診断を経ることを要します。
 極めて長期の療養を要する見込みとは、当該故障が分限休職の措置によってはまかなえないほどの長期の治療を要し、回復の見込みのないものであることを要します。

エ 「その職に必要な適格性を欠く場合」(3号)

 「その職に必要な適格性を欠く場合」とは、当該職員の簡単に矯正することのできない持続性を有する素質、能力、性格等に基因してその職務の円滑な遂行に支障があり、または支障を生ずる高度の蓋然性が認められる場合をいいます。

オ 「職制又は定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」(4号)

 「職制」とは、法令の根拠に基づき設けられる地方公共団体の内部組織をいいます。
 「定数」とは、法令に基づき決定された職員の員数をいいます。
 「予算の減少」とは、予算額の絶対的減少に限らず、予算額算定の基礎に変更が生じ、そのために当初予算額により支弁されるべき職員数・事業量・事務量の減少を余儀なくされ、廃職や過員を生ずるに至ったような場合を含みます。

⑶ 休職

 休職の事由につき、地方公務員法28条1項は、以下のとおり列挙しています。

①「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」
②「刑事事件に関し起訴された場合」
なお、条例の定める事由によっても、意に反して休職される場合があります。

 ①「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」とは、病気休暇を用いた短期療養では回復の見込みのない場合であり、医師の判断を前提として行う必要があります。
 ②「刑事事件に関し起訴された場合」に、実際に起訴休職とするかの判断は、任命権者の裁量に委ねられ、当該職員の職務や当該基礎に係る公訴事件の内容の重大性等を総合考慮して判断されます。

地方公務員法28条(降任、免職、休職等)
2項「職員が、左の各号の一に該当する場合においては、その意に反してこれを休職することができる。」
一「心身の故障のため、長期の休養を要する場合」
二「刑事事件に関し起訴された場合」

⑷ 降給

 降給処分は、条例で定める事由に基づいてのみ行われるとされていますが、降給事由を定める条例を制定している地方公共団体は、多くないといわれています。

懲戒の意義と懲戒事由

懲戒とは

 懲戒とは、公務員としてふさわしくない非行がある場合に、その責任を確認し、公務員関係の秩序を維持するため、科される制裁です。
 懲戒処分には、①免職、②停職、③減給、④戒告があります。
 ①「免職」とは、職員としての身分を失わせることをいいます。地公共済法に基づく長期給付を減額され(地公共済法111条1項、地公共済令27条1項2号)、退職手当を支給されないのが通常です(退職手当12条1項1号参照)。
 ②「停職」とは、職員としての身分を保有したまま職務に従事させないことをいいます。地公共済法に基づく長期給付を減額され(地公共済法111条1項。地公共済令27条1項3号)、退職手当を減額されるのが通常です(退職手当6の4参照)。
 ③「減給」とは、一定期間、給料の一定割合の額を給与から減ずることをいいます。
 ④「戒告」とは、職員が本条1項各号のいずれかに該当する場合において、その責任を確認し、およびその将来を戒めるものです。

懲戒事由

 懲戒処分を行うには、法律で定める事由による場合でなければなりません。
 具体的には、懲戒事由は以下のとおりとされています。

①「この法律若しくは第57条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合」
②「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」
③「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」

 ①服務に関する規定等が中心となりますが、職務の遂行に関する法令に違反した場合も、法令遵守義務(地方公務員法32条)違反を介して、これに該当することになります。
 ②職務上の義務や職務を怠った場合には、同時に地方公務員法に違反する場合として、第1号の懲戒事由に該当することが多いです。
 ③非行については、職務との関連で合理的な根拠を求める説があります。
 懲戒事由ごとの懲戒処分の内容については、国家公務員に関するものですが、人事院が作成した「懲戒処分の指針について(平成12年3月31日職職-68)」が参考になります。
(出典:懲戒処分の指針について(平成12年3月31日職職―68)標準例一覧)

地方公務員法27条(分限及び懲戒の基準)
3項「職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、懲戒処分を受けることがない。」
地方公務員法29条(懲戒)
1項「職員が次の各号の位置に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。」
一「この法律若しくは第57条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合」
二「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」
三「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」

分限処分・懲戒処分を争う方法

手続

 分限処分や懲戒処分を争う主な訴訟手続きは、取消訴訟(行政事件訴訟法3条2項)です。
 もっとも、地方公務員法では審査請求前置主義が採用されており、分限処分や懲戒処分については、審査請求をした後でなければ、取り消し訴訟を提起できないとされています(行政事件訴訟法8条1項但書、地方公務員法51条の2、同法49条1項)。
 なお、取消訴訟以外にも、懲戒処分の差止めを求める訴訟(行政事件訴訟法3条7項)や、職務命令に基づく義務の不存在確認を求める訴訟(行政事件訴訟法4条)が提起される場合もあります(最判平24.2.9民集66巻2号183頁[教職員国旗国歌訴訟(予防訴訟)上告審判決])。

地方公務員に対する不利益処分と審査請求地方公務員の方は、不利益処分に不服がある場合、まずはどのような対応をすることができるのでしょうか。今回は、地方公務員に対する不利益処分と審査請求について解説します。...

行政事件訴訟法8条(処分の取消しの訴えと審査請求との関係)
1項「処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。」
地方公務員法51条の2(審査請求と訴訟の関係)
「第49条第1項に規定する処分であって人事委員会又は公平委員会に対して審査請求をすることができるものの取消しの訴えは、審査請求に対する人事院会又は公平委員会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。」
地方公務員法49条(不利益処分に関する説明書の交付)
1項「任命権者は、職員に対し、懲戒その他その意に反すると認める不利益な処分を行う場合においては、その際、その職員に対し処分の事由を記載した説明書を交付しなければならない。」

裁量権

 各処分事由の規定文言は相当に解釈の幅を有し、任命権者は、処分事由の認定について、裁量権をもつとされます。また、各処分の事由が重なる場合もあることから、任命権者は、いずれの処分を選択するかの裁量をもつとされます。
 行政庁に裁量がある場合に、取消訴訟が認容されるには、裁量権の逸脱濫用があることを要します(行政事件訴訟法30条)。
 そのため、分限処分及び懲戒処分の効力を争う場合には、上記裁量権の逸脱濫用があるかどうかという点について、検討することになります

最判昭48.9.14民集27巻8号925頁

 「分限制度の右のような趣旨・目的に照らし、かつ、同条に掲げる処分事由が被処分者の行動、態度、性格、状態等に関する一定の評価を内容として定められていることを考慮するときは、同条に基づく分限処分については、任命権者にある程度の裁量権は認められるけれども、もとよりその純然たる自由裁量に委ねられているものではなく、分限制度の上記目的と関係のない目的や動機に基づいて分限処分をすることが許されないのはもちろん、処分事由の有無の判断についても恣意にわたることを許されず、考慮すべき事項を考慮せず、考慮すべきでない事項を考慮して判断するとか、また、その判断が合理性をもつ判断として許容される限度を超えた不当なものであるときは、裁量権の行使を誤つた違法のものであることを免れないというべきである。そして、任命権者の分限処分が、このような違法性を有するかどうかは、同法八条八項にいう法律問題として裁判所の審判に服すべきものであるとともに、裁判所の審査権はその範囲に限られ、このような違法の程度に至らない判断の当不当には及ばないといわなければならない。」

最判昭52.12.20民集31巻7号1101号[神戸全税関事件]

 「懲戒権者は、懲戒事由に該当すると認められる行為の原因、動機、性質、態様、結果、影響等のほか、当該公務員の右行為の前後における態度、懲戒処分等の処分歴、選択する処分が他の公務員及び社会に与える影響等、諸般の事情を考慮して、懲戒処分をすべきかどうか、また、懲戒処分をする場合にいかなる処分を選択すべきか、を決定することができるものと考えられるのであるが、その判断は、右のような広範な事情を総合的に考慮してされるものである以上、平素から庁内の事情に通暁し、部下職員の指揮監督の衝にあたる者の裁量に任せるのでなければ、とうてい適切な結果を期待することができないものといわなければならない。それ故、公務員につき、国公法に定められた懲戒事由がある場合に、懲戒処分を行うかどうか、懲戒処分を行うときにいかなる処分を選ぶかは、懲戒権者の裁量に任されているものと解すべきである。もとより、右の裁量は、恣意にわたることを得ないものであることは当然であるが、懲戒権者が右の裁量権の行使としてした懲戒処分は、それが社会観念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し、これを濫用したと認められる場合でない限り、その裁量権の範囲内にあるものとして、違法とならないものというべきである。したがつて、裁判所が右の処分の適否を審査するにあたつては、懲戒権者と同一の立場に立つて懲戒処分をすべきであつたかどうか又はいかなる処分を選択すべきであつたかについて判断し、その結果と懲戒処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、懲戒権者の裁量権の行使に基づく処分が社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法であると判断すべきものである。」

公正の原則

 分限処分や懲戒処分は、「公正でなければならない」とされています(地方公務員法27条1項)。
 具体的には、「公正」かどうかの判断は、①当該処分が苛酷であるかどうか、②当該処分と他の処分との均衡が図られているかどうかを考慮し行います。
 公正の原則は、裁量の逸脱濫用の有無を判断する基準として機能するとされています。

地方公務員法27条(分限及び懲戒の基準)
1項「すべて職員の分限及び懲戒については、公正でなければならない。」

福岡地判昭50.6.30判時797号149頁

 「懲戒処分が適法有効であるとするためには、原告につき公訴事実に該当する違法有責な行為があつたことを必要とするのは勿論、右処分の時点で被告が客観的に原告の右違法有責な行為を確認するに足る根拠を有していたことが必要とみるのが相当である。これは地方公務員法第二七条一項が懲戒処分について求める公正の要求の一つであると解される。」

札幌地判昭54.2.16判時926号123頁

 「地公法は、同法所定の懲戒事由がある場合に、懲戒権者が、懲戒処分をすべきかどうか、また、懲戒処分をするときにいかなる処分を選択すべきかを決するについては、公正であるべきこと(二七条一項)を定め、平等取扱いの原則(一三条)及び不利益取扱いの禁止(五六条)に違反してはならないことを定めている以外に、具体的な基準を設けていない。したがって、その決定は、懲戒事由に該当する行為の原因、動機、性質、態様、結果、影響等のほか、当該公務員の右行為の前後における態度、懲戒処分等の処分歴等、諸般の事情を考慮してする懲戒権者の裁量に任されているものと解すべきである。」
 「もとより、右の裁量は、恣意にわたることを得ないことは当然であるけれども、それが右のような広範な事情を総合的に考慮してされるものである以上、裁判所において懲戒処分の適否を審査するにあたっては、懲戒権者と同一の立場に立って懲戒処分をするべきであったかどうか、また、いかなる処分を選択すべきであったかについて判断し、その結果と懲戒処分とを比較してその軽重を論ずべきものではなく、懲戒権者の裁量権の行使に基づく処分が社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法であると判断すべきものであると解される(最高裁判所昭和四七年(行ツ)第五二号同五二年一二月二〇日第三小法廷判決・民集三一巻七号一一〇一頁参照)ので、この見地に立って、本件処分が社会観念上著しく妥当を欠くと認められるかどうかについて検討することとする。」
 「…懲戒処分を決定するにあたり考慮すべき前記説示のような諸事情に差異がないのに、その一部の者のみが処分を受けたとすれば、その懲戒処分は前示公正の原則、平等取扱いの原則に照らして社会観念上著しく妥当性を欠き、懲戒権者が裁量権の範囲を逸脱し、濫用したものとして違法であるということができる。」

神戸地判平20.10.8判タ1319号87頁[加西市(職員・懲戒免職)事件]

 「地方公務員法29条1項は,地方公務員に同項1号ないし3号所定の非違行為があった場合,懲戒権者は,戒告,減給,停職又は免職の懲戒処分を行うことができる旨を規定するが,同法は,すべての職員の懲戒について「公正でなければならない」と規定し(同法27条1項―公正原則),すべての国民は,この法律の適用について,平等に取り扱われなければならない(同法13条―平等原則)と規定するほかは,どのような非違行為に対しどのような懲戒処分をすべきかについて何ら具体的な基準を定めていないし,同法29条4項に基づいて定められた本件条例や本件規則にも,その点の具体的な定めはない。」
 「したがって,加西市長は,非違行為の原因,動機,性質,態様,結果,影響等のほか,加西市職員の非違行為の前後における態度,懲戒処分等の処分歴,選択する懲戒処分が他の公務員及び社会に与える影響等,諸般の事情を考慮して,懲戒処分をすべきかどうか,また,懲戒処分をする場合にいかなる処分をすべきかを,その裁量により決定することができると解される(最高裁判所昭和52年12月20日第三小法廷判決・民集31巻7号1101頁参照)。」
 「もっとも,その裁量も全くの自由裁量ではないのであって,決定された懲戒処分が社会通念上著しく妥当を欠いて苛酷であるとか,著しく不平等であって,裁量権を濫用したと認められる場合,公正原則,平等原則に抵触するものとして違法となると解される。」

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弁護士 籾山善臣
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