
リストラの退職金について知りたいと悩んでいませんか?
会社側の原因で退職することになるのであれば、十分な退職金を支払ってほしいと考えることも当然ですよね。
リストラでも、退職金規程に従い退職金は出ます。
むしろ、退職金規程に基づく退職金に上乗せをして支給されることも多いです。
著名な事例としては、日産や東芝におけるリストラで退職金の上乗せが報道されました
会社は、リストラの退職金について低い金額から提示してくることも多く、適正な金額を獲得するには交渉をする必要があります。
また、リストラの退職金には税金もかかりますので、そのことを理解したうえで退職後の生活や手続を想定しておきましょう。
実は、会社からリストラを宣告されてしまい言われるがまま、合意書にサインをしてしまい後悔してしまう方が後を絶ちません。
この記事をとおして、リストラの対象となった方が生活を守るため退職金について知っておくべことをわかりやすく説明していきます。
今回は、リストラでも退職金は出ることを説明したうええで、上乗せ相場や税金と簡単な増額交渉の方法を解説します。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、リストラの際の退職金についてよくわかるはずです。

目次
リストラでも退職金は出る
リストラでも、退職金規程に基づいて退職金は支給されます。
退職金については、法律により支給のルールが決められているわけではありません。
会社ごとに退職金規程を作られていて、会社自身でその支給に関するルールを決めています。
よくある退職金規程では、以下のようなルールとなっています。
【会社都合退職の場合】
勤続年数×1ヶ月分
【自己都合退職の場合】
勤続年数×0.7か月分
※ただし勤続年数が3年未満の者には支給しない
ただし、そもそも退職金規程が存在せず退職金制度自体を作っていない会社では、リストラかどうかに関わらず、退職金を請求することはできません。
退職金制度に基づく退職金については、以下の記事で詳しく解説しています。
リストラにおける退職金の上乗せ相場
リストラの際には退職金規程に基づく退職金とは別に、上乗せ退職金が支給されることがあります。
日本の法律では、会社側が労働者を一方的に退職させると解雇として厳格な規制があります。
とくに、労働者に落ち度のないリストラにより解雇される場合には、整理解雇と言われ、そのハードルは高くなります。
そのため、会社は、労働者に退職に同意してもらい紛争を回避しようとして、退職金の上乗せを提示することがあります。
このように通常の退職金に上乗せして支払われる退職金のことを割増退職金と言います。
リストラにおける退職金の上乗せ相場としては、賃金の3か月分~6か月分程度です。
再就職をするために必要な期間の補償として、この程度の金額が提示されることが多いのです。
ただし、とくに決まりがあるわけではありませんのでこれ以上の上乗せがされることも多いですし、事案によっては1年分以上の支払いがされることもあります。
割増退職金については、以下の記事で詳しく解説しています。
リストラで退職金の上乗せが報じられた著名事例
リストラで退職金の上乗せがされることは珍しいことではなく、大企業ではマスコミで報道されることもあります。
例えば、昨今、報道された事例としては、「日産のリストラ」と「東芝のリストラ」があります。
それでは、これらの例について順番に見ていきましょう。
事例1:日産のリストラの退職金
日産では、2027年までに2万人の人員を削減するとされています。
開発・清算・デザイン部門以外の事務系のポジションであり、勤続年数5年以上で45歳以上65歳未満の方を対象に早期退職の募集を行うとのことです。
対象者には、退職金の上乗せや再就職の支援が行われるとされています。
一方で、日産は、元執行役員4人に対し、計6億4600万円の退職慰労金を支払っており、一人当たり平均1億5000万円以上の支払いをしています。
事例2:東芝のリストラの退職金
東芝では、最大4000人の人員削減を計画し、満50歳以上を対象に早期退職を募っていました。
これについて、3000人以上の応募があったとされています。
応募者は、退職金と上乗せ分の特別加算金のほか、再就職支援を受けるとされています。
【独自】東芝、3000人超が早期退職 国内従業員の5%、成長事業集中(共同通信) – Yahoo!ニュース
リストラの退職金を増額する方法
会社から個別にリストラを告げられた場合には、適正な上乗せを勝ち取るためには交渉が必要となることがあります。
少ない上乗せしか提示せずに適切な交渉があった場合にだけ退職金を上乗せするという会社も多いためです。
具体的には、リストラの退職金を増額する手順としては、以下のとおりです。
手順1:退職合意書にサインせず持ち帰る
手順2:弁護士に相談する
手順3:退職条件や今後の働き方の交渉を行う
手順4:合意書を作成する
それでは、これらの手順を順番に説明していきましょう
手順1:退職合意書にサインせず持ち帰る
まず、会社から退職合意書を渡されてもサインせずに一度持ち帰るようにしましょう。
サインをしてしまうと、その時点で会社は目的を達成してしまうため、後から退職金の上乗せを交渉することは困難です。
退職の合意を撤回することも容易ではありません。
例えば、「弁護士に相談したいので一度持ち帰らせてください」とだけ答え、その場では回答せず持ち帰るようにしましょう。
なお、退職合意書にサインをしなくても、口頭や態度によっても退職は成立してしまうことがありますので注意が必要です。
手順2:弁護士に相談する
次に、弁護士に相談するようにしましょう。
リストラについて法的な見通しを分析したうえで、あなたの意向やリスクを踏まえ適切な方針を策定するべきだからです。
適切な上乗せを勝ちとるためには、適切な方針に基づいて一貫した対応をすることが成功の秘訣です。
どのような行動をすると不利になってしまうのかなどについても助言してもらうと良いでしょう。
手順3:退職条件や今後の働き方の交渉を行う
方針を決めたら、会社と退職条件や今後の働き方について交渉を行いましょう。
あなたの立場を明確に示したうえで、法律や判例に基づいて説得的に説明をしていきます。
会社は、労働者の一挙手一投足を観察していることが多いので、慎重に発言や態様をしましょう。
手順4:合意書を作成する
最後に、会社との話し合いがまとまったら合意書を作成するようにしましょう。
後から、そのようなことは言っていないなどとトラブルになってしまうことがあるためです。
会社側から合意書が送られてくることもありますが、労働者に不利な内容になっていることがよくあります。
内容をよく確認したうえで、その内容が公正なものとなるよう調整するといいでしょう。
リストラの退職金と税金
リストラの退職金については、退職所得として処理されるのが通常です。
これは、「退職金制度に基づく退職金部分」も、「退職金の上乗せ部分」も同様です。
退職所得として支給については、社会保険料が控除されず、税金についても給与所得と比べて節税効果が高い傾向にあります。
退職金については、所得税と住民税が源泉されたうえで、会社から振り込まれることになります。
退職金の支給日までに「退職所得の受給に関する申告書」を提出しておかないと、一律20.42%の税率で源泉されてしまいます。
会社によっては、退職手続きに詳しくなく、提出を促してもらえないこともあるので、忘れずに「退職所得の受給に関する申告書」を提出するようにしましょう。
A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)|国税庁
リストラの退職金についてよくある疑問
リストラの退職金についてよくある疑問としては、以下の4つがあります。
Q1:リストラの退職金と勤続年数の関係は?
Q2:リストラで退職金なしはおかしい?
Q3:外資系のリストラの退職金は?
Q4:リストラで退職金以外に交渉すべき条件は?
これらの疑問を順番に解消していきましょう。
Q1:リストラの退職金と勤続年数の関係は?
A.勤続年数が長いほど、リストラの退職金も大きくなる傾向にあります。
退職金規程に基づく退職金については、勤続年数に応じて支給金額が計算されていることが多いです。
上乗せ退職金についても、勤続年数がないほど金額が大きくなりやすいです。
裁判例は、長期雇用システム下で定年まで勤務を続けていくことを前提として長期にわたり勤続してきた正規従業員の解雇をより厳格に解しているためです。
(参考:エース損害保険事件|東京地決平成13年8月10日労判820号74頁)
Q2:リストラで退職金なしはおかしい?
A.リストラで退職金なしは、必ずしもおかしいとは限りません。
退職金制度がないのであれば、会社は退職金を支給する義務はないためです。
ただし、退職金がないのであれば、退職に応じたくないというも、またおかしいことではありません。
Q3:外資系のリストラの退職金は?
A.外資系企業のリストラでは、勤続年数×1か月分+α程度の退職金が支給されることが多いです。
とくに、外資系企業では退職金規程がないことが多いため、退職パッケージとして事案に応じた提示が行われ、交渉により金額が決まる傾向にあります。
外資系企業のリストラのパッケージについては、以下の記事で詳しく解説しています。
Q4:リストラで退職金以外に交渉すべき条件は?
A.リストラでは、退職金以外にも、ガーデンリーブや有給の買い取り、再就職支援など交渉すべき事項は多岐にわたります。
ガーデンリーブとは、在籍期間を延長したうえで就労を免除する期間のことです。
ガーデンリーブについては、以下の記事で詳しく解説しています。
有給の買い取りとは、退職時の残有給日数を買い取ることをいいます。
退職時の有給買い取りについては、以下の記事で詳しく解説しています。
再就職支援(アウトプレースメント)については、従業員が会社の都合により退職する際に、会社が外部企業に委託し再就職を支援することです。
再就職支援サービスについては、以下の記事で詳しく解説しています。
リストラの退職金はリバティ・ベル法律事務所にお任せ
リストラの退職金については、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
この分野は、専門性が高い分野であるため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
解雇された場合の見通しを分析したうえで、あなたの意向を踏まえて、外資系企業の性質に応じて適切に方針を策定する必要があります。
リバティ・ベル法律事務所では、解雇や退職勧奨事件に力を入れており、特に外資系企業とのパッケージ交渉について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しています。
また、パッケージ交渉を含む退職勧奨対応については、依頼者の方の負担を軽減するために着手金無料、完全成功報酬としております。
初回相談は無料となっておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
以上のとおり、今回は、リストラでも退職金は出ることを説明したうええで、上乗せ相場や税金と簡単な増額交渉の方法を解説しました。
この記事の内容を簡単に整理すると以下のとおりです。
・リストラでも、退職金規程に基づいて退職金は支給されます。
・リストラにおける退職金の上乗せ相場としては、賃金の3か月分~6か月分程度です。
・リストラで退職金の上乗せが報じられた著名事例として、「日産」や「東芝」の事例があります。
・リストラの退職金を増額する手順としては、以下のとおりです。
手順1:退職合意書にサインせず持ち帰る
手順2:弁護士に相談する
手順3:退職条件や今後の働き方の交渉を行う
手順4:合意書を作成する
・リストラの退職金については、退職所得として処理されるのが通常です。退職所得の受給に関する申告書を忘れないようにしましょう。
この記事の内容がリストラの退職金について知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。




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