退職勧奨では言ってはいけない言葉があります。
退職勧奨をされたときの対応は、方針を決めたうえで矛盾しないよう慎重に決めなければなりません。
今回は、退職勧奨で言ってはいけない言葉を説明したうえで、退職勧奨されたときの答え方を解説します。
【この記事の要点】
・退職勧奨で言ってはいけない言葉は、退職を認める発言や働く意思がないことを示す発言、異動を一切拒否するような発言などです。
・退職勧奨をされたときの答え方は、「弁護士に相談したいので一度持ち帰らせていただきたいです」とだけ答えて、聞きに徹することがおすすめです。
・退職勧奨の際に会社側は言ってはいけない言葉は、人格を否定する発言、退職を強要する発言、不利益を与える発言などです。
この記事を読めば、退職勧奨をされときにどのように答えればいいのかがよくわかるはずです。

目次
退職勧奨で言ってはいけない言葉とは
退職勧奨で言ってはいけない言葉とは、退職を認めたり、解雇の材料を与えたり、今後不利になってしまう可能性のあるような言葉です。
退職勧奨を受けた際、その場を収めようとして不用意な発言をすることは避けなければなりません。
会社との話し合いで労働者が口にした言葉について、会社側はよく観察していますし、録音したり、議事録を残したりしていることも多いためです。
自分の権利を守り、納得のいく解決を目指すためには、まず「自分の言葉が法的な意味を持つこと」を正しく理解しておくことが大切です。
会社側のペースに流されて返事をしたり、感情にまかせて本音を漏らしたりすると、後から取り消しがつかなくなることもあります。
退職勧奨で失言をした場合のリスク
退職勧奨の場で不用意な一言を発してしまうことには、取り返しのつかない大きなリスクが伴います。
例えば、退職勧奨で失言をした場合のリスクとしては、以下の3つがあります。
リスク1:退職に同意したとされる
リスク2:退職条件の交渉が難しくなる
リスク3:解雇の材料とされる
それでは、失言がどのようなトラブルを招くのか、順番に見ていきましょう。
リスク1:退職に同意したとされる
失言による最も大きなリスクは、法律上、退職に同意したとされてしまうことがあることです。
退職は、退職届や書面による合意だけではなく、口頭でも成立することになります。
例えば、上司の話に対して、退職については分かりましたと発言したと言った発言をしてしまうと、これを録音されて、退職手続きを進められてしまうことがあります。
退職を前提としたような発言も同様です。
日本の法律では、雇用契約上の地位は強く保護されていますが、一度、退職してしまうと保護が弱くなってしまいます。
リスク2:退職条件の交渉が難しくなる
2つ目のリスクは、もし退職を受け入れるとしても、より良い条件を引き出すための「交渉力」が弱まってしまうことです。
会社側は、あなたが「絶対に辞めたくない」と考えているからこそ、退職金の上乗せといった有利な条件を出してでも、納得してもらおうと考えます。
例えば、早い段階で「転職先を探してみます」と言ったり、「今の仕事に未練はありません」と漏らしたりするケースを想像してみてください。
このように「辞めることに抵抗が少ない」と会社側に思われてしまうと、会社はわざわざ多額のお金を支払ったり、有給休暇をすべて消化させたりする必要はないと判断してしまいます。
有利な条件で再出発の準備を整えるためには、自分の考えをすぐに明かしたり、妥協案を自分から提案したりせずに、慎重に言葉を選んで話し合いに臨むことが大切です。
退職勧奨の際の条件交渉は、以下の記事で詳しく解説しています。
リスク3:解雇の材料とされる
3つ目のリスクは、あなたの発言が「解雇」という厳しい処分を正当化するための材料として、会社側に利用されてしまうことです。
証拠などに基づいて事実関係を十分に整理することなく、反論をすると、後から矛盾してしまうことも珍しくありません。
改善の意欲がないとの指摘を受けたり、異動を拒んでいて解雇の回避も困難であったと指摘されたりすることもあります。
退職勧奨で言ってはいけない言葉の例5つ
退職勧奨で言ってはいけない言葉の例としては、以下の5つがあります。
言葉1:「退職自体はわかりました」
言葉2:「私もこの会社で働き続けるつもりはないです」
言葉3:「現在、転職活動をしています」
言葉4:「異動には一切応じるつもりはありません」
言葉5:(方針を決める前に)「●か月分の補償をください」
それでは、それぞれの言葉がなぜいけないのか、順番に見ていきましょう。
言葉1:「退職自体はわかりました」
会社からの退職勧奨に対して、「退職すること自体は承知しました」というような、結論を認める発言は避けましょう。
この一言により、あなたは会社を辞めることに争いはないものとして、その後の交渉の余地がほとんどなくなってしまいかねないためです。
退職手続きを進められてしまうこともあります。
言葉2:「私もこの会社で働き続けるつもりはないです」
「こんな状況では、私もこの会社で働き続けるつもりはありません」という、会社への不満を込めた発言も控えるべきです。
会社側もこの人は、そこまではたらく意思が強くないのだなと感じて、これ以上、良い退職条件などを提示する理由もなくなることになります。
会社側も退職に争いがないのであれば、早く退職届を出したらどうかという固い態度を示してくることになります。
不当な扱いを受けていることへの怒りから、つい「もう未練はありません」と言ったり、売り言葉に買い言葉で「こちらから辞めてやる」と言い返したりするケースがあるかもしれません。
しかし、こうした発言は悪手となり、不利な発言となります。
言葉3:「現在、転職活動をしています」
たとえ水面下で転職活動を始めていたとしても、それを会社側に伝えるのは賢明ではありません。
転職活動をしていることが知られると、その時点で会社側が労働者に有利な退職条件を出す理由はなくなるためです。
会社から今後の予定を聞かれて、「すでに何社か面接を受けています」と答えたり、転職サイトに登録したことを話したりするケースなどです。
会社側は労働者の動向を非常に気にしており、このような労働者の発言で交渉がほとんど不可能になってしまうこともあります。
言葉4:「異動には一切応じるつもりはありません」
「他の部署への異動は絶対に嫌です」というような、配置転換を完全に拒否する言葉もリスクが高いです。
会社側があなたを辞めさせる理由として、「他の仕事を与えようとしたが、本人がわがままを言って拒否した」という実績を作られてしまう恐れがあるためです。
例えば、会社側は、労働者に「無理です」と拒否させる目的で、極端な異動を迫ってくることが少なくありません。
そのような場合には不利な証拠とされないように工夫して回答する必要があります。
言葉5:(方針を決める前に)「●か月分の補償をください」
自分の方針が固まっていない段階で、自分から具体的な金額を提示して「●か月分くれるなら辞めます」と言うのも早計です。
これを言ってしまうと、会社側はその金額があなたの「上限」だと判断し、それ以上の条件を獲得することが難しくなるためです。
例えば、相場を知らないままに「給料3か月分くらいもらえればいいかな」と自分から提案してしまうケースがあるかもしれません。
しっかり交渉をすれば6か月分や1年分が狙えたはずのケースでも、自分から低めの金額を言ってしまうと、そのチャンスを自ら捨ててしまうことになります。
ご相談いただいた際にすでに低い金額を提示してしまっていて、悔しい思いをすることが少なくありません。
退職勧奨されたときの答え方
退職勧奨を受けた際、最もおすすめな答え方は、「弁護士に相談したいので一度持ち帰らせてください」とだけ回答することです。
会社から突然退職を迫られると、誰でも動揺して冷静な判断ができなくなり、つい自分に不利な約束をしてしまう危険があるからです。
まずは話し合いの場を離れて、じっくりと考える時間を作ることが、あなたの生活や権利を守るための最大の防御になります。
例えば、会社側がどれほど返答を急かしてきたり、不安を煽るようなことを言ってきたりしても、焦らず聞きに徹するようにしましょう。
一度その場を離れてしまえば、相手のペースに巻き込まれることなく、自分がこれからどうしたいのかを落ち着いて決められるようになります。
退職勧奨で会社側が言ってはいけない言葉
退職勧奨はあくまで会社からのお願いであり、会社側にも守らなければならないルールが存在します。
労働者の自由な意思を無視して、無理やり辞めさせようとする言動は「退職強要」という違法な行為になる可能性があるからです。
どのような言葉が不適切なのかを知っておくことで、会社からの不当なプレッシャーに対して冷静に対処できるようになります。
例えば、退職勧奨で会社側が言ってはいけない言葉としては、以下の3つがあります。
NG1:人格を否定する発言
NG2:退職を強要する発言
NG3:不利益を与える発言
それでは、会社側のどのような言動が問題になるのか、順番に見ていきましょう。
NG1:人格を否定する発言
会社側が労働者に対して、仕事の能力を超えて人間性や人格を否定するような言葉を浴びせることは許されません。
こうした発言はパワーハラスメントに該当するだけでなく、労働者の精神を著しく傷つける違法な退職勧奨とみなされるためです。
例えば、「君のような無能な人間はこの会社に必要ない」と言ったり、「他の社員の迷惑だから早く辞めてくれ」と罵ったりするケースが考えられます。
また、過去のミスを執拗に責め立てたり、大声で怒鳴り散らしたりすることも、社会通念上許される範囲を超えていると判断されます。
NG2:退職を強要する発言
「辞めるまでこの部屋から出さない」というような、労働者の意思を無視して無理やり退職を迫る発言も大きな問題です。
退職勧奨はあくまで労働者が「辞めてもいい」と納得して初めて成り立つものであり、会社が強制できるものではないからです。
例えば、「明日までに退職届を出さないと大変なことになるぞ」と脅したり、一日に何度も呼び出して長時間拘束したりするケースが想定されます。
本人が「辞めません」とはっきり拒絶しているにもかかわらず、しつこく何度も退職を迫り続ける行為は、違法な退職強要として裁判などで慰謝料の対象になることもあります。
退職強要については、以下の記事で詳しく解説しています。
NG3:不利益を与える発言
「辞めないなら給料を大幅に下げる」「地方の閑職に飛ばす」といった、辞めないことに対して不利益をチラつかせる発言も禁止されています。
このような脅しによって退職を迫ることは、労働者の自由な判断を妨げる悪質な行為とみなされるためです。
例えば、正当な理由がないのに「自己都合で辞めないなら、懲戒解雇にして退職金をゼロにする」と告げたり、配置転換をエサにして退職を迫ったりするケースがあります。
本来、給与の減額や配置転換には厳格なルールが必要であり、退職させるための道具として使うことは認められていません。
退職勧奨で言ってはいけない言葉についてよくある疑問
退職勧奨で言ってはいけない言葉についてよくある疑問としては以下の3つがあります。
Q1:遠回しの退職勧奨は許される?
Q2:よくある退職勧奨の言い方の例文は?
Q3:言葉以外に退職勧奨でしてはいけないことは?
これらの疑問を順番に解消していきましょう。
Q1:遠回しの退職勧奨は許される?
A.遠回しであれ、直接的であれ、退職勧奨をすること自体は、問題ありません。
ただし、遠回しであっても、退職を強要したり、ハラスメント行為をしたりすることは、許されません。
Q2:よくある退職勧奨の言い方の例文は?
A.ある日、人事から面談が設定されることになります。
面談では、あなたのパフォーマンスは会社の期待を満たしていない、会社の業績が悪く人員を削減する必要があるなどと言われます。
そして、会社側から、退職日や退職の条件などを伝えられ、退職に応じていただけるのであれば合意書にサインするようにと言われます。
この提案の期限は1週間であり、●月●日までに回答を聞かせてほしいなどと言われることもあります。
Q3:言葉以外に退職勧奨でしてはいけないことは?
A.言葉以外でも、態度によってもしてはいけないことがあります。
退職は言葉だけではなく、態度によっても成立するためです。
例えば、退職に応じる前に退職手続き書類を請求したり、何ら留保を付さず引き継ぎや貸与品の返還に協力したりすることです。
退職勧奨への対応はリバティ・ベル法律事務所にお任せ
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まとめ
以上のとおり、今回は、退職勧奨で言ってはいけない言葉を説明したうえで、退職勧奨されたときの答え方を解説しました。
この記事が退職勧奨をされてどのように答えればいいのか悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。





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