薬剤師として勤めているものの、会社から不合理な理由でクビにすると言われていませんか?
今まで真面目に働いてきたのに、よくわからない理由で解雇を告げられても納得できないですよね。
まず知っておいていただきたいのは、たとえ薬剤師であっても、法律上は、合理的な理由なく解雇することは許されないことです。
なぜなら、薬剤師も、会社に雇用されている以上は、労働契約法上の解雇規制が適用されるためです。
しかし、実際には、会社は、到底クビにすることが許されないような事案であっても、解雇を強行してくることがあります。
経営者の発言権が強く、ワンマン経営になってしまっているような会社では、十分にコンプライアンスが機能していないことも多いのです。
会社が薬剤師をクビにする際によく持ち出してくる理由は、以下の5つです。
理由1:薬事法・薬剤師法違反
理由2:調剤過誤等の業務ミス
理由3:人間関係の不和
理由4:パワハラ
理由5:経営上の理由(リストラ)
ただし、これらの理由が形式的ものにすぎず、実際には経営者と対立状況になってしまっていることが直接的な原因になっていることもあります。
いずれにせよ、会社がこのような理由をつけて解雇を言い渡してきた際には、労働者としても適切に対処していく必要があります。
薬剤師が不当解雇をされた場合には、引き続き従業員として働く権利、解雇日以降の働けなかった期間の賃金を請求する権利、特に悪質なケースでは慰謝料を請求する権利があります。
是非、この記事をとおして、薬剤師の方々に会社からクビを宣告された場合にどう行動すればいいのかを知っていただければと思います。
今回は、薬剤師がクビになる5つの理由と不当解雇やリストラへの対処法を解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明します。
この記事を読めば薬剤師の方が解雇された場合の権利がよくわかるはずです。
解雇された場合に「やるべきこと」と「やってはいけないこと」は、以下の動画でも詳しく解説しています。
目次
よくある!薬剤師がクビになる理由5つ
会社が薬剤師をクビにするときに掲げてくる理由には、他の労働者の方々とは異なる薬剤師独特の理由もあります。
薬剤師の業務の特性や薬事法等を踏まえて、各解雇理由について検討していく必要があります。
例えば、よくある薬剤師がクビになる理由を5つ挙げると以下のとおりです。
理由1:薬事法・薬剤師法違反
理由2:調剤過誤等の業務ミス
理由3:人間関係の不和
理由4:パワハラ
理由5:経営上の理由(リストラ)
それでは、各解雇理由について順番に説明していきます。
理由1:薬事法・薬剤師法違反
薬剤がよくクビになる理由の1つ目は、薬事法・薬剤師法違反です。
薬事法・薬剤師法違反については、これが明らかになれば、許可を取り消されて、薬局の運営が難しくなる可能性があり、会社に重大な影響が生じます。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律75条(許可の取消し等)
1「…都道府県知事は、薬局開設者、医薬品の販売業者、…について、この法律その他薬事に関する法令で政令で定めるもの若しくはこれに基づく処分に違反する行為があつたとき、又はこれらの者(これらの者が法人であるときは、その薬事に関する業務に責任を有する役員を含む。)が第五条第三号…の規定に該当するに至つたときは、その許可を取り消し、又は期間を定めてその業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。」
※その他薬事に関する法令で政令で定めるものについては、以下を参照ください。
医薬品医療機器等法第5条第3号ニで規定される「その他薬事に関する法令で政令で定めるもの」 – 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)
そのため、薬事法・薬剤師法違反があるとの主張は、これが事実と認められれば解雇する合理的な理由となりやすいのです。
薬剤師法では、薬剤師の義務として以下のような義務が記載されています。
以下の関東信越厚生局の指導において指摘された事項が参考となります。
関東信越厚生局:平成30年度に実施した個別指導において改善を求めた主な指摘事項(薬局) (mhlw.go.jp)
関東信越厚生局:平成29年度に実施した個別指導において改善を求めた主な指摘事項(薬局) (mhlw.go.jp)
関東信越厚生局:平成28年度に実施した個別指導において保険薬局に改善を求めた主な指摘事項 (mhlw.go.jp)
例えば、会社から、「調剤業務の一部を薬剤師免許を持っていない従業員に任せている」、「処方箋中の疑義に関する照会をしていない」、「調剤した後に情報の提供や指導を怠っている」「処方箋への記入を怠っている」などを解雇の理由として挙げられることがあります。
「調剤」の定義について、判例は、一定の処方に従って一種以上の薬品を配合もしくは一種の薬品を使用して特定の分量に従い特定の用途に適合する如く特定人の特定の疾病に対する薬剤を調製すること(大正6年3月19日大審院刑二部判決)としています。
もっとも、この判例のみでは、薬剤師が行うことができる調剤業務とその他の従業員が行うことができる業務の線引きが曖昧です。
その後、平成27年に以下のような行政通達が出されました(薬食総発0625第1号平成27年6月25日)。
「今般、薬局において、薬剤師以外の者が軟膏剤の混合を行っていた事案が明らかとなりましたが、当該事案を含め、少なくともこうした軟膏剤、水剤、散剤等の医薬品を薬剤師以外の者が直接計量、混合する行為は、たとえ薬剤師による途中の確認行為があったとしても同条への違反に該当するとともに、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35 年法律第145号)第8条(管理者の義務)、第9条(薬局開設者の遵守事項)等への違反につながる行為であり、薬局に対する国民からの信頼を大きく損ねる」
そのため、軟膏剤、水剤、散剤等の医薬品を直接計量、混合する行為は、「調剤」業務に該当することが明確となりました。
理由2:調剤過誤等の業務ミス
薬剤師がよくクビになる理由の2つ目は、調剤過誤等の業務ミスです。
調剤過誤とは、調剤に関するすべての事故に関連して、患者に健康被害が発生したものの中で、薬剤師の過失により起こったもののことをいいます。
例えば、14錠単位のPTPだと思っていたら10錠単位のPTPであったなどの「数量の取り間違い」、アモリンとアモバンなどの名前が似ている「薬剤の取り間違い」などがあります。
仮に、患者に健康被害が生じなかったとしても、薬剤師としての能力に疑義が生じてしまうことになりますので、解雇理由として挙げられることになります。
また、調剤以外にも、記録の記入方法が薬局で決めているルールと異なっていたり、一包化の際にうまくできずに薬を無駄にしてしまうことが多かったりするような場合にも、解雇理由として挙げられることがあります。
理由3:人間関係の不和
薬剤師がよくクビになる理由の3つ目は、人間関係の不和です。
薬局では、経営者や長年勤めている事務員などが、強い発言力をもっていることがあります。
例えば、事務員から仕事のやり方に対して小言を言われたり、事務員に対して誤りを指摘したところ不機嫌になってしまったりすることがあります。
また、薬局の内部で働いていると、法令違反なのではないかと疑われるような問題が見えてくることもあり、これを経営者に指摘して敵対視されることもよくあります。
このように人間関係がうまくいかなくなってくると、コミュニケーションが少なくなっていき、会社から、「挨拶をしない」、「返事をしない」、「反抗的な態度を示す」、「協調性不足」などの指摘をされることになります。
実際には、このような理由により解雇することは難しいでしょうが、感情的になって怒鳴るなどしてしまうと不利な事実となってしまうので注意しましょう。
理由4:パワハラ
薬剤師がよくクビになる理由の4つ目は、パワハラです。
他の薬剤師や事務局からパワハラについての相談があったなどと言われることがあります。
例えば、注意の際の言い方がきつすぎるなどとの指摘がされることがあります。
これまで問題視されていなかった場合でも、解雇の際に過去のやり取りを持ち出される場合もありますので、注意しましょう。
理由5:経営上の理由(リストラ)
薬剤師がよくクビになる理由の5つ目は、経営上の理由(リストラ)です。
年々、薬局数が増え続けており6万店を超え、コンビニよりも多いと言われています。今後、薬局の淘汰が行われていくことが予測されます。
また、コロナ禍の受診控えにより、薬局の経営も厳しくなっている現状があります。
そのため、薬剤師の中でも特に高額の年収で雇用されている方などは人員整理の対象とされることがあります。
また、薬局によっては経営を一新するため店舗単位で大量の解雇を行う事例もでてきています。
リストラについては、以下の動画でも詳しく解説しています。
薬剤師でも簡単には解雇は認められない
上記では薬剤師がクビになる理由を見てきましたが、あくまでも会社の言い分としてよくあるにすぎず、実際に解雇が法的に認められるかどうかは別の問題です。
薬剤師であっても簡単には解雇は認められません。
なぜなら、薬剤師であっても、会社に雇用されている以上は、労働契約法上の解雇規制が適用されるためです。
労働契約法上、解雇は、客観的に合理的な理由なく、社会通念上相当といえない場合には、濫用として無効となるとされています。
労働契約法16条(解雇)
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」
例えば、何度か業務ミスがあったとしても、それだけで直ちに解雇することはできません。
会社は業務ミスを理由に解雇を行うには、業務改善の機会を与えなければなりません。
また、業務ミスがあったとしても、その原因が業務過多にあるような場合には、薬剤師としての能力が不足しているとはいえず、解雇することはできないでしょう。
更に、何らかのミスがあったとしても、それにより業務に支障が生じていない場合には、雇用を継続することが困難であるとはいえませんので、やはり直ちに解雇することはできません。
このように、法律では解雇をするためのハードルはとても高く設定されていますので、実際に行われている解雇の多くは実は法的には許されない可能性があるのです。
解雇の条件については、以下の記事で詳しく解説しています。
試用期間は、既に労働者と会社との間で雇用契約が成立した後の状態です。
そのため、試用期間中に労働者を本採用しないことを決めた場合には、会社が雇用契約を一方的に破棄するものとして、解雇に当たることになります。
そのため、試用期間解雇についても、客観的に合理的な理由がなく、社旗通念上相当とはいえない場合には、許されません。
具体的には、試用期間解雇が許されるのは、採用決定後における調査の結果や試用期間中の勤務状態等により、①当初知ることができなかったような事実を知った場合で、②そのような事実から雇用し続けることが適当でないと判断することが客観的に相当であると認められる場合とされています。
試用期間解雇については、以下の記事で詳しく解説しています。
薬剤師の方が解雇された場合の3つの権利
薬剤師の方が不当に解雇された場合には、以下の3つの権利があります。
権利1:引き続き従業員として働く権利
権利2:解雇日以降の働けなかった期間の賃金を請求する権利
権利3:慰謝料を請求する権利
それでは、これらの権利について順番に説明していきます。
権利1:引き続き従業員として働く権利
薬剤師の方が不当に解雇された場合の権利の1つ目は、引き続き従業員として働く権利です。
解雇が無効、つまり効力が生じていなかったことになりますので、現在も従業員としての地位にあることを確認することができます。
不当に解雇をされると、会社側は労働者は退職したと主張し、労働者側は会社を退職していないと主張することになります。つまり、法律関係が不明確な状況となっているのです。
これについて、裁判所が、現在も、従業員であることを確認することにより法律関係が明確になることになります。
権利2:解雇日以降の働けなかった期間の賃金を請求する権利
薬剤師の方が不当に解雇された場合の権利の2つ目は、解雇日以降の働けなかった期間の賃金を請求する権利です。いわゆるバックペイと言われるものです。
解雇が不当となり、労働者が退職していないことになれば、解雇日以降に労働者が働くことができなかった原因は会社側にあることになります。
そのため、労働者は、解雇日以降働いていなかったとしても、後から遡って解雇日までの賃金を支払うように請求することができるのです。
つまり、不当解雇であると認められるまでに1年かかったような場合には、その1年間会社に出勤することができなかったとしても、後から1年分の賃金が支払われることになります。
解雇を争う場合には、この解雇日以降の賃金の請求が金銭的に大きな請求となります。
権利3:慰謝料を請求する権利
薬剤師の方が不当に解雇された場合の権利の3つ目は、慰謝料を請求する権利です。
解雇に客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当といえないのみならず、特に悪質性が高いようなケースでは、上記賃金の他に、更に精神的苦痛に対する補てんも請求できるのです。
例えば、解雇の理由がないことが明らかであるにもかかわらず解雇を強行した場合、解雇のみならず嫌がらせや暴言を伴う場合などです。
慰謝料が認められる場合の相場は50万円~100万円程度です。
慰謝料の相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
不当解雇の慰謝料については、以下の動画でも詳しく解説しています。
不当解雇を争う場合に請求できる権利は、上記のとおりですが、実際には退職を前提とした金銭解決が行われることがほとんどです。
会社は一度解雇すると決めた従業員を職場に復帰させることは難しいですし、労働者も紛争状態になった後に会社に戻ることに抵抗があるためです。
金銭解決が行われる場合には、解雇を撤回して合意退職したことにすること、解決金として●●円を支払うこと、和解の内容を口外しないことなどを取り決めるのが通常です。
不当解雇の解決金の相場は、賃金の3か月分~6か月分程度です。再就職までに必要な期間の生活費としてこの程度は必要であるためです。
解決金の相場については以下の記事で詳しく解説しています。
薬剤師が不当解雇を争うために集めるべき証拠
薬剤師が不当解雇を争うためには、日頃からしっかりと証拠を残しておくことが大切です。
会社は、労働者と違い豊富な資料を持っていることが多く、解雇すると決めた段階で少しずつ業務指導の記録などをつけ始めているためです。
例えば、薬剤師の方が不当解雇を争うために集めていただきたい証拠としては、以下のものがあります。
証拠1:1日に処理した処方箋の枚数のメモ
証拠2:業務上でミスの状況や原因を記録したメモ
証拠3:始末書や顛末書のコピー
証拠4:他の従業員や上司とのLINEやメールの履歴
証拠5:面談の録音
それでは各証拠について順番に説明していきます。
証拠1:1日に処理した処方箋の枚数のメモ
薬剤師が不当解雇を争うために集めるべき証拠の1つ目は、1日に処理した処方箋の枚数のメモです。
処方箋取り扱い枚数あたりの薬剤師の必要な員数は、1日平均取扱処方箋枚数を40で除した数とされています(薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令第1条第2号)。
つまり、1人の薬剤師が1日に扱うことができる処方箋の枚数は40枚までが目安となります。
1日あたりの処方箋枚数が40枚を大きく超えるような場合には、業務ミスの原因は、薬剤師としての能力不足ではなく、業務過多にある可能性があります。
そのため、1日の業務量が多い場合には、1日の処方箋枚数を記録しておくといいでしょう。
毎日記録できるといいですが、難しい場合には、1週間分数えてみて、曜日ごとのおおよその枚数をメモしておくなどしましょう。
薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令
第1条(薬局の業務を行う体制)
1「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「法」という。)第五条第二号の規定に基づく厚生労働省令で定める薬局において調剤及び調剤された薬剤又は医薬品の販売又は授与の業務を行う体制の基準は、次に掲げる基準とする。」
二「当該薬局において、調剤に従事する薬剤師の員数が当該薬局における一日平均取扱処方箋数(前年における総取扱処方箋数(前年において取り扱つた眼科、耳鼻咽喉科及び歯科の処方箋の数にそれぞれ三分の二を乗じた数とその他の診療科の処方箋の数との合計数をいう。)を前年において業務を行つた日数で除して得た数とする。ただし、前年において業務を行つた期間がないか、又は三箇月未満である場合においては、推定によるものとする。)を四十で除して得た数(その数が一に満たないときは一とし、その数に一に満たない端数が生じたときは、その端数は一とする。)以上であること。」
証拠2:業務上でミスの状況や原因を記録したメモ
薬剤師が不当解雇を争うために集めるべき証拠の2つ目は、業務上でミスの状況や原因を記録したメモです。
会社が労働者を解雇しようとする場合には、業務上のミスや指導について1日ごとに記録をつけ始めます。
会社によっては、離席した時間や業務時間中にスマホを操作していたなどについても、記録することがあります。
会社がこのような証拠を提出するのは裁判になってからのことが多いですが、数か月前の業務ミスを指摘されても、大きなミスでない限り、その状況等を正確に思い出すことは困難です。
そのため、自分でも業務所のミスをした場合には、その状況や原因を記録しておきましょう。また、業務指導を行われた場合には、その指導内容も記載しておきます。
なお、指導内容が抽象的で何を指しているかよくわからない場合には、メールやLINEなどの証拠に残る形で、どのような出来事を指しているのか質問しておくといいでしょう。例えば、「協調性に欠ける」、「薬剤師としての能力に欠ける」などの指導しかされていないような場合には、どうすればいいのか不明ですので具体的に指示するように求めます。
証拠3:始末書や顛末書のコピー
薬剤師が不当解雇を争うために集めるべき証拠の3つ目は、始末書や顛末書のコピーです。
会社は、始末書や顛末書の提出を労働者に対して求めることがありますが、これらについては労働者が業務ミスをした証拠とされることがあります。
自分自身に落ち度があった場合には、始末書や顛末書を記載することは業務改善の意欲を示す意味でも大切ですので、始末書や顛末書の提出指示には従った方が良い場合もあります。
しかし、始末書や顛末書を提出する際には、必ずコピーを取っておきましょう。コピーが難しい場合には、例えば写真を撮らせてもらうなどが考えられます。
どのような始末書や顛末書を提出したのかがわからないと、解雇された場合にも方針が立てにくくなってしまいます。
始末書については以下の記事で詳しく解説しています。
証拠4:他の従業員や上司とのLINEやメールの履歴
薬剤師が不当解雇を争うために集めるべき証拠の4つ目は、他の従業員や上司とのLINEやメールの履歴です。
人間関係の不和やパワハラについてLINEやメールのやり取りにより反論できる場合があります。
例えば、パワハラを受けていたと会社が主張している従業員と仲良くLINEで話していたり、プライベートで一緒に遊びに行ったりしているような場合などです。
LINEについては、スクリーンショット又は分量が多い場合にはテキストデータにする方法により保存します。
メールについては、スクリーンショット又はPDF形式に印刷する方法により保存します。
~長期間のLINEのやり取りをテキストデータにする方法~
LINE履歴が長期間に場合には、スクリーンショットをすることが大変な場合もありますので、テキストデータにして保存しておく方法が有用です。
LINEのやり取りをテキストデータにして保存する方法は以下のとおりです。
手順1:「トーク」タブを押して、保存したい「友達」とのトークを選択する
手順2:画面の右上の「V」マークをクリックして、「トーク設定」を選択する
手順3:「トーク履歴を送信」を選択する
手順4:「メールで送信」を選択して、テキストデータを送付したメールアドレスに送信する
証拠5:面談の録音
薬剤師が不当解雇を争うために集めるべき証拠の5つ目は、面談の録音です。
解雇が間近に迫ってくると、会社から面談をされることがあります。
そして、その面談では、このままだと解雇することになるので、自分から退職してくれないかと言われることになります。これを退職勧奨と言います。
退職勧奨については以下の記事で詳しく解説しています。
この退職勧奨の際には、通常、会社は退職を求める理由などの重要な発言を行います。
会社は解雇理由証明書などについては弁護士に相談しながら作成することが多く、法的に整理された記載がされます。
これに対して、退職勧奨については社長や人事担当者が口頭で直接話しますので、書面上には記載されないような生の発言が多く含まれます。
例えば、退職勧奨での発言と解雇理由証明書の記載が全く異なるということも珍しくありません。
そのため、退職勧奨の録音は、解雇を争う際の重要な証拠となり得ます。
退職勧奨の録音については、以下の記事で詳しく解説しています。
薬剤師が解雇された場合の対処手順
万が一、あなたが解雇されてしまった場合には、冷静に対処することが大切です。
会社により行われる薬剤師の解雇は不当なことも多いですが、あなたが何ら対処をしないと、解雇が正当であることを前提に手続きが進められてしまいます。
また、焦って退職することを認めてしまうような言動をしてしまうと、解雇の不当性を主張していくことが難しくなってしまうことがあります。
そのため、突然のことにパニックになってしまいがちですが、このような場合にこそ落ち着いて行動することが大切なのです。
具体的には、以下の手順により行動していきます。
手順1:解雇理由証明書の請求
手順2:解雇撤回の要求と働く意思の明示
手順3:交渉
手順4:労働審判・訴訟
それでは、各手順について、順番に説明していきます。
なお、解雇への対処では、専門的な事項が問題となることも多いので、早い段階で弁護士に依頼して代わりに行ってもらうことがおすすめです。
手順1:解雇理由証明書の請求
解雇されてしまった場合には、まずは解雇理由証明書を請求することになります。
解雇理由証明書とは、あなたが解雇された理由が具体的に記載された書面です。労働基準法上、会社は請求された場合には交付する義務があります。
これを請求することにより、解雇が不当かどうか、不当だと言っていくにはどのような証拠を集めればいいかを判断することができます。
また、会社は、解雇理由証明書に記載していない事由については、事実上、解雇理由として今後追加しにくくなります。
解雇理由証明書の請求方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
手順2:解雇撤回の要求と働く意思の明示
次に、解雇理由証明書を見て解雇が不当であることが分かったら、解雇の撤回を要求しましょう。
その際に、併せて、解雇日以降の業務指示も求めておくといいでしょう。
解雇が濫用となる場合には、解雇日以降の賃金を支払うように請求していきますが、その前提として、あなたに就労の意思があることが必要であるためです。
手順3:交渉
解雇の撤回要求に対して、会社から回答があると、争点が明らかになりますので、交渉をしましょう。
双方の折り合いがつくようであれば、和解により解決することがあります。
和解による解決には、例えば、「会社が解雇の撤回と解決金の支払いをすることを条件に合意による退職に応じるもの」や、「復職について具体的に調整するもの」などがあります。
手順4:労働審判・訴訟
交渉による解決が難しい場合には、労働審判や訴訟などの裁判所を用いた手続きを行うことになります。
労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きであり、調停が成立しない場合には労働審判委員会が審判を下します。迅速、かつ、適正に解決することが期待できます。
労働審判については、以下の記事で詳しく解説しています。
労働審判とはどのような制度かについては、以下の動画でも詳しく解説しています。
訴訟は、期日の回数の制限などは特にありません。1か月に1回程度の頻度で期日が入ることになり、交互に主張を繰り返していくことになります。解決まで1年程度を要することもあります。
不当解雇の裁判については、以下の記事で詳しく解説しています。
薬剤師の解雇と残業代請求
薬剤師の方が解雇された場合には、未払い残業代の請求についても併せて行っていくことがよくあります。
薬局によっては、残業代を全く支払っていなかったり、不十分な残業代しか支払っていなかったりすることがよくあるためです。
以下の残業代チェッカー用いることで登録不要、無料でおおよその未払い残業代を確認することができます。
もっとも、タイムカードや勤怠管理が導入されていない薬局が多いという現状もあります。
また、調剤薬局については、門前の医院の営業時間に併せて、就業規則や雇用契約書上の休憩時間を3時間としていることもあります。この場合、実際には、あなたが十分な休憩を取ることが難しかった場合でも、3時間の休憩を取っていたと反論されることがあります。
そのため、薬剤師の方が未払いの残業代を請求する場合には、終業時刻だけではなく、休憩開始時刻、休憩終了時刻についても記録しておくことが大切です。
残業代の証拠の集め方については以下の記事で詳しく解説しています。
薬剤師の不当解雇の相談はリバティ・ベル法律事務所にお任せ
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しかし、解雇に関する問題は専門性の高い類型になりますので、解雇問題に注力している弁護士を探すことがおすすめです。
特に、薬剤師の解雇については、薬事法や薬剤師法などの問題も関わってきますので、薬剤師の解雇問題を扱っている弁護士に相談した方が良いでしょう。
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まとめ
以上のとおり、今回は、薬剤師がクビになる5つの理由と不当解雇やリストラへの対処法を解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・よくある薬剤師がクビになる理由を5つ挙げると以下のとおりです。
理由1:薬事法・薬剤師法違反
理由2:調剤過誤等の業務ミス
理由3:人間関係の不和
理由4:パワハラ
理由5:経営上の理由(リストラ)
・薬剤師であっても、簡単には解雇は認められません。なぜなら、薬剤師であっても、会社に雇用されている以上は、労働契約法上の解雇規制が適用されるためです。
・薬剤師の方が不当に解雇された場合には、以下の3つの権利があります。
権利1:引き続き従業員として働く権利
権利2:解雇日以降の働けなかった期間の賃金を請求する権利
権利3:慰謝料を請求する権利
・薬剤師の方が不当解雇を争うために集めていただきたい証拠としては、以下のものがあります。
証拠1:1日に処理した処方箋の枚数のメモ
証拠2:業務上でミスの状況や原因を記録したメモ
証拠3:始末書や顛末書のコピー
証拠4:他の従業員や上司とのLINEやメールの履歴
証拠5:面談の録音
・解雇された場合には以下の手順により行動していきます。
手順1:解雇理由証明書の請求
手順2:解雇撤回の要求と働く意思の明示
手順3:交渉
手順4:労働審判・訴訟
・薬剤師を解雇された場合でも、残業代の未払いがあれば、解雇に関する請求と併せて請求していくことができます。
この記事が薬剤師として勤務していたのに解雇されてしまって悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。