上司がサービス残業の黙認をしていて困っていませんか?
サービス残業に気付きながら、それを放置することが上司として許される行為なのか、疑問に感じますよね。
サービス残業の黙認とは、従業員が残業をしていることを認識して、異議を述べないでいるにもかかわらず、残業代を支払わないことです。
労働基準法上、労働者が残業をした場合には残業代を支払わなければいけないとされているので、サービス残業の黙認は違法となります。
仮に労働者が自主的に残業を行っているような場合であっても、それを上司が黙認しているような場合には、指揮監督下における労働である以上は残業となります。
例えば、サービス残業の黙認に当たるケースと当たらないケースを整理すると以下のとおりです。
サービス残業を黙認する上司には、成果主義上司、公私の区別が希薄な上司、雰囲気に流されがちな上司といった特徴があります。
サービス残業を上司が黙認している場合には、残業をした証拠をしっかりと残したうえで、弁護士に相談して、残業代を請求していくことがおすすめです。
残業代の請求については必ずしも在籍中に行う必要はなく退職後に行うこともできます。
実は、残業を自主的にやっている場合には、たとえ上司の黙認があったとしても、残業代を請求することとができないと勘違いしている方が多くいます。
この記事をとおして、サービス残業の黙認が許されないことについて、多くの方に知っていただければと思います。
今回は、サービス残業の黙認は違法であることについて説明した上で、黙認する上司の特徴3つと簡単な対処手順を解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、上司にサービス残業を黙認されている場合にどのように対応していけばいいのかがよくわかるはずです。
目次
サービス残業の黙認とは?
サービス残業の黙認とは、従業員が残業をしていることを認識して、異議を述べないでいるにもかかわらず、残業代を支払わないことです。
多くの会社、とくに中小企業では、上司が従業員の残業を知りながら、あえて放置するという状況が蔓延しています。
また、上司がサービス残業を知りながら放置しているだけではなく、むしろ上司がサービス残業を強要しているというケースも耳にします。
例えば、所定労働時間よりも後に、労働者からチャットやメールなどが届いていれば、その労働者が残業を行っていることには気づくことができます。
しかし、何事もなかったかのように、返信や業務の指示を行い、従業員が残業をしていることについては見て見ぬふりをする上司が多いのです。
サービス残業の黙認は違法!自主的な残業は反論にならない
サービス残業の黙認は、違法となります。
労働基準法上、労働者が残業をした場合には残業代を支払わなければいけないとされているためです。
具体的には、労働者が1日8時間又は週40時間を超えて労働した場合、週1日の法定休日に労働した場合に、午後10時から午前5時までの間に労働した場合には、残業代を払わなければなりません。
これに対して、会社からは、サービス残業は本人の意思により自主的に行われたものであるとの反論がよく見られます。
しかし、自主的なものであるかどうかということは大きな問題ではありません。
会社側が、当該従業員が残業をしていることを認識していて、とくに異議を唱えないのであれば、当該労働者は指揮監督下に置かれていたことになるためです。
たとえ労働者が残業は不要と言っていたとしても、会社と労働者は労働基準法に違反する合意をできませんので、残業代の不支給を正当化する理由にはなりません。
そのため、サービス残業の黙認は、たとえ労働者が自主的に残業を行っている場合であっても、違法となるのです。
サービス残業の黙認に当たるケースと当たらないケース
サービス残業の黙認に当たるケースと当たらないケースを整理すると以下のとおりです。
当たるケース1:社内で遅くまで働く姿を現認されている
当たるケース2:所定時間外にメールやチャットが届いている
当たるケース3:仕事を持ち帰りする旨を報告している
当たらないケース1:在宅勤務で残業が認識されていない
当たらないケース2:残業せずに帰宅するように言われた
当たらないケース3:誰もいない社内で残業し勤怠記録もつけなかった
それでは、各ケースについて順番に説明していきます。
当たるケース1:社内で遅くまで働く姿を現認されている
サービス残業の黙認に当たるケースの1つ目は、社内で遅くまで働く姿が現認されている場合です。
上司が働いている姿を見ていて残業を認識していることから、これに対して上司が特段異議を唱えないような場合には、黙認していたと認定される傾向にあります。
当たるケース2:所定時間外にメールやチャットが届いている
サービス残業の黙認に当たるケースの2つ目は、所定時間外にメールやチャットが届いている場合です。
メールやチャットには送信時刻が記載されますので、上司が夜遅くや朝早くににメールやチャットを受ければ、所定時間外に残業を行っていることを認識することになります。
とくに、メールやチャットが会社内からしかアクセスできない場合、社内からしかアクセスできないデータが貼付されているような場合には、社内で働き続けていることが裏付けられます。
当たるケース3:仕事を持ち帰りする旨を報告している
サービス残業の黙認に当たるケースの3つ目は、仕事を持ち帰りする旨を報告している場合です。
上司に仕事を持ち帰ると報告している場合には、家で残業していることを認識していることになりますので、残業を黙認していたと言いやすいことになります。
当たらないケース1:在宅勤務で残業が認識されていない
サービス残業の黙認に当たらないケースの1つ目は、在宅勤務で残業が認識されていない場合です。
在宅勤務ですと働き続けているのか、プライベートの生活が入っているのかがわかりにくい傾向にあります。
そのため、残業時間を正確に報告せずに在宅で残業をしていても、会社からは、残業をしていたことを知らなかったと反論されてしまうことが多いのです。
当たらないケース2:残業せずに帰宅するように言われた
サービス残業の黙認に当たらないケースの2つ目は、残業せずに帰宅するように言われた場合です。
上司があなたに対して残業せずに帰宅するように指示している場合には、残業を認めない旨を明示している以上、黙認していたとは言いにくいでしょう。
当たらないケース3:誰もいない社内で残業し勤怠記録もつけなかった
サービス残業の黙認に当たらないケースの3つ目は、誰もいない社内で残業し勤怠記録を付けなかった場合です。
会社内で残業をしていた場合でも、他に誰もおらず、勤怠記録もつけなければ、上司はあなたが残業をしていたと知ることができません。
そのため、誰もいない社内で残業し勤怠記録もつけなかった場合には、黙認していたとは言いにくいでしょう。
サービス残業を黙認する上司の特徴3つ
サービス残業を黙認する上司には、特徴があります。
サービス残業を黙認する上司の特徴を3つ挙げると以下のとおりです。
特徴1:成果主義上司
特徴2:公私の区別が希薄な上司
特徴3:雰囲気に流されがちな上司
それでは各特長について順番に説明していきます。
特徴1:成果主義上司
サービス残業を黙認する上司の特徴の1つ目は、成果主義上司です。
成果を出すことを要求する一方で、そのための手段を択ばないタイプです。
成果を出すまで働くことを求めるため、成果が出なければ、能力が不足しているのが悪いとして、1日に何十時間も働かされます。
特徴2:公私の区別が希薄な上司
サービス残業を黙認する上司の特徴の2つ目は、公私の区別が希薄な上司です。
プライベートもなく働くのが当然と考えているようなタイプです。
所定時間外や休日にも、仕事の連絡をしてきて、すぐに対応を求められます。
特徴3:雰囲気に流されがちな上司
サービス残業を黙認する上司の特徴の3つ目は、雰囲気に流されがちな上司です。
上司自体がサービス残業を求めているわけではないものの、社長からサービス残業をさせられるように言われ、これに従ってしまうようなタイプの上司です。
例えば、このような上司は、所定時刻になったら全員のタイムカードを打刻するようにと言われて、まだ働いている従業員がいることを知りながら、タイムカードを打刻してしまうことがあります。
サービス残業を黙認する上司への対処手順
サービス残業を上司が黙認している場合には、適切な手順で対処していくことになります。
あなたが何も行動を起こさなければ、残業代は支払われないままになってしまいます。
具体的には、サービス残業を黙認する上司への対処手順は以下のとおりです。
手順1:タイムカードや勤怠記録をつける
手順2:弁護士に相談する
手順3:残業代を請求する
手順1:タイムカードや勤怠記録をつける
サービス残業を黙認する上司への対処手順の1つ目は、タイムカードや勤怠記録を付けることです。
サービス残業をした場合に一番困るのが働いた時間の証拠がないことです。
働いた証拠がないと本当に残業をしたのかどうかさえもわからなくなってしまいます。
例えば、会社が残業代を支払ってくれない場合でも、タイムカードや勤怠記録は正確につけておくべきです。
もし、タイムカードや勤怠記録が会社にない場合には、一日の最初と最後のメールやチャット、家族に帰宅する旨の連絡をするLINEやメールなども証拠となります。
その他、ノートなどに働いた時間をメモしておくことでも有用です。毎日、働き始めた時間と、仕事を終えた時間を1分単位で正確に記載しておきましょう。
労働時間の証拠については、以下の記事で詳しく解説しています。
手順2:弁護士に相談する
サービス残業を黙認する上司への対処手順の2つ目は、弁護士に相談することです。
サービス残業については法的な問題であり、今まで支払ってもらえていなかった残業代について、後から遡って支払ってもらえることもあります。
残業問題に強い弁護士に、見通しや集めておくべき証拠、方針等について、相談するといいでしょう。
現在は、初回相談無料の弁護士も増えていますので、弁護士への相談の敷居も低くなっています。
手順3:残業代を請求する
サービス残業を黙認する上司への対処手順の3つ目は、残業代を請求することです。
弁護士との相談による見通しや方針に基づいて、会社に対して、残業代を請求していきましょう。
具体的には、以下のような通知書を送付することが多いです。
ただし、可能であれば、弁護士に依頼して、残業代請求を任せてしまうことがおすすめです。
残業代の請求は専門的な手続きであり、その計算も法的な知識が必要となるためです。
もしも、在籍しながら請求することに抵抗がある場合には、退職後に請求することも可能です。
3年の時効にかかっていない範囲で、退職後も遡って請求することができます。
退職後の残業代請求については、以下の記事で詳しく解説しています。
また、
残業代請求の方法・手順については、以下の動画でも詳しく解説しています。
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まとめ
以上のとおり、今回は、サービス残業の黙認は違法であることについて説明した上で、黙認する上司の特徴3つと簡単な対処手順を解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・サービス残業の黙認とは、従業員が残業をしていることを認識して、異議を述べないでいるにもかかわらず、残業代を支払わないことです。
・サービス残業の黙認は、違法となります。
・サービス残業の黙認に当たるケースと当たらないケースを整理すると以下のとおりです。
当たるケース1:社内で遅くまで働く姿を現認されている
当たるケース2:所定時間外にメールやチャットが届いている
当たるケース3:仕事を持ち帰りする旨を報告している
当たらないケース1:在宅勤務で残業が認識されていない
当たらないケース2:残業せずに帰宅するように言われた
当たらないケース3:誰もいない社内で残業し勤怠記録もつけなかった
・サービス残業を黙認する上司の特徴を3つ挙げると以下のとおりです。
特徴1:成果主義上司
特徴2:公私の区別が希薄な上司
特徴3:雰囲気に流されがちな上司
・サービス残業を黙認する上司への対処手順は以下のとおりです。
手順1:タイムカードや勤怠記録をつける
手順2:弁護士に相談する
手順3:残業代を請求する
この記事が上司からサービス残業を黙認されていることに悩んでいる労働者の方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。