未払残業代・給料請求

【保存版】年俸制でも残業代を請求することができる!?

 使用者が年俸制を採用していることを理由に残業代の支払いを拒む場合があります。しかし、使用者は、年俸制を採用していること自体を理由として、残業代の支払いを拒むことはできません。
 今回は、年俸制が採用されている場合における残業代について解説します。

年俸制とは

 年俸制とは、賃金の全部または相当部分を労働者の業績等に関する目標の達成度を評価して年単位に設定する制度をいいます。
 年俸制がとられている場合でも、12等分して毎月支払いがなされるのが通常です。労働基準法上、毎月1回以上支払いを行うことが原則とされているためです(労働基準法24条2項)。また、社会保険料の負担との関係もあり賞与部分が設けられる場合もあります。
 厚生労働省による「平成26年就労条件総合調査結果の概況」では、賃金形態(複数回答)別に採用企業割合を見ると、「平成26年」において「年俸制」を採用している企業は「9.5%」とされています。「平成22年」は、「13.4%」でしたので、「3.9%」減少していることになります。
出典:平成26年就労条件総合調査結果の概況

労働基準法24条(賃金の支払)
2「賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。」

残業代の計算方法

 残業代の計算方法は以下のとおりです。

①法定時間外割増賃金
基礎賃金÷所定労働時間×1.25×法定時間外労働時間数
②深夜割増賃金
基礎賃金÷所定労働時間×0.25×深夜労働時間数
③法定休日割増賃金
基礎賃金÷所定労働時間×1.35×法定休日労働時間数

 まず、基礎賃金に賞与部分が含まれるかどうかが問題となります。これについて、裁判例は、通常の労働時間の賃金につき、賞与部分を設けて割り振ったとしても、基礎賃金に含まれるとしています(東京地判平19.3.26労判943号41頁[中山書店事件]、大阪地判平14.10.25労判844号79頁[システムワークス事件])。
 また、年俸制の場合、年間で賃金が決まっていますので、残業代を算定するに当たっては、これを1時間当たりの賃金額に引き直して計算することになります。具体的には、年俸制の場合には、その金額を年間所定労働時間数で除することになります。

東京地判平19.3.26労判943号41頁[中山書店事件]

 「被告は、通常の労働時間一時間あたりの賃金額を算定するに際しては、賞与の部分を控除して算定すべきであると主張する。」
 「確かに、書証(略)、弁論の全趣旨によれば、原告Cの賞与について、新給与規定第二六条に規定する支給方法と異なる定めがされたこともあることが認められる。」
 「しかしながら、被告は、この点について、一貫して、原告Cの希望に従ったものであると主張していた上、原告B及び原告Cの供述によっても、そのような取扱いがされていたことが窺われるのであって、結局のところ、年俸額を具体的にどのように割振って支給するかについては、社員の希望を聞き、これに応じて決定されていたと認めることができる。」
 「そうすると、このようにして支給される賞与を通常の労働時間の賃金から控除することは相当でないから、上記のような被告の主張を採用することはできない。」

大阪地判平14.10.25労判844号79頁[システムワークス事件]

 「7月と12月に支給される金員は割増賃金の基礎となる賃金に含まれるか。」
 「この点,被告はそれらが賞与であり,労働基準法37条1項及び3項の割増賃金の基礎となる賃金には算入されないと主張するが,前記第2の1(6)ケのとおり,年俸制給与の支払形態は,年俸額の15分の1を毎月支給し,15分の1.5を7月と12月に支給するとされ,7月と12月に付加して支払われる金員についても,支給時期及び支給金額が予め確定しており,賞与又は賞与に準ずる性格を有するとは認め難く,毎月支給される金員と性質は異ならないと考えられるのであるから,労働基準法施行規則21条4号にいう『臨時に支払われた賃金』又は同条5号にいう『一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金』に該当するとはいえず,前記割増賃金の基礎となる賃金に算入すべきである。」

労働基準法施行規則19条
1「法第三十七条第一項の規定による通常の労働時間又は通常の労働日の賃金の計算額は、次の各号の金額に法第三十三条若しくは法第三十六条第一項の規定によつて延長した労働時間数若しくは休日の労働時間数又は午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの労働時間数を乗じた金額とする。」
五「月、週以外の一定の期間によつて定められた賃金については、前各号に準じて算定した金額」

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残業代の支払いを請求できない場合

総論

 年俸制が採用されていたとしても、それ自体は残業代の支払いを拒むことができる理由にはなりません(大阪地判平14.10.25労判844号79頁[システムワークス事件])。
 年俸制の場合に、使用者が労働者からの残業代請求を拒むには、別途固定残業代または裁量労働制、管理監督者、高度プロフェッショナル労働制などの要件を満たす必要があります。

大阪地判平14.10.25労判844号79頁[システムワークス事件]

1 基礎賃金
 「この点,被告は,原告に対し,時間外手当として3万円を定額支給していたので,同金額は前記割増賃金の基礎となる賃金には含まれず,割増賃金の既払い分として控除されるべきであると主張し,確かに,被告代表者におては,業務に習熟していない原告には習熟してもらうためにより他の者より長い時間就労してもらう必要があり,実際の労働時間に応じた時間外労働手当を支払った場合,習熟した他の従業員と比較して賃金が不均衡となるのと,他の従業員にも従前実労働時間に見合った時間外労働手当を支払って来なかった経緯があるので,原告には,採用の際,時間外労働手当を含め月額18万円の賃金を原告に支払う旨説明したと供述し,実際,前記第2の1(6)のとおり,その後の平成12年6月には『年俸制適用者については,48条の定めにかかわらず,時間外労働手当は支給しない』と定めた就業規則を施行しているのであるし,原告に交付した平成12年5月分までの給与明細書には3万円を残業手当欄に記載していることが認められる。」
 「しかし,被告代表者が年俸制を採用するにあたり前記で述べるような事情があるとしても,労働基準法37条が例外的に許容された時間外労働に対し使用者に割増賃金の支払を義務づけ,労働時間制の原則の維持を図るとともに,過重な労働に対する労働者への補償を行わせようとした趣旨からすれば,時間外労働を命じていながらそれに対する割増賃金を支払わなくてもよい理由とはなりえず,他の従業員との均衡は賃金体系全体の中で検討すべき事柄であるから,前記就業規則48条は同法に違反して無効というべきである。」
 「そして,被告代表者も,原告を採用する時に月額18万円の賃金の中で残業手当に相当する金額が3万円である旨の説明は原告にしていない…のであって,前記(1)イで述べたとおり,前記給与明細書も被告において一方的に作成して原告に交付したものにすぎないし,原告においても,そもそも,採用時に被告代表者から賃金月額18万円の中に残業手当が含まれること自体を聞いていない旨供述している…ことからして,原・被告間において,原告の賃金月額のうち3万円が時間外労働手当である旨の合意があったとは認め難く,賃金月額のうち通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外の割増賃金にあたる部分とを明確に区別することはできないのであるから,原告に対する毎月支払われた賃金月額のうち3万円をもって時間外労働割増賃金の一部として支払われたとすることはできないというべきである。」
2 未払時間外割増賃金
 「原告が,平成12年10月10日以外については,別表1記載のとおり,時間外労働等を行ったことは当事者間に争いがなく,同月10日については,前記1のとおり,別表1のとおり認めることができる。」
 「そして,年俸制適用者については時間外労働手当は支給しないと定めた被告の就業規則49条は,前記2(3)で述べたとおり無効というべきであり,超過労働手当の支払を定めた同規則48条に基づき各労働手当を支払うべきである。」
 「ただ,同規則48条は月給制を前提にした規定であるため,年俸制に適用するにあたっては,『基本給+能力手当』と記載されている部分は,年俸額を12で除した金額と読み替えるのが相当である。」
 「したがって,同条の『(基本給+能力手当)÷1か月平均所定労働時間』は,『年俸額÷年間の所定労働時間』となり,それを以下,『通常の労働時間の賃金』という。」
 「なお,原告は,4月分給与の計算期間の始期である3月21日を期間の初日として各年度の通常の労働時間の賃金を計算しており,被告も平成14年2月8日付け準備書面添付の別表において同趣旨の計算をしている上,前記第2の1(6)シのとおり,月給制適用者の昇給時期は毎年4月1日とされており,前記3のとおり,原告も平成13年4月分から昇給しているなどそれを基礎づける事実も認められることは確かであるが,労働基準法施行規則19条1項4号が,時間外等労働の割増賃金の計算にあたり,『月によって所定労働時間数が異る場合には,1年間における1月平均所定労働時間数』で計算するものと定め,暦年度を単位としていることからして,前記規則48条にいう『1か月平均所定労働時間』も暦年度毎に算出されるべきであり,したがって,通常の労働時間の賃金も暦年度毎に計算することとする。」

固定残業代

 固定残業代を基本給に組み込んで支給することが許されるには、①基本給の中に割増賃金の支払いを含むとの合意があること(対価性要件)、②所定内賃金部分と割増賃金部分とを判別できること(明確区分性)を要します。また、固定残業代の要件を満たす場合であっても、当該固定残業代が実際に支払うべき残業代に満たない場合には、使用者はその差額を支払う必要があります。
 これについては、裁判例の中には、労働者が高額の年俸を支給されていた事案において、労働者は報酬以外に残業代が支給されるとは考えられていなかったことなどを理由として、基本給の中に所定時間労働の対価と所定時間外労働の対価が区別されることなく入っていても、固定残業代として有効であるとしたものがあります。しかし、かかる裁判例は、明確区分性を欠くにもかかわらず、固定残業代性を肯定するものであり、批判があります(東京地判平17.10.19労判905号5頁[モルガン・スタンレー・ジャパン事件])。
 その後、最高裁判例は、労働者が高額の年俸を支給されていた事案であっても、労働契約における基本給等の定めにつき通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別できる必要があるとしています(最判平29.7.7判タ1679号163頁[医療法人康心会事件])。

東京地判平17.10.19労判905号5頁[モルガン・スタンレー・ジャパン事件]

 「〔1〕原告は…所定時間外労働をすれば超過勤務手当が発生することを知っていたこと,〔2〕しかるに,原告は,…被告に勤務しているときには,超過勤務手当名目で給与の支給を受けていないことを認識しながらこれに対し何ら異議を述べていないこと,〔3〕被告が原告に対し入社の際交付したオファーレターによれば,所定時間を超えて労働した場合に報酬が支払われるとの記載はされていないこと,〔4〕原告の被告での給与は高額であり,原告が本件で超過勤務手当を請求している平成14年度から同16年度までの間,基本給だけでも月額183万3333円(2200万円÷12=183万3333円)以上が支払われていること,〔4〕被告は原告の勤務時間を管理しておらず,原告の仕事の性質上,原告は自分の判断で営業活動や行動計画を決め,被告はこれに対し何らの制約も加えていないこと,〔5〕被告のような外資系インベストメントバンクにおいては,原告のようなプロフェッショナル社員に対して,所定時間外労働に対する対価も含んだものとして極めて高額の報酬が支払われ,別途超過勤務手当名目でのの支払がないのが一般的であることが認められる。」
 「以上の事実に,被告の原告に対する基本給は毎月支払われ,裁量業績賞与は,支払の有無,支払額が不確定であることに照らすと,原告が所定時間外に労働した対価は,被告から原告に対する基本給の中に含まれていると解するのが相当である。そして,原告は,被告から,毎月,基本給の支給を受け,これを異議なく受領したことにより,当該月の所定時間外労働に対する手当の支給を受け,これに対する弁済がされたものと評価するのが相当である。」
 「原告は,仮に原告と被告との間に,基本給に所定時間外労働に対する対価(超過勤務手当)が含まれる旨の合意があったとしても,原告が受給した基本給は超過勤務手当とその余の賃金との区別がされておらず,超過勤務手当を基本給に含めて扱うとの労働契約は,最判昭和63.7.14労判523号6頁(小里機材事件)の判旨に照らし無効であると主張する。」
 「小里機材事件の裁判においては,本件合意(基本給に割増賃金を含めるとの合意)の存在が否定されており,本件合意が成立したことを前提として本件合意が違法か否かを判断しているわけではなく,その意味で,小里機材事件の裁判における本件合意の効力についての判示部分は傍論というべきである。しかし,その点はさておき,本件では,小里機材事件の裁判の判示内容が判例としての拘束力を有しているとして,本件がその射程の範囲内か否かについて検討してみることにする。すなわち,基本給に超過勤務手当が含まれる旨の合意があった場合に,その基本給のうち超過勤務手当に当たる部分が明確に区分されて合意がされ,かつ労基法所定の計算方法による額がその額を上回るときはその差額を支払うことが合意されている場合にのみ,当該合意は有効となり,前記2要件を具備していない以上,当該合意は労基法37条1項に照らし無効であるとの考え方を,本件にも適用するのが相当か否かについてみてみることにする。」
 「労基法37条1項の制度趣旨は,同法が規定する法定労働時間制及び週休制の原則の維持を図るとともに,過重な労働に対する労働者への補償を行おうとするものである。確かに小里機材事件の労働者のように,所定労働時間が決められ,労働時間の対価として給与が定められているような事案においては,所定時間を超えて労働した部分については,使用者はこれをきちんと支払う義務がある。なぜならば,基本給のうち,所定時間労働の対価と所定時間外労働の対価との区別がないとすれば,実際には所定時間外労働をしたにもかかわらず,その対価が支払われないおそれがあり(基本給で支払っているとして),サービス残業を助長し,労基法37条の制度趣旨を没却することに繋がるからである。」
 「そこで,問題は,本件のような場合にも,労基法37条1項の制度趣旨を没却する可能性があるかという点である。これを本件についてみるに,前記(2)(3)で認定した事実・判断及び弁論の全趣旨によれば,〔1〕原告の給与は,労働時間数によって決まっているのではなく,会社にどのような営業利益をもたらし,どのような役割を果たしたのかによって決められていること,〔2〕被告は原告の労働時間を管理しておらず,原告の仕事の性質上,原告は自分の判断で営業活動や行動計画を決め,被告はこれを許容していたこと,このため,そもそも原告がどの位時間外労働をしたか,それともしなかったかを把握することが困難なシステムとなっていること,〔3〕原告は被告から受領する年次総額報酬以外に超過勤務手当の名目で金員が支給されるものとは考えていなかったこと,〔4〕原告は被告から高額の報酬を受けており,基本給だけでも平成14年以降は月額183万3333円を超える額であり,本件において1日70分間の超過勤務手当を基本給の中に含めて支払う合意をしたからといって労働者の保護に欠ける点はないことが認められ,これらの事実に照らすと,被告から原告へ支給される毎月の基本給の中に所定時間労働の対価と所定時間外労働の対価とが区別がされることなく入っていても、労基法37条の制度趣旨に反することにはならないというべきである。」
 「以上によれば,被告が原告の支給する毎月の基本給の中に所定時間外労働に対する対価が含まれている旨の合意は,有効であると解するのが相当であり,当該判断を覆すに足りる証拠は存在しない。よって,原告の上記主張は理由がない。」

最判平29.7.7判タ1679号163頁[医療法人康心会事件]

 「労働基準法37条が時間外労働等について割増賃金を支払うべきことを使用者に義務付けているのは,使用者に割増賃金を支払わせることによって,時間外労働等を抑制し,もって労働時間に関する同法の規定を遵守させるとともに,労働者への補償を行おうとする趣旨によるものであると解される(最高裁昭和44年(行ツ)第26号同47年4月6日第一小法廷判決・民集26巻3号397頁参照)。また,割増賃金の算定方法は,同条並びに政令及び厚生労働省令の関係規定(以下,これらの規定を「労働基準法37条等」という。)に具体的に定められているところ、同条は,労働基準法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまるものと解され,労働者に支払われる基本給や諸手当(以下「基本給等」という。)にあらかじめ含めることにより割増賃金を支払うという方法自体が直ちに同条に反するものではない。」
 「他方において,使用者が労働者に対して労働基準法37条の定める割増賃金を支払ったとすることができるか否かを判断するためには,割増賃金として支払われた金額が,通常の労働時間の賃金に相当する部分の金額を基礎として,労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回らないか否かを検討することになるところ,同条の上記趣旨によれば,割増賃金をあらかじめ基本給等に含める方法で支払う場合においては,上記の検討の前提として,労働契約における基本給等の定めにつき,通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することができることが必要であり(最高裁平成3年(オ)第63号同6年6月13日第二小法廷判決・裁判集民事172号673頁,最高裁平成21年(受)第1186号同24年3月8日第一小法廷判決・裁判集民事240号121頁,最高裁平成27年(受)第1998号同29年2月28日第三小法廷判決・裁判所時報1671号5頁参照),上記割増賃金に当たる部分の金額が労働基準法37条等に定められた方法により算定した割増賃金の額を下回るときは,使用者がその差額を労働者に支払う義務を負うというべきである。」
 「前記事実関係等によれば,上告人と被上告人との間においては,本件時間外規程に基づき支払われるもの以外の時間外労働等に対する割増賃金を年俸1700万円に含める旨の本件合意がされていたものの,このうち時間外労働等に対する割増賃金に当たる部分は明らかにされていなかったというのである。そうすると,本件合意によっては,上告人に支払われた賃金のうち時間外労働等に対する割増賃金として支払われた金額を確定することすらできないのであり,上告人に支払われた年俸について,通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別することはできない。」
 「したがって,被上告人の上告人に対する年俸の支払により,上告人の時間外労働及び深夜労働に対する割増賃金が支払われたということはできない。」

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 裁量労働制とは、一定の専門的・裁量的業務に従事する労働者について事業場の労使協定において実際の労働時間数にかかわらず一定の労働時間数だけ労働したものとみなす制度です。専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制があります。
 詳細については、以下のリンクを参照ください。

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 管理監督者とは、労働条件その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者と解されています。管理監督者に該当する場合には、時間外割増賃金及び休日割増賃金は発生しないことになります。
 管理監督者該当性については、経営者との一体性、労働時間の裁量、賃金等の待遇から判断されます。
 具体的には、以下のリンクを参照ください。

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 なお、裁判例には、年俸制の場合について、基本年俸額640万800円の事案においてその額が副店長に比べて大幅に高額であるとして管理監督者性を肯定したものがあります(京都地判平24.4.17労判1058号69頁[セントラルスポーツ事件])。他方で、年収約1000万円の事案であっても、経営に関わる決定に参画していたともいえず,労働時間について裁量権を有していたと認められないとして、管理監督者性を否定した裁判例もあります(東京地判平27.6.24労判ジャーナル44号35頁[学生情報センター事件])。

京都地判平24.4.17労判1058号69頁[セントラルスポーツ事件]

1 経営者との一体性
⑴ 部門全体の統括的な立場にあるか
ア「上記認定事実によれば,原告は,被告がスポーツクラブを運営している25エリアのうちの一つである第○エリアを統括するエリアディレクターであり,現業部門においては,営業部長,次長に次ぐ地位を有していた。その地位は,アルバイトを除く従業員の中では上位約4.1%に位置付けられ,アルバイトを含めた全体では上位約0.9%の地位にある。」
 「したがって,エリアディレクターはエリア全体の統括的な立場にあるということができる。」
イ「次に実際にエリアディレクターの職務をみると,次のとおりである。」
 「〔1〕各スポーツクラブに対する指導については,各スポーツクラブを巡回して各スポーツクラブの運営状況を把握し,チェックテーブルに基づいて問題点の抽出,把握,改善を行っていた。また,担当エリアにおけるスポーツクラブの数値目標管理とスポーツクラブ運営の指導を行う権限,所轄営業部の業務計画に参画し,上司を補佐する権限,担当エリアにおける予算案の作成権限等を有していた。」
 「〔2〕労務管理については,原告は,チーフインストラクターであるCに一部を委任していたものの,エリア内の全従業員の出退勤を管理して,問題があればそれに対応し,改善していた(なお,委任しているからといって,原告が労務管理を行っていないことはならず,原告はCを通してエリアの従業員の労務管理を行っていたものと評価できる。)。」
 「〔3〕人事については,新卒採用については関与できないものの,その他の従業員に関しては,起案や推薦を行うことによって,人事に関与しており,エリアの統括に必要な人材の登用について一定の裁量を有していた。」
 「〔4〕人事考課については,インストラクター,レセプション及びその他の一般職員の第2次考課権限,管理監督者とされている店長及びチーフインストラクターの第1次考課権限を有しており,相当数の従業員の人事考課に関与していた。」
 「〔5〕昇格,異動に関しては,主任への昇格及び主任クラスの者に対する異動について起案権限を有しており,従業員の昇格,異動についても相当程度の関与が認められる。」
ウ「経営に関する事項についてみると,次のとおりである。」
 「エリアディレクターは,営業戦略会議に参加することが義務付けられており,営業戦略会議においては,営業実績をもとに,今後の経営強化策,スポーツクラブへの入会戦略,全社重点項目といった重大な事項に関する確認,意見交換が行われており,エリアディレクターはかかる営業戦略会議での決定事項をもとに,各担当スポーツクラブの長に施策を徹底させていた。」
 「さらに,エリアディレクターは毎月,営業部長が招集する営業部会議に参加し,担当エリアの3ヶ月予想実績表,メンバーの動向報告書を基に営業報告を実施し,さらに,集客策や販売強化策,イベントの実施について話し合いを行い,各エリアで協議した事項を基に,エリアの運営を行っており,エリアディレクターが裁量をもって,エリアを統括していた。」
 「被告においては,営業戦略会議よりも上位の意思決定機関として経営会議,室部長会議が存在するものの,営業戦略会議及び営業部会議は,今後の経営強化策やエリアの予想実績などを話し合っており,エリアを統括する上で重要な会議であるということができ,エリアディレクターは,一定程度の経営事項に関与していたといえる。」
 「以上より,原告の権限をみれば,その職制上の地位,及び,エリアを統括する上での人事権,人事考課,労務管理,予算管理など必要な権限を実際に有していることが認められ,原告は,エリアを統括する地位にあったことが認められる。」
⑵ 部下に関する労務管理の裁量
ア「エリアディレクターは,自らが統括するエリアにおいて労務に従事する従業員の労働時間を管理する責任を負っており,エリアディレクターにはシステムに入力された従業員の出退勤時刻を承認・修正する権限が与えられていた。このようにエリアディレクターは,従業員の出退勤を管理して,サービス残業の有無や従業員の健康等を管理し,指導する地位にあったものであり,部下に対する労務管理を担当していたことが認められる。」
 「エリアディレクターに就業規則を変更する起案権限はないが,就業規則は,全社員に適用されるものであり,個々の従業員の労務管理に適しているものではなく,このことから,エリアディレクターの労務管理の権限が否定されるものではない。」
イ「エリアディレクターの人事権,人事考課権限についてみると,前記認定事実からすると,総合職群コース等の新卒採用においては関与することはできないものの,人事採用,人事考課,昇格について,相当程度の関与が認められている。」
ウ「エリアディレクターは,担当エリアにおける予算案の作成権限等を有している(原告は,エリアディレクターが予算を作成したとしても,被告が用意した数値を下回っていれば営業部長に予算は却下され,営業部長より本社からの数値目標に上乗せした数値で予算を作成されるように指示され,このことは結局,エリアディレクターに予算作成権限がないと主張するが,一定程度の予算決定権があったことは前記認定事実から認めることができる。)。」
 「さらに,エリアディレクターは,自身の裁量で独自のイベント,キャンペーン,サービスを企画することができる。その予算規模は,10万円前後,多くて28万円程度で,多額とはいえないが,回数に制限はなく,また集客力の向上は,必ずしも予算規模に比例するものではないことからすると,原告には,自己のエリアを統括する上で,イベント等を実施する裁量を有していたと認められる。」
エ「以上によれば,原告において,労務管理,人事,人事考課等の機密事項に一定程度接しており,また,予算を含めこれらの事項について一定の裁量を有していることが認められる。」
2 賃金等の待遇
 「被告において管理監督者ではない従業員の最上位の職である副店長の基本給は年齢によって異なるものの,原告の場合,月額28万4100円であったのに対し,エリアディレクターは,業績給を除いて,基本年俸額は640万800円,月額53万3400円であり,その額は,副店長に比べて大幅に高額である。」
 「仮に副店長が月100時間の法定外残業を行ったとして,その割増賃金を考慮すると,副店長の賃金は,原告・被告が主張するとおり,月額50万6148円となり,エリアディレクターの月の基本額と大差がないといえるが,月100時間の法定外残業が継続するとは考えにくく,エリアディレクターは,副店長に比べると,高額な賃金を受け取っているといえる。」
 「そして,エリアディレクターの場合,基本年棒額に,業績給が上乗せされるのであるから,その賃金の差額はさらに拡大する。」
 「以上のことからすると,エリアディレクターは管理監督者に対する待遇として十分な待遇を受けているといえる。」
3 労働時間の裁量
 「原告は,自己の勤務時間については,人事部に勤務状況表を提出するためにCの承認を受ける以外,誰からも管理を受けておらず,実際に原告が遅刻,早退,欠勤によって賃金が控除されたことがないことからすると,営業部長の発言の趣旨は,エリアディレクターとしてエリアを統括する以上,エリアの状況を当然に日々営業部長に報告すること指示したにすぎず,出勤時間を拘束する趣旨ではなく,また,開館時間についても原告は必ずしも開館時間に出勤していたとは認めがたいことからすると,これをもって事実上出勤時間が拘束されたとはいえない。」
 「したがって,原告は出退勤の時間を拘束されていたものとは認められず,原告は自己の裁量で自由に勤務していたものと認められる。」
4 小括
 「以上検討したところによれば、原告の職務内容は,エリアの統括的な立場にあり,部下に対する労務管理上の決定権を有している上,時間外手当が支給されないことを十分に補うだけの待遇を受けているものであり,勤務時間に拘束されていたということもできない。」
 「したがって,原告は管理監督者に当たるというべきである。」

東京地判平27.6.24労判ジャーナル44号35頁[学生情報センター事件]

1 経営者との一体性
⑴「被告は,原告が,管理職として,〔1〕担当部署の部下の指導監督,〔2〕重要な懸案事項の処理(トラブルや重要案件等を様々な角度から検討し,解決に導く),〔3〕集客力や営業力を向上させるための戦略の企画立案,〔4〕顧客・人脈の開拓が期待されていた旨主張する。」
ア「しかし,原告が,その担当する部署の部下に対して指導監督を行うこと(〔1〕)は,上司として当然のことである上,顧客や人脈の開拓(〔4〕)という点も,営業に関わる者の営業活動の一環といい得る性格のものであって,いずれも被告における経営方針等の決定に関して原告が職務権限を有していたことを直ちに裏付けるものではない。」
イ「また,被告は,重要な懸案事項の処理(〔2〕)に関し,幾つかの具体例を挙げて,原告が独自の判断で当該案件を処理し,あるいは入札事案においては入札金額を自ら決定したと主張し…,被告代表者も,本人尋問において,これに沿う供述をする…。」
 「しかし,被告が挙げるような個別の案件において,一部原告が独自の判断で処理したものがあったとしても,そのことから直ちに原告が被告の経営に関する決定に参画していたことを基礎づけるものではない。」
ウ「次に,被告は,集客力・営業力向上のための企画立案(〔3〕)に関し,原告が,目標達成に向けて社員のモチベーションを上げるための施策として営業ポイント制の導入を提案したこと,状況に合わせて休日営業をする店舗を決定したこと,放射線量測定サービスを提案したことなどを挙げる。」
 「しかし,…営業ポイント制は結果的には実施されなかったこと,休日営業店舗の決定や放射線量測定サービスの提案は,被告代表者らからの指示ないし提案で行ったものであることが認められるのであって,原告がこれらの施策ないし方針を立案・実行できるだけの権限,裁量を有していたことを裏付けるものとはいえず,上記事実が,原告が被告の経営方針の決定等に参画していたことを根拠づけるものとは認められない。」
エ「以上より,次に検討する人事面を除き,原告が被告の経営に関する決定に参画していたとみることはできない。」
⑵「次に、原告の人事面に関する権限についてみると,…原告は,被告が管理する学生寮やマンションの管理人の採用権限があったほか,被告東京本部の住設営業部,お客様サービス部及び営業推進部の部長として,各部の新卒採用及び中途採用に当たって1次面接を担当し,また,人事考課に当たっては,原告が上記3か部の社員(住設営業部とお客様サービス部に所属した部下が10名程度。営業推進部に所属した部課が更に10名程度。原告本人・36頁)の2次評価者として総合評価するほか,統括部長となった後は被告東京本部全体(契約社員を含めた従業員は約145名。証人E・6頁以下)の人事評価表を取りまとめたことが認められるのであって,これらの点に照らせば,原告は一定の人事労務管理を行う権限を有していたものと認められる。 」
 「しかし,他方で,…被告東京本部の従業員の採用に関しては,最終面接は原告の上司に当たる東京本部長が担当し,原告はこれに関与していなかったものと認められるから,上記採用に関する権限・裁量は限定的なものである。」
 「また,人事考課に関しても,…原告の在籍中,原告や他の部長が下した評価とは無関係に,原告等への説明等もなく,被告代表者らの決定により直属の部下が減給された例が複数例あり,その額も,大きなものでは年額で約100万円もの減給がされた者が2名いたことも認められる。原告や他の部長の下した評価が,被告代表者等の上位者の判断により一定の修正,変更が加えられることは通常あり得ることで,原告に人事考課に関する権限が与えられていたことと必ずしも矛盾するものではないが,上記のように代表取締役らが統括部長である原告や直属の部長に対する説明等もなく大幅な評価の変更を下すことは,通常の権限委譲を前提とした人事評価権限を原告が有していたとすることと整合しない。」
 「これらの点に照らすと,原告が有していた人事労務管理に関する一定の権限も,容易に覆され得るものであったといえ,そうすると,上記のような一応の権限を有していたことをもって,原告が管理監督者に当たるものとは認め難い。」
⑶「かえって,…原告は,個別案件の交渉や対応にも頻繁に当たっていた上,時には応援要員として店舗に出向き,募集業務等に従事したほか,自ら被告が管理している物件の視察や見回り,管理人業務(宿泊を伴うこともあった。)も行うなど,管理職としての業務以外の現場業務にも相当程度携わっていたことが認められるのであって,こうした事情は,原告の管理監督者性を否定すべき重要な事実というべきである。」
2 労働時間の裁量
⑴「原告は,執行役員を除く他の従業員と同様,出退勤した際にタイムカードソフトを起動し,表示された出退勤ボタンを押下して時刻を入力することを義務づけられており,直行直帰する場合も同ソフト上で申請し,上司の承認を得ることとされていたことが認められるのであって,原告は,一般の従業員同様の出退勤の管理を受けていたものといえる。」
 「また,前記1で認定した原告の出退勤時刻によればもとより,上記ソフト上の記録に基づく出退勤時刻…を前提としても,原告の出勤時刻は,土日や休日における出勤の他には平成25年4月1日及び2日を除き,午前7時台又は午前8時台であることが多く,原告は遅くとも午前9時までには出勤しており,退勤時刻も,土日や休日を除いて午後6時以降に退勤しているのであって,これが原被告間で交わされた雇用契約における勤務時間の定め…に対応する出退勤の態様であることからすると,原告は上記雇用契約上の始業時刻である午前9時までに出勤し,終業時刻である午後6時までは就業すべきことが義務づけられていたものと解するのが相当であり,原告が,自己の労働時間を自らの裁量で自由に定めることができたとは認められない。」
 「被告は,原告にタイムカードソフトの入力をさせていたのは,出退勤を管理する目的ではなく,健康管理目的であった旨主張する。そして,…被告は,月に1回程度衛生委員会を開催し,そこで一月に80時間を超える時間外労働をした従業員数の報告をするなどしていたことが認められる。」
 「しかし,…原告は,被告が管理していたタイムカード上でも,平成24年2月度から6月度までの5か月の間に1日8時間を超える時間外労働時間数が,2月度につき114時間12分,3月度につき99時間57分,4月度につき84時間14分,5月度につき71時間15分,6月度につき102時間16分もの長時間の時間外労働が継続されたことが記録されており,かかる事実は被告も当然認識していたものと解されるところ,本件全証拠によっても,被告が,こうした原告の就労状況を踏まえ,原告の時間外労働を減少させるような何らかの施策を検討,実行したような形跡はうかがわれない。また,被告は,執行役員…以上の者に対してはタイムカードへの入力を求めていないというのであって…,これらの点に照らせば,健康管理目的でタイムカードの入力を求めていたとの被告の主張は採用し難い…。」
3 小括
 「以上に指摘した各点に照らせば,原告の職務権限は非常に限定的で,被告の経営に関わる決定に参画していたともいえず,自己の出退勤を始めとする労働時間について裁量権を有していたとも認められないのであって,原告が,人事労務管理に関わる一応の権限を有していたほか,毎月15万円の役職手当を支給され,年収が約1000万円で,執行役員と同水準の待遇を受けていたこと…を考慮しても,なお原告を労働基準法41条2号所定の管理監督者と認めるには足りないというべきである。」

高度プロフェッショナル制度

 高度プロフェッショナル制度とは、高度の専門的知識等を有し、職務の範囲が明確で一定の年収要件を満たす労働者を対象として、労使委員会の決議及び労働者本人の同意を前提として、年間104日以上の休日確保措置や健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置等を講ずることにより、労働基準法に定められた労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用しない制度をいいます。
 具体的には、以下のリンクを参照ください。

高度プロフェッショナル制度-適用要件と効果-近年の産業社会の情報化・グローバル化の中で社員が専門性を十分に発揮するためには、自律的な働き方を可能とする必要があります。今回は、新たに2018年働き方改革関連法案として成立した高度プロフェッショナル制度について解説します。...

まとめ

労働者
労働者
私は、年俸制で働いているのですが、会社が残業代を支払ってくれません。年俸制の場合には、残業代を支払ってもらうことはできないのでしょうか。
弁護士
弁護士
会社が年俸制を採用していることは残業代の支払いを拒む理由にはなりません。会社が残業代の支払いを拒むには、別途固定残業代または裁量労働制、管理監督者、高度プロフェッショナル労働制などの要件を満たす必要があります
  労働者
  労働者
なるほど。会社が、支給している給与の中に残業代が含まれていると述べていました。そのようなことはあり得るのでしょうか。
弁護士
弁護士
会社が基本給の中に残業代を含めて支給するには、①基本給の中に割増賃金の支払いを含むとの合意があること(対価性要件)、②所定内賃金部分と割増賃金部分とを判別できること(明確区分性)が必要です。裁判例では、労働者が高額の年俸を支給されていた事案において、基本給の中に所定時間労働の対価と所定時間外労働の対価が区別されることなく入っていても、固定残業代として有効であるとしたものがあります。しかし、これについては批判が多く、その後、最高裁判例は、労働者が高額の年俸を支給されていた事案であっても、労働契約における基本給等の定めにつき通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別できる必要があるとしています
 労働者
 労働者
基本給の中に含まれている残業代の金額が不明確な場合には、残業代の支払いと認められないのですね。年俸額が大きいと管理職として残業代の支給を受けられないことはありますか。
弁護士
弁護士
管理監督者にあたるかは、経営者との一体性、労働時間の裁量、賃金等の待遇から判断されます。高額な年俸金額が支給されていたとしても、経営や労務管理上の決定権が無い場合、使用者から労働時間を管理されている場合には、管理監督者に該当しません。
  労働者
  労働者
よく分かりました。ありがとうございます。
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弁護士 籾山善臣
神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題、離婚・男女問題、企業法務など数多く担当している。労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。 【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、区民ニュース2023年8月21日
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