未払残業代・給料請求

トラック運転手の労働時間規制の上限は?運送業のルールと対処法3つ

トラック運転手として働いているものの労働時間が長すぎるとの悩みを抱えていませんか。

トラック運転手の労働時間の平均は、後ほど紹介するように、

月210時間

を超えています。

そして、トラック運転手などの運送業に対しては、2024年3月31日まで

労働基準法上の残業時間に関する上限規制の適用は猶予

されています。

しかし、トラック運転手に対しては、改善基準告示により拘束時間・休息期間・運転時間・休日労働の回数の規制がされています

トラック運転手の労働時間規制のルールを簡単に整理すると以下のとおりとなります。

トラック運転手の労働時間規制まとめ

このようにトラック運転手の労働時間には、一般の労働者とは異なるルールがあります。

トラック運転手の方が自分の労働時間を減らしたいと考えた場合には、以下のような順で対処することがおすすめです。

①長距離運転手から配置替えをしてもらう
②労働時間規制を遵守するように申し入れる
③労働基準監督署に相談する
④労働時間の短い会社に転職する

今回は、トラック運転手の「労働時間規制」や「労働時間を減らすための対処法」を詳しく、かつ、わかりやすく簡単に説明していきます。

具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、「あなたの労働時間が適正かどうか」や「今何をするべきなのか」がわかるはずです。

 

 

 

トラック運転手の平均労働時間

トラック運転手の労働時間の平均は、

月210時間

を超えています。

厚生労働省と国土交通省が共同して平成27年に行った「トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)」によると、「1か月の総労働時間」と「1カ月の時間外労働時間」の平均は、以下のとおりとなっています。

トラック運転手の平均労働時間(出典:トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)を加工して作成)

月210時間の労働時間がどのくらい多いのかイメージできるように1日当たりに引き直してみましょう。

1カ月の勤務日数を22日とすると、1日あたりの労働時間は、

210時間÷22日
=約9時間30分

となります。

一日に9時間30分働く場合のタイムスケジュール例は以下のとおりです。

トラック運転手の一日のタイムスケジュール

トラック運転手の労働時間が長時間化する理由5つ

トラック運転手の労働時間が長時間化する理由としては、以下の5つが挙げられます。

・手待ち時間が多い
・運転時間が長い
・道路状況が悪い
・人手が足りない
・労働基準法上の上限規制が適用されない

トラック運転手の労働時間が長時間化する理由

それでは順番に説明していきます。

手待ち時間が多い

トラック運転手の労働時間が長時間化する理由の1つ目は、

手待ち時間が多い

ことです。

手待ち時間とは、荷物の積み込みや降ろすのを待つ時間や、多数のトラックがいる場合に順番待ちをする時間です。

例えば、「トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)」によると、「手待ち時間」の平均は以下のとおりとなっています。
トラック運転手の平均手待時間(出典:トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)を加工して作成)

長い時間トラックから離れられないことも多いため、労働時間が長時間化することになります。

運転時間が長い

トラック運転手の労働時間が長時間化する理由の2つ目は、

運転時間が長い

ことです。

トラックで長距離を移動する運転手の場合には、その分、運転時間が長時間化することになります

例えば、東京から青森までの距離は715.5kmとされています。この距離を時速80kmで移動する場合には、運転時間だけで、

715.5km÷80km/h=8.94時間

となります。

そのため、長い運転時間により労働時間も長時間化することになります。

道路状況が悪い

トラック運転手の労働時間が長時間化する理由の3つ目は、

道路状況が悪い

ことです。

トラック運転手の労働時間の多くは運転時間であるため、道路状況が労働時間に大きな影響を与えることになります

例えば、道路が渋滞していて、移動速度の平均が時速60kmになったとしましょう。その場合、東京から青森までの715.5kmを移動するのにかかる運転時間は、

715.5km÷60km/h=11.92時間

となります。

このように道路状況によっては予定どおりに目的地につかないことがあり、労働時間が長時間化しがちなのです。

人手が足りない

トラック運転手の労働時間が長時間化する理由の4つ目は、

人手が足りない

ことです。

運送業界は宅配便取扱数の増加により業務量は増えているにもかかわらず、人手は増えていない傾向にあります。

また、トラック運転手は、高齢化しており今後人手不足はさらに深刻化することが予想されます。

このような状況から、トラック運転手1人1人の負担が大きくなっており、労働時間が長時間化しがちなのです。

労働基準法上の上限規制が適用されない

トラック運転手の労働時間が長時間化する理由の5つ目は、

労働基準法上の上限規制が適用されない

ことです。

後述するように、トラック運転手には、労働基準法上の上限規制の適用が猶予されています。

そのため、一般の労働者に比べて労働時間が長時間化しがちな傾向にあります。

 

トラック運転手の労働時間と「労働基準法」

トラック運転手の労働時間については、一般の労働者と異なる部分があります。

以下では、トラック運転手の労働時間に関する労働基準法上のルールについて、

・残業時間
・休憩時間

のそれぞれについて説明していきます。

トラック運転手の労働時間規制(労働基準法)

残業時間

残業については、「残業を命じることができるかどうかの問題」と「残業を命じることができる時間の上限に関する問題」があります。

トラック運転手の場合には、前者は一般の労働者と同じですが、後者は一般の労働者と大きく異なります。

以下では、トラック運転手の残業時間について、

・36協定の必要性
・働き方改革による残業上限の適用猶予
・2024年4月1日以降に適用される残業上限

の順で説明していきます。

36協定の必要性

まず、会社が労働者に対して、

残業をさせるには36協定が必要

です。

36協定(サブロク協定)とは、簡単に言うと、会社が労働者に残業を命じるために必要なことを定めたものです。

法律上、1日の労働時間、1週間の労働時間は以下のように決められています。

1日8時間
1週間40時間

労働基準法第32条(労働時間)
1「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。」
2「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。」

しかし、会社は、例外的に

36協定を締結していればその範囲内で

残業を命じても違法になりません。

労働基準法36条(時間外及び休日の労働)
1「使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。」

これは、一般の労働者であっても、トラック運転手であっても同様です。

36協定については以下の記事で詳しく説明していますので読んでみてください。

36協定(サブロク協定)とは?弁護士がわかりやすく簡単に解説36協定とは、簡単に言うと、会社が労働者に残業を命じるために必要なことを定めたものです。今回は、36協定とは何か並びに労働者が知っておくべき基本事項と対処法を誰でもわかるように簡単に説明していきます。...

働き方改革による残業上限の適用猶予

トラック運転手などの運送業に対しては、2024年3月31日まで

労働基準法上の残業時間に関する上限規制の適用は猶予

されています。

一般の労働者に対しては、会社が36協定を締結している場合でも、

無制限に残業を命じられるわけではない

とされています。

働き方改革により、36協定で命じることができる残業時間について、以下のような限度時間が定められたためです。

一般的な限度時間

労働基準法36条(時間外及び休日の労働)
3「前項第四号の労働時間を延長して労働させることができる時間は、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において、限度時間を超えない時間に限る。」
4「前項の限度時間は、一箇月について四十五時間及び一年について三百六十時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあっては、一箇月について四十二時間及び一年について三百二十時間)とする。」
5「第一項の協定においては、第二項各号に掲げるもののほか、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に第三項の限度時間を超えて労働させる必要がある場合において、一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間(第二項第四号に関して協定した時間を含め百時間未満の範囲内に限る。)並びに一年について労働時間を延長して労働させることができる時間(同号に関して協定した時間を含め七百二十時間を超えない範囲内に限る。)を定めることができる。この場合において、第一項の協定に、併せて第二項第二号の対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が一箇月について四十五時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあっては、一箇月について四十二時間)を超えることができる月数(一年について六箇月以内に限る。)を定めなければならない。」

しかし、トラック運転手に対しては、2024年3月31日までは、これらの限度時間の適用はされません

つまり、トラック運転手に対しては、

2024年3月31日までは労働基準法上の残業上限はない

のです。

労働基準法第140条
2「前項の規定にかかわらず、同項に規定する業務については、令和六年三月三十一日(同日及びその翌日を含む期間を定めている第三十六条第一項の協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算して一年を経過する日)までの間、同条第二項第四号中「一箇月及び」とあるのは、「一日を超え三箇月以内の範囲で前項の協定をする使用者及び労働組合若しくは労働者の過半数を代表する者が定める期間並びに」とし、同条第三項から第五項まで及び第六項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は適用しない。」

2024年4月1日以降に適用される残業上限

トラック運転手に対しても、

2024年4月1日以降は労働基準法上の残業時間に関する上限規制が適用

されます。

具体的には、トラック運転手の残業時間は、2024年4月1日以降は、原則として、

月45時間、年360時間まで

となります。

ただし、臨時的な必要がある場合に例外的に限度時間を超えて残業させることができる時間については、一般の労働者と異なる以下の3つのポイントがあります。

ポイント1:1年あたりの上限時間は960時間とされている
ポイント2:1か月あたりの上限がない
ポイント3:1か月45時間を超えて残業をさせることができる月数の制限がない

【ポイント1:1年あたりの上限時間は960時間とされている】
トラック運転手に対して臨時的な必要がある場合に限度時間を超えて残業させることができる時間のポイントの1つ目は、

1年あたりの上限時間は960時間とされている

ことです。

一般の労働者に対しては、臨時的な必要がある場合における1年あたりの上限時間は、720時間とされています。

トラック運転手の場合には、一般的な労働者よりも、臨時的な必要がある場合における1年あたりの上限時間は240時間も多いことになります。

【ポイント2:1か月あたりの上限がない】
トラック運転手に対して臨時的な必要がある場合に限度時間を超えて残業させることができる時間のポイントの2つ目は、

1か月当たりの上限がない

ことです。

一般の労働者に対しては、限度時間を超えて残業を命じる場合でも1か月100時間未満、2か月~6か月平均で月80時間以内という制限がありました。

トラック運転手の場合には、このような1か月当たりの上限はないことになります。

【ポイント3:1か月45時間を超えて残業をさせることができる月数の制限がない】
トラック運転手に対して臨時的な必要がある場合に限度時間を超えて残業させることができる時間のポイントの3つ目は、

1か月45時間を超えて残業をさせることができる月数の制限がない

ことです。

一般の労働者に対しては、月45時間を超えて残業を命じることができるのは、1年間で6か月までとされていました。

トラック運転手の場合には、このような月45時間を超えて残業をさせることができる月数の制限はないことになります。

労働基準法140条
1「一般乗用旅客自動車運送事業…の業務、貨物自動車運送事業…の業務その他の自動車の運転の業務として厚生労働省令で定める業務に関する第三十六条の規定の適用については、当分の間、同条第五項中『時間(第二項第四号に関して協定した時間を含め百時間未満の範囲内に限る。)並びに一年について労働時間を延長して労働させることができる時間(同号に関して協定した時間を含め七百二十時間を超えない範囲内に限る。)を定めることができる。この場合において、第一項の協定に、併せて第二項第二号の対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が一箇月について四十五時間(第三十二条の四第一項第二号の対象期間として三箇月を超える期間を定めて同条の規定により労働させる場合にあつては、一箇月について四十二時間)を超えることができる月数(一年について六箇月以内に限る。)を定めなければならない』とあるのは、『時間並びに一年について労働時間を延長して労働させることができる時間(第二項第四号に関して協定した時間を含め九百六十時間を超えない範囲内に限る。)を定めることができる』とし、同条第六項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は適用しない。」

~労働基準法に違反して残業を命じた場合の罰則~

 

会社が労働基準法上の労働時間規制に違反して、労働者に残業を命じた場合には、

6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金

に処される可能性があります。

労働基準法119条
「次の各号のいずれかに該当する者は、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」
一「…第三十二条、…第三十五条…の規定に違反した者」

休憩時間

トラック運転手に対しても、一般の労働者と同様、労働基準法上、原則として、以下の休憩時間を与えなければなりません。

6時間を超える場合 45分
8時間を超える場合 1時間

ただし、トラック運転手の場合には、以下の3つの例外があります。

・休憩の一斉付与の例外
・長距離運送の場合の例外
・休憩を与えることができない場合の例外

労働基準法40条(労働時間及び休憩の特例)
1「別表第1第1号から第3号まで、第6号及び第7号に掲げる事業以外の事業で、公衆の不便を避けるために必要なものその他特殊の必要あるものについては、その必要避くべからざる限度で、第32条から第32条の5までの労働時間及び第34条の休憩に関する規定について、厚生労働省令で別段の定めをすることができる。」
労働基準法別表第一(第三十三条、第四十条、第四十一条、第五十六条、第六十一条関係)
四「道路、鉄道、軌道、索道、船舶又は航空機による旅客又は貨物の運送の事業

休憩の一斉付与の例外

トラック運転手に対しては、

休憩の一斉付与

は適用されません。

一般の労働者に対しては、原則として、休憩は全労働者に一斉に付与しなければならないとされています。

しかし、トラック運転手に対しては、一斉付与を定めた規定を適用しないとされています。

労働基準法施行規則31条
「法別表第1第4号…に掲げる事業…については、法第34条第2項の規定は、適用しない。」
労働基準法第34条(休憩)
2「前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。…」

長距離運送の場合の例外

トラック運転手に対しては、例外的に、

長距離にわたり継続して乗務するもの

に該当する場合には、休憩を与えないことができるとされています。

「長距離」とは、6時間以上乗務のものをいいます(昭和29年6月29日基発255号)。

ただし、後ほど説明するように、改善基準告示で、トラック運転手に対して、連続して運転をさせることができる時間は4時間までとされています。

労働基準法施行規則32条
1「使用者は、法別表第1第4号に掲げる事業…に使用される労働者のうち…自動車…に乗務する…運転手…(以下単に「乗務員」という。)で長距離にわたり継続して乗務するもの…については、法第34条の規定にかかわらず、休憩時間を与えないことができる。」

休憩を与えることができない場合の例外

トラック運転手に対しては、例外的に、以下の2つの条件を満たす場合には、休憩を与えないことができるとされています。

①その者の従事する業務の性質上、休憩時間を与えることができないと認められる場合
②その勤務中における停車時間、折り返しによる待合せ時間その他の時間の合計が法定の休憩時間に相当するとき

労働基準法施行規則32条
2「使用者は、乗務員で前項の規定に該当しないものについては、その者の従事する業務の性質上、休憩時間を与えることができないと認められる場合において、その勤務中における停車時間、折返しによる待合せ時間その他の時間の合計が法第34条第1項に規定する休憩時間に相当するときは、同条の規定にかかわらず、休憩時間を与えないことができる。」

トラック運転手の労働時間と「改善基準告示」

トラック運転手の労働時間に対しては、労働基準法の他に、

改善基準告示による規制

があります。

改善基準告示とは、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準を定めることにより、自動車運転者の労働時間等の労働条件の向上を図ることを目的とする告示のことです。

正式には、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(労働省告示第7号)といいます。

つまり、トラック運転手の労働時間には、労働基準法上の残業上限の適用は猶予されていますが、改善基準告示による規制は及ぶのです

以下では、改善基準告示が規制をしている

・拘束時間
・休息期間
・運転時間
・休日労働回数

について解説していきます。

トラック運転手の労働時間規制(改善基準告示)

なお、参考までに、トラック運転手の業務に関する時間は、以下のように区分することができます。
トラック運転手の業務の時間区分(出典:厚生労働省労働基準局:トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント)

拘束時間

拘束時間とは、始業時刻から終業時刻までの時間で、労働時間と休憩時間(仮眠時間を含む)の合計時間をいいます。

拘束時間=労働時間+休憩時間

拘束時間の規制については、

・1か月の拘束時間の規制
・1日の拘束時間の規制

がありますので、それぞれについて説明していきます。

1か月の拘束時間の規制

1か月の拘束時間は、原則として

293時間

が限度とされています。

ただし、毎月の拘束時間の限度を定める書面による労使協定を締結した場合には、1年のうち6か月までは、1年間の拘束時間が3516時間を超えない範囲内において、1か月の拘束時間を320時間まで延長することができます。

1か月の拘束時間(出典:厚生労働省労働基準局:トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント)

改善基準告示第4条1項(貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の拘束時間等)
一「拘束時間は、一箇月について293時間を超えないものとすること。ただし、労使協定があるときは、一年のうち6箇月までは、一年間についての拘束時間が3516時間を超えない範囲内において、320時間まで延長することができる。」

1日の拘束時間の規制

1日の拘束時間は、原則として、

13時間

が限度とされています。

これを延長する場合であっても16時間までとされており、15時間を超えて延長できるのは1週間につき2回までです。

1日の拘束時間〇な例1日の拘束時間✕な例(出典:厚生労働省労働基準局:トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント)

改善基準告示第4条1項(貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の拘束時間等)
二「1日についての拘束時間は、13時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は、16時間とすること。この場合において、1日についての拘束時間が15時間を超える回数は、1週間について2回以内とすること。」

休息期間

休息期間とは、勤務と次の勤務の間の時間で、睡眠時間を含む労働者の生活時間として、労働者にとって全く自由な時間をいいます。

休息期間は、勤務終了後、

継続8時間以上

必要とされています。

トラック運転手の1日の休息期間(出典:厚生労働省労働基準局:トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント)

改善基準告示第4条1項(貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の拘束時間等)
三「勤務終了後、継続8時間以上の休息期間を与えること。」

運転時間

運転時間については、

・1日の運転時間
・1週間の運転時間
・連続運転時間

の3つがあります。

それぞれについて説明していきます。

1日の運転時間

1日の運転時間は、

2日平均で1日9時間

が限度とされています。

具体的には、

「前日と当日を併せた平均」と「当日と翌日を併せた平均」

のいずれもが、9時間を超える場合には違反となります。

トラック運転手の1日の運転時間(出典:厚生労働省労働基準局:トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント)

改善基準告示第4条1項(貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の拘束時間等)
四「運転時間は、2日(始業時刻から起算して48時間をいう。次条において同じ。)を平均し1日当たり9時間…を超えないものとすること。」

1週間の運転時間

1週間の運転時間は、

2週間平均で1週間44時間

が限度とされています。

具体的には、

ある特定の日を起算日として2週間ごとに区切り、その2週間ごとに計算

して、平均で1週間44時間を超える場合には違反となります。

トラック運転手の1週間の運転時間(出典:厚生労働省労働基準局:トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント)

改善基準告示第4条1項(貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の拘束時間等)
四「運転時間は、…2週間を平均し1週間当たり44時間を超えないものとすること。」

連続運転時間

連続運転時間とは、1回が連続10分以上で、かつ、合計が30分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間をいいます。

連続運転時間は、

4時間

が限度とされています。

連続運転時間(出典:厚生労働省労働基準局:トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント)

改善基準告示第4条1項(貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の拘束時間等)
五「連続運転時間(1回が連続10分以上で、かつ、合計が30分以上の運転の中断をすることなく連続して運転する時間をいう。次条において同じ。)は、4時間を超えないものとすること。」

休日労働回数

休日労働の回数は、

2週間について1回を超えない

ものとされています。

ここでいう休日というのは法定休日のことです。

労働基準法は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならないとしています。この休日のことを法定休日といいます。

36協定があれば法定休日に労働させることができますが、その場合でも改善基準告示は2週間について1回までとしているのです。

つまり、2週間連続で休みなく働いているような場合には、改善基準告示に違反している可能性があります

改善基準告示第4条(貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の拘束時間等)
5「使用者は、貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者に法第三十五条の休日に労働させる場合は、当該労働させる休日は二週間について一回を超えないものとし、当該休日の労働によって第一項に定める拘束時間及び最大拘束時間の限度を超えないものとする。」

労働基準法第35条(休日)
1「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。」

~改善基準告示の4つの特例~

改善基準告示には、以下の4つの特例があります。

①業務の必要上、業務の終了後8時間以上の休息期間を与えることが困難な場合
この場合には、当分の間、休息期間を拘束時間の途中及び拘束時間の経過直後に分割して与えることができます

ただし、一定期間(原則として2週間から4週間程度)における全勤務回数の2分の1の回数が限度とされています。

分割された休息期間は、1日において1回あたり継続4時間以上、合計10時間以上とする必要があります。

②自動車運転者が同時に一台の自動車に二人以上乗務する場合
この場合には、1日の最大拘束時間を20時間まで延長でき、また、休息期間を4時間まで短縮できます

ただし、車両内に身体を伸ばして休息することができる設備のある場合に限られます。

③自動車運転者が隔日勤務に就く場合
この場合には、以下の2つの条件を満たすことが必要です
ⅰ 2暦日における拘束時間は21時間を超えないこと
ⅱ 勤務終了後、継続20時間以上の休息期間を与えること

ただし、ⅰについては、事業場内仮眠施設又は使用者が確保した同種の施設において、夜間に4時間以上の仮眠時間を与える場合には、2週間について3回を限度に、この2暦日における拘束時間を24時間まで延長することができます。この場合でも、2週間における総拘束時間は126時間が限度です。

④自動車運転者がフェリーに乗船する場合
フェリー乗船時間は原則として休息期間として取り扱われます

ただし、フェリー乗船時間を減算した後の休息期間は2人常務の場合を除き、フェリー下船時刻から勤務終了時刻までの間の時間の2分の1を下回ってはなりません。

改善基準告示第4条(貨物自動車運送事業に従事する自動車運転者の拘束時間等)
3「第1項の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当する場合には、拘束時間及び休息期間については、厚生労働省労働基準局長の定めるところによることができる。」
一「業務の必要上、勤務の終了後8時間以上の休息期間を与えることが困難な場合」
二「自動車運転者が同時に一台の自動車に二人以上乗務する場合」
三「自動車運転者が隔日勤務に就く場合」
四「自動車運転者がフェリーに乗船する場合」

 

トラック運転手の労働時間を減らす方法4つ

トラック運転手が労働時間を減らす方法としては以下の4つがありますので、労働時間を減らしたいと考えた場合にはこの順で試してみてください。

①長距離運転手から配置替えをしてもらう
②労働時間規制を遵守するように申し入れる
③労働基準監督署に相談する
④労働時間の短い会社に転職する

トラック運転手の労働時間を減らす方法4つ
順番に説明していきます。

長距離運転手から配置替えをしてもらう

トラック運転手の労働時間を減らす方法の1つ目は、

長距離運転手から配置替えしてもらう

ことです。

長距離運転手の場合には、運転時間が長くなり、かつ、道路状況の影響も強く受けますので、労働時間が長くなりがちです。

例えば、「トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)」では、「泊付きの郵送を担当」する場合と「日帰り輸送を担当」する場合とでは、1か月の総労働時間の平均は、

約40時間の差

があります。

そのため、泊付きの輸送を担当している場合には、日帰り輸送の担当に配置替えをしてほしいとお願いしてみましょう。

労働時間規制を遵守するよう申し入れる

トラック運転手の労働時間を減らす方法の2つ目は、

労働時間規制を遵守するように申し入れる

ことです。

トラック運転手の労働時間については、これまで見たとおり、労働基準法上における休憩時間の規制や改善基準告示における拘束時間・休息期間・運転時間・休日労働の回数の規制があります。

そのため、会社がこれらに違反している場合には、規制を遵守するように申し入れましょう。

労働基準監督署に相談する

トラック運転手の労働時間を減らす方法の3つ目は、労働時間規制違反について、

労働基準監督署に相談する

ことです。

労働基準監督署に相談することで、労働時間規制違反について、会社に改善するように指導をしてもらえる可能性があります

例えば、平成31年・令和元年における「労働基準関係法令違反」及び「改善基準告示違反」についての監督指導の状況は、以下のとおりとなっています。

【労働基準関係法令違反】
令和元年監督指導の状況(労働基準関係法令違反)
【改善基準告示違反】
令和元年監督指導の状況(改善基準告示)(出典:厚生労働省 自動車運転者を使用する事業場に対する監督指導、送検等の状況(平成31年・令和元年) )

労働基準監督署に動いてもらうためには、実際に面談に行き、自分の名前と会社の名前を伝えて相談しましょう。労働基準監督署は、相談した労働者の名前が会社に伝わらないように配慮しながら調査をしてくれます。

労働時間の短い会社に転職する

トラック運転手の労働時間を減らす方法の4つ目は、

労働時間の短い会社に転職する

ことです。

上記3つの方法によっても労働時間が改善しない場合には、その会社の体質に問題がある可能性が高いため、他の会社に転職することも検討しましょう

また、会社を退職した後であっても、これまでの未払い残業代を請求することができますので、一度お近くの弁護士に相談してみましょう。

「残業代が少ないのでは?」と感じたら弁護士に相談すべき

「残業代が少ないのでは?」と感じたら、早めに

弁護士に相談することがおすすめ

です。

運送会社の中には、労働者に長時間の残業をさせているにもかかわらず、十分な残業代を支払っていない会社が多く見受けられます

特に、残業をしているのに、

給与明細に残業代の記載がない

方は、未払いの残業代がある可能性が高いといえます。

弁護士の初回無料相談を利用すれば、

費用をかけずに

未払い残業代の見通しを確認してもらうことができます。

弁護士に相談したことは、依頼して残業代を請求するまでは、会社に知られません。

また、

会社を退職した後であっても残業代の請求は可能

です。

ただし、残業代請求には、消滅時効があり、

給料日から2年を経過した部分から消滅

していきます(2020年4月1日以降に発生したものの時効期間は3年)ので、早めに相談に行くようにしましょう

以下のリンクから未払い残業代を簡単に確認することもできますので、是非試してみてください。

まとめ

以上のとおり、今回は、トラック運転手の「労働時間規制」や「労働時間を減らすための対処法」を詳しく、かつ、わかりやすく簡単に解説しました。

この記事の要点をまとめると以下のとおりです。

【労働時間規制】
トラック運転手の労働時間規制まとめ
【労働時間を減らすための方法】
労働時間を減らすには、以下の4つの順で試してみましょう。
①長距離運転手から配置替えをしてもらう
②労働時間規制を遵守するように申し入れる
③労働基準監督署に相談する
④労働時間の短い会社に転職する

この記事が長時間労働に悩んでいるトラック運転手の方の助けになれば幸いです。

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弁護士 籾山善臣
神奈川県弁護士会所属。主な取扱分野は、人事労務、離婚・男女問題、相続、企業法務、紛争解決(訴訟等)、知的財産、刑事問題等。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。
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