未払残業代・給料請求

なぜ管理職は残業代が出ないのか?2つの理由と取り戻す手順を解説

なぜ管理職は残業代が出ないのか?2つの理由と取り戻す手順を解説

なぜ管理職に残業代が出ないのかを知りたいと悩んでいませんか?

他の従業員と同じように残業をしても、自分だけ残業代が出ないと不満ですよね。

管理職に残業代が出ない理由としては、以下の2つがあります。

理由1:管理監督者に該当するため
理由2:会社が法律を誤解しているため

そして、多くの事案は、理由2の会社が法律を誤解しているためです。

法律上、残業代を支給しなくてもよい管理監督者に該当する方は、管理職の中でも非常に限られています

管理職の図

経営や採用・解雇・人事評価・人員配置に関与しており、かつ、出勤日や出勤時間も自分で自由に決められて、更に残業代が支給されなくても十分といえるほどの賃金を支給されている必要があります。

あなたは名ばかり管理職?

人たるに値する生活をするための最低限の労働条件を示した労働基準法の例外となるため、とても厳格に解釈されているのです。

実は、たくさんの管理職の方からの相談を受ける中でも、本当に管理監督者に当たると言えるような働き方をしている方は、あまりいません

日本における多くの管理職の方は、労働基準法上は残業代が出るにもかかわらず、会社が法律を誤解しているために残業代が出ていない可能性があります。

この記事をとおして、少しでも多くの管理職の方に、実は残業代が出ることを知っていただければと思います。

今回は、なぜ管理職は残業代が出ないのかについて、その理由と残業代を取り戻す手順を解説していきます。

具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、管理職の方になぜ残業代が出ないのか、その理由がよくわかるはずです。

管理職の残業代については、以下の動画でも分かりやすく解説しています。

 

 

 

 

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なぜ管理職は残業代が出ないのか?2つの理由

管理職に残業代が出ないと理由は、以下の2つのいずれかです。

理由1:管理監督者に該当するため
理由2:会社が法律を誤解しているため

管理職に残業だが出ない理由2つ

そして、多くの場合は、理由2の会社が法律を誤解しているためです。

それでは、各理由について順番に説明していきます。

理由1:管理監督者に該当するため

管理職に残業代が出ない理由の1つ目は、管理監督者(「監督若しくは管理の地位にある者」[労働基準法41条2号])に該当するためです。

労働基準法上、管理監督者に該当する場合には、労働時間や休日に関する規定が適用されません。

その結果、時間外手当や休日手当が出ないことになります。

労働基準法第41条(労働時間等に関する規定の適用除外)
「この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。」
二「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」

そのため、管理職の中でも、管理監督者に該当する方は、それを理由に残業代(時間外手当・休日手当)が支給されないことになります。

理由2:会社が法律を誤解しているため

管理職に残業代が出ない理由の2つ目は、会社が法律を誤解しているためです。

本来、管理監督者に該当するのは、管理職の中でもほんの一部であり、これに該当するにはいくつかの条件を満たす必要があります。

しかし、会社は、これらの条件を満たしていない管理職についても、管理職監督者に該当するものと勘違いしていることがあるのです

なぜ管理監督者は残業代が出ないとされているのか?労働基準法41条2号の理由

労働基準法41条2号が管理監督者に残業代が出ないとしている理由は、労働時間等に関する規定の適用を除外されても、やむを得ず、また、保護に欠けるところがないためと説明されます。

やむを得ないとされているのは、企業経営上の必要から、重要な職務と権限を付与されているためです。

保護に欠けるところがないとされているのは、賃金等の待遇やその勤務態様において、他の一般労働者に比べて優遇措置が取られているためです。

法律で管理監督者に残業代が出ないとされている理由

逆に言えば、後ほど説明するように、経営者との一体性、労働時間の裁量、対価の正当のせいのいずれかを欠けば、上記理由が妥当しないので管理監督者には該当しないことになります。

~東京地判平成20年1月28日労判953号10頁~
[日本マクドナルド事件]
 

裁判例(東京地判平成20年1月28日労判953号10頁[日本マクドナルド事件])は、労働基準法41条2号の趣旨につき以下のように判示しています。

「使用者は、労働者に対し、原則として、1週40時間又は1日8時間を超えて労働させてはならず(労働基準法32条)、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間を与えなければならないし(同法34条1項)、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならないが(同法35条1項)、労働基準法が規定するこれらの労働条件は、最低基準を定めたものであるから(同法1条2項)、この規制の枠を超えて労働させる場合に同法所定の割増賃金を支払うべきことは、すべての労働者に共通する基本原則であるといえる。」

「しかるに、管理監督者については、労働基準法の労働時間等に関する規定は適用されないが(同法41条2号)、これは、管理監督者は、企業経営上の必要から、経営者との一体的な立場において、同法所定の労働時間等の枠を超えて事業活動することを要請されてもやむを得ないものといえるような重要な職務と権限を付与され、また、賃金等の待遇やその勤務態様において、他の一般労働者に比べて優遇措置が取られているので、労働時間等に関する規定の適用を除外されても、上記の基本原則に反するような事態が避けられ、当該労働者の保護に欠けるところがないという趣旨によるものであると解される。」

 

 

 

なぜ会社は管理職に残業代が出ないと誤解するのか?誤解の理由

会社が管理職に残業代が出ないと誤解する理由は、「管理監督者という名称」と「管理監督者の条件の厳格性」にあります。

会社が管理職に残業代が出ないと誤解する理由

まず、労働基準法上の管理監督者という名称から、その文言を素直に読むと、管理職であればこれに該当すると誤解を招きやすくなっております。

また、管理監督者に該当するための条件が非常に厳格であり、世間一般の考える管理職のイメージと大きく乖離しているため、誤解を招きやすくなっています。

実際、管理職には残業代が出ないと誤った知識が世間一般に広まっており、これが誤解に拍車をかけている側面もあります。

そのため、会社は、管理職には残業代が出ないと誤解しがちなのです。

管理職にも残業代が出るかを判断する3つの基準

管理職にも残業代が出るかを判断する基準は以下の3つです。

基準1:経営者との一体性
基準2:労働時間の裁量
基準3:対価の正当性

経営者との一体性とは、会社の経営上の決定に参画し、労務管理上の決定権限を持っていることです。

例えば、経営会議等に参加していること、採用・解雇・人事考課等の労務管理上の指揮監督権を有していること、実際の職務内容がマネージャー業務に限られているか等が考慮されます。

労働時間の裁量とは、始業時間や終業時間がどの程度厳格に取り決められ、管理されていたことです。

例えば、タイムカード等により出退勤が管理されていること、遅刻や欠勤等の賃金控除の有無、業務予定の報告や社外業務の許可の要否等が考慮されます。

対価の正当性とは、基本給、その他の手当において、その地位にふさわしい待遇を受けていることです。

例えば、残業時間に比して給料が著しく少なくないか、他の従業員と比べて優遇されているか等が考慮されます。

管理監督者性について判断した裁判例はたくさんありますが、肯定した例は多くありません

管理監督者性を肯定した裁判例については、以下の記事で詳しく解説しています。

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管理職が残業代を取り戻す手順

管理監督者に該当しないにもかかわらず、管理職というだけで残業代が支払われていない場合には、これまで支払ってもらえていなかった残業代を遡って請求することができます

しかし、会社側は、あなたが管理監督者に該当すると主張している以上、あなた自身が行動をおこさなければ、これを獲得することはできません。

具体的には、管理職の方が残業代を請求する手順は、以下のとおりです。

手順1:名ばかり管理職の証拠を集める
手順2:残業代の支払いの催告をする
手順3:残業代の計算
手順4:交渉
手順5:労働審判・訴訟

それでは、順番に説明していきます。

残業代請求の方法・手順については、以下の動画でも詳しく解説しています。

手順1:名ばかり管理職の証拠を集める

残業代を請求するには、まず名ばかり管理職の証拠を集めましょう。

名ばかり管理職としての証拠としては、例えば以下のものがあります。

①始業時間や終業時間、休日を指示されている書面、メール、LINE、チャット
→始業時間や終業時間、休日を指示されていれば、労働時間の裁量があったとはいえないため重要な証拠となります。
②営業ノルマなどを課せられている書面、メール、LINE、チャット
→営業ノルマなどを課されている場合には、実際の職務内容が経営者とは異なることになるため重要な証拠となります。
③経営会議に出席している場合にはその発言内容や会議内容の議事録又は議事録がない場合はメモ
→経営会議でどの程度発言力があるかは、経営に関与しているかどうかを示す重要な証拠となります。
④新人の採用や従業員の人事がどのように決まっているかが分かる書面、メール、LINE、チャット
→採用や人事に関与しておらず、社長が独断で決めているような場合には、経営者との一体性がないことを示す重要な証拠となります。
⑤店舗の経営方針、業務内容等を指示されている書面、メール、LINE、チャット
→経営方針や業務内容の決定に関与しておらず、社長が独断で決めているような場合には、経営者との一体性を示す重要な証拠となります。

手順2:残業代の支払いの催告をする

残業代を請求するには、内容証明郵便により、会社に通知書を送付することになります。

理由は以下の2つです。

・残業代の時効を一時的に止めるため
・労働条件や労働時間に関する資料の開示を請求するため

具体的には、以下のような通知書を送付することが多いです。
御通知(残業代請求:時効3年)※御通知のダウンロードはこちら
※こちらのリンクをクリックしていただくと、御通知のテンプレが表示されます。
表示されたDocumentの「ファイル」→「コピーを作成」を選択していただくと編集できるようになりますので、ぜひご活用下さい。

手順3:残業代の計算

会社から資料が開示されたら、それをもとに残業代を計算することになります。

残業代の計算方法については、以下の記事で詳しく説明しています。

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手順4:交渉

残業代の金額を計算したら、その金額を支払うように会社との間で交渉することになります。

交渉を行う方法については、文書でやり取りする方法、電話でやり取りする方法、直接会って話をする方法など様々です。相手方の対応等を踏まえて、どの方法が適切かを判断することになります。

残業代の計算方法や金額を会社に伝えると、会社から回答があり、争点が明確になりますので、折り合いがつくかどうかを協議することになります。

手順5:労働審判・訴訟

交渉による解決が難しい場合には、労働審判や訴訟などの裁判所を用いた手続きを行うことになります。

労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きであり、調停が成立しない場合には労働審判委員会が審判を下します。迅速、かつ、適正に解決することが期待できます。

労働審判については、以下の記事で詳しく解説しています。

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訴訟は、期日の回数の制限などは特にありません。1か月に1回程度の頻度で期日が入ることになり、交互に主張を繰り返していくことになります。解決まで1年程度を要することもあります。

残業代の裁判については、以下の記事で詳しく解説しています。

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管理職の残業代請求はリバティ・ベル法律事務所にお任せ

管理職の方の残業代請求については、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。

管理職の残業代請求については、経営者との一体性や労働時間の裁量、対価の正当性について適切に主張を行っていく必要があります。

また、残業代請求については、交渉力の格差が獲得金額に大きく影響してきます

リバティ・ベル法律事務所では、管理職の残業代請求について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しておりますので、あなたの最善の解決をサポートします。

リバティ・ベル法律事務所では、残業代問題に関して、「初回相談無料」「完全成功報酬制」を採用していますので、少ない負担で気軽にご相談できる環境を整えています。

残業に悩んでいる管理職の方は、一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。

 

 

 

まとめ

以上のとおり、今回は、なぜ管理職は残業代が出ないのかについて、その理由と残業代を取り戻す手順を解説しました。

この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。

・管理職に残業代が出ないと理由は、以下の2つのいずれかです。
理由1:管理監督者に該当するため
理由2:会社が法律を誤解しているため

・労働基準法41条2号が管理監督者に残業代が出ないとしている理由は、労働時間等に関する規定の適用を除外されても、やむを得ず、また、保護に欠けるところがないためと説明されます。

・会社が管理職に残業代が出ないと誤解する理由は、「管理監督者という名称」と「管理監督者の条件の厳格性」にあります。

・管理職にも残業代が出るかを判断する基準は以下の3つです。
基準1:経営者との一体性
基準2:労働時間の裁量
基準3:対価の正当性

・管理職の方が残業代を請求する手順は、以下のとおりです。
手順1:名ばかり管理職の証拠を集める
手順2:残業代の支払いの催告をする
手順3:残業代の計算
手順4:交渉
手順5:労働審判・訴訟

この記事が残業代を支払ってもらうことができず悩んでいる管理職の方の助けになれば幸いです。

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弁護士 籾山善臣
神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題、離婚・男女問題、企業法務など数多く担当している。労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。 【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、区民ニュース2023年8月21日
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