会社から日給制だから残業代は支払わないと言われたことはありませんか?
日給制であっても残業代を支払わない理由にはなりません。日給制で働いている労働者も、労働基準法上、残業代の請求をすることができます。
今回は、日給制の場合の残業代の計算方法について解説します。
日給制とは
日給制とは、1日を単位として賃金額を定める制度です。
厚生労働省による「平成26年就労条件総合調査結果の概況」を見ると、「日給制」を採用している企業は、「平成26年」において「16.2%」となっています。企業規模別にみると、「1000人以上」の企業では「9.6%」、「300~999人」の企業では「13.2%」、「100~299人」の企業では「14.0%」、「30~99人」の企業では「17.3%」となっており、企業規模が小さくなるほど日給制の割合が高まっていることが分かります。
(出典:平成26年就労条件総合調査結果の概況)
残業代の計算方法
計算式
会社において日給制がとられている場合も残業代を請求することができます。日給制の場合おける残業代の計算方法は以下のとおりです。
①1日当たりの基礎賃金
基礎賃金は、残業代の計算の基礎となる賃金のことをいいます。家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金を除いた賃金の合計金額が基礎賃金となります。
②1日の所定労働時間
所定労働時間とは、就業規則や雇用契約書において労働することとされている時間数です。始業時刻が8時00分、終業時刻が17時00分、休憩時間が12時00分~13時00分の場合には、1日の所定労働時間は8時間となります。
もっとも、日によって所定労働時間数が異なる方は、1週間における1日平均所定労働時間数を基準にします。
③割増率
割増率については、残業の種類により異なります。
法定時間外労働については、1.25倍となります。ただし、1か月について、60時間を超えた場合は、中小企業を除き、1.50倍となります。
深夜労働については、0.25倍となります。
法定休日労働については、1.35倍となります。
④残業時間数
法定時間外の残業時間数は、1日8時間・1週間40時間を超えて労働した時間数となります。
深夜の残業時間数は、午後10時~午前5時に労働した時間数となります。
法定休日の残業時間数は、法律上1週間に1日与えることとされている日に労働した時間数となります。
計算例
日給1万円で手当なしの方が、1日の所定労働時間が8時間であるところ10時間働いた場合の残業代は、以下のとおりとなります。
残業代早見表
残業代早見表を作成しましたので、参考までにご覧ください。消滅時効を考慮し2年分の残業代金額で計算しています。