未払残業代・給料請求

管理職の給料の平均は?高い理由3つと下がる(安い)場合の対処手順

管理職の給料の平均は?高い理由3つと下がる(安い)場合の対処手順

管理職になって給料が下がってしまったとの悩みを抱えていませんか?

管理職になると責任も仕事量も増えますので、これまでよりも年収が減ってしまったらショックですよね。

管理職の給与の平均は係長367万円・課長476万円・部長577万円とされており、非管理職の277万円と比べて100万円以上高くなっています。

しかし、管理職になったことにより、年収が下がってしまう方がいることも事実です

なぜなら、会社は、管理職になったことを理由に残業代の支払いをしなくなることがあるためです。

つまり、残業時間が長い方は、基本給や手当の上昇金額よりも、減少する残業代金額の方が大きいため、年収が管理職になる前よりも下がってしまうことがあるのです。

もっとも、役職上は、管理職とされていても、それが法律上の管理監督者に該当するとは限りません。

管理職になったことにより年収が下がってしまうような場合であれば、尚更です。

実は、会社から管理職と扱われている方の多くは、名ばかり管理職にすぎず、法律上の管理監督者には該当しないのが現状です。

法律上の管理監督者についての考え方を知ることにより、年収が減ってしまった方も、会社からこれまでの労働の対価を支払ってもらえる可能性があります

今回は、管理職の平均的な給料を紹介したうえで、管理職の給料が高い理由と管理職になったことにより年収が下がった場合の対処手順を解説していきます。

具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、管理職になり給料が下がってしまった場合にどうすればいいかがわかるはずです。

 

 

 

 

管理職応援シリーズ

管理職の給料の平均は係長367万円・課長476万円・部長577万円

管理職と非管理職の給料(出典:令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況を加工して作成)

管理職の給料(年収)の平均は、係長367万円・課長476万円・部長577万円となっています。

これに対して、非管理職の給料(年収)の平均は277万円にとどまっています。

そのため、非管理職と係長では90万円・非管理職と課長では199万円、非管理職と部長では300万円程度の給料の格差があることになります。

ただし、上記給料の平均については、残業代が含まれていません

そのため、「管理職になったことにより残業代が支給されなくなった方」と「非管理職」については、残業代も含めて賃金を比較すれば、その格差は縮まるものと考えられます。

~業界別の管理職の給料金額~

業界別の管理職の所定内給料金額を整理すると以下の表のとおりとなります。

部長の給料金額が高い順に整理しました。

産業別の管理職の給与金額(出典:e-Stat統計でみる日本の2019年年度の統計を基に加工して作成)

1位は、「金融業・保険業」で、部長職の所定内給与金額は814.5万円となっています。他方で、非役職者の給与金額は298.5万円となっており、500万円以上の乖離があるところが特色です。

2位は、「電気・ガス・熱供給・水道業」で部長職の所定内給与金額は770.9万円となっています。非役職者の給与金額も373.7万円と他の産業に比べて高水準となっているところが特色です。

3位は、「医療・福祉」で部長職の所定内給与金額は767.1万円となっています。非役職者の給与金額は281万円となっており、乖離が大きくなっています。

なぜ?管理職の給料が他の社員よりも高い3つの理由

なぜ管理職の給料が他の社員よりも高いのか疑問に感じている方もいますよね。

管理職の給料が他の社員よりも高い理由としては、以下の3つがあります。

理由1:責任が重い
理由2:勤続年数が長い
理由3:固定金額が大きい

管理職の給料が高い理由

それでは各理由について順番に説明していきます。

理由1:責任が重い

管理職の給料が他の社員よりも高い理由の1つ目は、責任が重いことです。

管理職になると、担当するプロジェクトを最後まで遂行する責任、問題が生じた場合の説明責任、減給や降格などの賠償責任を果たすことが求められます

例えば、部下が業務上のミスをした場合でも、管理職はそのミスをリカバリーするために代案を検討する必要がありますし、不十分な結果となった場合にはその説明責任が伴います。

また、会社に生じた損害の程度によっては、減給や降格など、経済的な責任を求められることもあります。

そのため、管理職は、このような責任に見合うように給料も高額となっているのです。

理由2:勤続年数が長い

管理職の給料が他の社員よりも高い理由の2つ目は、勤続年数が長いことです。

日本の年功序列的な賃金制度のもとでは、長く働くほどに、役職も給料も年々上昇していく傾向にあります

そのため、管理職となる段階では、勤続年数も長くなっており、給料の金額も上がっていることが多いのです。

理由3:固定金額が大きい

管理職の給料が他の社員よりも高い理由の3つ目は、固定金額が大きいことです。

管理職になると、残業代が支払われない代わりに、基本給が上昇したり、役職手当が支払われたりする制度設計とされていることがよくあります

例えば、非管理職だった頃には月20時間の残業をして20万円の基本給の他に月3万1250円の残業代が支給されて合計23万1250円の給料が支給されていたとします。

給与明細(非管理職)

管理職になると、月20時間の残業をしても残業代が支給されない代わりに、基本給の金額を22万円として、役職手当2万円支給することにより、合計24万円の給料を支給するなどの制度設計とされることがあるのです。

給与明細(管理職)

そのため、管理職になると、固定金額増えるため、残業をしなくても、高い給料をもらうことができる場合があります。

ただし、管理職になっても労働時間についての裁量が十分になく、長時間残業を余儀なくされてしまう方が多いため、残業代が支給されないことによるデメリットの方が大きいのが実情です

 

 

 

 

安い!管理職になって給料が下がる(減る)場合は違法の可能性あり

管理職になって、給料が下がる(減る)場合には、違法となる可能性があります(いわゆる「逆転現象」)。

なぜなら、労働基準法上の管理監督者として、時間外手当や休日手当などの残業代を支給しないことが許されるためには、「対価の正当性」が認められる必要があるとされています。

つまり、会社が管理職としていても、実際には残業代を払わなくてもいいほどの十分なお給料を支払っていない場合には、労働基準法上は管理監督者に当たらない可能性があるのです

例えば、恒常的に月45時間の残業をして月約8万円程度の残業代の支給を受けていた方が、管理職となり基本給2万円、役職手当2万円の合計4万円分給料が増えたとしましょう。

この場合には、管理職となっても、恒常的に月45時間の労働をしている状況にあったのであれば、本来であれば支払うべき残業代の半額しか支払われていないことになるので、対価の正当性は認められないでしょう。

管理職の給料の逆転現象の例

このように、管理職になったことにより、従前の年収よりも、年収が下がってしまう逆転現象が生じている場合には、名ばかり管理職と認定されやすい傾向にあります。

名ばかり管理職の場合には、労働基準法上、時間外手当と休日手当を支給しないことは許されませんので、会社が残業代を支給していないことは違法になるのです。

名ばかり管理職の場合には未払い残業代を請求できる

あなたが名ばかり管理職であるにもかかわらず残業代が支給されていない場合には、これまでの未払い残業代を請求できる可能性があります

管理監督者に該当するためには、以下の3つの条件を満たすことが必要とされています。

条件1:経営者との一体性
条件2:労働時間の裁量
条件3:対価の正当性

あなたは名ばかり管理職?

会社において管理職として扱われている方であっても、これらの条件を満たさない場合には、いわゆる「名ばかり管理職」に過ぎず、法律上の「管理監督者」には該当しないことが非常に多いのです。

例えば、以下のような方は、名ばかり管理職に該当する可能性があります。

☑経営会議に参加していない方
☑経営会議に参加しても発言権に乏しい方
☑従業員の採用や配置について決定権がない方
☑職務内容がマネージャー業務ではなく現場作業である方
☑タイムカード等により出退勤の管理がされている方
☑遅刻や欠勤等をした場合に給料が控除される方
☑業務予定や結果の報告が求められている方
☑休日を自由に決められない方
☑その残業時間に比較して支給されている給料が著しく少ない方
☑他の労働者に比べて優遇されているとはいえない方

管理監督者に該当するかどうかについては、以下の記事で詳しく解説しています。

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名ばかり管理職の方は、時間外残業代と休日残業代が全く支払われていないことが多い一方で基礎となる賃金が高いため、未払い残業代も高額となる傾向にあります

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名ばかり管理職が未払い残業代を請求する手順

名ばかり管理職の方は、これまで見てきたように、時間外手当や休日出勤手当を請求することができます。

しかし、会社側は管理職として扱っている以上は、あなたが行動をおこさなければ、これを獲得することはできません

具体的には、名ばかり管理職が残業代を請求する手順は、以下のとおりです。

手順1:名ばかり管理職の証拠を集める
手順2:残業代の支払いの催告をする
手順3:残業代の計算
手順4:交渉
手順5:労働審判・訴訟

管理職が残業代を請求する手順

それでは、順番に説明していきます。

手順1:名ばかり管理職の証拠を集める

名ばかり管理職の方が残業代を請求するためには、まず名ばかり管理職の証拠を集めることです。

名ばかり管理職としての証拠としては、例えば以下のものがあります。

①始業時間や終業時間、休日を指示されている書面、メール、LINE、チャット
→始業時間や終業時間、休日を指示されていれば、労働時間の裁量があったとはいえないため重要な証拠となります。
②営業ノルマなどを課せられている書面、メール、LINE、チャット
→営業ノルマなどを課されている場合には、実際の職務内容が経営者とは異なることになるため重要な証拠となります。
③経営会議に出席している場合にはその発言内容や会議内容の議事録又は議事録がない場合はメモ
→経営会議でどの程度発言力があるかは、経営に関与しているかどうかを示す重要な証拠となります。
④新人の採用や従業員の人事がどのように決まっているかが分かる書面、メール、LINE、チャット
→採用や人事に関与しておらず、社長が独断で決めているような場合には、経営者との一体性がないことを示す重要な証拠となります。
⑤店舗の経営方針、業務内容等を指示されている書面、メール、LINE、チャット
→経営方針や業務内容の決定に関与しておらず、社長が独断で決めているような場合には、経営者との一体性を示す重要な証拠となります。

手順2:残業代の支払いの催告をする

残業代を請求するためには、内容証明郵便により、会社に通知書を送付することになります。

理由は以下の2つです。

・残業代の時効を一時的に止めるため
・労働条件や労働時間に関する資料の開示を請求するため

具体的には、以下のような通知書を送付することが多いです。

御通知(残業代請求:時効3年)※御通知のダウンロードはこちら
※こちらのリンクをクリックしていただくと、御通知のテンプレが表示されます。
表示されたDocumentの「ファイル」→「コピーを作成」を選択していただくと編集できるようになりますので、ぜひご活用下さい。

手順3:残業代の計算

会社から資料が開示されたら、それをもとに残業代を計算することになります。

残業代の計算方法については、以下の記事で詳しく説明しています。

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手順4:交渉

残業代の金額を計算したら、その金額を支払うように会社との間で交渉することになります。

交渉を行う方法については、文書でやり取りする方法、電話でやり取りする方法、直接会って話をする方法など様々です。相手方の対応等を踏まえて、どの方法が適切かを判断することになります。

残業代の計算方法や金額を会社に伝えると、会社から回答があり、争点が明確になりますので、折り合いがつくかどうかを協議することになります。

手順5:労働審判・訴訟

交渉による解決が難しい場合には、労働審判や訴訟などの裁判所を用いた手続きを行うことになります。

労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きであり、調停が成立しない場合には労働審判委員会が審判を下します。迅速、かつ、適正に解決することが期待できます。

労働審判については、以下の記事で詳しく解説しています。

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訴訟は、期日の回数の制限などは特にありません。1か月に1回程度の頻度で期日が入ることになり、交互に主張を繰り返していくことになります。解決まで1年程度を要することもあります。

残業代の裁判については、以下の記事で詳しく解説しています。

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管理職の残業代請求については、経営者との一体性や労働時間の裁量、対価の正当性について適切に主張を行っていく必要があります。

また、残業代請求については、交渉力の格差が獲得金額に大きく影響してきます

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残業に悩んでいる管理職の方は、一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。

 

 

 

 

まとめ

今回は、管理職の平均的な給料を紹介したうえで、管理職の給料が高い理由と管理職になったことにより年収が下がった場合の対処手順を解説しました。

この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。

・管理職の給料の平均は、係長367万円・課長476万円・部長577万円となっています。

・管理職の給料が他の社員よりも高い理由としては、以下の3つがあります。
理由1:責任が重い
理由2:勤続年数が長い
理由3:固定金額が大きい

・管理職になって、給料が下がる(減る)場合には、違法となる可能性があります。

・名ばかり管理職が残業代を請求する手順は、以下のとおりです。
手順1:名ばかり管理職の証拠を集める
手順2:残業代の支払いの催告をする
手順3:残業代の計算
手順4:交渉
手順5:労働審判・訴訟

この記事が管理職になり給料が下がってしまい悩んでいる方の助けになれば幸いです。

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弁護士 籾山善臣
神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題、離婚・男女問題、企業法務など数多く担当している。労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。 【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【著名担当事件】サカイ引越センター事件(労働組合側代理人)
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