労働一般

【保存版】就業促進手当とは何か-就業手当・再就職手当・就業促進手当の受給方法-

 失業した方の就職を促進するために「就業促進手当」というものがあります。
 就業促進手当には、いくつかの種類があり、それぞれ受給要件や金額が異なります。
 今回は、就業手当・再就職手当・就業促進手当の受給方法や金額について解説します。

就業促進手当とは

 就業促進手当とは、失業手当の所定給付日数を一定日数以上残して就職した場合に支給される手当です。
 失業手当の所定給付日数が残っている場合、失業者は、所定給付日数分については失業手当を受給したいと考え、当該期間内における再就職に消極的になることが危惧されます。そのため、一定の所定給付日数が残っている者が再就職した場合等に、手当を給付することで、早期に再就職することを促します。
 就業促進手当には、就業手当再就職手当就業促進手当などの種類があります。
 以下では、「厚生労働省職業安定局雇用保険課:業務取扱要領57001-58000 雇用保険給付関係(就業促進給付)」のことを「業務取扱要領」と呼びます。

失業と雇用保険-失業手当の受給方法や給付日数-働いていた会社を突如として退職することになった場合、仕事が見つかるまでの生活はどのようにすればよいのでしょうか。今回は、雇用保険の種類や受給の方法、離職理由と給付日数の関係などを解説します。...

就業手当

就業手当とは

 就業手当とは、職業に就いた受給資格者であって、再就職手当の支給対象とならない場合において、当該職業に就いた日の前日における失業手当の支給残日数が、当該受給資格に基づく所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上である者について、支給要件に従って安定所長が必要と認めたときに、各就業日につき、基本手当額に10分の3を乗じて得た額を支給する手当です(雇用保険法56条の3第1項第1号)。

 

支給されるための要件

 就業手当の支給を受けるためには以下の要件を満たす必要があります(雇用保険法56条の3第1項、則第82条)。

① 就業日の前日における基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上であること
② 職業に就いたものであること(再就職手当の支給対象となる場合を除く)
③ 受給資格に係る離職前の事業主(関連事業主を含む)に再び雇用されたものではないこと
④ 雇入れをすることを休職の申込みをした日前に約した事業主に雇用された者でないこと
⑤ 待期が経過した後就業したものであること
⑥ 受給資格に係る離職について給付制限を受けた場合において、待機期間の満了後1か月間については、安定所又は職業紹介事業者等の紹介により就業したこと

<他の手当との関係>
・再就職手当・常用就職手当との関係
 就業手当を受給した後であっても、支給要件を満たせば再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けることができます。また、再就職手当受給後に新たに受給資格を得ることなく再就職した場合にも、支給要件を満たせば就業手当の支給を受けることができます。
・雇用継続給付(高年齢再就職給付金)との関係
 高年齢再就職給付金は、「安定した職業に就いた」場合に支給されるものであり、当該給付金が支給される場合には、当該再就職については就業手当の支給対象とはなりません。

 

支給金額

 就業手当の金額は、以下の方法により計算します。

働いた日数×基本手当日額×30%

 もっとも、以下のとおり1日当たりの支給金額には、上限額があります(令和元年8月1日現在)。

60歳未満:1日当たり1,849円
60歳以上65歳未満:1日当たり1,497円

 

支給を受ける方法

 就業手当の支給を受けようとする受給資格者は、原則として、4週間に1回、就業手当支給申請書に以下の書類を添えて管轄安定所長に提出しなければなりません(雇用保険法施行規則82条の5第1項)。

⑴ 受給資格者証
⑵ 原則として給与明細書等就業の事実を証明することができる書類の写し
⑶ 雇用契約書、雇入通知書等労働契約の期間及び労働時間を証明することができる書類の写し(支給申請に係る就業について一の雇用契約の期間が7日以上の場合に限る。)

 就業手当は、支給決定をした日の翌日から起算して7日以内に支給されます(雇用保険法施行規則82条の6)。
(出典:業務取扱要領12頁)
(出典:業務取扱要領14頁)

再就職手当

再就職手当とは

 再就職手当とは、受給資格者が安定した職業に就いた場合において、当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数が、当該受給資格に基づく所定給付日数の3分の1未満である場合を除いて、安定所長が必要と認めたときに、支給残日数の10分の6(就職日の前日における基本手当の支給残日数が、当該受給資格に基づく所定給付日数の3分の2以上である場合にあっては、10分の7)に相当する日数分に基本手当日額を乗じた額を支給する手当です。(雇用保険法56条の3第1項)。

支給されるための要件

 再就職手当の支給を受けるためには以下の要件を満たす必要があります(雇用保険法56条の3第1項、雇用保険法施行規則82条、82条の2)。

① 就職日の前日における基本手当の支給残日数が当該受給資格に基づく法第22条の規定による所定給付日数の3分の1以上であること
② 1年を超えて引き続き雇用されることがくじつと認められる職業に就き、又は事業(当該上により当該受給資格者が自立することができると安定所長が認めたものに限る。)を開始したこと
③ 離職前の事業主(関連事業主を含む)に再び雇用されたものではないこと
④ 待期が経過した後職業に就き、又は事業を開始したこと
⑤ 受給資格に係る離職について法第33条の給付制限を受けた場合において、待機期間の満了後1か月間については、安定所又は職業紹介事業者等の紹介により職業に就いたこと
⑥ 就職日又は事業を開始した日前3年以内の就職又は事業開始について雇用保険法の規定による再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと
⑦ 雇入れを約した事業主が法第21条に規定する求職の申込みをした日前にある場合において、当該事業主に雇用されたものでないこと
⑧ 雇入れを約した事業主が法第21条に規定する求職の申込みをした日前にある場合において、当該事業主に雇用されたものでないこと
⑨ その再就職手当を支給することがその者の職業の安定に資すると認められるものであること

支給金額

 再就職手当の金額は、以下の方法により計算します(雇用保険法56条の3第3項第2号)。

【就職日の前日における支給残日数が3分の2以上である場合】
・就職日が平成29年1月1日以降の場合
基本手当日額×支給残日数に相当する日数×70%
・就職日が平成29年1月1日前の場合
基本手当日額×支給残日数に相当する日数×60%
【就職日の前日における支給残日数が3分の1以上である場合】
・就職日が平成29年1月1日以降の場合
基本手当日額×支給残日数に相当する日数×60%
・就職日が平成29年1月1日前の場合
基本手当日額×支給残日数に相当する日数×50%

 もっとも、以下のとおり、基本手当日額には上限額があります(令和元年8月1日現在)。

60歳未満:6,165円
60歳以上65歳未満:4,990円

支給を受ける方法

 再就職手当の支給を受けようとする受給資格者は、就職日又は事業開始日の翌日から起算して1か月以内に、再就職手当支給申請書に以下の書類を添えて管轄安定所長に提出しなければなりません(雇用保険法施行規則82条の7第1項)。

⑴ 受給資格者証(正当な理由がある場合及び電子申請による申請の場合は添付省略可)
⑵ 受給資格者が1年を超えて雇用されることが確実であることの確認を行う場合には、必要に応じて、雇用契約書、雇入通知書、採用証明書、派遣就業に係る証明書等
⑶ 受給資格者が1年を超えて引き続き雇用されることが確実と認められる職業に就き支給申請を行う場合は、離職前事業主と再就職先事業主との資本金、資金、人事、取引先等の状況を記載させた事業主の証明書
⑷ 受給資格者が事業を開始した場合

① 被保険者資格を取得する者を雇い入れ、雇用保険の適用事業主となる場合には、雇用保険適用事業所設置届事業主控え(電子申請による申請の場合は、添付不要)
② ①以外の場合は、登記事項証明書(電子申請による申請の場合に、インターネット登記情報提供サービスの照会番号が付されているときは、添付不要)(個人事業の場合は開業届の写し)、事業許可証その他の事業の開始、事業内容及び事業所の実在が確認できる書類

(出典:業務取扱要領27頁)
(出典:業務取扱要領29頁)

就業促進定着手当

就業促進定着手当とは

 就業促進定着手当とは、再就職手当の受給者であって同手当の支給に係る同一事業主に引き続いて6か月以上継続して雇用され、みなし賃金日額が、算定基礎日額を下回った場合に、その差額に当該6か月の間の賃金支払基礎日数を乗じて得た額を支給する手当です(雇用保険法56条の3第3項第2号及び雇用保険法施行規則第83条の2、83条の3)。

支給されるための要件

 就業促進定着手当は、受給資格者が、次のすべてに該当する場合に支給されます(雇用保険法56条の3第3項第2号、雇用保険法施行規則83条の2)。

① 再就職手当を支給したこと
② 再就職手当に係る安定した職業に6か月以上継続して同一事業主に被保険者として雇用されたこと
③ みなし賃金日額が、算定基礎日額を下回ること(算定基礎賃金日額が下限額の場合は除く。)

支給金額

 就業促進定着手当の金額は、以下の方法により計算します(雇用保険法施行規則83条の3)。
(算定基礎賃金日額-みなし賃金日額)×みなし賃金日額の算定に係る期間の賃金支払基礎日数
 ただし、当該額は、基本手当日額に再就職手当の支給前の支給残日数に10分の4(再就職手当の給付率が10分の7の場合は、10分の3)(就職日が平成29年1月1日前の場合は、再就職手当の給付率に関係なく10分の4)を乗じて得た額が上限とされています。
※算定基礎日額は、その再就職手当に係る基本手当日額の算定に係る基本日額です。
※みなし賃金日額は、再就職手当に係る安定した職業に就職した日以降の最初の賃金締切日の翌日から6か月に達する日以降の最初の賃金締切日までの期間について、雇用保険法第17条の規定を適用した場合に算定されることとなる賃金日額の算定方法と同様の方法により計算します。
※以下のとおり、基本手当日額には上限額があります(令和元年8月1日現在)。

60歳未満:6,165円
60歳以上65歳未満:4,990円

支給を受ける方法

 就業促進定着手当の支給を受けようとする受給資格者は、再就職手当に係る安定した職業に就いた日から起算して6か月目に当たる日の翌日から2か月以内に、申請書に以下の書類を添えて管轄安定所長に提出しなければなりません(雇用保険法施行規則83条の4第1項)。

⑴ 受給資格者証(正当な理由がある場合及び電子申請による申請の場合は添付を省略することができる。)
⑵ 賃金台帳又は給与明細の写し等の再就職手当に係る安定した職業に就いた日から6か月間の賃金の額を証明することができる書類
⑶ 出勤簿又はタイムカードの写し等の再就職手当に係る安定した職業に就いた日から6か月間の賃金に係る賃金支払基礎日数を証明することができる書類

(出典:業務取扱要領34頁)

(出典:業務取扱要領36頁乃至37頁)
(出典:業務取扱要領38頁)

参考リンク

厚生労働省職業安定局雇用保険課:業務取扱要領57001-58000 雇用保険給付関係(就業促進給付)
雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和2年3月1日から~

【保存版】教育訓練給付金とは何か-その種類と受給方法-働く方の能力開発の取組み又はキャリア形成を支援し、雇用安定と再就職の促進を図る制度として、「教育訓練給付金」があります。教育訓練給付金には、いくつかの種類があり、それぞれ受給要件や金額が異なります。今回は、教育訓練給付金についてその種類と受給方法を解説します。...
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