不当解雇・退職扱い

アスペルガー症候群・障害を有する労働者の解雇

 アスペルガー症候群等の障害を有する労働者を解雇することは許されるのでしょうか。また、このような労働者の解雇について、一般の労働者の場合と同様に考えてよいのでしょうか。今回は、障害と解雇について解説します。

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採用時に障害を認識していない場合

 使用者は、採用時に労働者の障害を認識していない場合であっても、労働者の障害を踏まえて、業務改善の機会の提供、解雇回避努力をする必要があります

【京都地判平成28.3.29労判1146号65頁[O公立大学法人事件]】
 O大学の準教授として勤務していた教員が、アスペルガー症候群に由来する複数の問題行動(①生協職員に土下座と謝罪をさせた、②男子学生を指導しようとしたところ暴力を振るわれたとして大学関係者に連絡することなく警察に通報しその後告訴した、③精神科の受診を求め、応対した医事サービス化のカウンター前で持参していた果物ナイフで自らの手首を切った)を起こし、当該教員が大学教員としての適格性を欠くとして解雇された事案に関して、裁判例は、以下のとおり解雇は無効としています。
 なお、大学側がアスペルガー症候群に気づいたのは、教員の勤務開始から約2年半後です。
1 業務改善の機会
 「一連の原告の行為や態度については、…アスペルガー症候群の特徴としてのこだわり、組織という文脈での状況理解の困難さなどに由来するものとみるべきである。そうすると、仮にそれらの行為や態度が客観的には当然に問題のあるものであったとしても、原告としては、的確な指摘を受けない限り、容易にその問題意識が理解できない可能性が高かったといえる」とし、学長らがアスペルガー症候群につき認識し、基礎的な知識も有していたものと考えられることから、「原告の非難可能性や改善可能性を検討するに当たっては、原告の行為や態度に対して、被告がD学長及びE学部長を通じていかなる対応を採り、上記のような特徴を有する原告に問題意識を認識し得る機会が与えられていたかという点も十分に斟酌しなければならない」としました。
 また、「一般的には問題があると認識し得る行為であっても、原告においては、アスペルガー症候群に由来して当然にその問題意識を理解できているものではないという特殊な前提が存在するのであって、被告から、原告に対して、当該行為が大学教員として問題である、あるいは少なくとも被告は問題があると考えているという指導ないし指摘が全くなされておらず、原告に改善の機会が与えられていない以上、原告には問題行動とみる余地のある行動を改善する可能性がなかったものと即断することはできない」としました。
2 解雇回避努力
 障害者基本法19条2項、障害者雇用促進法の合理的配慮の提供義務を挙げ、「このような法の理念や趣旨をも踏まえると、障害者を雇用する事業者においては、障害者の障害の内容や程度に応じて一定の配慮をすべき場合も存することが予定されているというべきである」としました。
 そして、原告の主治医に問い合わせをしたことはなく、また、「解雇以外に雇用を継続するための努力、例えば、アスベルガー症候群の労働者に適すると一般的に指摘されているジョブコーチ等の支援を求め、障害者に関連する法令の理念に沿うような具体的方策を検討した形跡すらなく、そのような状況をもって、原告に対して行ってきた配慮が被告の限界を超えていたと評価することは困難であると言わざるを得ない」として、解雇を無効としました。

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採用時に障害を認識していた場合

 使用者が、採用時に労働者の障害を認識していた場合には、障害を前提とした労務の提供を行うことが労働契約の内容となっています。そのため、障害のない労働者と同様の業務遂行ができないことを理由に解雇することはできません
 また、採用後に障害が悪化した場合においても、障害の内容によっては雇用契約当初から悪化する可能性が予測できるものもあり、そのような場合には、雇用契約の内容として悪化する可能性が前提になっていることになります。

【東京地判平28.5.18労判54号55頁[三益興業事件]】
 雇用契約締結当時71歳の従業員が、動作が遅く、ミスが多いなど、他の従業員に過度のストレスや疲労を生じさせ職場環境に深刻な問題を生じさせたとして解雇された事案において、裁判例は、以下のとおり解雇を無効としています。
 なお、履歴書に平成25年2月に比較的軽い脳梗塞を発症した旨記載しおり、右半身が麻痺している状態で、面接においても杖を突き右足を引きずるように歩いており、脳梗塞の後遺症で右手・右足が不自由である旨を代表者に申し出ていた事情があります。
 被告は身体に相当な不自由があることを承知して原告を採用しているのであるから、文字を書くことに相当な困難がある、パソコンを使用した場合も作業の速度が相当に遅いなどの事情があるにせよ、そうした事情のみから原告を解雇する客観的に合理的な理由があるとはいえない。」とし、「パソコン使用を柔軟に認め、これを伝言用ノートに代替させるなどの相応な配慮を払ってしかるべき」として、解雇を無効と判断しました。

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弁護士 籾山善臣
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