管理職になったけど退職したいと悩んでいませんか?
管理職になると責任や労働時間は増えるのに残業代を支払ってもらえなくなり辛いですよね。
結論としては、管理職であっても、退職することは雇用契約上の権利ですので、会社が同意していなくても退職することができます。
しかし、会社によっては、管理職であることを理由にして、「無責任である」などと言って、退職を引き止めようとしてくることがあります。
場合によっては、損害賠償を請求するなどと申し向けてくることもありますので、適切な対処法や退職の手順を知っておいていただく必要があります。
更に、管理職の方が退職する場合には、退職金や未払い残業代など、いくつか会社に対して請求できる可能性のある権利があります。
管理職になった後に退職する場合には、年齢的にも再就職に時間がかかることがありますので、生活を維持していくためにも、是非どのような請求をできるのかを知っておいていただきたいところです。
実際、労働者が請求しないことにより、退職金を支払ってもらえなかったり、請求できたはずの残業代が時効により消滅してしまったりするケースも多いのです。
この記事をとおして、管理職の方が今の会社を上手に退職したうえで、生活を維持していく方法について説明していくことができればと思います。
今回は、管理職の上手な退職の仕方について、よくある退職理由や残業代や退職金等の請求できる可能性のあるお金について解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば管理職の方がどのようにして退職すればいいのかがよくわかるはずです。
目次
管理職でも退職できる!会社が管理職の退職を引き止める3つの手口
管理職も、会社の同意なく、一方的な意思表示により退職することができます。
管理職だと、普通の労働者と違って、会社の承諾がないと退職することができないのではないか不安に感じている人もいるかもしれません。
しかし、民法は、雇用の期間を定めなかったときは、いつでも解約の申し入れをすることができるとしています。
民法627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
1 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
例えば、あなたが辞職する意思をもって退職届を会社に提出したのに、会社が退職を認めないということはできないのです。
ただし、退職には、「合意退職」と「辞職」があります。
労働者の退職届を会社が承諾した場合にのみ退職するという意味の「合意退職の申し込み」であった場合には、会社が承諾を拒むことにより退職の効力が生じないことになります。
そのため、会社の承諾が得られない場合には、民法627条1項の会社の承諾を必要としない辞職の意思表示として行う旨を明確にして意思表示をしておくといいでしょう。
以下では、会社が管理職の退職を引き止める手口とその対処法について、次の順番で説明していきます。
手口1:退職届を受理しない
手口2:悪評を流すと言ってくる
手口3:損害賠償を請求すると言ってくる
手口1:退職届を受理しない
会社が管理職の退職を引き止める手口の1つ目は、退職届を受理しないという方法です。
退職届を手渡そうとしても、もう一度考え直してほしいと言われるなどして、受け取ってもらえないことがあります。
このような場合には、内容証明郵便に配達証明を付して、「民法627条1項に基づき令和●年●月●日付けで退職する意思表示をいたします。」と記載して送付しましょう。
内容証明郵便の受け取りも拒否されてしまった場合には、コピーをとったうえで、特定記録郵便により送付することを検討しましょう。
また、メールにより同様の文面を送付することも考えられます。
手口2:悪評を流すと言ってくる
会社が管理職の退職を引き止める手口の2つ目は、悪評を流すと言ってくる方法です。
勝手に退職したらすぐに評判が広まってこの業界でやっていけなくなるなどと、脅されることがあります。
このように言われると、労働者としても、再就職に支障が生じるのではないかと不安に感じてしまい、退職できなくなってしまう方もいるでしょう。
しかし、裁判例は、使用者が、懲戒解雇した労働者の再就職先に対して、当該労働者が欠席をしたり、授業のやり方が悪い先生で困っている旨や当該労働者に対して裁判を提起する予定である旨を話したことが原因で、当該労働者の正式採用が延期された事案において、使用者の発言は労働者の名誉、社会的評価を低下させる違法なものであり、不法行為を構成するものといわざるを得ないとしています(名古屋地判平成16.5.14判タ1211号95頁)。
そのため、会社から悪評を流すなどと言われたら、名誉毀損であるため、そのような行為は許されないと返答することになります。
また、必要に応じて、「悪評を流す」と言っている発言などを録音することにより証拠化することが有用です。
手口3:損害賠償を請求すると言ってくる
会社が管理職の退職を引き止める手口の3つ目は、損害賠償を請求すると言ってくる方法です。
今辞められると会社に大きな損害が生じるので、その賠償を請求すると言われることがあります。
このように言われると、とても大きな金額の請求をされるのではないかと感じてしまい、退職できなくなってしまう方もいるでしょう。
しかし、2週間前の予告を守ったうえで、業務の引き継ぎをしっかりと行っていれば、退職したことを理由として損害賠償を行うことは、通常認められません。
裁判例には、労働者が2週間の予告期間を置かずに退職したため、会社が取引先との契約関係を維持できなくなった事案において、70万円の損害賠償義務を認めたものがあります(東京地判平4.9.30労判619号[ケインズインターナショナル事件])。
ただし、これはあくまでも、退職の予告をしなかったため雇用契約の解約の効果が未だ生じていなかったものとして、雇用契約上の債務不履行が認定された事案です。
そのため、2週間前の予告のルールを守っていた場合には、同事案でも損害賠償請求は認められなかったでしょう。
しかも、2週間前の予告をしていない同事案においても、全額の損害賠償は認めず、信義則を適用して賠償額を3分の1に限定しています。
そのため、損害賠償を請求すると言われても、2週間前の予告を守っている限りは、会社には損害が生じないように引継ぎには協力する旨を回答すれば足ります。
管理職の方が退職する際に悩む1つの問題として、「退職すること無責任ではないか?」との悩みがあります。
管理職になる方は責任感が強い方も多いので、途中で辞めてしまうことに抵抗を覚える方もいるかもしれません。
しかし、管理職の方も人間ですから、職場環境が辛いと感じることはあるはずですし、我慢して、その職場で働き続ける必要はありません。
そのため、管理職であっても、退職すること自体を無責任と感じる必要はありません。
ただし、2週間前には退職することを伝えること、引継ぎには協力することについては、守るようにしましょう。
これらを守っている限りは、退職することは労働者の権利ですので、誰もあなたのことを責めることはできません。
管理職が退職したいと感じる理由3つ
退職については、とくに理由は必要ありませんので、会社に伝える必要もありません。
管理職の方が退職したいと感じる理由には、例えば、以下の3つがあります。
理由1:労働時間が増える
理由2:責任が増える
理由3:年収が減る
理由1:労働時間が増える
管理職の方が退職したいと感じる理由の1つ目は、労働時間が増えることです。
会社によっては、管理職には残業代が発生しないとして、多くの業務を割り振ってくることがあります。
平日も、土日も関係なく業務を行わなければならないような状況となることもあります。
理由2:責任が増える
管理職の方が退職したいと感じる理由の2つ目は、責任が増えることです。
管理職の方は、部下の失敗などについても、その責任を問われることがあります。
また、大きなプロジェクトなどについて任されると、重いプレッシャーがのしかかることになります。
理由3:年収が減る
管理職の方が退職したいと感じる理由の3つ目は、年収が減ることです。
管理職になることにより、通常、基本給が上がったり、役職手当がもらえたりします。
しかし、管理職であることを理由に残業代を支給してもらえなくなることも多く、基本給の上昇部分と役職手当の合計金額よりも、支給されなくなった残業代金額の方が大きいことがよくあります。
その結果、管理職になると、労働時間と責任が増えて、年収が減ってしまうということがあり得るのです。
管理職の方が退職した場合にもらえる可能性のあるお金
管理職の方が退職した場合には、もらえる可能性のあるお金がいくつかあります。
退職後の生活を維持するためには、自分がどのようなお金をもらうことができるのかを知っておくことが大切です。
例えば、管理職の方が退職した場合にもらえる可能性のあるお金は、以下の通りです。
・退職金:退職金規程があるケース
・特別退職金(パッケージ):退職勧奨のケース
・未払残業代:名ばかり管理職のケース
・失業保険:受給条件を満たすケース
それでは、これらについて一つずつ順番に説明していきます。
退職金:退職金規程があるケース
管理職が退職した場合にもらえる可能性のあるお金の1つ目は、退職金です。
退職金については、法律上、会社に支給義務が規定されているわけではありません。
退職金については、会社において、退職金規程等の退職のルールを定めることにより、支給義務が発生します。
そのため、退職金のルールについては会社ごとに違いますので、請求できるかどうか、請求できる金額についても、会社によって異なることになります。
従って、自分が退職した場合にいくらの退職金をもらえるかについては、会社の退職金規程を確認することになります。
退職金の計算方法等については、以下の記事で詳しく解説しています。
特別退職金(パッケージ):退職勧奨のケース
管理職が退職した場合にもらえる可能性のあるお金の2つ目は、特別退職金(パッケージ)です。
特別退職金(パッケージ)とは、労働者が退職に応じることの対価として、退職金規程に記載された通常の退職金とは別に会社が支給するお金です。
会社側から労働者に対して退職を求める際に、労働者側としては、生活への不安などから退職に応じることに消極的な場合があります。
そのような場合に、会社側が労働者を説得する材料として、特別退職金の支給を提案することがあるのです。
特別退職金については、会社に法的な支給義務があるわけではないので、会社から提案がなかった場合には、労働者の方から特別退職金の支払いを請求することはできません。
もっとも、労働者としても、退職する法的な義務はありませんので、特別退職金(パッケージ)の提案がなかった場合に退職しないことは自由です。
特別退職金については、以下の記事で詳しく解説しています。
特別退職金については、以下の動画でも詳しく解説しています。
未払残業代:名ばかり管理職のケース
管理職が退職した場合にもらえる可能性のあるお金の3つ目は、未払残業代です。
管理職には、「管理監督者」と「名ばかり管理職」がいます。
残業代を支払わなくていいのは、「管理監督者」だけです。「名ばかり管理職」には残業代を支払う必要があります。
具体的には、管理監督者に該当するためには、以下の3つの条件を満たすことが必要とされています。
条件1:経営者との一体性
条件2:労働時間の裁量
条件3:対価の正当性
会社において管理職として扱われている方であっても、これらの条件を満たさない場合には、いわゆる「名ばかり管理職」に過ぎず、法律上の「管理監督者」には該当しないことが非常に多いのです。
例えば、以下のような方は、名ばかり管理職に該当する可能性があります。
☑経営会議に参加していない方
☑経営会議に参加しても発言権に乏しい方
☑従業員の採用や配置について決定権がない方
☑職務内容がマネージャー業務ではなく現場作業である方
☑タイムカード等により出退勤の管理がされている方
☑遅刻や欠勤等をした場合に給料が控除される方
☑業務予定や結果の報告が求められている方
☑休日を自由に決められない方
☑その残業時間に比較して支給されている給料が著しく少ない方
☑他の労働者に比べて優遇されているとはいえない方
管理職の残業代については、以下の動画でも分かりやすく解説しています。
管理監督者に該当するかどうかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
管理監督者の判断基準ついては、以下の動画でも詳しく解説しています。
名ばかり管理職の方は、時間外残業代と休日残業代が全く支払われていないことが多い一方で基礎となる賃金が高いため、未払い残業代も高額となる傾向にあります。
以下の残業代チェッカーによりおおよその未払い残業代の金額を無料で確認することができますので利用してみてください。
失業保険:受給条件を満たすケース
管理職が退職した場合にもらえる可能性のあるお金の4つ目は、失業保険です。
失業保険とは、雇用保険の被保険者が失業した場合に、失業している日について支給される手当です。
失業手当の受給を受けるためには、雇用保険に一定期間加入している必要があります。必要な加入期間は自己都合退職と会社都合退職で異なり、それぞれ以下の通りです。
失業手当の給付日数は自己都合退職と会社都合退職で異なり、それぞれ以下の通りです。
失業保険を受給するには、ハローワークで失業保険の申請をする必要があります。
具体的には、以下の流れにより受給することになります。
会社都合退職については、以下の動画でも詳しく解説しています。
退職を切り出すタイミングは2週間前
退職を切り出す際には、退職日の2週間以上前に切り出す必要があります。
民法627条1項では、雇用は解約の申し入れの日から2週間経過することによって終了するとされているためです。
ただし、会社によっては、就業規則に1か月前までに退職届を提出しなければならないなどの規定を置いている場合があります。
実務上は、このような規定がある場合でも、民法627条1項に基づき2週間後に辞職するとの意思表示がなされれば、2週間後に退職したものと扱うのが通常です。
裁判例にも、民法627条の予告期間は、使用者のためには延長できないとして、2週間を超える予告期間の定めを無効としたものがあります(東京地判昭51.10.29判時841号102頁[高野メリヤス事件])。
そのため、退職については、退職日の2週間前までに切り出すようにしましょう。
管理職の方が上手に退職する5つの手順
管理職の方が上手に退職するには、その手順をしっておくことが肝要です。
具体的には、管理職の方が退職する際のおすすめの手順は以下のとおりです。
手順1:証拠を集める
手順2:退職届(辞表)を提出する
手順3:引き継ぎ・私物の回収・貸与物の返還
手順4:有給休暇の消化
手順5:退職金や残業代の請求
それでは、各手順について順番に説明していきます。
手順1:証拠を集める
管理職を上手に退職するための手順の1つ目は、証拠を集めることです。
なぜなら、退職届を出した後だと証拠を集めることが難しくなってしまうためです。
具体的には、管理職の方に集めておいてほしい証拠は以下の通りです。勿論、全てが揃っていることは少ないので、以下の証拠のうちあるものを確保します。
☑雇用契約書又は労働条件通知書
☑給与明細(入社時から現在まで)
☑タイムカード(直近3年分)
☑組織図
☑採用や配置転換、人事考課の決定プロセスがわかる資料
☑休日や遅刻、欠勤の申請をしているメール等(直近3年分)
☑労働時間や1日の作業内容を報告しているメール(直近3年分)
☑Outlook・サイボーズ等の業務スケジュール(直近3年分)
☑就業規則、賃金規程、退職金規程
これら確保しておくことで、退職後に退職金や未払い残業代の請求を非常に行いやすくなるのです。
手順2:退職届(辞表)を提出する
管理職を上手に退職するための手順の2つ目は、退職届(辞表)を提出することです。
退職届については、会社の書式がある場合もありますが、それに従う必要は必ずしもありません。
会社の書式ですと労働者にとって不利益な記載となっていることも散見されますので、できれば自分で退職届を作成して提出するのがいいでしょう。
※退職届(辞職)のダウンロードはこちら
※こちらのリンクをクリックしていただくと、退職届(辞職)のテンプレが表示されます。
表示されたDocumentの「ファイル」→「コピーを作成」を選択していただくと編集できるようになりますので、ぜひご活用下さい。
手順3:引き継ぎ・私物の回収・貸与物の返還
管理職を上手に退職するための手順の3つ目は、引き継ぎ・私物の回収・貸与物の返還です。
引き継ぎについては、その方法につき会社側と協議して柔軟に対応するようにしましょう。引き継ぎのメモなどを作成して形に残しておくことで、引き継ぎをしっかりと行ったことを後から説明しやすくなります。
私物については、会社内に入れなくなってしまった後に回収するのは大変なので、必ず最終出社日までに回収しておくようにしましょう。
貸与物については、会社に直接持参する方法によるとトラブルが少ないので、最終出社日に返却できるといいでしょう。もしも、郵送で返却する場合には、紛失の問題などを避けるために「送付物リストの作成」「梱包する際に送付物の写真撮影」をしたうえで送りましょう。
手順4:有給休暇の消化
管理職を上手に退職するための手順の4つ目は、有給休暇の消化です。
会社によっては退職時に未消化の有給休暇を買い取ってくれることもありますが、法律上買取り義務があるわけではありません。
そのため、未消化の有給休暇の買取りの制度がない会社では、未消化の有給休暇を消化した後に退職することがおすすめです。
退職届を提出してから退職日まで少なくとも2週間かかりますので、この期間に有給休暇を消化することが通常です。
ただし、引き継ぎのために出社を求められた場合には、トラブルを回避するために応じておいた方がいいでしょう。
退職時の有給休暇の買い取りについては、以下の動画で詳しく解説しています。
手順5:退職金や残業代の請求
管理職を上手に退職するための手順の5つ目は、退職金や残業代の請求です。
退職金規程を確認して退職金を請求することができる場合には、退職金を請求しましょう。
また、名ばかり管理職の方は、未払いの残業代を請求しましょう。
残業代の請求方法は以下の記事で詳しく解説しています。
退職後の具体的な手続きについては、以下の記事で詳しく解説しています。
管理職を退職する際のポイント4つ
退職時には、トラブルを回避するためには、いくつかのポイントがあります。
例えば、管理職の方が退職する際に注意していただきたいポイントは以下の4つです。
ポイント1:引き継ぎには協力する
ポイント2:部下の引き抜きはしない
ポイント3:退職時の書類はよく確認する
ポイント4:弁護士への相談は退職届を出す前にする
これらのポイントにも是非注意してください。
ポイント1:引き継ぎには協力する
管理職を退職する際のポイントの1つ目は、引き継ぎには協力することです。
これについては重要なことなので、これまでも何度か繰り返しているのは、退職際の引き継ぎのトラブル非常に多いためです。
退職の際に自分が作ったワードやエクセルデータを削除してしまったり、出社の要請に応じなかったり、そもそも引き継ぎを行わなかったりというケースですと、損害賠償請求に発展してしまうこともあります。
安心して、新たなスタートをするためにも、引き継ぎについては、会社の指示に柔軟に従うようにしましょう。
他方で、会社の方から引き継ぎの具体的な指示がない場合には、労働者の方から積極的に引き継ぎをするように求めていく必要まではないでしょう。念のため、引き継ぎメモなどをメールで送付しておき、不明点があれば連絡するように記載しておけば足りるかと思います。
ポイント2:部下の引き抜きはしない
管理職を退職する際のポイントの2つ目は、部下の引き抜きはしないことです。
よくあるのが「他の会社の管理職としての就職が決まっている方」や「新たな会社を立ち上げる方」などが、優秀な部下を勧誘して連れて行ってしまうケースです。
自分の方から積極的に部下に対して会社を退職してついてくるようにアプローチするのはやめた方が良いでしょう。
ポイント3:退職時の書類はよく確認する
管理職を退職する際のポイントの3つ目は、退職時の書類はよく確認することです。
通常、会社を退職する際には、「秘密保持の誓約書」などの記載を求められます。
注意していただきたいのは、稀に、退職時の書類に以下の2点のようなことが記載してある場合です。
①退職後●年間は、競合他社には就職しない。
②私は貴社に対して何らの債権を有していないことを確認する。
①については、競業避止義務を定めるもので、再就職が制限されています。内容によっては、公序良俗に反し無効となることも多いですが、紛争を抱えるリスクがあり再就職の足かせになりかねないので、安易にサインしないように注意しましょう。
②については、退職金や残業代を請求できる場合であっても、債権がないと認めていたじゃないかと反論されることがあります。判例上は、賃金債権の放棄は真意によらない場合は無効とされますので、容易には放棄は認められません。もっとも、争点を増やすべきではないので、このような記載があったら、安易にサインしないように注しましょう。
ポイント4:弁護士への相談は退職届を出す前にする
管理職を退職する際のポイントの4つ目は、弁護士への相談は退職届を出す前にすることです。
退職届を出す前に弁護士に相談することにより、「退職届の細かい記載」や「あなたのケースで退職前に集めておいた方が良い証拠」について助言してもらうことができます。
「退職届を出した後に相談する場合」と「退職届を出す前に相談する場合」では、解決の内容も解決までのスピードも大きく変わってきますので、早めに相談するようにしましょう。
管理職の退職代行は弁護士がおすすめ
管理職の方の退職代行は、弁護士に依頼するのがおすすめです。
なぜなら、管理職の方の場合には、未払いの残業代があることも多く、弁護士に相談すれば、退職の代行のみならず、未払い残業代や退職金の確認・回収まで頼むこともできるためです。
退職代行業者などには、未払い残業代や退職金の確認・請求をしてもらうことができません。
また、弁護士に依頼することにより、あなたが会社とやり取りするストレスが軽減されますので、心理的にも楽になり再就職活動に専念できるはずです。
とくに、労働事件に注力している弁護士に依頼すれば、退職条件や失業保険、離職票の記載などについても助言してもらえます。
そのため、残業代や退職金の回収と退職の手続きを全てまとめて弁護士に任せてしまうのがいいでしょう。
管理職の残業代請求はリバティ・ベル法律事務所にお任せ
管理職の方の残業代請求については、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
管理職の残業代請求については、経営者との一体性や労働時間の裁量、対価の正当性について適切に主張を行っていく必要があります。
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まとめ
以上のとおり、今回は、管理職の上手な退職の仕方について、よくある退職理由や残業代や退職金等の請求できる可能性のあるお金について解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・管理職も、会社の同意なく、一方的な意思表示により退職することができます。
・管理職の方が退職した場合にもらえる可能性のあるお金は、以下の通りです。
退職金:退職金規程があるケース
特別退職金(パッケージ):退職勧奨のケース
未払残業代:名ばかり管理職のケース
失業保険:受給条件を満たすケース
・退職を切り出す際には、退職日の2週間以上前に切り出す必要があります。
・管理職の方が退職する際のおすすめの手順は以下のとおりです。
手順1:証拠を集める
手順2:退職届(辞表)を提出する
手順3:引き継ぎ・私物の回収・貸与物の返還
手順4:有給休暇の消化
手順5:退職金や残業代の請求
・管理職の方が退職する際に注意していただきたいポイントは以下の4つです。
ポイント1:引き継ぎには協力する
ポイント2:部下の引き抜きはしない
ポイント3:退職時の書類はよく確認する
ポイント4:弁護士への相談は退職届を出す前にする
この記事が退職したいと考えている管理職の方の役に立つことができれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
以下の動画も参考になるはずですので、是非、見てください。