労働一般

【保存版】教育訓練給付金とは何か-その種類と受給方法-

 働く方の能力開発の取組み又はキャリア形成を支援し、雇用安定と再就職の促進を図る制度として、「教育訓練給付金」があります。
 教育訓練給付金には、いくつかの種類があり、それぞれ受給要件や金額が異なります。
 今回は、教育訓練給付金についてその種類と受給方法を解説します。

 

教育訓練給付金とは

 教育訓練給付金とは、一般被保険者等(一般被験者及び高年齢被保険者をいいます)又は一般被保険者であった者が、厚生労働大臣の指定した教育訓練を受けた場合に、その受講のために支払った費用の一部に相当する額を支給する制度です。
 職業に関して必要とされる知識や技能が変化し、多様な職業能力開発が求められる中で、労働者の主体的な能力開発の取組を支援し、もって雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的としています。
(出典:厚生労働省:教育訓練給付制度)
 教育訓練給付金には、一般教育訓練給付金特定一般教育訓練給付金専門実践教育訓練給付金があります。
 また、一定の要件を満たす方が、訓練期間中、失業状態にある場合に訓練受講をさらに支援するものとして、教育訓練支援給付金があります。
 以下では、厚生労働省職業安定局雇用保険課:業務取扱要領58001-59000 雇用保険給付関係(教育訓練給付)のことを「業務取扱要領」と呼びます。

教育訓練給付金の支給対象者

 教育訓練給付金は、以下の場合に給付されます(雇用保険法60条の2)。

① 次の各号のいずれかに該当する者が
一 当該教育訓練を開始した日に一般被保険者又は高年齢被保険者である者
二 前号に掲げる者以外の者であって、基準日が当該基準日の直前の一般被保険者又は高年齢被保険者でなくなった日から厚生労働省令で定める期間内にあるもの
② 厚生労働省令で定めるところにより、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な職業に関する教育訓練として厚生労働大臣が指定する教育訓練を受け
③ 当該教育訓練が修了した場合(当該教育訓練を受けている場合であって厚生労働省令で定める場合を含み、当該教育訓練に係る指定教育訓練実施者により厚生労働省令で定める証明がされた場合に限る)
④ 支給要件期間が3年以上であるとき
⑤ 教育訓練給付金の額として算定された額が厚生労働省令で定める額を超えないときに該当せず、かつ教育訓練給付対象者が基準日前厚生労働省令で定める期間内に教育訓練給付金の支給を受けたことがあるときに該当しないこと

①次の各号のいずれかに該当する者

 「一般被保険者」(1号)とは、被保険者のうち、高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者及び日雇労働者以外の者をいいます。
 「高年齢被保険者」(1号)とは、65歳以上の被保険者(雇用保険法38条1項に規定する短期雇用特例被保険者及び雇用保険法43条1項に規定する日雇労働被保険者を除く。)をいいます(雇用保険法37条の2)。
 「厚生労働省令で定める期間」(2号)は、1年です(雇用保険法施行規則101条の2の5)。

②「厚生労働省令で定めるところにより、…厚生労働大臣が指定する教育訓練」

 「厚生労働省令で定めるところにより、…厚生労働大臣が指定する教育訓練」につき、厚生労働大臣は、指定をしたときは、一定の事項を記載した講座指定通知書を、当該教育訓練を行う指定教育訓練実施者に通知するものとされています(雇用保険法施行規則101条の2の2)。
 厚生労働大臣の指定する教育訓練講座については以下のリンクから確認することができます。
厚生労働省:教育訓練給付の講座指定について

③当該教育訓練が修了した場合

 「厚生労働省令で定める場合」とは、専門実践教育訓練を受けている場合であって、当該専門実践教育訓練の受講状況が適切であると認められるときです。

④支給要件期間が3年以上であるとき

 「支給要件期間」とは、基準日までの間に同一の事業主の適用事業に引き続いて被保険者として雇用された期間をいいます。

⑤「厚生労働省令で定める額を超えないとき」に該当せず、かつ「基準日前厚生労働省令で定める期間内に教育訓練給付金の支給を受けたことがあるとき」に該当しないこと

 「厚生労働省令で定める額」は、4000円とされています。
 「厚生労働省令で定める期間」は、3年とされています。

支給金額

総論

 教育訓練給付金の支給金額は、その種類ごとに教育訓練経費に対する割合により定められています。
 教育訓練経費とは、支給対象者が対象となる教育訓練の受講のために支払った費用です。教育訓練経費とされるのは、入学料及び受講料として、指定教育訓練実施者が証明する額です。その他の検定試験の受講料、受講に当たって必ずしも必要とされない補助教材費、教育訓練の補講費、教育訓練施設が実施する各種行事参加に係る費用、学債等将来受講者に対して現金還付が予定されている費用、受講のための交付費及びパ歯根、ワープロ等の器材等については、これに含まれません。

一般教育訓練給付金

 一般教育訓練給付金の支給額は、教育訓練経費の20%に相当する額とされています。ただし、10万円が上限とされています。

特定一般教育訓練給付金

 特定一般教育訓練給付金の支給額は、教育訓練経費の40%に相当する額とされています。ただし、20万円が上限とされています。

専門実践教育訓練給付金

 専門実践教育訓練給付金の支給額は、教育訓練経費の50%に相当する額とされています。ただし、120万円が上限額とされています。
 また、専門実践教育訓練を受け修了した者が、当該専門実践教育訓練の指定の際に予め当該専門実践教育訓練に係るとして定められた資格の取得等をし、かつ、当該専門実践教育訓練を受け修了した日の翌日から起算して1年以内に一般被保険者等として雇用された者又は雇用されている者は、教育訓練経費の70%に相当する額とされています。ただし、168万円が上限とされています。

まとめ

 以上より、教育訓練給付金の支給金額は、以下のとおりとなります。

支給申請手続き

一般教育訓練給付金

 原則として、教育訓練を受講した本人が受講修了後、以下の書類を管轄するハローワークに提出する必要があります。支給申請の時期は、一般教育訓練の受講終了日の翌日から起算して1か月以内に支給申請手続を行う必要があります。

① 教育訓練給付金支給申請書
② 教育訓練修了証明書
③ 領収書
④ キャリアコンサルティングの費用の支給を申請する場合は、「キャリアコンサルティングの費用に係る領収書」、「キャリアコンサルティングの記録」、「キャリアコンサルティング実施証明書」
⑤ 本人・住居所確認書類
⑥-1 個人番号(マイナンバー)確認書類
⑥-2 身元(実在)確認書類
⑦ 返還金明細書
⑧ 払渡希望金融機関の通帳又はキャッシュカード
⑨ 教育訓練経費等確認書

(出典:業務取扱要領28頁)

(出典:業務取扱要領32頁)


(出典:業務取扱要領33頁乃至34頁)
(出典:業務取扱要領35頁)

特定一般教育訓練給付金

⑴ 受講前の提出書類

 原則として、受講開始日の1か月前までに、以下の書類を管轄するハローワークに提出する必要があります。

① 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票(ハローワークなどで配布)
② ジョブ・カード(訓練前キャリア・コンサルティングでの発行から1年以内のもの)
③ 本人・住所確認書類として、マイナンバーカード、運転免許証、住民基本台帳カード(写真付き)
④-1 個人番号(マイナンバー)確認書類
④-2 身元(実在)確認書類
⑤ 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード
⑥ 専門実践教育訓練給付および特定一般教育訓練給付再受給時報告

(出典:業務取扱要領70頁)

⑵ 支給申請の提出書類

 原則として、受講修了日の翌日から起算して1か月以内に、以下の書類を管轄するハローワークに提出する必要があります。

① 受給資格確認通知書
② 教育訓練給付金支給申請書
③ 教育訓練修了証明書
④ 特定一般教育訓練実施者が発行する教育訓練経費に関する領収書
⑤ 本人・住所確認書類
⑥ 個人番号(マイナンバー)確認書類
⑦ 特定一般教育訓練実施者が発行する返還金明細書
⑧ 教育訓練経費等確認書
⑨ 特定一般教育訓練給付受給時報告書

(出典:業務取扱要領89頁)

(出典:業務取扱要領93頁乃至94頁)
(出典:業務取扱要領95頁)

専門実践教育訓練給付金

⑴ 受講前の提出書類

 原則として、受講開始日の1か月前までに、以下の書類を管轄するハローワークに提出する必要があります。

① 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票(ハローワークなどで配布)
② ジョブ・カード(訓練前キャリア・コンサルティングでの発行から1年以内のもの)
③ 本人・住所確認書類として、運転免許証、住民基本台帳カード(写真付き)、マイナンバーカード
④-1 個人番号(マイナンバー)確認書類
④-2 身元(実在)確認書類
⑤ 写真2枚(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm)
⑥ 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード(一部の金融機関を除く)
⑦ 専門実践教育訓練給付及び特定一般教育訓練給付再受給時報告

(出典:業務取扱要領134頁)

⑵ 支給申請の提出書類

 原則として、教育訓練を受講した本人が受講中と受講修了後、以下の書類を管轄するハローワークに提出する必要があります。受講中は受講開始日から6か月ごとの期間の末日の翌日から起算して1か月以内修了後は修了日の翌日から起算して1か月以内です。

① 教育訓練給付金の受給資格者証(教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格者証)
② 教育訓練給付金支給申請書
③ 受講証明書または専門実践教育訓練修了証明書
④ 領収書
⑤ 返還金明細書
⑥ 教育訓練経費等確認書
⑦ 専門実践教育訓練給付最終受給時報告
⑧ 専門実践教育訓練給付追加給付申請時報告
⑨ 資格取得等したことにより支給申請する場合は、資格取得等を証明する書類


(出典:業務取扱要領145頁乃至146頁)
(出典:業務取扱要領151頁)
(出典:業務取扱要領172頁)

教育訓練支援給付金

教育訓練支援給付金とは

 教育訓練支援給付金とは、一定の要件を満たす専門実践教育訓練給付金の給付対象者が、当該教育訓練を受けている日のうち失業している日について支給するものをいいます。

支給対象者

 教育訓練支援給付金の支給対象者となるには、失業状態にある場合に、以下の要件を満たす必要があります。

① 雇用保険法60条の2第1項第2号に該当する者として専門実践教育訓練の教育訓練給付金の受給資格があること(適用対象期間の延長を行った方については、一般被保険者資格を喪失した日以降1年間に対象教育訓練の受講を開始できない日数分、延長することができるが、その場合も一般被保険者資格を喪失した日以降、最大4年以内に受講開始日があること)
② 専門実践教育訓練を修了する見込みがあること
③ 専門実践教育訓練の受講開始時に45歳未満であること
④ 受講する専門実践教育訓練が通信制又は夜間制ではないこと
⑤ 受給資格確認時に一般被保険者ではないこと。また、一般被保険者ではなくなった後、短期雇用特例被保険者または日雇労働被保険者になっていないこと
⑥ 会社などの役員に就任していないこと(活動や報酬がない場合はハローワークで要確認)
⑦ 自治体の長に就任していないこと
⑧ 今回の専門実践教育専門実践教育訓練の受講開始日前に教育訓練支援給付金を受けたことがないこと
⑨ 教育訓練給付金を受けたことがないこと(平成26年10月1日前に受けたことがある場合は例外あり)
⑩ 専門実践教育訓練の受講開始日が令和4年3月31日以前であること

支給金額

 教育訓練給付金の支給金額は、原則として、基本手当の日額に相当する額の80%になります。ただし、平成29年12月31日以前に受講開始した専門実践教育訓練の教育訓練支援給付金の日額は、基本手当の日額に相当する額の50%になります。
 基本手当の日額は、原則として、離職される直前の6か月間に支払われた賃金の合計金額を、180で割った金額(賃金日額)のおよそ80%~45%になります。(基本手当の日額については、別途上限が定められています。)

支給期間

 教育訓練支援給付金の支給期間は、原則として、専門実践教育訓練が修了するまでです。この期間内の失業の状態にある日について、支給を受けることができます。
 ただし、専門実践教育訓練の受給資格者が基本手当の給付を受けることができる期間は、教育訓練支援給付金は支給されません。基本手当の支給が修了した後は給付を受けることができます。

支給申請手続

⑴ 受講前の提出書類

 原則として、受講開始日の1か月前までに、以下の書類を管轄するハローワークに提出する必要があります。

① 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票
② 離職票(基本手当の受給資格決定を受けている場合は雇用保険受給資格者証)
③ 基本手当の受給期間延長手続きを採っている場合、受給期間延長通知書
④ 本人・住所確認書類として、運転免許証、住民基本台帳カード(写真付き)、マイナンバーカード
⑤ 専門実践教育訓練の教育訓練給付金の手続きを先に行ってある場合、教育訓練給付金の受給資格者証

(出典:業務取扱要領)

⑵ 支給申請の提出書類

 原則として、教育訓練を受講した本人が受講中と受講修了後、以下の書類を管轄するハローワークに提出する必要があります。
 また、教育訓練給付金を受けるには、原則として2か月に1回の教育訓練支援給付金の認定日に、失業の認定を受ける必要があります。

① 教育訓練支援給付金の受給資格者証
② 教育訓練支援給付金受講証明書
③ 基本手当の受給資格決定をしている場合、雇用保険受給資格者証


(出典:業務取扱要領)

(出典:業務取扱要領)

参考リンク

厚生労働省職業安定局雇用保険課:業務取扱要領58001-59000 雇用保険給付関係(教育訓練給付)

厚生労働省:教育訓練給付制度

厚生労働省:教育訓練給付の講座指定について

失業と雇用保険-失業手当の受給方法や給付日数-働いていた会社を突如として退職することになった場合、仕事が見つかるまでの生活はどのようにすればよいのでしょうか。今回は、雇用保険の種類や受給の方法、離職理由と給付日数の関係などを解説します。...
ABOUT ME
弁護士 籾山善臣
神奈川県弁護士会所属。主な取扱分野は、人事労務、離婚・男女問題、相続、企業法務、紛争解決(訴訟等)、知的財産、刑事問題等。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。
残業代に注力している弁護士に相談してみませんか?

・「残業代を請求したいけど、自分でやるのは難しそうだな…」
・「会社と直接やりとりをせずに残業代を請求する方法はないのかな?」
・「働いた分の残業代は、しっかり払ってほしいな…」

このような悩みを抱えていませんか。このような悩みを抱えている方は、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。

残業代には2年の時効がありますので、早めに行動することが大切です。

初回の相談は無料ですので、まずはお気軽にご連絡ください。

365日受付中
メール受付時間:24時間受付中
電話受付時間:09:00~22:00

メールでの相談予約はこちら

お電話での相談予約はこちら

▼PCからご覧になっている方・お急ぎの方はこちらへお電話ください(直通)▼
090-6312-7359
※スマホからならタップでお電話いただけます。