不当解雇・退職扱い

仕事を休みがちだとクビになる?出勤率8割が目安になる理由を解説

体調不良が重なってしまったり、重要な行事などがあったりすると、仕事を休みがちになってしまうこともありますよね。

では、仕事を休みがちであることを理由にクビになってしまうことはあるのでしょうか。

労働者
労働者
今日は、体調不良なので仕事を休ませてください。
社長
社長
君は、この前も仕事を休んだばかりではないか。
労働者
労働者
すいません。また、体調を崩してしまって…。
社長
社長
社会人として、体調管理がしっかりできていないのではないか。

社長
社長
君は、出勤率が悪いから、クビだよ。
  労働者
  労働者
(休みたくて休んだわけではないのに)

このようなやり取りをしたことはありませんか。

確かに、体調管理は大切なことですが、十分に気を付けていてもどうしようもない場合もあります。

このような場合に会社からクビだと言われても、落ち着いて、自分がどの程度休んでいるのか、自分が何故休んだのかを思い出してみて、本当にそれがクビにされるようなものなのかを考えてみましょう

今回は、仕事を休みがちだと会社をクビになってしまうのかについて、出勤率の目安とともに解説します。

 

 

仕事を休みがちだとクビになることはあるの?

仕事を休みがちとは、本来であれば出勤する必要がある所定就労日において、出勤できないことが多いことをいいます。

また、休むことが多い場合のみならず、仕事を遅刻や早退することが多い場合にも同様の問題が生じます

会社では、以下のような就業規則が置かれているケースが多いです。

規定例

第〇条(解雇)
労働者が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。
勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、労働者としての職責を果たし得ないとき。
②…
第〇条(懲戒の事由)
労働者が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給又は出勤停止とする。
正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退をしたとき。
②…
2労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第51条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。
正当な理由なく無断でしばしば遅刻、早退又は欠勤を繰り返し、〇回にわたって注意を受けても改めなかったとき。
②…

そのため、労働者が仕事を休みがちな場合には、その程度や理由によっては、「勤務状況が著しく不良」などとして、会社をクビになってしまうことがあります。

JILPTが2012年10月に行ったアンケート調査(「従業員の採用と退職に関する実態調査-労働契約をめぐる実態に関する調査(Ⅰ)-」)によると、「頻繁な無断欠勤」を理由とする普通解雇の割合は、「15.0%」となっています。
(出典:JILPT「従業員の採用と退職に関する実態調査-労働契約をめぐる実態に関する調査(Ⅰ)-」40頁)

どのくらい休むとクビになるの?

では、どのくらい仕事を休むとクビになることがあるのでしょうか。

これについては、

出勤率が80%

を超える場合には、クビにすることは許されないとされる傾向にあります。

なぜなら、労働者には、労働基準法39条により年次有給休暇が認められています。有給休暇が適切に取得された場合と同等の出勤がある場合には、労働者はその手続を誤ったに過ぎず、業務への支障の程度も大きいとは言えないためです。

 

どのくらい遅刻・早退するとクビになるの?

では、どのくらい遅刻・早退するとクビになってしまうのでしょうか。

これについて、遅刻・早退の理由や程度にもよりますが、通常は、遅刻・早退のみを理由に労働者をクビにすることは、

処分として重すぎる

と考えられています。

但し、使用者に迷惑をかける目的でわざと遅刻・早退をしている場合のような悪質な場合や、遅刻・早退が休んでいる場合と同視できる程度のものである場合などには、必ずしも処分として重すぎると言えない場合もあるので注意が必要です

国家公務員に関するものですが、人事院が作成した「懲戒処分の指針について(平成12年3月31日職職-68)」が参考になります。これによると遅刻・早退、勤務態度不良については、以下のように規定されています。

⑵遅刻・早退
「勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いた職員は、戒告とする。」
⑷勤務態度不良
「勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせた職員は、減給又は戒告とする。」

このように遅刻・早退を繰り返した場合における処分は、「戒告」にとどまるとされています

休みがちなことを注意せずにクビにすることはできるの?

仮に、出勤率が80%下回る場合であっても、クビにすることが許されるのは、使用者が複数回注意をしてもこれが改められないなど、改善の機会を十分に与えていたにもかかわらず、改善されない場合です

使用者が予告なく労働者を解雇できる「労働者の責めに帰すべき事由」(労働基準法20条1項但書)として認定すべき事例として、行政通達は(昭和23年1月11日基発1637号、昭和31年3月1日基発111号)は、以下の例を挙げています。

「出勤不良又は出欠常ならず、数回に亘つて注意を受けても改めない場合。」

 

うつ病で仕事を休みがちな場合は?

労働者が仕事を休みがちな理由がうつ病などの精神的不調にある場合において、会社に解雇猶予を目的とした休職制度があるときには、まずはクビにするのではなく休職により対応することが必要となります

また、会社は、労働者自身が精神的不調を認識していない場合にも、精神的な不調が疑われる労働者に対しては、精神科医による健康診断を実施するなどした上で、必要な場合は治療を勧めた上で休職等の処分を検討するなどの配慮をする必要があり、直ちにクビにすることは許されません(最二小判平24.4.27労判1055号5頁[日本ヒューレット・パッカード事件])。

裁判例

大阪地堺支判平22.5.14労判1013号127頁[日航産業ほか1社事件]

⑴ 原告E1

原告E1は、平成19年7月5日に無断欠勤したため、会社は、同月26日、原告E1に対し、『心より反省し,二度と遅刻や無断欠勤等をしないことを誓約いたします。』と記載された始末書を提出させて、訓戒の懲戒処分を行いました。しかし、原告E1は、平成19年8月13日に10分間、同月14日に2分間、同年11月26日に3分間、それぞれ遅刻し、平成20年1月18日には、午前6時15分を過ぎても出勤することができず、欠勤扱いとなりました。

このような事案について、裁判所は、認定事実ついての制裁として減給を選択しても、重きに失するということはできないとしました。

⑵ 原告H

原告Hは、平成5年1月5日に従業員となってから、平成6年4月9日まで、度々注意を受けたにもかかわらず、遅刻及び無断欠勤を度々繰り返し、『今後このような事があれば退社することを誓約いたします』と記載された始末書を提出しました。その後、原告Hは、平成17年4月5日に5分間、同年8月19日に1分間、同年9月17日に短時間、同年12月13日に短時間、平成18年4月26日に1分間、それぞれ遅刻しました。そして、原告Hは、平成20年1月26日、無断欠勤をしました。

このような事案について、裁判所は、認定事実についての制裁として減給を選択しても、重きに失するということはできないとしました。

⑶ 原告G1

原告G1は、平成19年8月25日に無断欠勤し、同年10月2日に遅刻し、さらに、平成20年2月27日には、午前6時15分を過ぎるまで、会社に対し連絡せず、欠勤扱いとなりました。

このような事案について、裁判所は、認定事実が就業規則50条2号に該当することは明らかであるとしつつも、原告G1について、懲戒事由は、平成19年8月25日の無断欠勤、同年10月2日の遅刻及び平成20年2月27日の欠勤扱いであるところ、原告G1が、出勤停止7日間の懲戒処分を受けるまで、会社の従業員となった後に発生した懲戒事由を理由として、他の懲戒処分を受けたことを認めるに足りる証拠がないことからすると、原告G1に対する出勤停止7日間の懲戒処分は、重きに失しており、懲戒権の濫用に当たるというべきであるとしました。

大阪地判平14.5.9労経速1810号23頁[ヤマイチテクノス事件]

労働者が遅刻を3年余りにわたって恒常的に行っていた事案について、

裁判所は、就業規則上、『正当な理由なく、たびたび遅刻したとき』は、戒告又は減給事由で、その程度によっては出勤停止、降格、懲戒解雇の各懲戒事由ともなりうるとされているにもかかわらず、会社において、当該労働者に対し、本件懲戒解雇に至るまでの間、何らの懲戒処分も行っていないばかりか、約2年後の平成12年6月29日には取締役へ就任させていること等を考慮して、懲戒解雇は懲戒権の濫用として無効であるとしました

横浜地判昭57.2.25判タ477号167頁[東京プレス工業事件]

労働者の昭和51年9月から昭和52年2月までの6月間の遅刻回数は24日、欠勤回数は14日であり、この間、当該労働者が就労すべき日数は、合計124日であった事案について、

当該労働者が完全な就労をした日数は全体の69パーセント強にすぎないこと、②当該会社においては、従業員が遅刻又は欠勤する場合には、事前に電話あるいは同僚にことづける形で所属係長又は課長に連絡すべきことが、それぞれ定められていたところ、当該労働者の前記遅刻、欠勤は、昭和51年12月頃の1回の遅刻を除きすべて事前の届出がなかつたことを考慮して、当該労働者には就業規則第41条第3号、労働協約第30条第3号の『正当な理由がなく遅刻、早退または欠勤が重なつたとき。』との懲戒解雇事由があったとしました

 

クビにならないようにするにはどうすればいいの?

休むことを会社に連絡する

まず、仕事を休むときや遅刻・早退をするときには、その旨とその理由を会社に対して伝えるようにしましょう。

会社に対して、仕事を休むことを伝えないと、「無断欠勤」や「正当な理由のない欠勤」と捉えられてしまう可能性があります。

そのため、仕事を休むときには、仕事を休む理由を会社に連絡した上で、電話の発信履歴やメールの送信履歴を保存しておきましょう

また、休む理由を会社に言いたくないときは、有給休暇を用いることが考えられます。

診断書等を取得する

労働者としては、体調不良により仕事を休む場合には、医師の診断書を取得しておくべきです

会社によっては、休む際に医師の診断書を求めてくることがありますし、正当な理由の有無が争いになったときにはこれを証明する証拠となるためです。

業務の改善を命じられたら注意

会社から仕事を休み過ぎだと注意されて改善を求められた場合には、注意が必要です。

多くの会社は、労働者をクビにする前に顧問弁護士に相談に行きます。そこで、労働者をクビにしたいというような相談をすると、「まずは今の状況を改善するように指導してからでないとクビにすることは難しいですね」とアドバイスされるはずです。

そのため、業務改善を求められた場合には、会社は、このまま状況が改善しなければ労働者をクビにしようと考えている可能性があります

クビを言い渡されたらどうすればいいの?

会社からクビを言い渡された場合には、以下の順序で対処することになります。

それでは順に説明していきます。

解雇の理由を明らかにしてもらう

会社からクビを言い渡された場合に最初に行うべきことが解雇理由証明書を交付するように求めることです。

自分がクビになった理由がわからなければ、今後のどのように対処していくかの方針を立てることができません。

解雇通知書に簡単な理由が記載されている場合もありますが、具体的な事情までは記載されていないことが多いです。

そのため、クビになった具体的な理由を明らかにするように求めましょう。

解雇の理由が正当かを確認する

クビになった理由が明らかになった場合には、その理由が正当かを確認します。

例えば、休みがちであることや遅刻・早退が理由であるとされている場合には、会社が指摘している日について本当に会社を休んだのか、遅刻・早退したのかを確認する必要があります。また、その際に、休むことを会社に伝えたのかや、休んだ理由、会社から改善を促されていたのかどうかなどを思い出しましょう。

先ほどまでに見てきた裁判例に照らして、クビが正当か不当かを検討し、不当であると言える場合には、これを争うかを検討することになります。

クビの撤回を求める

クビにされたことを争う場合には、会社に対してクビの撤回を求めるとともに、就労の意思があること示すことになります。

労働者がクビを争っていることを証拠として残すために、内容証明郵便により撤回を求めるのがよいでしょう。

交渉を行う

クビの撤回を求めたら、会社との間で、交渉を行っていくことになります。

交渉の中では、労働者の職場復帰について話し合われることもありますし、金銭的な解決について話し合われることもあります。

また、会社によっては、交渉には応じられないとの強硬的な姿勢を示してくることもあります。

いずれにせよ、自己の主張の正当性を裁判例や証拠に照らして説得的に説明していくことが必要となります。

労働審判・訴訟を申し立てる

交渉で解決しない場合には、労働審判や訴訟の申し立てを検討することになります。

 

会社をクビになったら弁護士の初回無料相談を利用すべき!

会社をクビになったら、弁護士の初回無料相談を利用することを強くおすすめします。

理由は以下の4つです。

・解雇理由が正当かを代わりに検討してもらえる!
・解雇を争うための手続きについて具体的に助言してもらえる!
・あなたがどのような請求をできるか教えてもらえる!
・初回無料相談であれば費用はかからない!

解雇理由が正当かを代わりに検討してもらえる!

弁護士に相談すれば、解雇理由が正当かを代わりに検討してもらうことができます

自分で解雇理由を検討すると、例えば、会社から、休みがちであること以外の解雇理由も主張されているような場合に、その解雇が正当なのかを判断することが難しい場合もあるでしょう。

弁護士に相談すれば、その解雇を争うことができるかについて、見通しを教えてもらうことができます

そのため、会社をクビになったら、その理由が正当かを弁護士に相談しておくべきなのです。

解雇争うための手続きについて具体的に助言してもらえる!

弁護士に相談すれば、解雇を争うための手続について具体的に助言してもらうことができます

自分で解雇を争うとすると、どのように交渉や裁判手続きを行えばいいか分からないことも多いでしょう。

弁護士に相談すれば、あなたの事案に応じて、どのように進めていくべきかについて適切にアドバイスをしてもらうことができます

当然、弁護士に依頼すれば、これらの手続きは弁護士に任せてしまうことができます

そのため、解雇を争う際にどのように進めていけばいいのかを弁護士に確認しておくべきです。

あなたがどのような請求をできるか教えてもらえる!

弁護士に相談すれば、あなたがどのような請求を行うことができるのかを教えてもらうことができます

例えば、あなたがされた解雇が違法だったとしましょう。

その場合、あなたは解雇された後の賃金や慰謝料などを請求することができる可能性があります。

弁護士に相談すれば、これらについて具体的にどの程度の金額を請求できる可能性があるのかなどを助言してもらうことができます。

解雇を争う前に、自分にどのような権利があるかを知っておくことは重要です。

初回無料相談であれば費用はかからない!

初回無料相談を利用すれば、無料で弁護士に相談することができます

弁護士に依頼するかどうか悩んでいる方も、まずは見通しやリスク、費用を聞いてから依頼をするか決めればいいのです

自分で解雇を争う場合にも見通しを確認しておくことは重要な事です。

そのため、会社をクビになった場合には、弁護士の初回無料相談を利用するべきなのです。

まとめ

以上のとおり、今回は、仕事を休みがちだとクビになるのかについて解説しました。

この記事の要点を簡単にまとめます。

出勤率が

80%

を超える場合には、クビにすることは許されないとされる傾向にあります。

ただし、出勤率が80%を下回る場合でも注意せずにいきなり解雇することは認められない傾向にあります

遅刻・早退の場合は、通常は、これのみを理由に労働者をクビにすることは、

処分として重すぎる

と考えられています。

この記事が仕事を休んでしまい不安に感じている方の助けになれば幸いです。

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