退職パッケージを提示されても、税金を差し引いた後にいくら残るのか分からず、判断に迷うケースは少なくありません。
特別退職金、ガーデンリーブ中の給与、解決金などは税務上の扱いが同じとは限らないため、額面だけで退職条件を決めると手取りが想定より少なくなることがあります。
<この記事の要点>
・退職パッケージの税金については、第一次的には当事者間で合意した名目により処理しますが、最終的には税務署により実態に従い判断されます。
・退職所得には控除や2分の1課税がありますが、勤続5年以下の例外、申告書未提出、複数の退職金などに注意し、合意前に内訳と処理方法を確認することが大切です。
この記事を読めば、退職パッケージの税金と合意前の確認事項がよくわかるはずです。

目次
退職パッケージの税金は最終的には実態で判断される
退職パッケージの税金は、最終的には支払いの実態に従って判断されます。
もっとも、会社と労働者の間では、まず退職合意書などで合意した支払名目に沿って税務処理をするのが通常です。
例えば、解雇前に退職条件を合意する場合には「特別退職金」、解雇後に紛争を解決する場合には「解決金」という名目にすることがあります。
ただし、合意書に書かれた名称だけで税務上の扱いが確定するわけではありません。
税務署は、支払目的、支払いに至った経緯、金額の算定方法などを踏まえて、その金銭の実態から所得区分を判断します。
そのため、退職パッケージでは、支払名目と実際の支払内容をできる限り一致させておくことが大切です。
【支払内容別】退職パッケージにかかる税金
退職パッケージの税金は、支払われる金銭の内容によって異なります。
同じ退職時の支払いでも、退職所得になるもの、給与所得になるもの、非課税になるものなどがあるためです。
主な支払内容ごとの扱いは、以下のとおりです。

それでは、支払内容ごとの税金について順番に見ていきましょう。
解雇前の特別退職金・割増退職金|退職所得
解雇前の退職交渉で支払われる特別退職金や割増退職金は、退職所得として扱われることが一般的です。
退職所得とは、退職しなければ支払われず、退職を理由として一時に支払われる給与をいいます。
例えば、会社から退職を求められ、通常の退職金に加えて給与数か月分を「特別退職金」として受け取るケースが多いです。
退職所得には退職所得控除などがあるため、給与所得とは税金の計算方法が大きく異なります。
特別退職金については、以下の記事と動画で詳しく解説しています。
解雇後の解決金|一時所得等実態に従い確定申告
解雇後に紛争を解決するため支払われる金銭は、「解決金」とすることが多く、その税務上の扱いは支払内容の実態によって異なります。
解決金という名称だけで、所得区分が決まるわけではないためです。
例えば、未払賃金や慰謝料とは別に、紛争を終了させるための一時的な金銭として解決金を支払うケースでは、一時所得として処理することが考えられます。
一時所得として処理する場合には、給与や退職金とは異なる方法で税額を計算し、必要に応じて本人が確定申告を行うことになります。
不当解雇の解決金については、以下の記事と動画で詳しく解説しています。
未払賃金・賞与相当額を含む解決金|給与所得
解決金の中に未払賃金や賞与の支払いが含まれている場合には、その部分は原則として給与所得として扱われます。
本来、働いたことへの対価として受け取る金銭だからです。
例えば、「解決金800万円」と一括して記載されていても、そのうち200万円が未払いの給与を補う趣旨であるというケースがあります。
この場合には、単に「解決金」という名称だけを見るのではなく、その内訳を確認することが重要です。
退職後に支給されても、在職者に支払われる給与と同性質のものは給与所得として扱われます。
慰謝料|非課税
心身に加えられた損害について支払われる慰謝料は、原則として所得税がかかりません。
損害を受けた人の利益を増やすためではなく、受けた損害を補うための金銭だからです。
例えば、ハラスメントによる精神的苦痛について慰謝料が支払われるケースがあります。
ただし、合意書に「慰謝料」と書けば必ず非課税になるわけではありません。
実際には退職の対価や未払賃金である場合には、その実態に応じて課税関係が判断されます。
退職勧奨の慰謝料については、以下の記事と動画で詳しく解説しています。
ガーデンリーブ中の給与・退職日までの賃金・賞与|給与所得
ガーデンリーブ中の給与、退職日までの賃金、賞与は、基本的に給与所得です。
退職パッケージの一部として支給されても、在職中の労務や雇用関係に基づいて支払われる給与だからです。
例えば、退職日まで6か月間は出社せず、それまで通常どおり月給が支払われるケースがあります。
この期間の給与は特別退職金とは分けて考え、通常の給与と同様に所得税や社会保険料を確認する必要があります。
退職時の有給休暇の買い取り|退職所得
退職によって消滅する有給休暇を会社が買い取る場合には、退職所得として扱われるのが基本です。
退職しなければ買い取られず、退職を理由として一時に支払われる金銭と考えられるためです。
例えば、退職日に未消化の有給休暇が残っており、その日数に応じた金銭を退職時にまとめて受け取るケースがあります。
ただし、在職中から通常行われている有給休暇の買い取りなどは別に検討する必要があります。
退職時の有給買い取りについては、以下の記事と動画で詳しく解説しています。
株式報酬・ストックオプション|制度と権利確定時期ごとに確認
株式報酬やストックオプションは、制度の内容や課税される時期を個別に確認する必要があります。
現金の特別退職金とは異なり、付与、権利確定、権利行使、株式売却などの時点によって課税関係が変わるためです。
例えば、税制非適格ストックオプションでは、雇用関係に基づいて付与された場合、原則として権利行使時の利益が給与所得となり、その後の株式売却による利益は譲渡所得として扱われます。
外資系企業の退職パッケージでは株式報酬が含まれることもあるため、現金部分とは分けて税務上の扱いを確認することが大切です。
RSUについては、以下の記事でと動画で詳しく解説しています。
退職パッケージの税金の計算方法
退職パッケージの税金は、所得区分によって計算方法が大きく異なります。
手取りを見積もるためには、まずどの所得に当たるのかを整理することが大切です。
それでは、それぞれの計算方法について順番に見ていきましょう。
退職所得の計算方法
退職所得は、原則として次の計算式で求めます。
(退職金の収入金額-退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額
退職所得控除額は、勤続年数20年以下であれば「40万円×勤続年数」、20年を超える場合には「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」です。
20年以下で計算した金額が80万円未満の場合には、80万円となります。
また、退職所得は原則として給与所得などとは分けて税額を計算する分離課税です。
そのため、給与として同額を受け取る場合と比べて、税負担が軽くなることがあります。
ただし、勤続年数が5年以下の場合には注意が必要です。
一般の従業員が受け取る「短期退職手当等」では、退職所得控除後の金額が300万円を超えると、その超える部分には2分の1課税が適用されません。
また、一定の役員等としての勤続年数が5年以下の場合には、さらに異なる計算方法となります。
給与所得の計算方法
給与として支払われる部分は、通常の給与と同じように給与所得として計算します。
例えば、ガーデンリーブ中の給与や退職日までの賃金、賞与については、その年に受け取った他の給与と合わせて給与収入を計算し、給与所得控除などを差し引いたうえで所得税を計算します。
退職所得のように、退職所得控除を使ったり、原則として2分の1にしたりする仕組みはありません。
また、給与として支給される金銭については、所得税だけではなく、支給時期や内容によって社会保険料の負担も確認する必要があります。
そのため、額面が同じ800万円でも、特別退職金として受け取る場合と給与として受け取る場合では、手取りに大きな差が出ることがあります。
一時所得の計算方法
解決金を一時所得として処理する場合には、原則として次の計算式を使います。
総収入金額-収入を得るために直接支出した金額-特別控除額50万円=一時所得の金額
一時所得には、年間で最高50万円の特別控除があります。
さらに、税金を計算するときには、一時所得の金額をそのまま課税するのではなく、原則として2分の1にした金額を給与所得などの他の所得と合算します。
そのため、一時所得として処理される解決金の税額は、解決金だけでは確定せず、その年の給与など他の所得によっても変わります。
退職パッケージの税金の計算例と手取り
退職パッケージの手取りは、同じ800万円でも所得区分や勤続年数によって大きく変わります。
退職所得には控除や2分の1課税がありますが、勤続5年以下では例外があり、給与所得や一時所得は別の方法で税金を計算するためです。
ここでは、以下の4つの計算例を見ていきます。
計算例1:勤続10年・特別退職金800万円の場合
計算例2:勤続4年・特別退職金800万円の場合
計算例3:ガーデンリーブ中の給与800万円が支払われる場合
計算例4:解決金800万円が支払われ一時所得として処理する場合
それでは、それぞれの税金と手取りについて順番に見ていきましょう。
計算例1:勤続10年・特別退職金800万円の場合
勤続10年で特別退職金800万円を受け取る場合、税金を差し引いた手取りは約769万5000円です。
まず、退職所得控除は以下のとおりです。
40万円×10年=400万円
退職所得は、控除後の金額を原則として2分の1にします。
(800万円-400万円)×2分の1=200万円
この200万円に所得税等と住民税がかかります。
所得税・復興特別所得税:約10万5000円
住民税:20万円
税金合計:約30万5000円
したがって、手取りは次のとおりです。
800万円-約30万5000円
=約769万5000円
退職所得には大きな税負担の軽減があるため、額面800万円の大部分を手元に残せる計算です。
計算例2:勤続4年・特別退職金800万円の場合
勤続4年の場合には、同じ800万円の特別退職金でも、手取りは約694万6000円まで下がります。
勤続5年以下の労働者には、2分の1課税について特例があるためです。
まず、退職所得控除は以下のとおりです。
40万円×4年=160万円
控除後の金額は640万円です。
800万円-160万円=640万円
このうち300万円以下の部分には2分の1課税が適用されますが、300万円を超える340万円には適用されません。
300万円×2分の1+340万円
=490万円
この490万円に税金がかかります。
所得税・復興特別所得税:約56万4000円
住民税:49万円
税金合計:約105万4000円
したがって、手取りは次のとおりです。
800万円-約105万4000円
=約694万6000円
このように、特別退職金の金額が同じでも、勤続年数によって手取りに大きな差が出ることがあります。
計算例3:ガーデンリーブ中の給与800万円が支払われる場合
ガーデンリーブ中に給与として800万円が支払われる場合には、退職所得控除や2分の1課税は利用できません。
給与所得として通常の所得税や住民税がかかるためです。
令和8年分の給与所得控除を前提にすると、給与所得控除は190万円となります。
800万円-190万円
=給与所得610万円
ここでは比較を簡単にするため、基礎控除以外の所得控除を考慮せずに計算します。
所得税の基礎控除63万円を差し引くと、課税所得は547万円です。
610万円-63万円
=547万円
概算すると、所得税・復興特別所得税は約68万円、住民税の所得割は約56万7000円です。
税金合計:約124万7000円
税金だけを差し引いた金額:約675万3000円
ただし、ガーデンリーブ中の給与では社会保険料にも注意が必要です。
実際には健康保険料や厚生年金保険料なども負担する一方、支払った社会保険料は所得控除となるため、所得税や住民税の金額も変わります。
そのため、実際の手取りは年齢、給与の支払期間、標準報酬月額などを踏まえて個別に確認する必要があります。
計算例4:解決金800万円が支払われ一時所得として処理する場合
解決金800万円を一時所得として処理する場合には、50万円の特別控除を差し引いた後、その2分の1だけが課税対象となります。
ここでは、解決金以外の所得がなく、解決金を得るために直接支出した費用もないものとして計算します。
まず、一時所得を計算します。
800万円-50万円
=750万円
この2分の1である375万円が、他の所得と合算される金額です。
750万円×2分の1
=375万円
令和8年分の所得税の基礎控除68万円を差し引くと、課税所得は307万円となります。
375万円-68万円
=307万円
概算すると、所得税・復興特別所得税は約21万4000円、住民税の所得割は約33万2000円です。
税金合計:約54万6000円
手取り:約745万4000円
もっとも、一時所得は退職所得と異なり、他の所得と合算して税金を計算します。
例えば、退職した年に多額の給与所得があるというケースでは、適用される所得税率が高くなり、ここで示した金額より手取りが少なくなることがあります。
また、「解決金」という名目にすれば当然に一時所得になるわけではありません。
最終的には支払目的や経緯などの実態から所得区分が判断されるため、この計算例は解決金が一時所得として処理される場合の一例と考えておきましょう。
退職パッケージの税金に関する手続
退職パッケージを受け取る際には、所得区分だけではなく、必要な税務手続も確認しておきましょう。
主な手続は、以下の2つです。
手続1:退職所得の受給に関する申告書の提出
手続2:確定申告それでは、退職パッケージを受け取る際の税務手続について順番に見ていきましょう。
手続1:退職所得の受給に関する申告書の提出
特別退職金などを退職所得として受け取る場合には、原則として、「退職所得の受給に関する申告書」を支払いを受けるまでに会社へ提出します。
この申告書を提出すると、会社が勤続年数や退職所得控除などを踏まえて所得税等を計算し、必要な税額を源泉徴収します。
そのため、通常は退職所得について改めて確定申告をする必要はありません。
一方、申告書を提出しない場合には、退職手当等の金額に対して20.42%の税率で所得税等が源泉徴収されます。
本来の税額より多く源泉徴収された場合には、確定申告によって精算することになります。
そのため、特別退職金を受け取る際には、支給前に退職所得の受給に関する申告書を提出しておくことが大切です。
退職所得の受給に関する申告書については、以下の国税庁のページからダウンロードすることができます。
A2-29 退職所得の受給に関する申告(退職所得申告)|国税庁
手続2:確定申告
退職パッケージの内容によっては、自分で確定申告をする必要があります。
例えば、解雇後に受け取った解決金を一時所得として処理する場合には、他の所得なども踏まえて確定申告の要否を確認することになります。
また、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合や、外国企業から退職金を受け取り源泉徴収されていない場合なども、確定申告が必要になることがあります。
なお、申告書を提出して退職所得の課税が源泉徴収で完了している場合には、原則として退職所得だけを理由に確定申告をする必要はありません。
ただし、医療費控除や寄附金控除などのために確定申告をする場合には、退職所得についても申告書に記載する必要があります。
退職パッケージには複数の所得区分が混在することもあるため、会社の源泉徴収だけで手続が完了するのか、自分でも確定申告が必要なのかを確認しておきましょう。
退職合意書へサインする前の確認事項4つ
主な確認事項として、以下があります。
退職合意書へサインする前には、金額だけではなく、税務上どのように処理される予定なのかも確認することが大切です。
支払名目や源泉徴収の方法によって、同じ額面でも手取りが変わる可能性があるためです。
主な確認事項として、以下があります。
確認事項1:支払名目
確認事項2:源泉の有無
確認事項3:実態との乖離の有無
確認事項4:税引後の手取見込
それでは、退職合意書へサインする前の確認事項を順番に見ていきましょう。
確認事項1:支払名目
まず、退職パッケージの各金銭が、どのような名目で支払われるのかを確認しましょう。
特別退職金、解決金、給与、慰謝料などでは、税務上の扱いが異なる可能性があるためです。
例えば、解雇前の交渉で退職を条件に上乗せ金を支払う場合には、「特別退職金」とすることがあります。
一方、解雇後に紛争を解決するために支払う場合には、「解決金」とすることがあります。
合意書へサインする前に、金額だけではなく、何の名目で支払われるのかを確認しておきましょう。
確認事項2:源泉の有無
次に、会社が税金を源泉徴収して支払うのか、そのまま全額を支払うのかを確認しましょう。
源泉徴収の有無によって、実際に振り込まれる金額や、その後に必要となる手続が変わるためです。
例えば、特別退職金であれば会社が退職所得として源泉徴収することがあります。
これに対して、解決金として源泉徴収をせずに支払われ、本人が後から確定申告をするケースも考えられます。
そのため、「額面800万円」とだけ確認するのではなく、実際の振込額も確認することが大切です。
確認事項3:実態との乖離の有無
支払名目が、実際に金銭が支払われる理由と食い違っていないかも確認しましょう。
当事者間では合意した名目に沿って処理するのが通常ですが、最終的な税務上の扱いは実態に従って判断されるためです。
例えば、実質的には未払賃金である金銭を、税負担を軽くする目的だけで「慰謝料」とすることには問題があります。
後から税務上の扱いを見直されるリスクもあるため、支払名目と支払目的はできる限り一致させることが大切です。
確認事項4:税引後の手取見込
退職条件を判断するときは、額面ではなく、税金などを差し引いた後の手取見込を確認しましょう。
同じ800万円でも、退職所得、給与所得、一時所得のどれに該当するかによって、税負担が大きく変わる可能性があるためです。
また、給与として支払われる部分については、所得税だけではなく社会保険料の負担が生じることもあります。
退職パッケージの金額を比較するときは、提示額だけを見るのではなく、最終的にいくら手元に残るのかを基準に検討することが大切です。
退職パッケージと税金の注意点
退職パッケージの税金では、所得区分だけでなく、退職所得の特例や必要な手続にも注意が必要です。
退職パッケージにおける税金の注意点は、以下の3つです。
注意点1:勤続5年以下の特例に気を付ける
注意点2:退職所得の受給に関する申告書を出し忘れない
注意点3:実態から外れた無理な交渉をしない
それでは、退職パッケージの税金で注意したいポイントを順番に見ていきましょう。
注意点1:勤続5年以下の特例に気を付ける
勤続年数が5年以下の場合には、退職所得の2分の1課税が一部使えないことがあります。
一般の従業員が受け取る短期退職手当等では、退職所得控除後の金額が300万円を超える部分について、2分の1課税が適用されません。
そのため、勤続年数が短い人ほど、「退職金だから税金は少ない」と単純に考えないことが大切です。
特別退職金を提示された場合には、勤続年数も踏まえて手取りを計算しておきましょう。
注意点2:退職所得の受給に関する申告書を出し忘れない
特別退職金などを退職所得として受け取る場合には、「退職所得の受給に関する申告書」を会社へ提出しておきましょう。
提出しない場合には、退職手当等の金額に対して20.42%の所得税等が源泉徴収されます。
本来の税額より多く徴収された場合には、後から確定申告によって精算することになります。
余計な手続や一時的な手取りの減少を避けるためにも、支給前に提出状況を確認しておくことが大切です。
注意点3:実態から外れた無理な交渉をしない
税負担を軽くするためだけに、実態とかけ離れた支払名目へ変更するよう求めることは避けた方がよいでしょう。
税務上の扱いは、当事者が付けた名称だけではなく、支払目的や経緯、算定方法などの実態を踏まえて最終的に判断されるためです。
例えば、実質的には未払賃金である金銭を「慰謝料」としたり、退職とは関係のない金銭を無理に「特別退職金」としたりしても、その名目どおりに扱われるとは限りません。
退職パッケージの交渉では、税金だけを理由に名目を決めるのではなく、実際の支払内容に合った形で整理することが大切です。
退職パッケージの税金でよくある疑問5つ
退職パッケージの税金でよくある疑問としては、以下の5つがあります。
Q1:会社が解決金名目とするのを嫌がる理由は?
Q2:全額慰謝料にするよう交渉することはできる?
Q3:会社都合退職と自己都合退職で税金は変わる?
Q4:税金を会社が負担するよう交渉することはできる?
Q5:退職所得控除額以下なら税金はかからない?
これらの疑問を順番に解消していきましょう。
Q1:会社が解決金名目とするのを嫌がる理由は?
A.税務署が退職所得と判断した場合、会社は源泉税の支払いを求められるためです。
合意書において清算条項が入ってしまっていると、後から、源泉税の清算も困難となってしまう可能性があります。
また、源泉せずに解決金の支払いをした後、労働者が本当に確定申告を行うか不安視している会社もあります。
Q2:全額慰謝料にするよう交渉することはできる?
A.会社に対して、慰謝料を含めた条件を交渉すること自体は可能です。
しかし、税金をかからなくする目的だけで、退職パッケージ全額を慰謝料とすることは適切ではありません。
慰謝料が非課税となるのは、精神的損害などを補う性質の金銭だからです。
例えば、実際には退職への対価として算定された金銭を、非課税にするためだけに「慰謝料」と記載しても、その実態に従って別の所得として判断される可能性があります。
慰謝料とする場合には、その名目に対応する実態があることが重要です。
Q3:会社都合退職と自己都合退職で税金は変わる?
A.会社都合退職か自己都合退職かというだけで、退職金の税金の計算方法が変わるわけではありません。
退職所得の税額は、基本的に退職金の額や勤続年数などを基に計算するためです。
そのため、同じ勤続年数、同じ退職金額であれば、会社都合か自己都合かだけを理由として税額が変わるものではありません。
Q4:税金を会社が負担するよう交渉することはできる?
A.労働者が負担すべき税金を会社に転嫁することは難しいでしょう。
税金の負担を会社に求めるのではなく、手元に十分な金額が残る額面のパッケージを交渉する方が合理的です。
Q5:退職所得控除額以下なら税金はかからない?
A.退職所得として受け取る金額が退職所得控除額以下であれば、原則として課税される退職所得は0円になります。
例えば、勤続10年であれば、退職所得控除額は原則として400万円です。
退職所得として受け取る金額が400万円以下であれば、通常は退職所得に対する所得税等は生じません。
ただし、同じ年に複数の退職金を受け取っている場合や、一定期間内に別の退職金を受け取っている場合には、退職所得控除の計算が調整されることがあります。
そのため、複数の退職金がある場合には個別に確認することが大切です。
退職パッケージはリバティ・ベル法律事務所にお任せ
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まとめ
以上のとおり、今回は、退職パッケージの税金はいくらかについて、所得区分や計算例・手取りと注意点3つを解説しました。
この記事が、退職パッケージの税金に悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。





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