会社からの解雇が不当である場合にどのくらいの慰謝料を請求することができるか気になりますよね。
不当解雇の慰謝料相場は、
といわれています。
実際に、労働者が被った精神的苦痛を考えれば少ないと感じてしまう方が多いでしょう。
少しでも慰謝料を増額するためには、最低限以下の3つのことをするべきです。
①弁護士に相談すること
②証拠を収集すること
③労働審判・訴訟を活用すること
実際、十分に準備せずに慰謝料を請求した場合には、解雇の無効が確認されたとしても、慰謝料が1円も認められないということも多いです。
しかし、不当解雇で苦しんだ以上は正当な慰謝料が認められるべきです。慰謝料がどのような場合に認められるものなのかをしっかり理解したうえで適切な金額を勝ち取りましょう。
事案によっては、裁判所に精神的苦痛を評価してもらうことができ、
の慰謝料が認められた事案もあります。
また、解雇が不当である場合に労働者が請求できるのは、慰謝料だけではありません。むしろ、メインとなる請求は慰謝料以外の請求です。
実際、慰謝料が50万円~100万円程度にとどまっているのは、労働者がこれらの慰謝料以外の請求もできることが考慮されているためです。
そのため、慰謝料以外の請求権について知ることなくして、正当な金額を会社に請求することはできません。
この記事では、以下の順序で説明していきます。
この記事が少しでも不当解雇に悩んでいる方々の助けになれば幸いです。
不当解雇の慰謝料については、以下の動画でも詳しく解説しています。
目次
不当解雇の場合に慰謝料は貰える!
不当解雇された場合には、会社に対して、慰謝料を請求することができます。
以下では、
・不当解雇で慰謝料をもらうための4つの条件
・パートや派遣社員でも貰えること
・不当解雇で慰謝料を勝ち取った判例
について見ていきます。
不当解雇で慰謝料をもらうための4つの条件
不当解雇において慰謝料を請求するためには、以下の4つの条件を満たすことが必要です。
なぜなら、慰謝料請求が認められるには、労働者が違法に権利を侵害されて、損害を受けたと証明できる必要があるためです。
4つの条件は以下のとおりです。
①解雇が不当であること
②解雇が著しく社会的相当性に欠けること
③会社側に故意・過失があること
④労働者に特段の精神的苦痛が生じていること
それでは、順に説明していきます。
不当解雇であること
まず、慰謝料請求が認められるには、解雇が不当であることが必要です。
不当解雇といえるのは、以下の3つのいずれかの場合です。
⑴ 合理性・相当性がない場合
⑵ 解雇の手続きが守られていない場合
⑶ 解雇が禁止される事項に当たる場合
合理性・相当性がないというのは、十分な業務指導がされていない場合や会社に損害が生じていない場合、配置転換などの解雇以外の方法を検討していない場合などがこれに当たります。
解雇手続きが守られていない場合というのは、懲戒解雇をする際に、賞罰委員会で決議することが必要であったのにこれを行っていない場合や労働者に事情を説明する機会を与えていない場合などです。
解雇が禁止されている事項に当たる場合というのは、業務上のケガや病気で休業している期間に解雇された場合や産前産後休業期間に解雇された場合などです。
詳しくは以下の記事で説明しています。
解雇が著しく社会的相当性に欠けること
不当解雇につき慰謝料請求をするには、解雇が著しく社会的相当性に欠けることが必要です。
なぜなら、慰謝料請求が認められるには、違法に権利を侵害していると言えることが必要なためです。
裁判例も、違法な権利侵害といえるには、解雇権が濫用となるだけではなく、著しく社会的相当性に欠けるものであることが必要としています(東京地判平23.11.25労判1045号39頁[三枝商事事件])。
具体的には、「趣旨・目的」、「手段・態様」を考慮して、相当でないことが必要です。
「趣旨・目的」が相当でないのは、以下のような場合です。解雇が無効であることが明白な場合には、以下のような目的であることが推認されるでしょう。
☑嫌がらせ目的である場合
☑労働者のことが嫌いである等の主観的な理由の場合
「手段・態様」が相当でないなのは、以下のような場合です。
☑会社の態様が必要以上に急である場合
☑労働者の意見や弁解を全く無視している場合
☑会社が解雇理由を明確にしない場合
そのため、慰謝料を請求するには、解雇が、その「趣旨・目的」、「手段・態様」から、著しく社会的相当性を欠くといえることが必要です。
会社側に故意・過失があること
不当解雇につき慰謝料を請求するには、会社側に故意・過失があることが必要です。
なぜなら、民法上「故意・過失」が慰謝料請求をするために必要とされているためです。
「故意・過失」をより分かりやすく言うと、会社側が解雇は無効であることを知っていた若しくは知り得たのに、漫然とこれを行ったことをいいます。
具体的には、解雇が無効であることが明白な場合には、会社側に故意・過失が認められます。
解雇が無効であることが明白な場合とは、例えば、以下のような場合です。
☑解雇理由が存在しないとき
☑解雇理由が会社側の主観的なものにすぎないとき
☑解雇理由が極めて軽微なものであるとき
また、解雇が無効であることが明白とはいえない場合であっても、以下の場合には会社側の過失が認められる余地があります。
☑会社代表者の労務管理経験が豊富である場合
☑法律の専門家たる弁護士の意見を聞く機会がある場合
なぜなら、これらの場合については、会社側は、解雇が無効であることを知りえた可能性が高いためです。
このように、慰謝料を請求するには、会社側の故意過失が必要なのです。
労働者に特段の精神的苦痛が生じていること
不当解雇につき慰謝料を請求するには、労働者に特段の精神的苦痛が生じていることが必要です。
特段の精神的苦痛というのは、解雇の無効が確認されて、解雇後の賃金が支払われても癒えないような、大きな精神的苦痛のことです。
なぜなら、労働者は、解雇の無効が確認されて、解雇後の賃金が支払われれば、一定の精神的苦痛は癒えるものと考えられているためです。
精神的苦痛の大きさをどのように判断するかについては、不当解雇の慰謝料相場の箇所で解説します。
アルバイトやパート、派遣社員でも貰える!
アルバイトやパート、派遣社員であっても、不当解雇をされれば慰謝料を請求することができます。
なぜなら、アルバイトやパート、派遣社員であっても、会社と雇用契約を締結している以上は労働者であり、安易に解雇してはいけないためです。
不当解雇で慰謝料を勝ち取った判例
不当解雇で慰謝料を勝ち取った事例として、以下の3つの事例があります。
・会社代表者の労務管理経験が豊富であった事例
・弁護士の意見を聞くことができたとした事例
・嫌がらせを伴う事例
それでは順に見ていきましょう。
会社代表者の労務管理経験が豊富であった事例
会社代表者の労務管理経験が豊富であることを理由に会社の不法行為責任を認めて慰謝料を肯定した判例に、三枝商事事件があります。
解雇を回避するための手段・方法を検討することなく解雇された事案において、
裁判所は、この会社の社長は、長年にわたって会社の代表者として従業員の労務管理を経験してきたものと推認される代表取締役であって、その経験に基づき通常行う必要がある調査や注意をしていれば、性急な解雇は許されないと認識できたとして、過失を認めました。
このように、会社代表者の労務管理経験が豊富である場合には、慰謝料請求が認められやすい傾向にあります。
(参照:東京地判平成23.11.25労判1045号39頁)
弁護士の意見を聞くことができたとした事例
会社が弁護士の意見を聞くことで解雇が無効であることに気づくことができたことを理由に会社の不法行為責任を認めて慰謝料を肯定した判例に、東海カーボン事件があります。
会社が労働組合の統制処分に介入し違法な除名を強要したうえで、労働組合に加入していないことを理由にユニオンショップ協定に基づき解雇された事案について、
裁判所は、会社は法律専門家たる弁護士の意見を聞く等相当の注意をすれば、解雇が無効であることを認識できたはずであるとして、過失を認めました。
このように、会社が弁護士の意見を聞くことで解雇が無効であることに気がつくことができた場合には、慰謝料が認められやすい傾向にあります。
(参照:福岡地小倉支判昭52.6.23労民28巻3号196頁(第1審)、控訴審も同様の結論を維持)
嫌がらせを伴う事例
嫌がらせが繰り返し行われていたこと等を理由に会社の不法行為責任を認めて慰謝料を肯定した判例に、国際信販事件があります。
会社が労働者に対して約2か月間にわたり具体的な仕事を与えずにその後も仕事らしい仕事を与えなかったこと、他の従業員から「永久に欠勤」と書かれる・侮辱的な発言を受けるなどされているのに防止措置を採らなかったこと等を理由に会社の不法行為責任を認めました。
このように、解雇に際して嫌がらせが行われていた場合には、慰謝料が認められやすい傾向にあります。
(参照:東京地判平14.7.9労判836号104頁)
不当解雇の慰謝料相場は50万円~100万円程度
不当解雇の慰謝料相場は、
とされています。
不当解雇の事案では、以下の2つの理由から慰謝料が高額にならない傾向にあるためです。
①解雇が無効であることを確認してその会社で働き続けることができること
②解雇されてからの賃金を請求することができること
以下では、不当解雇の慰謝料について、
・どのような事情が考慮されるのか
・具体的な事案における慰謝料金額
について説明していきます。
どのような事情が考慮されるのか
不当解雇の慰謝料金額を決めるにあたっては、以下の事情が考慮されます。
①解雇が労働者の意見や弁解を全く無視して行われているなど悪質性が高いかどうか
②勤務内容、回数、期間
③労働者にも落ち度があるかどうか
④仮の地位を定める仮処分により、労働者が賃金の仮払いを受けることができているか、
⑤解雇が撤回されたか
⑥労働者が独身であるかどうか
⑦解雇により適応障害、うつ病等の精神疾患等が生じているかどうか
⑧使用者が解雇理由を明確に説明していたかどうか
⑨労働者の名誉棄損の程度
⑩嫌がらせ行為や減給行為の有無
⑪労働者が解雇後に再就職しているか、再就職に要した期間
⑫解雇後雇用契約上の権利を有する地位が確認できるまでの不安定な期間の長さ
具体的事案で見る慰謝料金額
慰謝料の金額は、具体的事案ごとに異なります。
そのため、以下では事案ごとに認容された金額を見てみましょう。
・解雇の理由の大半が事実に基づかない事案
・解雇予告に際して理由を説明せずに基本給も減額した事案
・労働者の行為が刑法に触れるなどの記載をされた事案
・パワハラを伴う事案
・うつ病を発症した事案
の順で説明していきます。
解雇理由の大半が事実に基づかない事案[15万円を認容した例]
パッケージツアーの添乗員として派遣されていた労働者が解雇された事案において、
会社の主張する解雇理由の大半が事実に基づくものとは認められないこと、労働者の従事した添乗業務の回数・内容、勤続年数等諸般の事情が考慮されて、
の慰謝料が認められました。
(参照:東京地判平17.1.25労判890号42頁[S社事件])
解雇予告に際して理由を説明せずに基本給も減額した事案[30万円を認容した例]
医療法人の職員が解雇された事案において、
会社が解雇予告に際して解雇理由についての説明をせず、その後も業務命令違反と称して基本給の半分に当たる金額を一方的に給与から控除するなどの嫌がらせを行うなどした点が考慮されて、
の慰謝料が認められました。
(参照:大阪地判平成22.7.15労判1014号35頁[医療法人大生会事件])
労働者の行為が刑法に触れるなどの記載をされた事案[70万円を認容した例]
家具の製造販売をする会社に従事していた解雇された事案について、
懲戒解雇通知書に、労働者の行為が刑法に触れる旨の記載があり、また、会社は自ら再建案を指示しておきながら、後日になってこれを否定し、取引先との取引停止や他の従業員の退職の原因ないし責任が全て労働者にあるとするなどしたことが考慮されて、
の慰謝料が認められました。
(参照:大阪地判平14.7.5労判833号36頁[西尾家具工芸社事件])
パワハラを伴う事案[100万円を認容した例]
労働者が他の従業員から継続的に暴行や暴言を受けていたにもかかわらず、会社はこれを止めず、パワハラを受けていた労働者を解雇した事案において、
暴言の内容・態様、解雇前の賃金受給状況等を考慮し
の慰謝料が認められました。
(参照:名古屋地判平16.7.30裁判所ウェブサイト)
うつ病を発症した事案[150万円を認容した例]
旅行業を営む会社に従事していた労働者が解雇された事案について、
労働者がうつ病との診断を受けたこと、その後も数か月にわたり医師によるカウンセリングを受けたこと、本件解雇により事実上退職を余儀なくされたことが考慮されて、
の慰謝料が認められました。
(参照:東京地判平14.7.9労判836号104頁[国際信販事件])
試用期間中における不当解雇の慰謝料については、勤務期間が短いため慰謝料金額が低額となることもあります。
しかし、強く勧誘されて前職を退職のうえ就職したのに不当に解雇された場合には慰謝料金額が高額になることがあります。
不当解雇で慰謝料を増額するために行うべき3つのこと
本気で正当な慰謝料を請求したい場合には相応の準備をするべきです。
なぜなら、慰謝料は、解雇が無効であれば必ずもらえるというわけではないためです。
不当解雇で慰謝料を増額するためには、次の3つのことが重要です。
①不当性や精神的苦痛を裏付ける証拠を集める
②労働審判又は訴訟を利用する
③弁護士に相談する
それでは、順に説明していきます。
証拠を集める
慰謝料を増額するためには、十分な証拠を集めることが大切です。
なぜなら、裁判で争いになった事実については、立証することができなければ、なかったものとして扱われてしまうからです。
不当解雇で慰謝料を増額するために集めるべき証拠には、例えば以下のようなものがあります。
①録音
②メール
③メモ
④写真
⑤診断書
録音
証拠を集める手段として、社長や上司の発言を録音する方法があります。
例えば、社長や上司から、
・「早く会社をやめろ」と言われた場合
・他の人がやりたくないような仕事や達成困難な仕事を押し付けられた場合
などには録音するべきです。
ただし、会社から録音をしないように言われた場合には、日常業務中における録音を控えましょう。
なぜなら、制限されているのに録音を続けることを解雇事由として主張されるリスクがあるためです。
この場合には、以下に紹介するような別の方法により証拠にしましょう。
メール
メールを残しておくことでも証拠になります。
なぜなら、メールには社長や上司が述べたことが明確に残っているためです。
例えば、メールにより理不尽な発言をされたような場合などです。
メモ
労働者自身で記憶が鮮明なうちにメモや日記に残しておくことでも証拠になります。
口頭の発言などはいきなり言われるので録音が難しい場合も多いでしょう。また、理不尽な発言をメールではしない上司や社長もいます。
そのような場合には、可能な限り具体的に、日時、場所、状況、発言者、発言内容、前後の文脈をメモしましょう。
より証拠価値を上げたい場合には、公証役場に行き、メモに確定日付を押してもらう方法があります。
確定日付というのは、変更のできない確定した日付のことで、これを押してもらうことにより、その日に書面が存在していたことが証明されます。
確定日付が押されていれば、少なくとも、その日よりも前にメモが作成されたことが裏付けられます。
そのため、記憶が鮮明なうちに作成したと説明することができます。
写真
社長や上司の発言ではなく、その状況を記録したい場合には、写真に残すという方法があります。
例えば、嫌がらせを受けた場合や暴力を振るわれた場合などです。
診断書
解雇の際のストレスが原因でうつ病や適応障害を発症した場合には、その診断書を証拠とする方法があります。
気になる症状が出ている場合には、早めに受診をした方がいいでしょう。
忙しいことなどを理由に受診の時機を逸してしまうと、発症の原因は解雇ではないのではないかと会社から反論されることになります。
裁判所を利用する
不当解雇の慰謝料を増額したい場合には、裁判所を利用するべきです。
裁判所を使わない手続きですと、第三者に事実関係や証拠からどのような権利が認められるのかを十分に審査してもらえるわけではありません。
会社にも言い分があり、その言い分がどれだけ不合理なものであっても、会社がその言い分に固執してしまえば、正当な慰謝料金額は獲得できないのです。
これに対して、裁判所を利用すると、事実関係や証拠を十分に見てもらうことができ、会社の言い分が不合理であれば、その様に指摘してもらうことができます。
例えば、裁判所を使わずに話し合いの解決を目指すあっせんですと半数以上の事件の解決金額が20万円未満であると言われています。
これに対して、裁判所を用いた労働審判や訴訟ですと、解決金額が20万円未満である事件は5%~6%前後であり、半数以上の事件の解決金額が100万円以上であると言われています。
このことからも、より多くの慰謝料若しくは解決金を獲得するという観点からは、裁判所を利用するべきなのです。
弁護士に相談する
不当解雇の慰謝料を増額したい場合には、弁護士に相談するべきです。
なぜなら、慰謝料請求については法的な問題ですし、具体的事案に応じてどのような主張をするべきか、どのような証拠を集めるべきかをアドバイスしてもらうことができるためです。
また、弁護士に依頼すれば、代わりに会社と交渉してもらうことができますし、交渉における会社の提案に納得できなければ労働審判や訴訟を代理してもらうこともできます。
そのため、弁護士に依頼した場合には、正当な慰謝料金額や解決金額を獲得できるのです。
確かに、弁護士に相談すると弁護士費用がかかってしまいます。
しかし、獲得できる金額も増える可能性が高いため、経済的に見ても依頼してしまう方が合理的なことが多いでしょう。
参考までに、多くの弁護士が採用している報酬基準によると、着手金と報酬金の金額は以下のように計算されます。
※旧弁護士報酬基準
例えば、150万円の慰謝料を請求して、100万円の慰謝料が認められたとします。この場合には、着手金は150万円×8%=12万円、報酬金は100万円×16%=16万円となります。
ただし、不当解雇を争う場合には、慰謝料以外の請求をすることも多いので、通常は、他の請求も加味して弁護士費用が決まります。
そのため、慰謝料を増額したい場合には、まずは弁護士の初回無料相談などを利用して、注意点や見通し、費用について相談してみましょう。
不当解雇で慰謝料を請求する流れ
不当解雇の慰謝料を請求する場合には、以下の手順に従い請求していくことになります。
STEP1:解雇理由証明書を請求する
STEP2:解雇理由を検討する
STEP3:慰謝料を請求する
STEP4:交渉を行う
STEP5:労働審判又は訴訟の申し立て
順に見ていきましょう。
STEP1:解雇理由証明書を請求する
不当解雇で慰謝料を請求する前提として、まずは、会社に対して解雇理由証明書の交付を請求します。
解雇理由証明書の請求方法については、以下の記事に詳しく書いていますのでご参照ください。
STEP2:解雇理由が不当かを検討する
次に、解雇理由が不当かを検討します。
先ほど、説明したように解雇に合理性・相当性がない場合や解雇が禁止される事項に当たる場合には、不当となります。
そのため、解雇理由証明書を確認して、これらを確認することになります。
STEP3:不当解雇の慰謝料を請求する旨を通知する
不当解雇で慰謝料を請求する場合の請求書については、例えば以下のように記載します。
【書き方の例】
※御通知のダウンロードはこちら
※こちらのリンクをクリックしていただくと、御通知のテンプレが表示されます。
表示されたDocumentの「ファイル」→「コピーを作成」を選択していただくと編集できるようになりますので、ぜひご活用下さい。
解雇の撤回や就労の意思については、復職の意思があり、解雇後の賃金を請求したい場合には記載します。
精神的苦痛については、具体的事情に応じて、なぜ精神的苦痛を受けているのかについても記載できるといいでしょう。
また、先方からの回答をいつまで待つかなど悩むことがないように、「本書面到達後2週間以内」などの期限を定めることが考えられます。
STEP4:交渉をする
慰謝料を請求した後は、会社からの回答などを踏まえて、交渉を行うことになります。
会社が慰謝料の支払いを認めることは少ないので、会社の反論を踏まえて、解雇が不当であることを説得的に説明する必要があります。
STEP5:労働審判・訴訟を申し立てる
会社と交渉をしても解決しない場合には、労働審判や訴訟を申し立てることになります。
労働審判というのは、3回の期日で迅速に調停を目指すもので、調停が成立しない場合には裁判所の一時的な判断が出されます。
労働審判とはどのような制度かについては、以下の動画でも詳しく解説しています。
訴訟というのは、労働審判と異なり期日の回数などの決まりはありません。通常、1か月に1回程度期日が入り、交互に主張を繰り返します。解決まで1年程度を要することもあります。
不当解雇の慰謝料の請求は自分で行うこともできますが、ハードルが高いためおすすめはしません。
多くの場合、会社には顧問弁護士がつきますので、裁判例などを挙げて解雇が正当であることを主張してきます。
また、交渉が成立しない場合には、労働審判や訴訟などの裁判所を用いた手続きを行う必要があります。
そのため、自分自身で慰謝料請求するというのは難しいのです。
仮に、弁護士に頼まずに交渉するにせよ、弁護士の初回無料相談であれば費用はかかりませんので、注意点だけでも確認してから進めるべきでしょう。
なぜなら、自分でも気がつかないうちに不利な主張や行動をしてしまっていることなどもあるためです。
また、会社に対して請求をする前に自分がどのような権利を持っているのかを知るべきだからです。
不当解雇の慰謝料の時効は3年
不当解雇の慰謝料の時効は、
です。
民法上、不法行為に基づく損害賠償請求権は、被害者が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅するとされているためです。
もっとも、3年を超えない場合であっても、解雇を争う意向があるときは、これを長期間放置しておくことは望ましくありません。
なぜなら、会社から解雇に同意したものと主張される場合があるためです。
そのため、解雇をされたら早めに行動を起こすことが大切です。
不当解雇の場合における慰謝料以外の請求権
不当解雇の場合に請求することができるのは、慰謝料だけではありません。
不当解雇の慰謝料が高額にならない傾向にあるのは、これらの別の請求権により労働者の損害が一定程度填補されるためです。
そのため、慰謝料以外の請求についても重要となりますので、忘れずに検討をする必要があります。
それでは、解雇を争う場合と解雇を争わない場合で請求できる権利が違いますので、それぞれの場合について説明していきます。
解雇を争う場合
解雇を争う場合には、慰謝料以外にも、以下の請求をすることができます。
①雇用契約上の権利を有する地位の確認
②解雇後の賃金請求
解雇をされた会社に戻る意思がある方は、慰謝料請求に加えて、これらの請求も行うべきです。
順に見ていってみましょう。
雇用契約上の権利を有する地位の確認
解雇を争う場合には、会社に対して、雇用契約上の権利を有する地位を確認していきます。
なぜなら、会社は労働者を解雇したと主張しているため、労働者が現在も従業員なのかどうかを明らかにしないと、法律関係が不明確になり困ってしまうためです。
解雇が不当なものとして無効になれば、労働者は、現在も、雇用契約上の権利を有する地位にあるということができます。
解雇後の賃金請求
次に、解雇を争う場合には、会社に対して、解雇後の賃金を請求していきます。
なぜなら、会社は、労働者を解雇するとその後の賃金を支払わなくなってしまうためです。
解雇が無効な場合には、労働者が働くことができなかった原因は会社にあることになります。
そのため、労働者は、解雇をされた後、働いていなくても賃金を請求することができます。
ただし、以下の2点については、注意が必要です。
まず1点目として、労働者が会社で働く意思がなくなってしまった後は、賃金を請求することができません。解雇後の賃金を請求するためには、会社から戻ってくるように言われた場合には、これに応じるという意思が必要です。
次に2点目として、解雇後に他の会社で働いていた場合には、請求できる金額が平均賃金の6割を限度に制限されることになります。
バックペイ(解雇後の賃金)については、以下の動画でも詳しく解説しています。
解雇を争わない場合
解雇を争わない場合には、慰謝料以外にも、以下の請求をすることが考えられます。
①解雇予告手当の請求
②退職金の請求
③賃金相当額の損害賠償請求
解雇された場合に、会社に戻りたくない方は、慰謝料以外に、これらの請求も検討するべきです。
順に見ていってみましょう。
解雇予告手当の請求
労働者は、解雇をされる際に、会社から30日前に予告をされていない場合には、解雇予告手当を請求することができます。
解雇予告手当を請求する権利は労働基準法に規定されています。
ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合または労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇される場合には、解雇予告手当を請求できません。
労働者の責に帰すべき事由として解雇予告手当を請求することができないのは、例えば以下の場合です。
①事業場内における刑法犯に該当する場合
②賭博、風紀紊乱等により職場秩序を乱し他の労働者に悪影響を及ぼす場合
③経歴を詐称していた場合
④他の事業場へ転職した場合
⑤2週間以上正当な理由なく無断欠勤した場合
⑥勤怠不良で複数回注意を受けても改めない場合
退職金の請求
会社に退職金規程がある場合には、解雇をされた場合でも、これに従い退職金を請求できる可能性があります。
なぜなら、解雇をされた場合でも、労働者が退職することになることは、定年退職や自主退職の場合と変わらないからです。
ただし、退職金に関するルールは会社ごとに決められています。懲戒解雇の場合には退職金を支給しない旨が規定されていることがあります。
そのため、退職金を請求する場合には、まずは会社に対して退職金規程の開示を求めることになります。
賃金相当額の損害賠償請求
不当解雇を争わない場合においては、解雇されてから再就職までの賃金相当額の損害賠償を請求することが考えられます。
なぜなら、解雇されると賃金が支払われなくなり、労働者に経済的な損害が生じるためです。
ただし、実際に請求できる期間は再就職までに必要な期間に制限されることが多いため、無制限に請求できるというわけではありません。
不当解雇された場合には早めに弁護士に相談すべき
不当解雇をされた場合には、早い段階で弁護士に注意点を確認しておくべきです。
理由は以下の4つです。
・具体的事案に応じて慰謝料請求の助言を受けられる!
・慰謝料以外の請求権も検討してもらえる!
・解雇を争う場合の注意点を教えてもらえる!
・初回無料相談を利用すれば費用をかけずに見通しを聞ける!
順に見ていきましょう。
具体的事案に応じて慰謝料請求の助言を受けられる!
弁護士に相談することで、具体的事案に応じて、裁判例や証拠に照らして、労働者にとして、どのように慰謝料を請求していくべきかについて助言してもらうことができます。
自分自身で慰謝料を請求しようとすると、以下のような悩みが生じることがあるでしょう。
・解雇が不当なのか
・いくらの慰謝料が妥当なのか
・通知書の記載はこれでいいのか
・交渉がまとまった場合にはどのような合意書を作ればいいのか
・裁判所への申し立てはどうすればいいのか
・会社側に顧問弁護士がついて反論してきたが、この反論は正当なのか
弁護士に相談すれば、これらの悩みについて、具体的な事案に応じて、助言をしてもらうことができます。
例えば、労働者が自分で作成した通知書ですと書くべき記載を書いていない場合や、労働者自身に不利益な記載となってしまっている場合が非常に多く見受けられます。
労働者も会社と対等な立場で慰謝料を請求していくためには、弁護士に相談して、法的な知識を身に着けておくことが大切となります。
慰謝料以外の請求もできる可能性が高まる!
弁護士に相談することで、慰謝料以外の請求もできる可能性が高まります。
これまで見てきたように、慰謝料金額の相場は決して高いものではありません。
労働者が満足のいく解決をするためには、むしろ慰謝料以外の請求を検討することが重要となります。
不当解雇の慰謝料金額の相場自体は低いですが、弁護士に相談することで、
・解雇後の賃金
・退職金
・解雇予告手当
といった事項についても教えてもらうことができます。そして、適切な助言を受けることで、これらを請求をできる可能性も高まるのです。
そのため、弁護士に慰謝料以外の請求をできないかについても確認してみることがおすすめです。
解雇を争う場合の注意点を教えてもらえる!
弁護士に相談することで、解雇を争う場合の注意点を教えてもらうことができます。
解雇を争う場合には、自己の主張と矛盾しないように一貫した対応をする必要があります。
自分自身で解雇を争っていると以下のような場合にどのように行動すべきか悩みが生じることがあるでしょう。
・失業保険を受給する場合
・健康保険証の返却を求められた場合
・私物の引き取りをする場合
労働者が解雇を認めるような対応をすると、会社から解雇に同意していたとの反論をされることがあります。
労働者が一度した行動は、後からこれをなかったことにすることはできません。
弁護士に相談すれば、このような場合に、どのように対応すればいいのかを具体的に教えてもらうことができます。
上記場合における行動につき会社から反論されるリスクは、どのように対処すればいいのかという知識を持っていれば簡単に避けることができる問題です。
このように弁護士に相談することで、解雇を争う場合の注意点を知ることができるのです。
初回無料相談を利用すれば費用をかけずに見通しを聞ける!
弁護士の初回無料相談を利用すれば、費用をかけずに見通しを聞くことができます。
慰謝料請求をしていく流れや依頼した場合の費用なども、教えてもらうことができます。
初回無料相談利用するデメリットは特にありません。
そのため、弁護士に依頼するか迷っている方でも、まずは初回無料相談を利用してみることがおすすめです。
まとめ
以上のように、この記事では、不当解雇の慰謝料相場とこれを増額する方法について解説しました。
この記事の内容を簡単にまとめさせていただきます。
不当解雇の慰謝料相場は、
です。
不当解雇の慰謝料を増額するには、以下の3つのことを行うべきです。
・証拠を集める
・労働審判・訴訟を利用する
・弁護士に相談する
また、不当解雇をされた場合には、慰謝料以外にも以下のような請求をすることができる可能性があります。
・雇用契約上の権利を有する地位の確認
・解雇後の賃金の請求
・解雇予告手当の請求
・退職金の請求
・解雇後の賃金相当額の損害賠償請求
この記事が少しでも不当解雇に悩んでいる方の役に立てば幸いです。
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