会社を解雇されてしまって何をすればいいのか悩んでいませんか?いきなり解雇されてしまうと、その後どうなってしまうのか不安ですよね。
会社を解雇された場合には、すぐにやるべきことがあります。例えば、以下の4つです。
・解雇理由証明書の請求
・就労の意思を示す
・解雇の撤回を求める
・年金と保険の切り替え手続
また、解雇されてしまった場合には、もらえる可能性のあるお金がいくつかあります。解雇されてしまうと生活にも支障が出てきますので、どのようなお金をもらえるか知ることは大切なことです。
実際、解雇された場合にどのような権利があるかを知らずに損をしてしまっている労働者の方も多いのです。
今回は、会社を「解雇されたらやること」と「解雇されたらもらえるお金」について、解説していきます。
この記事を読めば、解雇されたらどのように対処すれば良いかわかるはずです。
解雇された場合に「やるべきこと」と「やってはいけないこと」は、以下の動画でも詳しく解説しています。
目次
解雇されたらどうなる?給料は?
解雇されてしまうとどうなるか不安ですよね。
解雇されてしまった場合には、以下のような支障が生じます。
・解雇日以降の給料が支払われなくなる
・健康保険や厚生年金の被保険者資格を喪失する
・転職の際に影響が出る可能性がある
順番に確認していきましょう
解雇日以降の給料が支払われなくなる
まず、解雇されると、解雇日以降の給料が支払われなくなります。
解雇された日以降は、あなたは会社の労働者ではなくなってしまうためです。
例えば、あなたが令和3年1月末日付けで解雇されたとしましょう。その場合には、令和3年2月1日以降分の給料は支払われなくなるのです。
健康保険や厚生年金の被保険者資格を喪失する
次に、会社は、労働者を解雇すると健康保険や厚生年金の被保険者資格の喪失届を提出することになります。
そして、解雇に争いがある場合でも、通常、喪失届は一応受理されてしまうので、被保険者資格を失ってしまうことになるのです。
ただし、解雇が労働法規又は労働協約に違反することが明らかな場合には、会社からの資格喪失届を受理しないとされています。
転職の際に影響が出る可能性がある
また、解雇されると転職の際に影響が出る可能性があります。
例えば、採用面接の際に、前職を退職した理由を聞かれた場合などには、嘘をつくことはできませんので、解雇されたことを答えざるを得ないことがあります。
また、会社によっては、採用の際に離職票の提出を求めてくることがあります。
そのため、解雇されると転職の際に影響が出る可能性もあるのです。
解雇されたらやること4つ
会社を解雇された場合には、すぐにやるべきことがあります。
例えば、以下の4つがあります。
やること1:解雇理由証明書を請求する
やること2:就労の意思を示す
やること3:解雇の撤回を求める
やること4:年金と保険の切り替え手続をする
やること1:解雇理由証明書を請求する
解雇されたらやることの1つ目は、
ことです。
解雇理由証明書とは、あなたが解雇された理由が具体的に記載された書面です。
会社は、労働者から請求された場合には、解雇理由証明書を交付する義務があります。
労働者は、解雇理由証明書を請求することで、解雇が不当かどうかを判断することができますし、争う場合にどのような証拠を集めればいいのかがわかります。
また、会社は、解雇理由証明書に記載されていない事由を解雇理由として主張しにくくなります。
そのため、解雇されたら解雇理由証明書を請求するべきなのです。
解雇理由証明書を請求する方法については以下の記事で詳しく解説しています。
やること2:就労の意思を示す
解雇されたらやることの2つ目は、
ことです。
解雇されたら会社から賃金が支払われなくなりますが、後ほど説明するように、解雇が不当な場合にはその後の賃金を請求できる可能性があります。
ただし、不当な解雇をされた後の賃金を請求するには、あなたが就労の意思を有していることが前提となるのです。
例えば、会社に対して、解雇された後も働く意思があるので、解雇された日以降の具体的な業務を指示するように求めておきましょう。
やること3:解雇の撤回を求める
解雇されたらやることの3つ目は、
ことです。
労働者は、解雇された後にこれに異議を述べずにいると、解雇を争いにくくなることがあります。
そのため、解雇に不満がある場合には、会社に対して、解雇の撤回を求めるようにしましょう。
やること4:年金と保険の切り替え手続をする
解雇されたらやることの4つ目は、
ことです。
先ほど説明したように、解雇されると被保険者資格を喪失することになります。
確かに、解雇について争う場合には、切り替え手続きをする必要はないようにも思えます。しかし、届け出をせずに未納を続けると罰則もあるので、届け出をしておいた方がいいでしょう。
解雇された後に、会社から健康保険証の返還を求められることがありますが、解雇に不満がある場合には、解雇を争う意思がある旨を留保した上で返却するようにしましょう。返却に応じないと被保険者証の無効が公示されることになりますし、これを使用すると詐欺罪になる可能性もあるので注意が必要です。
解雇されたら転職活動をするべきかどうかというのは、解雇された方の多くが悩むことです。
解雇を争うつもりがないのであれば、勿論、転職活動するべきでしょう。
しかし、解雇の無効を主張して争う場合に、転職活動をするべきかどうかは慎重に検討する必要があります。
つまり、解雇の無効を主張する場合には、後ほど説明するように、解雇された後の賃金を請求していきます。これを請求するには就労の意思があることが前提となるので、会社が解雇を撤回して業務を指示してきた場合には、これに応じることができる状況にある必要があるのです。
また、解雇された後に他の会社から賃金の支払いを受けると、解雇された会社に請求できる賃金額のうち6割を超える部分については制限されることがあります。
そのため、生活費を確保するために解雇を争いながら再就職することもあるでしょうが、その時期やどのような仕事をするかについては、慎重に検討する必要があります。
解雇されたらもらえるお金5つ
解雇されてしまった場合には、もらえる可能性のあるお金がいくつかあります。
解雇されてしまうと生活にも支障が出てきますので、どのようなお金をもらえるか知ることは大切なことです。
例えば、解雇された場合にもらえるお金としては、以下の5つがあります。
・失業保険
・解雇予告手当
・退職金
・解雇後の賃金
・慰謝料
失業保険
解雇された場合にもらえるお金の1つ目は、
です。
失業保険とは、雇用保険の被保険者が失業した場合に、失業している日について支給される手当です。
失業保険を受給するには、ハローワークで失業保険の申請をする必要があります。
具体的には、以下の流れにより受給することになります。
まず、ハローワークで求職の申し込みをすることになります。その際に、ハローワークには離職票を提出する必要があります。
その後7日の待機期間がありますので、この期間は失業保険を受給できません。解雇の場合には、会社都合とされることが多いですが、自己の責めに帰すべき重大な理由により解雇された場合には3か月の給付制限が付されます。
求職申込から2~3週間後に雇用保険説明会があります。
その後、失業保険認定を受けて、認定日から5~7日後に失業保険が振り込まれることになります。
ただし、後ほど説明するように、解雇を争う場合には本受給ではなく仮受給をするように注意しましょう。
会社都合退職については、以下の動画でも詳しく解説しています。
解雇予告手当
解雇された場合にもらえるお金の2つ目は、
です。
解雇予告手当とは、予告なく突然解雇された場合に支払われる手当です。
会社は、予告をせずに解雇する場合には、30日分の平均賃金を支払わなければなりません。
ただし、後ほど説明するように、解雇を争う場合には、解雇予告手当を請求しないように注意しましょう。
解雇予告手当の請求方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
退職金
解雇された場合にもらえるお金の3つ目は、
です。
解雇された場合であっても、あなたが会社を退職することに変わりはありませんので、退職金規程に従い退職金をもらえる可能性があります。
ただし、懲戒解雇の場合には、退職金を支給しないと規定されていることがありますので注意してください。
懲戒解雇された場合の退職金の不支給については、以下の記事で詳しく解説しています。
解雇後の賃金
解雇された場合にもらえるお金の4つ目は、
です。
労働者は、解雇が濫用として無効になる場合には、解雇された日から解決するまでの間の賃金を請求することができます。
なぜなら、あなたが解雇された日以降に出勤できなかったのは、会社に原因があることになるためです。
ただし、解雇後の賃金を請求するには、業務を指示された場合にはこれに応じる意思(就労の意思)を持っていることが必要です。
解雇後の賃金については、以下の記事で詳しく解説しています。
バックペイ(解雇後の賃金)については、以下の動画でも詳しく解説しています。
慰謝料
解雇された場合にもらえるお金の5つ目は、
です。
労働者は、解雇が不当である場合には、それにより被った精神的苦痛について賠償を請求できることがあります。
不当解雇につき慰謝料が認められる場合の相場は、50万円~100万円程度と言われています。
不当解雇の慰謝料については、以下の記事で詳しく解説しています。
不当解雇の慰謝料については、以下の動画でも詳しく解説しています。
解雇されたら会社から解決金がもらえると聞いたことはありませんか?
確かに、解雇された場合には、解決金をもらえることもあります。しかし、解決金は必ずもらえるわけではありません。
なぜなら、解決金を請求する権利が法律上認められているわけではなく、解決金というのは労働者と会社との話し合いの結果、和解する場合に支払われるものだからです。
そのため、最終的には解決金が支払われることが多いですが、法律上そのような請求権があるわけではないことに注意が必要です。
解決金の相場は、賃金の3か月分~6か月分程度と言われていますが、解雇の見通しによってもその金額は異なります。解雇が不当であることが明らかである場合には、1年分の賃金に相当する金額が解決金として支払われることもあります。
そもそも解雇は認められにくい
解雇された方は、そもそも解雇は認められにくいということも知っておかなければなりません。
解雇は、労働者の生活の糧を奪うものであり、大きな不利益を与えるものです。
そのため、解雇が認められるには、法律上、とても厳格な条件が定められているのです。
例えば、労働者が業務上のミスをしたり、成績や勤務態度が悪かったりしても、直ちに解雇することは通常許されません。
解雇する前に、労働者に対して改善の機会を与えることや、他の職種への配置転換などを検討する必要があります。
実際、多くの会社により行われている解雇は、その条件を満たしておらず、有効とはいえないものがほとんどです。
そのため、会社に解雇された場合でも、直ぐに諦めてしまうのではなく、まずは弁護士に相談して解雇の正当性を確認してみましょう。
解雇の条件については、以下の記事で詳しく解説しています。
解雇を争う場合にやってはいけないこと3つ
解雇を争う場合には、やってはいけないこともあります。
解雇を争う場合に、退職を前提とした行為をしてしまうと、あなたが解雇を争うことと矛盾してしまうので注意が必要です。
例えば、以下の3つの行為については、解雇を争う場合にはやってはいけません。
・退職届への署名押印
・失業保険の本受給
・解雇予告手当や退職金の請求
ただし、これらの行為をしてしまった場合でも、直ちに解雇が争えなくなるわけではありません。
もしも、既に、これらの行為をしてしまっている場合には、事案に応じて対処をする必要がありますので、早めに弁護士に相談しましょう。
それでは、順番にこれらの行為について説明していきます。
退職届への署名押印
解雇を争う場合にやってはいけないことの1つ目は、
です。
退職届に署名押印をすると、あなた自身が会社を退職する意思があることが表示されてしまうことになります。
つまり、「解雇ではなくあなた自身の意思により退職したと反論」されたり、「解雇に同意していたと反論」されたりする可能性があるのです。
例えば、会社によっては、労働者に対して解雇を言い渡しながら、これを争われないように、労働者に自分で退職届を提出するように促してくることがあります。
このように退職届を提出するように言われたとしても、解雇を争う場合には、これに署名押印をしないように注意しましょう。
失業保険の本受給
解雇を争う場合にやってはいけないことの2つ目は、
です。
失業保険とは、本来失業した場合に受給できるものであり、会社を退職したことを前提とするものです。
そのため、労働者が失業保険を受給しようとすると、退職したことを認めてしまうことになり、解雇を争うことと矛盾してしまうのです。
しかし、解雇されてしまった場合には、会社から賃金が支払われなくなってしまうので、その間の生活を維持する必要があります。
そこで、このような場合の制度として、失業保険の仮給付というものがあります。失業保険の仮給付とは、失業保険を仮に受給するもので、解雇の無効が認められ退職していないこととなった場合には、これを返還する必要があります。
失業保険の仮給付については以下の記事で詳しく解説しています
失業保険の仮給付については、以下の動画でも詳しく解説しています。
解雇予告手当や退職金の請求
解雇を争う場合にやってはいけないことの3つ目は、
です。
解雇予告手当や退職金の請求は、解雇が有効であることを前提とした請求になってしまうためです。
解雇を争う場合には、これらの請求はしないように注意しましょう。
万が一、会社が一方的に預金口座に振り込んできたような場合には、解雇後の賃金として受領する旨を通知することになります。
解雇されたらまずは弁護士に相談しよう!
解雇されたらまずは弁護士に相談することがおすすめです。
解雇された場合に、どのような行動が適切かは事案により異なる部分があります。
今後の方針についても、「どのような経緯で解雇されるに至ったのか」や「あなたがどのような解決を求めているのか」により異なってきます。
そのため、まずは、あなたがどのように対処すればいいのかを弁護士に相談してみるべきなのです。
弁護士に相談すれば、これまでの経験を踏まえて、「あなたがまずは何をした方がいいのか」や「何に気を付けるべきなのか」を丁寧に教えてもらうことができます。
初回無料相談を利用すれば費用をかけずに相談することができますので、まずは利用してみましょう。
まとめ
以上のとおり、今回は、会社を「解雇されたらやること」と「解雇されたらもらえるお金」について、解説しました。
この記事の要点を簡単にまとめると以下のとおりです。
・会社を解雇された場合にやるべきこととしては、①解雇理由証明書を請求する、②就労の意思を示す、③解雇の撤回を求める、④年金と保険の切り替え手続をする、の4つがあります。
・会社を解雇された場合にもらえるお金としては、①失業保険、②解雇予告手当、③退職金、④解雇後の賃金、⑤慰謝料、の5つがあります。
・解雇を争う場合にやってはいけないこととして、①退職届への署名押印、②失業保険の本受給、③解雇予告手当や退職金の請求、の3つがあります。
この記事が解雇されたものの対処法がわからずに悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。