異常な長時間残業に悩んでいませんか。
月に300時間の残業をしている方の生活は、
です。
一日15時間以上の労働を休みなしで、30日間連続で続けることになり、一日の睡眠時間は4時間程度です。
月に300時間の残業は、
です。
どのくらい異常かというと、以下のとおり、法律上の限度時間や過労死ライン、うつ病などの精神疾患に関する心理的負荷の総合評価が「強」とされる残業時間を大きく上回っています。
すぐに今の会社を辞めて、残業の少ない会社に転職しましょう。
他方で、月に300時間もの残業をしている場合には、高額の残業代を請求できるはずです。
例えば、後ほど詳しく説明しますが、月給30万円の方が月に300時間の法定時間外労働をした場合には、時効で消滅していない2年分を基準にすると、残業代金額は、
=1687万5000円
となります(月平均所定労働時間を160時間としています)。
この記事では、月に300時間の残業の異常性と請求できる残業代金額、具体的に今の会社を辞めるためにするべきことについて解説します。
具体的には以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、あなたの置かれている状況の異常性や今何をするべきかがわかるはずです。
残業時間の平均や生活、健康への影響については、以下の動画で詳しく解説しています。
目次
残業300時間の一日の生活は異常!
月に300時間の残業をしている方の一日の生活は、
です。
そもそも、月に300時間もの残業を行うことが可能なのかと疑問に思っている方もいるでしょう。
実際、300時間もの残業をしようとしても、これを実行できる人は少ないと思います。それほどまでに非現実的な生活となります。
まず、月に300時間もの「残業」をしている場合には、これとは別に所定の労働時間があることになります。
土・日・祝日、年末年始が休みで、夏休みが5日程度の一般的な会社ですと、月の所定労働時間は160時間程度です。
そのため、月に300時間もの残業をしている方の1か月あたりの労働時間は、
=460時間前後
となります。
1か月が30日とすると、休みなしで働いたとして、1日のあたりの労働時間は、
=15.33時間
です。
つまり、1日15時間以上の労働を休みなしで、30日間連続して続けることになるのです。
具体的には、以下のようなタイムスケジュールの生活を30日間連続で続けることになります。
睡眠時間は4時間程度となります。仕事をしていない時間は通勤時間や食事の時間程度です。
このような生活を続けていては、近いうちに心身に支障を来すはずです。今すぐに対策を講じるべきです。
残業300時間による命の危険
残業300時間を超える場合には、
があります。
具体的には、以下の2つです。
・脳・心臓疾患による過労死
・うつ病などの精神疾患による過労自殺
それぞれについて説明します。
脳・心臓疾患による過労死
月の残業が300時間の場合には、
にあたります。
行政通達では、発症前1か月間におおむね100時間を超える時間外労働がある場合には、脳・心臓疾患との関連性が強いとしています。
つまり、月に300時間もの残業をしている場合には、脳・心臓疾患による過労死の危険が特に高いことになります。
うつ病などの精神疾患による過労自殺
月の残業が300時間を超える場合には、うつ病などの精神疾患に関する心理的負荷の総合評価を「強」とする
にあたります。
行政通達では、発病直前の1か月におおむね160時間を超える時間外労働を行った場合には、心理的負荷の総合評価を「強」としています。
つまり、月に300時間もの残業をしている場合には、うつ病などの精神疾患発症による過労自殺の危険が特に高いことになります。
月に300時間もの残業をしていて、少しでも体調が悪いと感じたら迷わず病院へ行きましょう。
そのまま放置しておくと上記のように最悪「命」の危険が生じる可能性があります。
病院に行き休業をした方がいいとの診断を受けた場合には、診断書を会社に提出して、すぐに仕事を休むべきです。
体調不良が業務に起因して発症したものである場合には、労災の申請を検討するべきでしょう。
また、証拠に残しておくとの意味でも、体調不良を感じたらすぐに病院に行くべきです。病院で診断を受けた時期が長時間残業の時期から離れてしまうと、業務に起因して発症したということを説明するのが難しくなるためです。
そのため、月に残業を300時間している方が体調不良を感じたら、すぐに病院に行くべきなのです。
残業300時間の違法性
月に残業を300時間させることは、
です。
法律上、労働時間は1日8時間、1週間40時間までとされています。
労働基準法32条(労働時間)
1「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。」
2「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。」
例外的に、上記の労働時間を超えて、労働者に残業をさせる場合には、事前に労働者の代表者との間で協定を結んでおく必要があります。これを36協定といいます。
もっとも、36協定を結んでも、労働者に残業をさせることができる限度時間は、
とされています。
労働基準法36条(時間外及び休日の労働)
4「…限度時間は、一箇月について四十五時間…とする。」
つまり、月300時間の残業は、限度時間の
にあたることになります。
例外的に、通常予見することのできない業務量の大幅な増加等がある場合には、45時間を超えて残業させることができる場合があるとされています。しかし、その場合でも
を超えることはできません。
そのため、労働者に月300時間の残業をさせることは、違法となるのです。
労働者に月300時間の残業をさせた場合には、
に処される可能性があります。
労働基準法第119条
「次の各号のいずれかに該当する者は、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」
一「…第三十二条…の規定に違反した者」
残業300時間をした場合の残業代
残業代は以下の計算式により計算します。
STEP1:基礎賃金は、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金以外の賃金の合計額です。
STEP2:所定労働時間というのは、会社において決められた労働時間です。
STEP3:割増率は以下のとおりです。
・法定時間外:1.25倍
・法定休日:1.35倍
・深夜:0.25倍
STEP4:残業時間は、法定労働時間外や法定休日、深夜に働いた時間です。
残業代の計算方法については、以下の記事で詳しく説明しています。
以下では、月給ごとに月に300時間の法定時間外残業をした場合の残業代について解説します。所定労働時間は、160時間とします。
残業代には2年の時効がありますので(2020年4月1日以降が給料日のものは3年)、2年分の残業を計算するものとします。
それでは、
・月給20万円のAさん
・月給30万円のBさん
・月給40万円のCさん
・月給50万円のDさん
について、それぞれ見ていきましょう。
なお、月に300時間の残業をすれば、法定休日残業代や深夜残業代も発生しているはずですので、実際の残業代は以下で説明する金額よりも大きくなります。
月給20万円のAさん
月給20万円のAさんが月に300時間の残業をした場合の残業代は以下のとおりとなります。
=1125万0000円
月給30万円のBさん
月給30万円のAさんが月に300時間の残業をした場合の残業代は以下のとおりとなります。
=1687万5000円
月給40万円のCさん
月給40万円のAさんが月に300時間の残業をした場合の残業代は以下のとおりとなります。
=2250万0000円
月給50万円のDさん
月給50万円のAさんが月に300時間の残業をした場合の残業代は以下のとおりとなります。
=2812万5000円
残業300時間から抜け出す方法
残業300時間から抜け出すためには以下の順で対処するのがいいでしょう。
手順1:残業時間の証拠を集める
手順2:退職届を提出する
手順3:離職票を受け取る
手順4:ハローワークで失業保険の申請をする
手順5:残業の少ない会社に就職する
それでは説明していきます。
手順1:残業時間の証拠を集める
月に300時間の残業から抜け出すためにするべきことの1つ目は、
ことです。
長時間の残業をしていたことについては、残業代を請求する場合は勿論、失業保険を受給する際や何らかの健康被害が生じてしまった場合に説明できるようにしておく必要があります。
しかし、月に300時間もの残業を行わせることは違法な行為です。会社は、その証拠が残らないようにしている可能性があります。
退職前に可能な範囲で、月に300時間の残業をしていたことを証拠に残しておきましょう。
残業時間の証拠としては、例えば以下のものがあります。
①のタイムカードがあればベストですが、これがないようであれば、②入退館記録や業務メール、③日報等の営業記録がないかを確認します。
①②③いずれもないようであれば自分で、各日の業務開始時間、休憩時間、業務終了時間、業務内容をメモしておきましょう。
例えば、以下のように作ります。
手順2:退職届を提出する
月に300時間の残業から抜け出すためにするべきことの2つ目は、
ことです。
退職届は、退職日の2週間以上前に提出する必要があります。
直接渡す方法でも、内容証明郵便により郵送する方法でも、いずれでも構いませんが、直接渡す場合にはコピーを取っておくべきです。
退職届には、以下のような事項を記載しましょう。
・退職する意思と退職の日付
・離職票の交付請求
・退職する理由(必須ではありません)
・有給休暇の取得申請(必須ではありません)
例えば、以下のように記載します。
※退職届のダウンロードはこちら
※こちらのリンクをクリックしていただくと、退職届のテンプレが表示されます。
表示されたDocumentの「ファイル」→「コピーを作成」を選択していただくと編集できるようになりますので、ぜひご活用下さい。
手順3:離職票を受け取る
月に300時間の残業から抜け出すためにするべきことの3つ目は、
ことです。
(出典:ハローワークインターネットサービス 記入例:雇用保険被保険者離職票-2)
離職票が届いた場合には、「退職日」や「賃金額」、「退職理由」に誤りがないかをよく確認しておきましょう。
誤りがある場合には、すぐにハローワークに相談しましょう。
手順4:ハローワークで失業保険の申請をする
月に300時間の残業から抜け出すためにするべきことの4つ目は、
ことです。
失業保険を受給する流れは以下のとおりです。
まずは、ハローワークで求職の申し込みをしましょう。申し込みをして、離職票を提出すると、受給資格の決定がなされます。
その後7日の待期期間があり、この期間は失業保険を受給できません。また、正当な理由がない自己都合退職の場合には、待機期間終了後2か月の給付制限があります。
求職申込から2~3週間後に雇用保険説明会が行われます。
その後、失業保険認定を受けて、認定日から5~7日後に失業保険が振り込まれることになります。
残業が月300時間を超える場合には、会社都合退職として扱ってもらえる可能性があります。
参考までに、会社都合退職の例として以下の方が挙げられています。
・離職の直前6か月間のうちに[1]いずれか連続する3か月で45時間、[2]いずれか1か月で100時間、又は[3]いずれか連続する2か月以上の期間の時間外労働を平均して1か月で80時間を超える時間外労働が行われたため離職した者。事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者
(参照:ハローワークインターネットサービス:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲概要)
会社都合退職の場合には、以下の点で有利に扱ってもらうことができます。
⑴ 会社都合退職の場合には2か月の給付制限がない
⑵ 会社都合退職の場合には失業保険の給付日数が雇用保険の加入期間や退職した時の年齢により90日~330日となります(自己都合退職の場合には、雇用保険の加入期間により90日~150日)
会社都合退職については、以下の動画でも詳しく解説しています。
手順5:残業の少ない会社に就職する
月に300時間の残業から抜け出すためにするべきことの5つ目は、
ことです。
残業の少ない会社に就職するポイントは以下の4つです。
・長時間分の固定残業代がないかを確認する
・タイムカードがあるかを確認する
・業務量に比べて人手が少なすぎないかを確認する
・在籍人数に比べて採用人数が多すぎないかを確認する
長時間分の固定残業代がないかを確認する
残業の少ない会社に就職するポイントの1つ目は、
することです。
固定残業代とは、実際に残業をするかどうかにかかわらず、定額の残業代が支給されるものです。
固定残業代制度を採用している会社は、雇用契約書や求人票に、例えば、「基本給には〇時間分、〇万円の固定残業代が含まれています。」との記載があるのが通常です。
これは、会社は固定残業代が想定している時間分については、残業をしても固定残業代の他に残業代は支給しないとするものです。
この「固定残業代が想定している時間分」程度の残業については命じられる可能性が高いと考えておいた方がいいでしょう。
そのため、長時間分の固定残業代が記載されている場合には警戒するようにしましょう。
タイムカードがあるかを確認する
残業の少ない会社に就職するポイントの2つ目は、
することです。
なぜなら、違法な長時間労働を命じるような会社では、証拠に残らないように、タイムカードを用意していない会社が多いためです。
そのため、入社前に、その会社にタイムカードがあるかを確認しておくことは重要です。
業務量に比べて人手が少なすぎないかを確認する
残業の少ない会社に就職するポイントの3つ目は、
することです。
業務量に比べて人手が少ない場合には、一人一人の負担が重くなり、残業が長時間化するためです。
自分がどこに配属されるのか、配属先の業務内容や業務量、所属人数などを確認しておきましょう。
在籍人数に比べて採用人数が多すぎないかを確認する
残業の少ない会社に就職するポイントの4つ目は、
することです。
在籍人数に比べて採用人数が多すぎる場合には、短期間で新人が大量にやめている可能性があります。
昨年の採用人数や今年多く人員を募集している理由を確認しておきましょう。
まずは弁護士に相談することから始めよう
長時間の残業に悩んでいる場合には、
始めましょう。
弁護士に相談することをお勧めする理由は、以下の4つです。
・守秘義務を負っているので会社に知られずに相談できる!
・あなたが請求できる残業代金額の見通しを教えてもらえる!
・退職手続と残業代請求を丸投げできる!
・初回無料相談を利用すれば費用をかけずに相談できる!
守秘義務を負っているので会社に知られずに相談できる!
弁護士に相談した方がいい理由の1つ目は、
ことです。
弁護士は守秘義務を負っていますので、長時間の残業につき悩んでいることを相談したとしても、それが会社や第三者に知られることはありません。
そのため、安心して相談いただくことができます。
あなたが請求できる残業代金額の見通しを教えてもらえる!
弁護士に相談した方がいい理由の2つ目は、
ことです。
今まで異常な長時間労働をしてきたのですから、自分がいくらの残業代を請求できるかということは当然気になるところですよね。
しかし、残業代の計算方法は分かりにくいと感じている方が多いでしょう。そのような方は、専門家におおよその見通しを聞いてしまうことが近道です。
退職手続と残業代請求を丸投げできる!
弁護士に相談した方がいい理由の3つ目は、依頼することにした場合には、
ことです。
長時間の残業に悩んで退職するのに、その後も、煩雑な退職手続きや残業代の計算をするのは嫌ですよね。
何よりも、退職した会社と自分で直接交渉するというのは、精神的にも苦痛なはずです。
そのため、退職手続きや残業代請求は、弁護士に丸投げをしてしまうことがおすすめです。
初回無料相談を利用すれば費用をかけずに相談できる!
初回無料相談を利用すれば、費用をかけずに弁護士に相談することができます。
弁護士に依頼するかどうか悩んでいる場合も、まずは相談してみてから決めればいいのです。
初回無料相談を利用するデメリットは特にありません。
そのため、弁護士に相談する場合には、初回無料相談を行っている弁護士に相談することがおすすめです。
まとめ
以上のとおり、今回は、残業を月に300時間行うことの異常性や今の状況から抜け出す方法を解説しました。
この記事の要点をまとめると以下のとおりです。
・月に300時間の残業をしている方の一日の生活は、休み0でプライベートも皆無です。
・月に300時間の残業をしている方は、過労死や過労自殺の危険性が高いです。
・月に300時間の残業をしている方の残業代は2年分で1000万円を超える可能性が高いです。
・残業300時間から抜けだすためには、手順1:残業時間の証拠を集める、手順2:退職届を提出する、手順3:離職票を受け取る、手順4:ハローワークで失業保険の申請をする、手順5:残業の少ない会社に就職する、の順で対処しましょう。
この記事が異常な長時間残業に悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。