近年、未払残業代の請求が増加傾向にあります。神奈川県の就労状況や残業代金額については、どのような状況にあるのでしょうか。また、神奈川県において、残業代の支払いを請求していく場合にはどのような機関を活用することができ、どのように弁護士を選ぶべきでしょうか。
今回は、神奈川県における未払残業代請求について解説します。
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目次
神奈川県における勤労統計
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「神奈川県毎月勤労統計調査地方調査結果報告令和2年1月分(速報)」を抜粋すると、給与、労働時間、雇用は、30人以上の規模の事業所では、以下のとおりとなっています。
【給与】(1人平均月間)
【労働時間】(1人平均月間)
【雇用】
所定外給与とは、所定の労働時間を超える労働(超過労働)に対して支給される給与や、休日労働、深夜労働に対して支給される給与のことで、一般的に、残業代と称されるものです。従って、神奈川県における30人以上の規模の事業所における令和2年1月分の残業代は、1人当たり平均月間「24,457円」であることが分かります。
また、前記「神奈川県毎月勤労統計調査地方調査結果報告令和2年1月分(速報)」の産業別の対比を抜粋すると、30人以上の規模の事業所では、以下のとおりとなっています。
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神奈川県における最低賃金
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一定の地域ごとに最低賃金が定められています。これを地域別最低賃金といいます。
神奈川県の最低賃金は、以下のとおりです。
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労働条件が地域別最低賃金を下回る場合には、その労働条件については無効となり、最低賃金と同様の定めをしたものとみなされます。そのため、労働者は、最低賃金を下回る賃金しか支払われていない場合には、その差額を請求することができます。
また、割増賃金の計算についても、最低賃金を前提に計算し直す必要があります。そのため、未払い残業代についても請求できる可能性があります。
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神奈川県における労働基準監督署
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残業代の未払いについては、労働基準法違反ですので、労働基準監督官に申告したうえで、是正の勧告を求めることが考えられます。
神奈川県における労働基準監督署及び各管轄地域は、以下のとおりです。
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神奈川県における裁判所
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訴えは、被告の普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所の管轄に属します(民事訴訟法4条1項)。
神奈川県内の地方裁判所及び簡易裁判所と各管轄区域は、以下のとおりです。
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横浜地方裁判所(本庁)には、労働集中部があり、第7民事部が労働集中部になっています。集中部とは、事件数が多い庁について、その知見及びノウハウを集中的に活用するものです。
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横浜地方裁判所における労働審判事件の推移
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横浜地方裁判所における労働審判事件の新受件数は、以下のとおりです(品田幸男「労働審判制度の概要と課題-制度開始10年目を迎えて」法律ひろば68巻5号4頁以下)。
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![労働審判とは?](https://legalet.net/niwp/wp-content/uploads/2020/01/acf68c33fdc907b44a170e336acbdde9-320x180.png)
失敗しない弁護士の選び方
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では、残業代を請求しようと考えた場合に、どのように弁護士を選べばよいでしょうか。
ポイント1:労働事件に詳しい弁護士に依頼する
まず、弁護士に依頼する場合には、労働事件に詳しい弁護士に依頼することが重要となります。
労働事件に詳しい弁護士には、労働者側の事件と使用者側の事件を両方扱っている弁護士や、労働者側の事件しか扱わない弁護士、使用者側の事件しか扱わない弁護士など、様々な方がいます。
例えば、労働者側の事件と使用者側の事件を両方扱っている弁護士であれば、使用者側の主張の意図や交渉方法を熟知しているため、その知見を活かして、事件を進めていくことが可能でしょう。
ポイント2:自宅に近い法律事務所を選ぶ
通常、弁護士に事件を依頼した後も、相手方からの主張や資料を踏まえて、依頼者と弁護士との間で、定期的に事実確認や意向確認のための面談が行われます。そのため、自宅の近くの法律事務所や職場の近くの法律事務所を選ぶといいでしょう。例えば、仕事帰りなどに相談に行きやすい事務所ですと負担が少ないでしょう。
ただし、近年は、オンラインにより面談を行うことも可能となってきています。そのため、遠方であっても面談できる体制が整っているのであれば、この点についてはそこまで気にする必要はないでしょう。
ポイント3:報酬体系を確認する
弁護士の報酬体系については、様々です。着手金と報酬金の2種類の報酬から構成されている場合が多いですが、近年、着手金0円で完全成功報酬制を採用している事務所も増えてきています。
着手金が必要な場合のデメリットは、請求に失敗してしまった場合に着手金は戻ってこない点です。
完全成功報酬制の場合のデメリットは、着手金・報酬金制よりも、報酬の割合が高めに設定されていることがある点です
ポイント4:話しやすい弁護士に委任する
残業代の請求は、訴訟に至る場合などは長期間に及ぶ場合があり、複数回の面談等が必要となります。面談では、事実の確認や意向の確認などのコミュニケーションが必要になります。
そのため、依頼者の方が、弁護士を選ぶ際には、自分の気持ちを話しやすいか、話を聞いてもらうことができているか、話すのが苦痛ではないかなども重要となるでしょう。
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参考リンク
神奈川県毎月勤労統計調査地方調査結果報告令和2年1月分(速報)