労働問題

7連勤は違法?労働基準法の連続勤務日数や連続勤務時間の上限と罰則

7連勤は違法?労働基準法の連続勤務日数や連続勤務時間の上限と罰則
悩み

過酷な連続勤務に心身ともに疲弊していませんか

お給料も十分にもらえていないのに、休みなく働かされていると、不満に感じてしまいますよね。

労働基準法上、連続勤務日数の上限は、原則として12日とされています。

連続勤務時間の上限は、原則として1日8時間、週40時間とされています。

これを超えて、労働者を業務に従事させるためには、例外的な条件を備えている必要があります。

会社がこれに反して労働者に連続勤務を行わせる場合には、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金を科すとされています。

また、連続勤務は、労働基準法の問題のみならず、長時間労働として安全配慮義務や雇用保険上の離職理由(会社都合退職)にもかかわってきます。

実は、私が日々相談を受ける中でも、休みなく連続勤務を行うことに苦しんでいる労働者の方がたくさんいるのです。

この記事をとおして、労働基準法では連続勤務についてどのような規制がされているのかを知っていただければと思います。

今回は、労働基準法上の連続勤務日数や連続勤務時間の上限と罰則について解説していきます。

具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事で分かること

この記事を読めば、労働基準法では連続勤務についてどのように規制されているのかがよくわかるはずです。

 

 

 

労働基準法上の連続勤務の上限は?

労働基準法では、連続勤務には上限があります。

なぜなら、法定休日と法定労働時間に関する規制があるためです。

以下では、連続勤務の上限について、順番で説明していきます。

・労働基準法上の連続勤務日数
・労働基準法上の連続勤務時間

労働基準法上の連続勤務日数|12連勤上限が原則

労働基準法上、連続勤務日数の上限は、原則として12日とされています。

なぜなら、労働基準法では週に1日の休日を与えることが必要とされているためです。

労働基準法35条(休日)
1「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。」

例えば、日曜日を週の起算日とする場合には、以下のとおり1週目の日曜日と2週目の土曜日を休日とした場合に連続勤務が最大となり12日となります。

ただし、連続勤務が12日未満の場合であっても、週に1日も休日がなければ違法となり得ます

 

連続勤務12日が適法となるケース

 

例えば、日曜日を週の起算日とする場合には、以下のとおり日曜日から土曜日まで連続して7日勤務した場合には、週に1日も休日がないことになりますので違法となります。

 

連続勤務7日でも違法となるケース

 

労働基準法上連続勤務時間|1日8時間・週40時間上限が原則

連続勤務時間の上限は、原則として1日8時間、週40時間とされています。

なぜなら、労働基準法では法定労働時間としてこのように規定しているためです。

労働基準法第32条(労働時間)
1「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。」
2「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。」

例えば、9時から仕事を始めて、1時間の休憩をし、19時まで働いた場合には、1日に9時間働いたことになりますので、18時から19時までの1時間の労働は違法となります。

 

連続勤務時間の例【1日8時間】

 

例えば、日曜日を週の起算日とする場合には、以下のとおり日曜日が休日、月曜日から金曜日まで8時間働き、土曜日に5時間働いた場合には、土曜日の5時間の労働は週40時間を超えていますので違法となります。

 

連続勤務時間の例【週40時間】

 

労働基準法上の連続勤務上限に反しない例外ケース

労働基準法上の連続勤務については、上限を超えても労働基準法に反しない例外的なケースがあります

例えば、以下の3つのケースです。

例外1:36協定が締結されていてその範囲である場合
例外2:変形休日制又は変形労働時間制の場合
例外3:管理監督者である場合

これらの例外について順番に説明していきます。

例外1:36協定が締結されていてその範囲である場合

労働基準法上の連続勤務の上限に反しない例外の1つ目は、36協定が締結されていてその範囲である場合です。

36協定(サブロク協定)とは、労働者と会社の間における時間外・休日労働に関する協定です。

36協定を締結した場合には、週に1日の法定休日に労働させたり、1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えて労働させたりしても、違法になりません。

これを36協定の免罰的効力といいます。

ただし、36協定にも限度時間があり、原則として、法定労働時間を超えて労働させることができる時間は以下のとおりとされています。

1か月45時間
1年360時間

36協定については、以下の記事で詳しく解説しています。

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例外2:変形休日制又は変形労働時間制の場合

労働基準法上の連続勤務の上限に反しない例外の2つ目は、変形休日制又は変形労働時間制の場合です。

変形休日制とは、4週で4日の休日を与える制度を採用している場合です。

労働基準法35条(休日)
2「前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。」

就業規則などで4週間の起算日を定めておく必要があります。

変形休日制を採用している場合には、週に1日の休日を与える必要がなくなりますので、12日を超えて連続勤務をしていても違法とはいえなくなります

変形休日制をとっている場合には24連勤が上限となります。

変形労働時間制とは、あらかじめ法定労働時間を超えて労働させることができる日や週を定めておき、一定期間において平均して週の法定労働時間を超えなければ違法ではないとする制度です。

一定期間を平均して週の法定労働時間を超えない限り、特定の週において40時間、特定の日において8時間を超えて連続勤務をさせても違法とはいえなくなります

変形労働時間制については、以下の記事で詳しく解説しています。

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例外3:管理監督者である場合

労働基準法上の連続勤務の上限に反しない例外の3つ目は、管理監督者である場合です。

管理監督者とは、労働条件その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいいます。

あなたは名ばかり管理職?

管理監督者に該当すると労働基準法上の労働時間や休日の規定が適用されなくなります

そのため、連続勤務日数が12日を超えたり、連続勤務時間が1日8時間・週40時間を超えたりしても、違法とはいえなくなります。

ただし、管理監督者の条件は厳格であり、管理職であれば当然にこれに該当するというわけではありません

以下の3つの条件を満たす必要があり、管理職と言われる多くの方は、これらの条件を満たしていないのが現状です。

条件1:経営者との一体性
条件2:労働時間の裁量
条件3:対価の正当性

管理監督者とは何かについては、以下の記事で詳しく解説しています。

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管理監督者とは何かについては、以下の動画でも詳しく解説しています。

 

 

 

労働基準法上の連続勤務違反の罰則

労働基準法上の連続勤務に違反した場合には、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金を科すとされています。

労働基準法109条が法定休日や法定労働時間に関する規定に違反した場合の罰則を定めているためです。

例えば、労働基準監督署に連続勤務に関する相談をすると、事実確認の後、会社に対して改善指導をしてもらうことができます

それでも会社が改善をせず、悪質な事案では検察官に送致されることになります。

労働基準法上の連続勤務と残業代

連続勤務により、法定休日に労働した場合及び法定労働時間を超えて労働した場合には、残業代が発生することになります。

労働基準法上、法定休日に労働した場合には1.35倍、法定労働時間を超えて労働した場合には1.25倍の残業代を支払わなければならないとされているためです。

例えば、連続勤務により休みなく月に何十時間も働いているのに残業代が支払われていないといった場合には、3年の時効にかかっていない範囲で遡って未払いの残業代を請求できる可能性があります。

以下の残業代チェッカーにより登録不要、かつ、無料で簡単におおよその未払い残業代金額を確認できますので活用してみてください。

 

 

 

連続勤務とその他の法律問題

連続勤務については、労働基準法違反以外の問題も生じます。

例えば、以下の2つの問題です。

・安全配慮義務違反と連続勤務
・会社都合退職と連続勤務

これらの問題について順番に説明しています。

安全配慮義務違反と連続勤務

連続勤務により生じる問題の1つ目は、安全配慮義務違反です。

雇い主は、労働者の安全に配慮する義務を負っています

長時間の労働や休日なしの労働により労働者の心身が害されることを防がなければなりません。

例えば、行政通達(1226号通達)は、2週間(12日)以上にわたって連続勤務を行ったことを心理的負荷の程度が「中」である事情として挙げています。

1か月以上にわたって連続勤務を行ったことは心理的負荷の程度が「強」である事情として挙げられます。

つまり、「強」に近づくほど、適応障害やうつ病を発症する危険が高まることになります。

会社都合退職と連続勤務

連続勤務により生じる問題の2つ目は、会社都合退職です。

労働者が連続勤務に耐えきれず退職することを選択する場合があります。

例えば、以下の理由で離職した者については、特定受給資格者(会社都合退職)に該当するとされています。

離職の直前6か月間のうちに

①いずれか連続する3か月で45時間超える時間外労働が行われたため離職した者
②いずれか1か月で100時間超える時間外労働が行われたため離職した者
③いずれか連続する2か月以上の期間の時間外労働を平均して1か月で80時間を超える時間外労働が行われたため離職した者

会社都合退職の場合には、2~3か月の間給付制限なく失業保険の受給が可能となります。

失業保険を受給する方法

失業保険を受給する流れの中では、会社都合退職の場合は給付日数が90日~330日となり、自己都合退職の90日~150日に比べて長期間受給が可能となります。

会社都合退職と失業保険の給付日数(定年) 自己都合退職(定年退職を含む)と失業保険の給付日数

会社都合退職については、以下の動画でも詳しく解説しています。

連続勤務と労働基準法についてよくある疑問

連続勤務と労働基準法について、よくある疑問としては以下の6つがあります。

疑問1:何連勤から違法になる?
疑問2:アルバイトの連続勤務も労働基準法違反?
疑問3:7連続勤務は労働基準法違反?
疑問4:36協定があれば連続勤務は無制限?
疑問5:有給休暇をとれば連続勤務にならない?
疑問6:夜勤後の日勤は連続勤務時間となる?

それでは、これらの疑問について順番に解消していきましょう。

疑問1:何連勤から違法になる?

連続勤務の上限は、原則、12日となります。

ただし、12日未満であっても、週に1日も休日がなければ違法となります。

また、例外的に4週4休の変形休日制を導入している場合には、24連勤が上限となります。

疑問2:アルバイトの連続勤務も労働基準法違反?

アルバイトの連続勤務についても、労働基準法が適用されます。

そのため、アルバイトであっても、連続勤務日数の上限は正社員と同様です。

疑問3:7日連続勤務は労働基準法違反?

7日連続勤務は、労働基準法に反する場合と反しない場合があります

週の起算日を勤務の開始日として7日間連続で勤務した場合には、週に1日も休日がないことになりますので違法となります。

例えば、日曜日を週の起算日とする会社では、日曜日を勤務の開始日として当該週の土曜日まで7日連続で勤務した場合には、労働基準法違反となります。

疑問4:36協定があれば連続勤務は無制限?

36協定が締結されている場合には、連続勤務自体には上限はなくなります

ただし、36協定を締結している場合には、限度時間があります。

そのため、連続勤務により労働時間が限度時間を超える場合には違法となり得ます。

疑問5:有給休暇をとれば連続勤務にならない?

勤務日の間に有給休暇が含まれていても、連続勤務となります。

有給休暇は、休暇であり、休日ではないためです。

そのため、有給休暇日とは別に週に1日の休日が必要となります。

疑問6:夜勤後の日勤は連続勤務時間となる?

夜勤後の日勤は、(夜勤が日を跨いで行われている場合には)連続勤務時間にならないのが通常です。

1日8時間の法定労働時間につき、深夜0時を境にリセットされるのではなく、たとえ0時を跨ぐ場合でも始業時刻の属する日の労働として、連続した勤務時間と評価されます(昭和63年1月1日基発1号)。

つまり、夜勤が前日から行われている場合には0時を跨いでも前日の続勤務時間となります。

これに対して、翌日以降を始業時刻として行われる日勤は翌日の新たな勤務時間として算定されることになります。

 

 

 

 

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まとめ

以上のとおり、今回は、労働基準法上の連続勤務日数や連続勤務時間の上限と罰則について解説しました。

この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。

・労働基準法上、連続勤務日数の上限は、原則として12日とされています。連続勤務時間の上限は、原則として1日8時間、週40時間とされています。

・労働基準法上の連続勤務について、上限を超えても労働基準法に反しない例外的なケースとして以下の3つがあります。
例外1:36協定が締結されていてその範囲である場合
例外2:変形休日制又は変形労働時間制の場合
例外3:管理監督者である場合

・労働基準法上の連続勤務に違反した場合の罰則は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金です。

・連続勤務により、法定休日に労働した場合及び法定労働時間を超えて労働した場合には、残業代が発生することになります。

・連続勤務については、労働基準法違反以外にも、「安全配慮義務違反」や「会社都合退職」の問題が生じます。

この記事が連続勤務に悩んでいる労働者の助けになれば幸いです。

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弁護士 籾山善臣
神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題、離婚・男女問題、企業法務など数多く担当している。労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。 【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」、ちょこ弁|ちょこっと弁護士Q&A他 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、週刊女性2024年9月10日号、区民ニュース2023年8月21日
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