労働災害における休業(補償)給付は、どのような場合に、どのような内容の給付を受けることができるものなのでしょうか。今回は、労働災害における休業(補償)給付について解説します。
休業(補償)給付とは
休業(補償)給付とは、労働者が、業務または通勤が原因となった負傷や疾病による療養のため労働することができず、そのために賃金を受けていないとき、その第4日目から支給されるものです。
労働者災害補償保険法14条(休業補償給付)
1項「休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給するものとし、その額は、1日につき給付基礎日額の100分の60に相当する額とする。ただし、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額…から当該労働に対して支払われる賃金の額を控除して得た額…の100分の60に相当する額とする。」
2項「休業補償給付を受ける労働者が同一の自由について厚生年金保険法…の規定による障害厚生年金又は国民年金法…の規定による障害基礎年金を受けることができるときは、当該労働者に支給する休業補償給付の額は、前項の規定にかかわらず、同項の額に別表第1第1号から第3号までに規定する場合に応じ、それぞれ同表第1号から第3号までの政令で定める率のうち傷病補償年金について定める率を乗じて得た額(その額が政令で定める額を下回る場合には、当該政令で定める額)とする。」
労働者災害補償保険法22条の2(休業給付)
1項「休業給付は、労働者が通勤による負傷又は疾病にかかる療養のため労働することができないために賃金を受けない場合に、当該労働者に対し、その請求に基づいて行う。」
2項「第14条及び第14条の2の規定は、休業給付について準用する。この場合において、第14条第1項中『業務上の』とあるのは『通勤による』と、同条第2項中『別表第1第1号から第3号までに規定する場合に応じ、それぞれ同表第1号から第3号までの政令で定める率のうち傷病補償年金について定める率』とあるのは『第23条第2項において準用する別表第1第1号から第3号までに規定する場合に応じ、それぞれ同表第1号から第3号までの政令で定める率のうち傷病年金について定める率』と読み替えるものとする。」
3項「療養給付を受ける労働者…に支給する休業給付であつて最初に支給すべき事由の生じた日に係るものの額は、前項において準用する第14条第1項の規定にかかわらず、同項の額から第31条第2項の厚生労働省令で定める額に相当する額を減じた額とする。」
休業(補償)給付を受けることができる場合
休業(補償)給付を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。
➀業務上の事由または通勤による負傷や疾病による療養のため
➁労働することができないため
➂賃金を受けていない
給付の内容
上記①乃至③を満たした場合に支給される給付の内容としては、休業(補償)給付と休業特別支給金の2種類があります。これらは、第4日目から支給されることになり、第3日目までを待期期間といいます。待期期間中は、事業主が労働基準法に基づき休業補償(1日につき平均賃金の60%)を行うことになります。
休業(補償)給付の支給金額は、下記のとおりです。
休業特別支給金の支給金額は、下記のとおりです。
「給付基礎日額」とは、原則として、労働基準法の平均賃金に相当する額をいいます。平均賃金とは、原則として、業務上または通勤による負傷や死亡の原因となった事故が発生した日または医師の診断によって疾病の発生が確定した日(賃金締切日が定められているときは、傷病発生日の直前の賃金締切日)の直前3か月間にその労働者に対して支払われた賃金の総額(ボーナスや臨時に支払われる賃金を除く)を、その期間の暦日数で割った1日当たりの賃金です。
受給方法
休業(補償)給付を請求するときは、「休業補償給付支給請求書」(様式第8号)または「休業給付支給請求書」(様式第16号の6)を所轄の労働基準監督署長に提出することになります。
休業特別支給金の支給申請は、原則として休業(補償)給付の請求と同時に行うこととなっており、様式も同一です。
請求に関する時効
「休業(補償)給付」は、療養により労働することができないため賃金を受けない日ごとに請求権が発生します。その翌日から2年を経過すると、時効により請求権が消滅します。
労働者災害補償保険42条(時効)
「療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、介護補償給付、療養給付、休業給付、葬祭給付、介護給付及び二次健康診断等給付を受ける権利は、2年を経過したとき、障害補償給付、遺族補償給付、障害給付及び遺族給付を受ける権利は、5年を経過したときは、時効によって消滅する。」