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残業申請制はおかしい?申請しにくい方向け例文9選と却下への対処法【テンプレート付き】

残業申請制はおかしい?申請しにくい方向け例文9選と却下への対処法【テンプレート付き】
悩み

残業申請制がおかしいのではないかと悩んでいませんか

会社側は従業員が残業をしていることを知っているにもかかわらず、従業員からは残業申請しにくいことも多いですよね。

残業申請制とは、残業をする場合には事前に会社に申請し、会社からの承認があった場合には残業時間と認められる制度のことです。

例えば、残業申請の理由としては以下のようなものがあります。

例文1:緊急のトラブルへの対処のため
例文2:プロジェクトの締切日が近いため
例文3:顧客からの緊急の要望に対応するため
例文4:欠員や人手不足による業務の遅延のため
例文5:月末、四半期末、または年末の報告と決算作業のため
例文6:社内会議やプレゼンテーションの資料準備のため
例文7:上司からの特別な指示のため
例文8:次の営業日までに必要な準備作業のため
例文9:本日中に報告書を作成する必要があるため

残業申請のルール自体については、法律上許容されており、一概におかしいとまでは言うことができません。

従業員は、残業申請をしないと、その時間を残業時間と認めてもらうことができず、残業代を支払ってもらえないリスクがあります

しかし、「残業申請が形骸化している場合」や「会社が残業を認めている証拠がある場合」には、残業申請が漏れていても、残業代を請求できる可能性があります。

もしも、あなたが正当な理由のもとに残業の申請をしているのに、これを会社が却下する場合には、あなた自身を守るために適切に対処していく必要があります。

実は、私が多くの残業代問題の相談を受ける中でも、従業員がこれまで正確に残業申請を行っていなかったことを後悔する例が後を絶ちません

この記事をとおして、残業代請求を見据えて、残業申請制とどのように向き合っていくべきなのかを知っていただければと思います。

今回は、残業申請制とは何かを説明して、申請しにくい方向けの例文9選を紹介したうえで、残業申請が漏れていても残業代を請求できるケース、残業申請を却下された場合の対処法を解説していきます。

具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事で分かること

この記事を読めば、会社で働く従業員が残業申請とどのように向き合っていけばいいのかがよくわかるはずです。

       

残業申請制とは?|残業申請書兼報告書・残業届のテンプレート付き

残業申請制とは、残業をする場合には事前に会社に申請し、会社からの承認があった場合には残業時間と認められる制度のことです。

残業申請制とは?

会社において残業時間を管理するために設けられる制度です。

例えば、残業申請制を導入している会社では、残業をする前に上司に申請書を提出して、承認をもらうルールになっている会社が多いです。

以下のような残業申請書を提出するのが通常です。

 

事前に申請をすることができなかった場合には、事後的に以下のような残業届を提出するルールになっていることが通常です

残業届【テンプレート】

残業申請しにくい…|残業申請ルールはおかしい?

残業申請のルール自体については、法律上許容されており、一概におかしいとまでは言うことができません

労働とはあくまでも、会社の指揮監督のもとで行われるものです。会社の意向に反して業務を行っても、それは労働ということはできないのです。

そして、残業をどのようにして労働者に指示するかについては、会社に一定の裁量が認められます。

そのため、残業申請のルールを設けること自体が「悪」ということにはなりません

ただし、会社が指示して業務を行わせているのに残業申請だけさせないというのは、法的に見てもおかしいです。

実態としては会社が残業を承認しているにもかかわらず、形式的に残業を承認していた証拠は残さないというのは問題があるでしょう。

       

汎用性の高い残業申請の理由の例文9選

残業申請をする際には、残業申請の理由を記載するように求められるのが通常です

残業申請の理由がわからないと、会社が残業を承認するべきかどうか、その必要性を判断することができないためです。

例えば、汎用性の高い残業申請の理由の例文は以下の9つです。

例文1:緊急のトラブルへの対処のため
例文2:プロジェクトの締切日が近いため
例文3:顧客からの緊急の要望に対応するため
例文4:欠員や人手不足による業務の遅延のため
例文5:月末、四半期末、または年末の報告と決算作業のため
例文6:社内会議やプレゼンテーションの資料準備のため
例文7:上司からの特別な指示のため
例文8:次の営業日までに必要な準備作業のため
例文9:本日中に報告書を作成する必要があるため

残業申請しないとどうなる?多くの人が残業申請しない理由4つ

残業申請をしないと、残業時間と認めてもらうことができない可能性があります

会社の指揮監督下で働いていたとは言えないことがあるためです。

例えば、多くの人が残業申請をしない理由は以下のとおりです。

理由1:残業申請がめんどくさいから
理由2:残業が突発的で申請する時間がないから
理由3:残業申請しにくいから
理由4:残業申請しても通らないから

多くの人が残業申請しない理由4つ

それでは、各理由について順番に説明していきます。

理由1:残業申請がめんどくさいから

多くの人が残業申請をしない理由の1つ目は、残業申請がめんどくさいからです。

残業申請をするには事前に残業申請書を記載しなければなりませんし、残業が終わった後には報告をしなければなりません。

これらを記載していると、10分~15分程度かかってしまうことになります。

例えば、30分~1時間程度の残業であれば、このような書面を記載することは億劫であると感じる方が多いでしょう。

理由2:残業が突発的で申請する時間がないから

多くの人が残業申請をしない理由の2つ目は、残業が突発的で申請する時間がないからです。

残業が生じる原因として、終業時刻の直前にトラブルが生じたり、業務を指示されたりということがあります。

こういった場合には、事前に残業を申請することが困難である場合があります。

理由3:残業申請しにくいから

多くの人が残業申請をしない理由の3つ目は、残業申請しにくいからです。

残業申請を上司に提出するのは、気まずいという方も多いですよね。

嫌な顔されたり、人事評価に悪影響が生じたりしないか不安に感じる方も多いでしょう。

このように心理的な負担に悩むくらいなら申請をしないという方も多いのです。

理由4:残業申請しても通らないから

多くの人が残業申請をしない理由の4つ目は、残業申請しても通らないからです。

残業申請をしても突き返されてしまった経験があると、それ以降は残業申請をしても無駄だと考えて提出することをやめてしまう方もいます。

       

残業申請が漏れていても残業代を請求できるケース2つ

残業申請が漏れていても、残業代を請求できる場合があります

残業申請がされていなくても、会社の指揮監督下にあったといえることもあるためです。

例えば、残業申請が漏れていても、残業代を請求できるケースは以下の2つです。

ケース1:残業申請が形骸化している場合
ケース2:会社が残業を認めている証拠がある場合

残業申請が漏れていても残業代を請求できるケース2つ

それでは、各ケースについて順番に説明していきます。

ケース1:残業申請が形骸化している場合

残業申請が漏れていても残業代を請求できるケースの1つ目は、残業申請が形骸化している場合です。

残業申請が形骸化している場合には、残業申請が出されていなかったからといって、会社の指揮監督下になかったとはいえません

例えば、就業規則には、残業申請が必要であると規定されているものの、実際には一度も残業の申請など行われていないような場合です。

もっとも、一部の日だけ残業申請を出してしまっているような場合には、残業申請が形骸化していたと主張することが難しくなります

ケース2:会社が残業を認めている証拠がある場合

残業申請が漏れていても残業代を請求できるケースの2つ目は、会社が残業を認めている証拠がある場合です。

残業申請がされていなくても、会社が残業を認めているのであれば、指揮監督下で働いていたということができます

例えば、チャットやメール、録音など、会社が残業をしている証拠がある場合には、会社は残業を承認していたと言えるでしょう。

また、労働者が残業をしていることを認識しつつ会社が黙認していた証拠がある場合にも、残業を承認していたといえるでしょう。

サービス残業の黙認については、以下の記事で詳しく解説しています。

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残業申請の却下は違法?残業申請が通らない場合の対処法

残業申請の却下は、違法ではありません

残業を指示するかどうかを判断するのは、雇用主であるためです。会社が残業は必要ないと判断すれば、残業を指示しないこともできるのです。

もし、労働者が残業申請を却下された場合には、以下のように対処しましょう。

対処法1:残業をせずに帰る
対処法2:会社からの指示・黙認の証拠を残す

残業申請が通らない場合の対処法

それでは、これらの対処法について順番に説明していきます。

対処法1:残業をせずに帰る

残業申請を却下された場合の対処法の1つ目は、残業をせずに帰ることです。

会社が残業を行うことを承認しない以上は、会社自身が残業をしなくても良いと認めていることになります。

そのため、残業をしないというのが正攻法の対処となります。会社の判断に反して残業を行う必要はありません。

残業を行わないことにより会社に損害が生じる可能性があったとしても、当該リスクについては会社自身が判断すべき問題です。

残業の拒否については、以下の記事で詳しく解説しています。

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対処法2:会社からの指示・黙認の証拠を残す

残業申請を却下された場合の対処法の2つ目は、会社からの指示・黙認の証拠を残すことです。

会社が残業申請を却下しているにもかかわらず、残業を強要してきて帰ることができない場合には、証拠を残しておきましょう

残業申請への承認はないものの、指揮監督下で働いたことを証明できるようにして、後から残業代を請求できるようにしておくためです。

       

残業申請に関してよくある疑問5つ

残業申請に関してよくある疑問としては、以下の5つがあります。

疑問1:残業申請は事後でもいい?
疑問2:残業申請を忘れたらどうすればいい?
疑問3:残業申請はメールでもいい?
疑問4:残業申請書の保存期間は?
疑問5:残業申請は何分単位?

それでは、これらの疑問について順番に解消していきましょう。

疑問1:残業申請は事後でもいい?

残業申請は、事前に行うべきです

会社から残業が承認されない可能性があるためです。

残業をした後に、残業を認めていないと言われるとトラブルになるリスクがあります

ただし、残業申請を行う時間がなかったなどやむを得ない場合には、事後的に届出を行っておきましょう。

疑問2:残業申請を忘れたらどうすればいい?

残業申請を忘れてしまった場合には、その日のうち又は翌日頃までに、残業を行ったことを届け出るようにしましょう

残業を行った日から日数が経過してしまっている場合には、「会社の指示で残業していた証拠」や「会社が残業を黙認していた証拠」を集めておきましょう。

疑問3:残業申請はメールでもいい?

残業の申請は、可能な限り、会社の所定の方式で行うことが望ましいです。

所定の書式で提出しなければ残業を承認することができないなどと言われる可能性があるためです。

ただし、残業の申請制度がない会社において、残業を会社が認識していたことの証拠を残すような趣旨であれば、メールで報告することも意味があるでしょう。

例えば、在宅勤務で働いているような場合には、そもそも会社が残業を認識していなかったなどと反論してくることもあるためです。

疑問4:残業申請書の保存期間は?

残業申請書の保管期間は、3年です。

雇用主は、「賃金その他労働関係に関する重要な書類」を3年間保管しておかなければならないためです。

疑問5:残業申請は何分単位?

残業申請は、1分単位で行うことが原則になります

会社は残業時間を1分単位で管理して残業代を支給しなければならないためです。

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残業代の未払いに悩んでいる方は、一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。

       

まとめ

以上のとおり、今回は、残業申請制とは何かを説明して、申請しにくい方向けの例文9選を紹介したうえで、残業申請が漏れていても残業代を請求できるケース、残業申請を却下された場合の対処法を解説しました。

この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。

・残業申請制とは、残業をする場合には事前に会社に申請し、会社からの承認があった場合には残業時間と認められる制度のことです。

・残業申請のルール自体については、法律上許容されており、一概におかしいとまでは言うことができません。

・多くの人が残業申請をしない理由は以下のとおりです。
理由1:残業申請がめんどくさいから
理由2:残業が突発的で申請する時間がないから
理由3:残業申請しにくいから
理由4:残業申請しても通らないから

・残業申請が漏れていても、残業代を請求できるケースは以下の2つです。
ケース1:残業申請が形骸化している場合
ケース2:会社が残業を認めている証拠がある場合

・労働者が残業申請を却下された場合には、以下のように対処しましょう。
対処法1:残業をせずに帰る
対処法2:会社からの指示・黙認の証拠を残す

この記事が残業申請制がおかしいのではないかと悩んでいる方の助けになれば幸いです。

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神奈川県弁護士会所属。不当解雇や残業代請求、退職勧奨対応等の労働問題、離婚・男女問題、企業法務など数多く担当している。労働問題に関する問い合わせは月間100件以上あり(令和3年10月現在)。誰でも気軽に相談できる敷居の低い弁護士を目指し、依頼者に寄り添った、クライアントファーストな弁護活動を心掛けている。持ち前のフットワークの軽さにより、スピーディーな対応が可能。 【著書】長時間残業・不当解雇・パワハラに立ち向かう!ブラック企業に負けない3つの方法 【連載】幻冬舎ゴールドオンライン:不当解雇、残業未払い、労働災害…弁護士が教える「身近な法律」 【取材実績】東京新聞2022年6月5日朝刊、毎日新聞 2023年8月1日朝刊、区民ニュース2023年8月21日
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