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勝手に給料を下げられた!こんな会社辞めるべき?減額への対処法4手順

会社から突然給料を下げられて悩んでいませんか?

給料を下げられてしまうと生活への影響も大きいので困りますよね。

まずは、給料の減額が違法ではないかを冷静に考えてみましょう

給料が減ってしまったことに焦りすぐに退職してしまうと、ブラック企業の思うツボになってしまうことがあります。

実際、最近の相談では、ブラック企業から、退職勧奨に応じなければ、給料を減額すると迫られているという案件が多くなっています。

給料の減額をするにもルールがありますので、根拠なくこれを行うことはできません

仮に、根拠があったとしても、大幅な減額は濫用として無効とされることが多いのです

そのため、あなたの給料の減額が許されるかどうか、この記事で一緒に確認していきましょう。

今回は、給料減額と対処法について解説します。

具体的には以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、給料を下げられた場合にどのように対処すればいいかがわかるはずです。

 

 

給料の減額は根拠がなければ違法

まず、知っておかなければいけないのは、

給料の減額は根拠がなければ違法

ということです。

なぜなら、会社があなたに対して「いくらの給料を支払うか」というのは雇用契約の内容となっているためです。契約の内容を勝手に会社が変更することはできません

ただし、根拠がある場合には変更が許される場合もあります。

具体的には、給料減額の根拠としては、主に以下の6つがあります。

根拠1:懲戒処分としての減額
根拠2:降格に伴う減額
根拠3:給料の査定条項に基づく減額
根拠4:就業規則の給与テーブルの変更による減額
根拠5:労働協約に基づく減額
根拠6:合意に基づく減額

給料の引き下げ根拠

順番に説明していきます。

根拠1:懲戒処分としての減額

給料減額の根拠の1つ目は、懲戒処分としての減額です。

懲戒処分は、あなたが働くにあたって規律を乱した場合に制裁として行われるものです。

会社が懲戒処分としての減額を行うには、

就業規則に懲戒事由と減給の懲戒処分

を規定しておく必要があります。

これがない場合には、懲戒処分としての減額は違法となります。仮に、これがあっても、合理性・相当性を欠けば、濫用となります

また、懲戒処分として下げることができる給与の額には限度があります。

具体的には、懲戒処分としての減額は、

1回の額が平均賃金の1日分の半額を超える場合
総額が一賃金の支払い期における賃金の総額の10分の1を超える場合

のいずかに該当すれば、限度額を超えて違法となります。

労働基準法91条
「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」

以上より、懲戒処分としての減額は、以下の場合には違法とされる可能性があります。

就業規則に懲戒事由が定められていない場合
☑就業規則に減給の懲戒処分がない場合
☑あなたの規律違反の程度が軽微である場合
☑1回の減額が平均賃金の1日分の半額を超える場合
☑減額の総額が一賃金の支払い期における賃金総額の10分の1を超える場合

根拠2:降格に伴う減額

給料減額の根拠の2つ目は、降格に伴う減額です。

降格とは、労働者の役職や等級を下げることです。役職や等級が下がる結果、給料も下がってしまうことが多いのです。

降格には、以下の2種類があります。

・懲戒処分としての降格
・業務命令としての降格

それぞれについて説明します。

懲戒処分としての降格

懲戒処分としての降格は、規律違反に対する制裁として行われる降格です。

会社が懲戒処分としての降格を行うには、

就業規則に懲戒事由と降格の懲戒処分

を規定しておく必要があります。

これがない場合には、懲戒処分としての降格は違法となります。仮に、これがあっても、合理性・相当性を欠けば、濫用となります

業務命令としての降格

業務命令としての降格とは、会社の業務命令として行われる降格です。

業務命令としての降格には、「役職・職位の引き下げ」と「等級の引き下げ」があります。

役職・職位の引き下げ

役職・職位の引き下げについては、就業規則上の規定がなくても行うことができるとされています

例えば、課長の役職を有する者を一般職員に降格することは会社の裁量の範囲内とされています。

しかし、これにより減額される給料が大きすぎるような場合には、降格は裁量権の濫用として無効となる可能性があります

等級の引き下げ

等級の引き下げについては、会社でどのような等級制度が採用されているかにより判断が異なります。

職能資格制度(職務遂行能力に応じて資格等級を定めて社員を格付ける制度)では、通常一度習得した技能が低下することは想定されていません。そのため、等級の引き下げには、就業規則等の根拠が必要とされており、根拠がある場合でも労働者の不利益が大きい場合には濫用として無効とされることがあります

職務・役割等級制度(組織における職務の価値や職務遂行上の責任・権限の大きさによって社員を格付ける制度)では、人事評価の手続きと決定権に基づいている限り、等級の引き下げも会社の裁量に委ねられているとされています。ただし、不当な動機に基づく場合などには人事評価権を濫用したものとして、降格は無効となります。

根拠3:給料の査定条項に基づく減額

給料減額の根拠の3つ目は、給料の査定条項に基づく減額です。

会社によっては、給料を固定額としないで、査定により決定するとしていることがあります。このような査定も、人事考課制度の枠内における裁量に委ねられているとされています。

ただし、査定は、公正なものである必要があります。そのため、以下の場合には、給料の査定条項に基づく減額は違法となる可能性があります。

査定基準や手続きが不明確である場合
☑査定基準の運用が不公平である場合

根拠4:就業規則の給与テーブルの変更による減額

給料減額の根拠の4つ目は、就業規則の給与テーブルの変更による減額です。

就業規則や賃金規程で、給与テーブルが定められている場合には、会社がこの給与テーブルを変更して、労働者の給料を減額することがあります。

給与テーブルというのは、等級などに応じて給料金額を設定した一覧表です。

ただし、就業規則上の給与テーブルを労働者の不利益に変更するには、合理的な理由が必要とされています

具体的には、以下の場合には、就業規則上の給与テーブルの変更は違法とされる可能性があります。

給料を減額する必要性に乏しい場合
☑減額される給料の金額大きすぎる場合
☑労働者の不利益を緩和する措置がとられていない場合
☑労働者への説明や協議が行われていない場合

根拠5:労働協約に基づく減額

給料減額の根拠の5つ目は、労働協約に基づく減額です。

労働協約とは、労働組合と会社との間で結ばれた取り決めで、労働組合法に則って締結されたものです。

あなたが労働協約を締結した労働組合に所属していないのであれば、以下の場合には、労働協約に基づく給料の減額は違法とされる可能性があります

あなたと同一の事業所に常時使用される、あなたと同種の労働者の内、その労働協約の適用を受ける方が4分の3未満である場合
☑あなたへの不利益の程度が大きすぎる場合

根拠6:合意に基づく減額

給料減額の根拠の6つ目は、合意に基づく減額です。

あなたが給料の減額に合意していた場合には、これが根拠となります。

例えば、合意書に署名押印をして会社に提出をしてしまったような場合です。

ただし、給料の減額について合意していたといえるには、労働者の自由な意思に基づいてなされたもの認めるに足りる合理的な理由が必要とされています(最判平28年2月19日民集70巻2号123頁[山梨県民信用組合事件])。

そのため、以下の場合には、合意に基づく給料の減額も違法とされる可能性があります。

減額される給料の金額が大きすぎる場合
☑合意を断れなかった理由や状況がある場合
☑会社からの情報提供や説明が不十分な場合

給料を下げられてもすぐに会社を辞めるべきでない理由3つ

給料を下げられたとしてもすぐに会社を辞めるべきではありません

特に、ブラック企業では、あなたが自主的に退職するように仕向けるため給料を減額することもありますので注意が必要です。

つまり、会社によっては、あなたを退職させるために給料を減額することもあるのです。

実際、給料を減額されると、その会社で働き続けていても将来は明るくないと感じ、すぐに退職してしまう方も多くいます。

給料下げられてもすぐに会社を辞めるべきではない理由としては、以下の3つがあります。

理由1:生活に困るため
理由2:給料の減額が違法となることも多いため
理由3:減額を争う中で特別退職金や解決金が提案されることもあるため

理由1:生活に困るため

給料を下げられてもすぐに会社を辞めるべきでない理由の1つ目は、生活に困るためです。

会社を退職してしまうと、それ以降は給料が支払われなくなってしまいます。そのため、再就職の見通しが立っていないのに、会社を辞めてしまうと生活に困ることがあります

また、明示的な退職勧奨などによらずに、あなたが自発的に退職する場合ですと、会社に自己都合退職として処理されてしまう可能性があります。その場合には、失業保険を受給するまでにも2~3か月の待機期間が生じてしまうのです。

理由2:給料の減額が違法となることも多いため

給料を下げられてもすぐに会社を辞めるべきでない理由の2つ目は、給料の減額が違法となることも多いためです。

会社が給料の引き下げをするには、先ほど見たとおり根拠が必要です。実際、行われている給料の引き下げの多くは違法なものです

そのため、会社を辞める前に本当に給料の引き下げが許されるケースなのか、弁護士に相談してみましょう。

理由3:減額を争う中で特別退職金や解決金が提案されることもあるため

給料を下げられてもすぐに会社を辞めるべきでない理由の3つ目は、減額を争う中で特別退職金や解決金が提案されることもあるためです。

先ほど見たように、あなたを退職させるために給料の減額をしているような会社の場合には、減額を争う中で、会社から退職することを条件として特別退職金や解決金の支払いが提案されることがあります

あなたは特別退職金や解決金をもらうことができれば、これを再就職するまでの期間の生活費に充てることができます。

そのため、再就職先が決まっていないのであれば、会社を辞めるかどうはこのような提案があった段階で検討すれば足りるでしょう。

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給料を下げられた場合の対処法

会社から給料を減額された場合には、以下の順で対処しましょう。

手順1:減額の根拠と理由の確認
手順2:差額分の給料の支払いを請求
手順3:交渉
手順4:労働審判・訴訟

給料を下げられた場合の対処法

それでは、各手順について具体的に説明していきます。

手順1:減額の根拠と理由の確認

会社から給料を下げられた場合にすべき手順の1つ目は、減額の根拠と理由の確認をすることです。

先ほど説明したように、給料の減額には根拠や理由が必要であるためです。

まず、給料の減額の根拠が、①懲戒処分、②降格、③給料の査定条項、④就業規則の給与テーブルの変更、⑤労働協約、⑥合意のいずれなのかを確認しましょう。

そして、上記根拠に基づき、あなたの給料を減額することが許される理由は何かを確認しましょう。例えば、懲戒処分であればあなたのどのような行為が懲戒事由に該当するのか、降格であればあなたの勤務成績がどの程度低くいのかについて、確認することになります。

減額の根拠と理由については、書面で明示してもらうのがいいでしょう。後から、根拠や理由を追加されることなどを防止するためです。

手順2:差額分の給料の支払いを請求

会社から給料を下げられた場合にすべき手順の2つ目は、差額分の給料の支払いを請求することです。

給料を下げられた根拠と理由を確認して、減額が違法な場合には、会社に対して、違法である旨を指摘した上で、差額分の給料を支払うように求めましょう。

差額分の給料の支払い請求には、あなたが給料の引き下げに合意していないことを示す意味もあります。

そのため、差額分の給料の支払い請求は、後日、証拠として提出することができるように、内容証明郵便に配達証明を付して送付しましょう

内容証明郵便とは、送付した文書の内容や差出人及び名宛人を証明することができる郵便です。

配達証明とは、会社に通知書が届いたことやその日付を証明するものです。

手順3:交渉

会社から給料を下げられた場合にすべき手順の3つ目は、交渉することです。

差額の給料の請求をしたら、会社との間で交渉をすることになります。

交渉を行う方法については、文書でやり取りする方法、電話でやり取りする方法、直接会って話をする方法など様々です。相手方の対応等を踏まえて、どの方法が適切かを判断することになります。

手順4:労働審判・訴訟

会社から給料を下げられた場合にすべき手順の4つ目は、労働審判・訴訟の申し立てです。

話し合いでの解決が難しい場合には、労働審判などの裁判所を用いた手続きを検討することになります。

労働審判というのは、全3回の期日で調停を目指すものであり、調停が成立しない場合には裁判所が一時的な判断を下すものです。労働審判を経ずに訴訟を申し立てることもできます。

訴訟は、期日の回数の制限などは特にありません。1か月に1回程度の頻度で期日が入ることになり、交互に主張を繰り返していくことになります。解決まで1年程度を要することもあります。

給料を下げられた場合の慰謝料

会社から給料を下げられた場合には、その態様によっては、慰謝料請求が認められることがあります

例えば、会社の代表者の「給料に見合う仕事ができていないと判断したら給料を減額する」等の発言が従業員の人格権を侵害する不法行為として、慰謝料を肯定した裁判例があります。
(参考:福岡地判平成31年4月15日労経速2385号18頁[キムラフーズ事件])

給料の減額についての会社とのやり取りについては、証拠として残しておいた方がいいでしょう

具体的には、面談の録音やメール、チャット、メモ、日記などを残しておくことが重要となります。

 

給料を減額された場合の相談先は弁護士がおすすめ

給料を減額された場合の相談先としては、弁護士がおすすめです。

給料の減額が許されるかどうかは法的な問題であるため、法律の専門家に相談するべきだからです。

初回無料相談を利用すれば、費用をかけずに相談することができます。

また、弁護士に依頼した場合には、あなたの代わりに会社との交渉や法的手続きをしてもらうことができます。つまり、あなたは手続きを弁護士に丸投げしてしまうことができるのです

これに対して、給料を下げられた場合に労働基準監督署に相談に行かれる方もいます。しかし、給料の引き下げの有効性が問題になる場合には、労働基準法違反があるとまではいえないとして、動いてもらえないことが多いのです

そのため、給料を下げられた場合には、弁護士に相談しましょう。

まとめ

以上のとおり、今回は、給料の減額と対処法について解説しました。

この記事の要点を簡単にまとめると以下のとおりです。

・給料の減額は根拠がなければ違法です。

・給料減額の根拠としては、主に、①懲戒処分としての減額、②降格に伴う減額、③給料の査定条項に基づく減額、④就業規則の給与テーブルの変更による減額、⑤労働協約に基づく減額、⑥合意に基づく減額があります。

・給料が減額されたとしてもすぐに会社を辞めるべきではありません。理由は、①生活に困るため、②給料の減額が違法となることも多いため、③減額を争う中で特別退職金や解決金が提案されることもあるためです。

・会社から給料を減額された場合には、①減額の根拠と理由の確認、②差額分の給料の支払いを請求、③交渉、④労働審判・訴訟の順で対処するべきです。

この記事が給料を下げられたことに悩んでいる方の助けになれば幸いです。

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