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被保険者記録照会回答票の申請方法(もらい方)3つと簡単な見方|見本付き

被保険者記録照会回答票

被保険者記録照会回答票についてよく分からずに悩んでいませんか?

被保険者記録照会回答票には、過去の年金制度への加入履歴が記載してありますので、これまでの職歴を証明する重要な証拠になります。

例えば、アスベスト被害について賠償金等を請求しようとする場合には、過去に石綿粉じんにばく露する作業をしていたことの証拠が必要となりますので、被保険者記録照会回答票が重要な意味を持ちます。

また、就職活動や転職活動などの際に、会社によっては、被保険者記録照会回答票の提出を求めてくることがあります。

しかし、「被保険者記録照会回答票」を日常生活で取得することは多くないでしょうから、どのようなものなのか、どのように申請すればいいのか、どのように見ればいいのかなど等、よく分かりませんよね

実際、被験者記録照会回答票は、職歴に関する重要な証拠であるにもかかわらず、一般の方向けに分かりやすくまとめられた記事などは、あまりありません

この記事では、被保険者記録照会回答票に関する知識を誰でもわかりやすいように伝えていこうと思います

今回は、被保険者記録照会回答票とは何かを説明した上で、見方や申請方法を簡単に解説していきます。

この記事を読めば、被保険者記録照会回答票についてよくわかるはずです。

 

被保険者記録照会回答票とは

被保険者記録照会回答票のイメージ被保険者記録照会回答票とは、基礎年金番号に紐づけられた、これまでの年金加入履歴等が記載された日本年金機構による書面です。

簡単に言うと、被保険者記録照会回答票は、加入していた年金の制度や期間、加入期間中に勤務していた会社などが記載されたものです。

例えば、被保険者記録照会回答票は、以下のような場面で必要となります。

必要となる場面1:アスベスト被害による賠償金等を請求する場面
必要となる場面2:就職先の会社から提出を求められる場面

順番に説明していきます。

必要となる場面1:アスベスト被害による賠償金等を請求する場面

被保険者記録回答票が必要となる場面の1つ目は、アスベスト被害による賠償等を請求する場面です。

アスベスト被害による賠償等を請求するには、以下のいずれかに該当することが必要です。

・昭和 33 年 5 月 26 日から昭和 46 年 4 月 28 日までの間に局所排気装置を設置すべき石綿工場に従事していたこと
・昭和 50 年10 月1日から平成 16 年9月 30 日までの間に屋内建設作業(屋内吹付作業も含む)に従事していたこと
・昭和 47 年 10 月1日から昭和 50 年9月 30 日までの間に吹付作業に従事していたこと

そして、被保険者記録回答票には、厚生年金の加入期間や加入期間中に勤務していた会社名が記載されています

そのため、被保険者記録回答票は、アスベスト被害の賠償金の対象者になることの証拠となるのです。

アスベスト被害の賠償金については、以下の記事で詳しく解説しています。

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必要となる場面2:就職先の会社から提出を求められる場面

被保険者記録回答票が必要となる場面の2つ目は、就職先の会社から提出を求められる場面です。

個人情報への意識が高まってきた昨今ではあまり多くないのですが、会社によっては、被保険者記録回答票を提出するように求めてくることがあります。

被保険者記録回答票にはこれまでどのような会社に勤めていたかが記載されていますので、履歴書における経歴の詐称を防止できるためです

経歴詐称と懲戒解雇については、以下の記事で詳しく解説しています。

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見本で分かる被保険者記録照会回答票の見方

被保険者記録照会回答票の見本は、以下のとおりです。

被保険者記録回答票 見本

お勤め先の名称又は共済組合等という箇所を見ると「●●有限会社」などの記載があり、加入期間中に勤めていた会社の名称がわかります

資格取得年月日の箇所を見ると、厚生年金資格を取得した日がわかりますので、その会社に入社した日がわかります。

資格喪失年月日の箇所を見ると、厚生年金資格を喪失した日がわかりますので、その会社を退社した日がわかります。

 

 

被保険者記録照会回答票はどこでもらえる?|簡単な申請方法3つ

被保険者記録回答票については、日本年金機構ホームページ又は年金事務所にて、無料で取得することができます。

具体的には、以下の3つの申請方法があります。

方法1:被保険者記録照会回答票を窓口で取得する方法
方法2:被保険者記録照会回答票を郵送で取得する方法
方法3:被保険者記録回答票をインターネットで取得する方法

それでは、各方法について説明していきます。

方法1:被保険者記録照会回答票を窓口で取得する方法

被保険者記録回答票を申請する方法の1つ目は、窓口で取得する方法です。

日本全国いずれの年金事務所でも発行してもらうことができますので、お近くの年金事務所に行きましょう。

その際には、基礎年金番号を確認できるもの、本人確認ができるものを持参するようにしましょう。

~本人以外の方が取得する場合には委任状が必要~

本人以外の方が被保険者記録照会回答票を申請するには、委任状を持参する必要があります。

下記のような委任状に必要事項を記入し、委任する方が自署するようにしましょう。
委任状(被保険者記録照会回答票)(出典:日本年金機構 年金相談を委任するとき)

委任状以外に必要なものとしては、以下のとおりです。
・代理人の本人確認ができる書類(詳しくはこちらをご参照ください)
・委任者(本人)の基礎年金番号やマイナンバー、照会番号等が不明な場合には、委任者(本人)の本人確認書類の写し

方法2:被保険者記録照会回答票を郵送で取得する方法

被保険者記録回答票を申請する方法の2つ目は、郵送で取得する方法です。

被保険者記録回答票を郵送で送付してもらいたい場合には、「年金事務所」や「ねんきん定期便専用ダイヤル」に電話して、被保険者記録照会回答票を郵送してほしい旨を伝えましょう

その際には、基礎年金番号を用意しておきましょう。

【年金事務所】
年金事務所の電話番号については、以下のリンクからご確認ください。
日本年金機構 全国の相談・手続き窓口

【ねんきん定期便専用ダイヤル】
ねんきん定期便専用ダイヤルの電話番号は、以下のとおりです。
0570-058-555
※050で始まる電話でおかけになる場合は03-6700-1144

方法3:被保険者記録回答票をインターネットで取得する方法

被保険者記録回答票を申請する方法の3つ目は、インターネットで取得する方法です。

被保険者記録照会回答票は、日本年金機構の「ねんきんネット」からもダウンロードすることができます。

具体的には、以下の手順により行います。

①ねんきんネットのトップページ「通知書を確認する」をクリックします。
②電子版「被保険者記録照会回答票」の「ダウンロードPDF」ボタンをクリックします。
③「ファイルを開く(O)」ボタンをクリックすると電子版「被保険者記録照会回答票」が表示されます。
④表示されたPDF画面の印刷を行う場合は、PDF画面の印刷機能を利用して印刷を実行します。また保存する場合は、PDF画面の保存機能を利用してご自身のパソコン上にファイルを保存します。

詳細は、以下の日本年金機構のリンクをご参照ください。
電子版「被保険者記録照会回答票」

~基礎年金番号を確認する方法~

被保険者記録照会回答票を取得するには、基礎年金番号が必要となります。

基礎年金番号を確認する方法は、以下の4つです。
⑴ 以下の書類により確認する

①青色の年金手帳
②基礎年金番号通知書
③国民年金保険料の口座振替額通知書
④国民年金保険料の納付書、領収書
⑤年金証書
⑥各種通知書等(年金額改定通知書、年金振込通知書等)
⑦平成28年度「ねんきん定期便」(平成28年4月から平成29年3月発送分)

⑵ お勤め先の総務関係の部署に尋ねる(会社員の方)
⑶ 「ねんきん定期便」を用意して、「ねんきん定期便・ねんきんネット専用番号」に電話して、基礎年金番号が記載された書類を郵送してもらう
⑷ 近くの年金事務所の窓口で相談する
※個人情報を保護の観点から、メールや電話により基礎年金番号を教えてもらうことはできません。

被保険者記録照会回答票以外で職歴の証明が可能なもの3つ

被保険者記録照会回答票以外で職歴の証明が可能なものとしては、以下の3つがあります。

・年金加入期間通知書
・ねんきん特別便
・「節目年齢の」ねんきん定期便

順番に説明していきます。

年金加入期間通知書

年金加入期間通知書とは、共済組合等に年金を請求するときに、年金加入期間や合算対象期間の確認をするために必要となる書類です。

最寄りの年金事務所または街角の年金相談センターに年金加入期間確認請求書を提出することにより請求します。

ねんきん特別便

ねんきん特別便とは、旧社会保険庁が、被保険者及び年金受給者に対して、作成時点の年金加入記録を記載した「年金記録のお知らせ」を送付したものです。

平成20年3月までに送付された青色の特別便について

青色のねんきん特別便(封筒)(出典:全ての年金受給者・現役加入者の皆さまへ年金加入記録をお送りいたしました|日本年金機構 (nenkin.go.jp))

青色のねんきん特別便(出典:青色の「ねんきん特別便」として送られるものについて|日本年金機構 (nenkin.go.jp))

平成20年4月以降に送付された緑色の特別便について

緑色のねんきん特別便(封筒)(出典:全ての年金受給者・現役加入者の皆さまへ年金加入記録をお送りいたしました|日本年金機構 (nenkin.go.jp))

緑色のねんきん特別便(出典:緑色の「ねんきん特別便」として送られるものについて|日本年金機構 (nenkin.go.jp))

「節目年齢の」ねんきん定期便

ねんきん定期便とは、年金制度への理解を深めること等を目的に、毎年誕生月に送付されてくる年金記録を記載した書面です。

通常のねんきん定期便(ハガキ)には「最近の月別状況」しか記載されていません

これに対して、節目年齢である35歳・45歳・59歳で送られてくる(封書)では、被保険者記録照会回答票と同様の「これまでの『年金加入履歴』」が記載されています

通常のねんきん定期便

通常のねんきん定期便(出典:令和2年度「ねんきん定期便」(50歳未満の方)※令和2年4月~9月送付分 オモテ)

節目年齢のねんきん定期便

節目年齢のねんきん定期便(封筒)(出典:「ねんきん定期便」の送付用封筒の様式(令和2年度送付分))

節目年齢のねんきん定期便(出典:令和2年度「ねんきん定期便」(35歳、45歳の方)※令和2年4月~9月送付分)

 

 

まとめ

以上のとおり、今回は、被保険者記録照会回答票とは何かを説明した上で、見方や申請方法を簡単に解説しました。

この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。

・被保険者記録照会回答票とは、基礎年金番号に紐づけられた、これまでの年金加入履歴等が記載された日本年金機構による書面です。

・被保険者記録照会回答票の「お勤め先の名称又は共済組合等」という箇所を見ると加入期間中に勤めていた会社の名称がわかり、「資格取得年月日」の箇所からはその会社に入社した日、「資格喪失年月日」の箇所からはその会社を退社した日がわかります。

・被保険者記録回答票の取得方法は、以下の3つです。
方法1:被保険者記録照会回答票を窓口で取得する方法
方法2:被保険者記録照会回答票を郵送で取得する方法
方法3:被保険者記録回答票をインターネットで取得する方法

・被保険者記録照会回答票以外で職歴の証明が可能なものとしては、以下の3つがあります。
・年金加入期間通知書
・ねんきん特別便
・「節目年齢の」ねんきん定期便

この記事が被保険者記録照会回答票について悩んでいる方の助けになれば幸いです。

以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。

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弁護士 籾山善臣
神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題、離婚・男女問題、企業法務など数多く担当している。労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。 【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、区民ニュース2023年8月21日
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