整理解雇されたらどうすればいいのか悩んでいませんか?
自分に落ち度がないのに一方的に解雇されることに不満を感じている方もいますよね。
整理解雇されたら、解雇日をもって退職したものとして処理されてしまうため、それ以降、お給料を払ってもらえなくなり、社会保険や雇用保険上の資格も喪失したものとして手続きをされます。
整理解雇されたら、不当か否かを判断するためには、人員削減の必要性、解雇回避努力、人選の合理性、手続きの相当性といった4要件(要素)を確認すべきです。
整理解雇されたら、特別退職金(解決金)、バックペイ、慰謝料、解雇予告手当、退職金といったお金をもらえる可能性があります。しかし、これらは両立しないものもあるため、まずは方針を決める必要があります。
具体的には、整理解雇されたら、まずは弁護士に相談し見通しや方針を明確にしたうえで、会社に通知を行い、必要に応じて、交渉や労働審判・訴訟といった手続きを行っていくといいでしょう。
逆に、整理解雇されたら、方針を決める前に解雇予告手当や退職金を請求したり、安易に解雇や退職を認める書類にサインをしたりするのはNGです。長期間の放置も禁物です。
整理解雇されたら失業保険については、会社都合として受給できる可能性があります。ただし、解雇を争う場合には、仮受給を利用することになります。
実は、私が多くの整理解雇の相談を受ける中でも、方針等を十分に検討しないままに行動してしまう方が後を絶たず、もう少し早く相談に来てほしかったと感じることが少なくありません。
この記事をとおして、整理解雇されたら「やるべきこと」と「やってはいけないこ」について正しく知っていただければ幸いです。
今回は、整理解雇されたらやるべきこと4つを説明したうえで、確認事項やNG行動も簡単に解説していきます。
この記事を読めば、整理解雇されたらどうすればいいのかがよくわかるはずです。
解雇された場合に「やるべきこと」と「やってはいけないこと」は、以下の動画でも詳しく解説しています。
目次
整理解雇されたらどうなる?
整理解雇されたら、解雇日をもって退職したものとして処理されてしまいます。
解雇は、一方的に労働者を退職させるものなので、たとえ労働者が同意していなかったとしても、会社は退職処理を行うことができるためです。
具体的には、整理解雇されたら、会社から解雇通知書を交付されることになります。
そして、労働者は、解雇日以降、会社に出勤することができなくなり、お給料を払ってもらえなくなります。
また、社会保険や雇用保険上の資格も喪失したものとして手続きをされます。後日、離職票等の退職関係の書類が送られてくることになります。一方で、健康保険証については返却を求められます。
その他、貸与物の返還を求められ、私物については引き取りを求められることになります。
このように整理解雇されたら、会社によって退職したものとしての手続きが進められていくことになります。
整理解雇されたら確認すべき4要件(要素)
整理解雇されたら不当かどうかを判断するために確認すべき事項があります。
解雇は、客観的に合理的な理由がなく社会通念上相当ではないと濫用として無効になるとされており、整理解雇の場合には判例により4要件(要素)が確立しているためです。
具体的には、整理解雇されたら不当かどうかは、以下の4つの要件(要素)から判断していきましょう。
要件1:人員削減の必要性
要件2:解雇回避努力
要件3:人員選定の合理性
要件4:手続の相当性
なお、これらは厳密には、これらすべてを満たさなければいけない要件ではなく、それぞれ合理性や相当性を判断する考慮要素にすぎないとする考えが主流です。
要件1:人員削減の必要性
整理解雇されたら確認すべき要件の1つ目は、人員削減の必要性です。
従業員を退職させなければいけないほどに、経営が芳しくないかどうかを確認します。
例えば、黒字が続いており債務超過などもないのに、利益率をあげるためだけに従業員を減らすと言った場合には、必要性は弱いでしょう。
また、人件費以外への投資を増やしていたり、採用活動を継続し事業を拡大していたり、経費の削減と矛盾するような経営行動をしている場合にも、必要性が否定されることがあります。
要件2:解雇回避努力
整理解雇されたら確認すべき要件の2つ目は、解雇回避努力です。
解雇をする前に、解雇以外の手段で雇用を継続することが可能かどうかを検討しているかを確認しましょう。
例えば、他の部署に異動したり、降格したり、希望退職を募ったり、新規採用を停止したり、役員報酬や賞与のカット、人件費以外のコストの削減などを十分に行っていない場合には、解雇を回避する努力をしたとは言い難いことになります。
要件3:人員選定の合理性
整理解雇されたら確認すべき要件の3つ目は、人員選定合理性です。
合理的な選定基準を設けたうえで、これを公正に適用しているのかを確認することになります。
例えば、なぜ自分が対象に選ばれたのかということを確認しても、抽象的な回答しかないような場合には、人員選定が合理的ではない可能性があります。
要件4:手続の相当性
整理解雇されたら確認すべき要件の4つ目は、手続の相当性です。
労働者に対して整理解雇につき理解を得られるように十分に説明や協議を行ったかどうかを確認します。
事前に何も説明せずに、いきなり解雇の通知書を交付すると言った態様ですと、手続が相当とは言い難いことになります。
整理解雇されたらもらえる可能性のあるお金
整理解雇されたらもらえる可能性のあるお金があります。
会社が任意に支払いに応じることもあれば、法律の規定や判例に従い請求が認められることもあります。
例えば、整理解雇されたらもらえる可能性のあるお金としては、以下の5つがあります。
お金1:特別退職金・解決金
お金2:バックペイ
お金3:慰謝料
お金4:解雇予告手当
お金5:退職金
ただし、これらは両立しないものもあるため、どのような請求をしていくか、まずは方針を決める必要があります。
それでは、これらのお金について順番に説明していきます。
お金1:特別退職金・解決金
整理解雇されたら、特別退職金や解決金の支払いを受けることができる場合があります。
特別退職金や解決金については、会社が任意にこれらの支払いに応じれば、支払われるものです。
会社側は、解雇日前については、労働者に対して、整理解雇に理解を示してもらうための材料として、生活の補償などのために特別退職金を支給することがあります。
一方で、解雇日後については、解雇の有効性等が争いとなっている場合において、紛争解決するための対価という意味合いで解決金を支払うことがあります。
ただし、特別退職金や整理解雇の支払いについては、会社に支払い義務がないため、適正な支払いを受けるためには法的な見通し等を踏まえて説得を行うことが必要となります。
整理解雇の退職金については、以下の記事で詳しく解説しています。
お金2:バックペイ
整理解雇されたら、バックペイを請求できる可能性があります。
バックペイとは、解雇が無効となった場合に遡って請求することができる解雇日以降のお給料のことです。
解雇が無効になると、解雇日以降、あなたが出勤することができなかった原因は会社側にあることになり、出勤できなかった期間の賃金を請求できることがあるのです。
例えば、令和6年6月末に解雇されて、令和6年5月末に解決した場合には、12か月分の賃金が後から遡って支払われることになります
バックペイ(解雇後の賃金)については、以下の動画でも詳しく解説しています。
お金3:慰謝料
整理解雇されたら、慰謝料を請求できる可能性があります。
慰謝料とは、整理解雇により被った精神的苦痛を補填するための賠償となります。
解雇の悪質性が高い場合に認められることがあるとされていますが、簡単には認められない傾向にあります。仮に認められても低廉な金額となることが多いです。
バックペイの支払いを受けられれば、一定程度精神的苦痛が癒えるものと考えられているためです。
解雇の慰謝料については、以下の記事で詳しく解説しています。
解雇の慰謝料については、以下の動画で詳しく解説しています。
お金4:解雇予告手当
整理解雇されたら、解雇予告手当をもらえる可能性があります。
会社は、30日以上前に解雇を予告しない場合には、これに代えて30日分の手当を支払わなければいけないためです。
30日前に解雇予告がされている場合には、解雇予告手当を請求することはできません。
ただし、解雇予告手当は、整理解雇が有効な場合に支払いを請求することができるものです。
そのため、整理解雇の有効性を争い、バックペイ等の請求を行う場合には、解雇予告手当を請求しないように注意が必要です。
お金5:退職金
整理解雇されたら、退職金をもらえる可能性があります。
退職金規程の支給条件を満たしていれば、これに従い、退職金が支給されることになるためです。
一方で、退職金制度がない会社の場合や退職金の支給条件を満たしていない場合には、退職金が支給されない可能性があります。
なお、退職金についても、整理解雇が有効で会社を退職することになった場合に支払われるものです。
整理解雇の有効性を争い、バックペイ等の請求を行う場合には注意が必要です。
整理解雇されたらやるべきこと4つ
整理解雇されたら、冷静かつ適切に対処をしていくべきです。
仮に整理解雇が不当であったとしても、あなたが何もしなければ会社は整理解雇が有効であることを前提に手続きを進めてしまいます。
あなたが行動しなければ、法的には守られるべき権利があったとしても、十分な保護を受けることができないのです。
具体的には、整理解雇されたらやるべきこととしては以下の4つがあります。
やるべきこと1:弁護士に相談
やるべきこと2:通知書の送付|解雇理由証明書等の請求
やるべきこと3:交渉
やるべきこと4:労働審判・訴訟
それでは、これらのやるべきことについて順番に説明していきます。
やるべきこと1:弁護士に相談
整理解雇されたらやるべきことの1つ目は、弁護士に相談することです。
整理解雇へ対処していくためには方針を明確にする必要があり、これに基づいて一貫した対応を行っていくことが大切となります。
整理解雇についてどのように対応していくかについては、法的なリスクや見通しを十分に分析したうえで、検討すべき事項となります。
そのため、整理解雇されたら、まずはすぐに弁護士に相談することがおすすめです。
やるべきこと2:通知書の送付|解雇理由証明書等の請求
整理解雇されたらやるべきことの2つ目は、通知書の送付です。
会社に対して、解雇理由証明書を請求するとともに、方針に沿って、あなたの請求等を会社に対して行っていくことになります。
例えば、解雇の効力を争う場合には、解雇の無効を主張したうえで、賃金の請求や慰謝料の請求を行うことになります。
また、状況により解雇の撤回や業務指示を求めていくこともあります。
やるべきこと3:交渉
整理解雇されたらやるべきことの3つ目は、交渉です。
通知書を送り、これに対して会社から回答があったら、折り合いをつけることが可能かどうか話し合いを行うことになります。
話し合いがまとまれば、合意書への調印を行い紛争が解決することになります。
やるべきこと4:労働審判・訴訟
整理解雇されたらやるべきことの4つ目は、労働審判・訴訟です。
話し合いによる解決が難しい場合には、労働審判・訴訟といった裁判所を用いた解決を検討することになります。
労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きであり、調停が成立しない場合には労働審判委員会が審判を下します。迅速、かつ、適正に解決することが期待できます。
労働審判については、以下の記事で詳しく解説しています。
労働審判とはどのような制度かについては、以下の動画でも詳しく解説しています。
訴訟は、期日の回数の制限などは特にありません。1か月に1回程度の頻度で期日が入ることになり、交互に主張を繰り返していくことになります。解決まで1年程度を要することもあります。
解雇の裁判については、以下の記事で詳しく解説しています。
整理解雇されたらやってはいけないNG行動3つ
整理解雇されたらやってはいけないNG行動があります。
整理解雇への対応方針が決まっていない状況で安易に行動をしてしまうことによって、会社から反論の材料とされてしまうことがあります。
整理解雇されたらやってはいけないNG行動について代表的な例を3つだけ挙げると以下のとおりです。
NG1:方針を決める前に解雇予告手当や退職金を請求する
NG2:安易に解雇や退職を認める書類にサインする
NG3:長期間放置する
NG1:方針を決める前に解雇予告手当や退職金を請求する
整理解雇されたらやってはいけないNG行動の1つ目は、方針を決める前に解雇予告手当や退職金を請求することです。
解雇予告手当や退職金については、整理解雇が有効で退職することになる場合に支払われるものです。
例えば、労働基準監督署などに行くと、解雇予告手当を請求できるなどを指導がされることがあります。
しかし、整理解雇の効力を争うかどうか十分な検討をする前に安易に、解雇予告手当を請求してしまうと、整理解雇が有効と認めていた等の反論をされることになります。
そのため、解雇予告手当や退職金を請求する際には注意が必要です。
NG2:安易に解雇や退職を認める書類にサインする
整理解雇されたらやってはいけないNG行動の2つ目は、安易に解雇や退職を認める書類にサインすることです。
解雇や退職を認める書類にサインをしてしまうと、あなた自身が解雇を認めていたと指摘されたり、解雇ではなく合意での退職だと指摘されたりしてしまいます。
その場で書類の内容を正確に理解することは困難であるため、会社からサインを求められても一度持ち帰り弁護士に相談することがおすすめです。
NG3:長期間放置する
整理解雇されたらやってはいけないNG行動の3つ目は、長期間放置することです。
長期間放置してしまうと、仮に解雇が無効でも、黙示による合意退職が成立していたと指摘されたり、就労の意思を喪失していたと指摘されたりしてしまうことになります。
そうすると、バックペイの請求が困難になってしまうこともあります。
そのため、整理解雇されたら長期間放置せずに直ぐに弁護士に相談することがおすすめです。
整理解雇されたら失業保険はもらえる?
整理解雇されたら、在籍期間等の所定の支給要件を満たしていれば、失業保険をもらうことができます。
会社は、労働者を整理解雇した場合には、離職票上、会社都合退職として処理を行うことになります。
労働者としては、整理解雇の効力を争わない場合には、離職票が届き次第、ハローワークに行き失業保険の受給の手続きを行うことになります。
これに対して、整理解雇の効力を争う場合には、労働者側の主張としては失業していないことになりますので、本受給ではなく失業保険の仮給付という手続きを行うことになります。
仮給付を受けるためには、労働審判申立書又は訴状等の整理解雇を争っている証拠が必要となりますので、受給を開始できるのが裁判所への申し立て後となります。
失業保険の仮給付については、以下の記事で詳しく解説しています。
失業保険の仮給付については、以下の動画でも詳しく解説しています。
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整理解雇されたら、是非、リバティ・ベル法律事務所にご相談ください。
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まとめ
以上のとおり、今回は、整理解雇されたらやるべきこと4つを説明したうえで、確認事項やNG行動も簡単に解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・整理解雇されたら、解雇日をもって退職したものとして処理されてしまいます。
・整理解雇されたら不当かどうかは、以下の4つの要件(要素)から判断していきましょう。
要件1:人員削減の必要性
要件2:解雇回避努力
要件3:人員選定の合理性
要件4:手続の相当性
・整理解雇されたらもらえる可能性のあるお金としては、以下の5つがあります。
お金1:特別退職金・解決金
お金2:バックペイ
お金3:慰謝料
お金4:解雇予告手当
お金5:退職金
・整理解雇されたらやるべきこととしては以下の4つがあります。
やるべきこと1:弁護士に相談
やるべきこと2:通知書の送付|解雇理由証明書等の請求
やるべきこと3:交渉
やるべきこと4:労働審判・訴訟
・整理解雇されたらやってはいけないNG行動について代表的な例を3つだけ挙げると以下のとおりです。
NG1:方針を決める前に解雇予告手当や退職金を請求する
NG2:安易に解雇や退職を認める書類にサインする
NG3:長期間放置する
・整理解雇されたら、在籍期間等の所定の支給要件を満たしていれば、失業保険をもらうことができます。
この記事が整理解雇されたらどうすればいいのか悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。