追い出し部屋に配属され、仕事を与えられなかったり、退職を促す面談を繰り返されたりして、困ってしまうケースがあります。
このような扱いを受けると、会社に居続けてよいのか、異動命令に従うべきか分からず、不安になる方もいるでしょう。
この記事の要点
・追い出し部屋とは、労働者を退職へ向かわせる目的で、不自然な配置や業務を命じる部署などをいい、態様によっては違法となります。
・配属された場合には、退職書類へすぐに署名せず、会社の指示や業務の実態を記録したうえで、弁護士へ相談しましょう。
この記事を読めば、追い出し部屋の特徴や違法性の判断基準、配属された場合の対処法がよくわかるはずです。

目次
追い出し部屋とは
追い出し部屋とは、労働者に退職を選ばせる目的で、仕事をほとんど与えない、能力とかけ離れた業務だけを命じる、周囲から隔離するなどの扱いを行う部署や状態のことです。
法律で定められた正式な用語ではなく、退職へ追い込むような人事上の扱いを表す一般的な呼び方です。
必ずしも独立した部屋が用意されているとは限りません。
例えば、通常の部署に在籍したまま会議や業務連絡から外されるケースや、新設された部署へ異動させられて実質的な仕事がないケースも、追い出し部屋と呼ばれることがあります。
一方で、仕事が少ない部署へ異動しただけで、直ちに追い出し部屋になるわけではありません。
会社には、業務上の必要に応じて労働者を配置転換する権限が認められることがあるためです。
追い出し部屋に当たるかどうかは、部署の名称ではなく、異動の目的、与えられた仕事の内容、業務量、周囲との関係、退職勧奨の経緯などから判断します。
業務上の必要性が乏しく、労働者を退職へ追い込む目的で不利益な扱いが続いている場合には、配置転換が無効となったり、パワハラや不法行為に当たったりする可能性があります。
追い出し部屋を疑う特徴6つ
追い出し部屋は、部署名ではなく、仕事の与え方や周囲との関わり、異動後の扱いから見分けます。
追い出し部屋を疑う特徴としては、以下の6つがあります。
特徴1:仕事を与えられない又は業務量が極端に少ない
特徴2:経験や能力と関係のない単純作業だけを命じられる
特徴3:達成が難しい目標や過大な業務を課される
特徴4:別室へ隔離され、会議や社内連絡から外される
特徴5:自分で社内の異動先や転職先を探すことだけを命じられる
特徴6:退職勧奨を断った直後に異動させられ、面談を繰り返される
これらの特徴を順番に説明していきます。
特徴1:仕事を与えられない又は業務量が極端に少ない
仕事をほとんど与えられない場合には、追い出し部屋の可能性があります。
仕事を失わせることで、労働者が自分から退職するよう仕向けていることがあるためです。
例えば、異動後は電話番やメール確認だけとなり、一日の大半を何もせずに過ごすケースです。
ただし、一時的に仕事が減っただけでは、追い出し部屋とは限りません。
長期間にわたり、自分だけ仕事を与えられず、仕事を求めても対応してもらえない場合には注意が必要です。
特徴2:経験や能力と関係のない単純作業だけを命じられる
これまでの経験や能力と関係のない単純作業だけを命じられる場合も、追い出し部屋の可能性があります。
労働者の自信や働く意欲を失わせ、退職へ向かわせることがあるためです。
例えば、管理職であった人に、書類の並べ替えや備品確認だけを長期間命じるケースです。
一時的に補助作業を担当するだけであれば、通常は問題になりません。
仕事内容を変えた理由が説明されず、経験を生かせない仕事だけが続く場合には注意しましょう。
特徴3:達成が難しい目標や過大な業務を課される
達成が難しい目標や、処理できないほど多くの仕事を課されることもあります。
失敗しやすい状況を作り、能力不足を理由に退職を求める場合があるためです。
例えば、十分な研修を行わずに、短期間で非常に高い売上目標を達成するよう求めるケースです。
高い目標を設定されただけで、直ちに追い出し部屋になるわけではありません。
自分だけ不自然に厳しい目標を課され、必要な人員や時間も与えられていない場合には注意が必要です。
特徴4:別室へ隔離され、会議や社内連絡から外される
職場で周囲から切り離される扱いが続く場合には、追い出し部屋の可能性があります。
仕事に必要な情報や人との関わりをなくし、職場に居づらくさせることがあるためです。
例えば、ほかの従業員と離れた部屋へ移され、会議や社内メールの共有から外されるケースです。
座席を分ける正当な理由がある場合には、直ちに問題とはなりません。
理由もなく自分だけ孤立させられ、仕事にも支障が出ている場合には注意しましょう。
特徴5:自分で社内の異動先や転職先を探すことだけを命じられる
社内の異動先や社外の転職先を探すことだけを命じられる場合も、追い出し部屋の可能性があります。
現在の仕事を外し、別の行き先を探させることで、退職へ向かわせることがあるためです。
例えば、通常業務を全て外されたうえで、社内求人への応募や転職活動の報告だけを求められるケースです。
本人が希望して転職支援を受けている場合には、通常は問題になりません。
本人の希望に反して、異動先探しや転職活動だけを続けるよう命じられている場合には注意が必要です。
特徴6:退職勧奨を断った直後に異動させられ、面談を繰り返される
退職勧奨を断った直後に異動させられ、その後も面談が続く場合には、追い出し部屋を疑う事情となります。
退職を断ったことを理由に、仕事のない部署などへ移された可能性があるためです。
例えば、希望退職への応募を断った直後に異動させられ、面談でも繰り返し退職を勧められるケースです。
退職勧奨の後に異動しただけで、直ちに違法になるわけではありません。
異動の時期、異動先の仕事、面談の回数や発言内容を合わせて確認することが必要です。
追い出し部屋が違法となる主なケース6つ
追い出し部屋のような扱いがあっても、すべてが直ちに違法となるわけではありません。
追い出し部屋が違法となる主なケース6つとしては、以下の6つがあります。
ケース1:不当な動機や目的による配置転換である
ケース2:職種又は勤務地を限定する合意に反する
ケース3:社会的に許される範囲を超えた退職強要に当たる
ケース4:過小な要求・過大な要求・人間関係からの切り離しによるパワハラに当たる
ケース5:合理的な根拠のない降格又は賃金減額を伴う
ケース6:心身の不調を放置した安全配慮義務違反に当たる
これらのケースを順番に説明していきます。
ケース1:不当な動機や目的による配置転換である
労働者を退職へ追い込む目的で行われた配置転換は、無効となる可能性があります。
会社に配置転換を命じる権限があっても、不当な目的で使うことまでは認められないためです。
例えば、退職勧奨を断った直後に、業務上の必要がない部署へ異動させ、仕事をほとんど与えないケースです。
配置転換の目的、異動の時期、異動先の仕事内容などを確認し、退職へ追い込む意図がなかったかを判断します。
業務上の必要性が乏しく、退職を促す目的が認められる場合には、配置転換が権利の濫用として無効となることがあります。
ケース2:職種又は勤務地を限定する合意に反する
職種や勤務地を限定する合意がある場合には、その範囲を超える配置転換が無効となる可能性があります。
会社が自由に配置転換を命じられる範囲は、労働契約の内容によって変わるためです。
例えば、特定の専門職に限って働く合意がある人を、本人の同意なく別の職種へ異動させるケースです。
最高裁判所も、職種と業務内容を限定する合意がある場合には、会社が本人の同意なく異なる職種へ配置転換する権限を持たないと判断しています。
労働契約書、労働条件通知書、求人票などを確認し、職種や勤務地が限定されていないかを確認しましょう。
ケース3:社会的に許される範囲を超えた退職強要に当たる
労働者が自由に判断できないほど退職を迫る行為は、違法な退職強要となる可能性があります。
退職勧奨は、あくまで労働者の意思による退職を求めるものであり、会社が退職を強制できる制度ではないためです。
例えば、退職を断っているのに長時間の面談を繰り返し、「辞めるまで通常の仕事には戻さない」などと告げるケースです。
面談の回数や時間、発言内容、労働者が明確に拒否していたかなどから判断されます。
労働者の自由な意思決定を妨げる方法で退職を求めた場合には、違法な権利侵害に当たることがあります。
ケース4:過小な要求・過大な要求・人間関係からの切り離しによるパワハラに当たる
追い出し部屋での扱いが、パワハラに当たることがあります。
業務上必要な範囲を超えて労働者へ苦痛を与え、働く環境を悪化させる行為は、適正な業務命令とはいえないためです。
例えば、合理的な理由なく仕事を与えない行為は「過小な要求」、達成できない仕事を課す行為は「過大な要求」に当たる可能性があります。
別室へ隔離したり、会議や連絡から外したりする行為は「人間関係からの切り離し」に当たることがあります。
これらの行為が業務上必要な範囲を超え、就業環境を害している場合には、パワハラとして違法となる可能性があります。
ケース5:合理的な根拠のない降格又は賃金減額を伴う
追い出し部屋への異動と同時に、根拠のない降格や賃金減額が行われた場合には、違法となる可能性があります。
会社が人事評価を行う権限を持っていても、理由なく役職や賃金を下げられるわけではないためです。
例えば、評価基準や就業規則上の根拠を示さず、退職勧奨を断ったことをきっかけに役職と賃金を下げるケースです。
降格の理由、評価の内容、就業規則の定め、賃金が下がった幅などを確認する必要があります。
合理的な根拠がない場合や、就業規則を変更して一方的に不利益を与えた場合には、降格や賃金減額が無効となることがあります。
ケース6:心身の不調を放置した安全配慮義務違反に当たる
追い出し部屋によって心身の不調が生じているのに、会社が必要な対応をしない場合には、安全配慮義務違反となる可能性があります。
会社は、労働者が心身の安全を保ちながら働けるよう、必要な配慮をする義務を負っているためです。
例えば、労働者が不眠や強い不安を訴え、医師の診断書も提出しているのに、隔離や過大な業務を続けるケースです。
会社が不調を知っていたか、業務を見直したか、産業医との面談などを案内したかが判断の手掛かりになります。
不調を知りながら何も対応せず、症状が悪化した場合には、安全配慮義務違反として損害賠償を請求できることがあります。
追い出し部屋の違法性を判断する7つのポイント
追い出し部屋の違法性は、異動の目的や必要性、配置先での扱いなどを総合して判断します。
追い出し部屋の違法性を判断するポイントとしては、以下の7つがあります。
ポイント1:退職勧奨を断った時期と異動時期が近いか
ポイント2:配置転換に業務上の必要性があるか
ポイント3:対象者を選んだ理由に合理性があるか
ポイント4:配置先に実際の仕事と適切な業務量があるか
ポイント5:仕事内容が能力・経験・職歴とかけ離れているか
ポイント6:隔離、監視、面談、発言などの態様が不相当か
ポイント7:賃金への不利益が大きいか
それでは、これらのポイントを順番に説明していきます。
ポイント1:退職勧奨を断った時期と異動時期が近いか
退職勧奨を断んだ直後に異動を命じられた場合には、異動の目的を慎重に確認する必要があります。
退職を拒否したことへの対応として、不利益な部署へ移した可能性があるためです。
例えば、退職勧奨を断んだ数日後に、それまで経験のない部署へ異動させられるケースでは、拒否と移動に関連性がある可能性があります。
ただし、時期が近いだけで、直ちに違法となるわけではありません。
退職勧奨の内容、異動が決まった時期、会社から説明された理由を合わせて確認しましょう。
ポイント2:配置転換に業務上の必要性があるか
配置転換に業務上の必要性があるかは、違法性を判断する中心的なポイントです。
必要性がほとんどない異動は、退職へ追い込む目的で行われた可能性が高くなるためです。
例えば、配置先に担当させる仕事がなく、会社も異動の目的を具体的に説明できないケースでは、必要性が否定されやすいでしょう。
一方で、人員不足への対応や事業の変更など、合理的な理由がある場合には、異動が認められることがあります。
業務上の必要性がない配転や、不当な目的による配転は、権利の濫用として無効となる可能性があります。
ポイント3:対象者を選んだ理由に合理性があるか
なぜ自分が異動の対象になったのかも確認する必要があります。
部署を変える必要があっても、対象者の選び方に合理性がなければ、退職へ向かわせるための人選が疑われるためです。
例えば、同じ仕事をする従業員が複数いるのに、退職勧奨を断んだ人だけが異動の対象となっているケースでは不合理とされる可能性もあります。
会社が説明する勤務成績や能力について、評価資料による裏付けがあるかも確認しましょう。
人選の基準が不明確で、自分だけが不利益な扱いを受けている場合には注意が必要です。
ポイント4:配置先に実際の仕事と適切な業務量があるか
配置先に実際の仕事があるかは、追い出し部屋かどうかを判断する大きな手掛かりです。
部署が存在していても、担当業務がほとんどなければ、働かせるための異動とはいえないことがあるためです。
例えば、一日の仕事が短時間で終わり、仕事を求めても新しい指示を出してもらえないケースでは、過小な指示となることもあるでしょう。
配置先の業務内容、仕事を与えられない期間、ほかの従業員の業務量と比べて確認しましょう。
長期間にわたり、自分だけ仕事が極端に少ない場合には、不当な目的が疑われます。
ポイント5:仕事内容が能力・経験・職歴とかけ離れているか
異動後の仕事が、これまでの能力や経験とかけ離れている場合には、異動の理由を確認しましょう。
合理的な理由もなく仕事の水準を大きく下げることは、働く意欲を失わせるための扱いである可能性があるためです。
例えば、専門職や管理職として働いていた人に、誰でもできる単純作業だけを長期間命じるケースでは、過小な指示とされることもあるでしょう。
ただし、職種の変更だけで、直ちに違法となるわけではありません。
会社が仕事内容を変えた理由や、その仕事を続ける期間も確認する必要があります。
ポイント6:隔離、監視、面談、発言などの態様が不相当か
異動だけでなく、配置後にどのような扱いを受けたかも確認する必要があります。
別室への隔離や繰り返される退職面談などが重なると、労働者を職場から排除する目的が疑われるためです。
例えば、会議や社内連絡から外されたうえで、毎週の面談で退職を勧められるケースです。
合理的な理由のない隔離は「人間関係からの切り離し」、仕事を与えない行為は「過小な要求」に当たる可能性があります。
ポイント7:賃金への不利益が大きいか
異動によって受ける不利益が大きいほど、配置転換が違法と判断される可能性は高くなります。
労働者が通常受け入れるべき範囲を超えた不利益を与える配転は、権利の濫用となることがあるためです。
例えば、異動と同時に役職や賃金を半分近く下げられてしまうケースです。
追い出し部屋に関する裁判例
追い出し部屋に関する裁判例としては、厳選すると以下の2つがあります。
・大阪高判平成25年4月25日労判1076号19頁[新和産業事件]
・東京地判平成25年11月12日労判1085号19頁[リコー事件]
これらの裁判例を順番に説明していきます。
大阪高判平成25年4月25日労判1076号19頁[新和産業事件]
![5-1 大阪高判平成25年4月25日労判1076号19頁[新和産業事件]](https://legalet.net/niwp/wp-content/uploads/2026/08/d118e2366563914fdf161e7f3493f0a9.jpg)
【事案】
化学製品卸売業の営業課長が、退職勧奨を拒否しました。
会社は報復として、仕事がほとんどない倉庫への配転と降格を命じました。賃金は半分以下に激減しました。社員は、これら命令の無効と損害賠償を求めました。
【結論】
配転と降格は権利濫用で無効とされました。
【理由】
倉庫での業務は必要性が乏しいです。配転は、社員を退職に追い込む不当な動機で行われました。
賃金を半分以下にする不利益は、社会通念上の受忍限度を著しく超えています。降格も就業規則上の根拠を欠いています。これらは人事権を逸脱した不法行為とされました。
東京地判平成25年11月12日労判1085号19頁[リコー事件]
![5-2 東京地判平成25年11月12日労判1085号19頁[リコー事件]](https://legalet.net/niwp/wp-content/uploads/2026/08/151f7d5cb2146093ab434343360ada29.jpg)
【事案】
事務機器製造販売会社の技術職が、希望退職を拒絶しました。会社は子会社の物流センターへの出向を命令しました。業務は梱包等の単純作業です。
原告は、退職を強いる不当な目的による権利濫用だとして訴えました。
【結論】
出向命令は、人事権の濫用であり無効とされました。
【理由】
出向先の業務は機械的な肉体労働でした。長年の技術職としてのキャリアを考慮していません。
人選基準も客観性を欠き、合理的ではありません。希望退職を拒否した社員に、自発的な退職を促す不当な目的が認められます。
人事権の限界を超えた不当な動機によるものと判断されました。
追い出し部屋に配属された場合の対処法4つ
追い出し部屋に配属された場合でも、感情的に退職したり、異動命令を拒否したりすることは避けましょう。
対応を誤ると、自ら退職したと扱われることや、業務命令違反を理由に処分されることがあるためです。
追い出し部屋に配属された場合の対処法は以下のとおりです。
対処法1:退職届や退職合意書へすぐに署名しない
対処法2:異動命令を自己判断で拒否せず、異議を留保して相談する
対処法3:会社の指示と配置先の実態を証拠として残す
対処法4:弁護士へ相談する
それでは、これらの対処法を順番に説明していきます。
対処法1:退職届や退職合意書へすぐに署名しない
退職届や退職合意書を渡されても、その場ですぐに署名しないようにしましょう。
一度提出すると、本人の意思による退職であったとして扱われ、後から撤回することが難しくなるためです。
「今日中に署名してください」と求められても、「弁護士に相談したいので一度持ち帰らせてください」とだけ回答するようにしましょう。
対処法2:異動命令を自己判断で拒否せず、異議を留保して相談する
追い出し部屋への異動が不当だと感じても、自己判断ですぐに拒否することは避けましょう。
異動命令が有効と判断された場合には、業務命令違反として注意や懲戒処分を受ける可能性があるためです。
異動命令を拒否する前に、労働組合や弁護士へ相談し、契約内容や異動理由を確認しましょう。
対処法3:会社の指示と配置先の実態を証拠として残す
会社の指示や配置先での扱いは、できる限り記録しておきましょう。
追い出し部屋の違法性は、異動の目的、仕事の量、面談の内容などから判断されるためです。
例えば、異動の辞令、上司からのメール、面談の録音、仕事を求めた際の回答などを保存しましょう。
一日の仕事内容や待機時間についても、日付ごとに記録しておくと役立ちます。
記録は、後からまとめて作るよりも、その日のうちに残した方が内容を正確に示しやすくなります。
対処法4:弁護士へ相談する
追い出し部屋への配属に悩んでいる場合には、早めに弁護士へ相談しましょう。
配置転換、降格、賃金減額、退職勧奨は、それぞれ確認すべき法律や証拠が異なるためです。
弁護士へ相談すると、異動命令の有効性や、会社へどのように異議を伝えるべきかについて助言を受けられます。
また、退職条件の交渉、元の職場への復帰、差額賃金や慰謝料の請求を検討できることもあります。
相談する際には、労働契約書、辞令、給与明細、メール、面談の記録などを持参しましょう。
退職書類へ署名する前や、異動命令を拒否する前に相談することで、状況に応じた対応を選びやすくなります。
追い出し部屋で集めるべき証拠
追い出し部屋の違法性を説明するには、異動の経緯や配属後の実態が分かる証拠を残すことが必要です。
追い出し部屋で集めるべき証拠としては、以下の4つがあります。
証拠1:辞令・労働契約書・就業規則
証拠2:メール・チャット・面談の録音
証拠3:日々の仕事内容と業務量を記録した業務日誌
証拠4:人事評価資料・給与明細・役職変更の通知
それでは、これらの証拠を順番に説明していきます。
証拠1:辞令・労働契約書・就業規則
辞令や労働契約書は、異動命令の内容を確認する証拠になります。
職種や勤務地を限定する合意がある場合には、異動が契約に反していないかを検討できるためです。
辞令は、異動先、異動日、役職、業務内容が分かる状態で保管しましょう。
労働条件通知書や求人票も、採用時に予定されていた仕事内容を示す資料になります。
証拠2:メール・チャット・面談の録音
メールや面談の録音は、会社から受けた指示や退職を求められた内容を示す証拠になります。
例えば、仕事を求めたメール、異動理由の説明、退職を勧める発言などを残しておきましょう。
メールやチャットは、送信者、宛先、日時が分かる状態で保存します。
録音は一部だけを切り取らず、面談全体のデータを保管しておくことが望ましいです。
証拠3:日々の仕事内容と業務量を記録した業務日誌
配置先での仕事内容や業務量は、毎日記録しておきましょう。
仕事がほとんどない状態や、過大な業務を課された状態を後から説明しやすくなるためです。
業務日誌には、日付、命じられた仕事、作業時間、待機時間などを記載します。
仕事を求めた場合には、誰に申し出て、どのような回答を受けたのかも残しておきましょう。
証拠4:人事評価資料・給与明細・役職変更の通知
人事評価資料や給与明細は、異動によって受けた不利益を示す証拠になります。
異動前後を比べることで、評価、賃金、役職がどのように変わったかを確認できるためです。
給与明細は、基本給や役職手当がいつから、いくら下がったのか分かるように保管しましょう。
役職変更の通知や組織図も、異動前後の立場を示す資料として役立ちます。
追い出し部屋問題の解決手段と請求できる内容
追い出し部屋の問題は、会社への申入れだけでなく、裁判所の手続などを使って解決を目指すことができます。
例えば、追い出し部屋問題の解決手段としては、以下の4つです。
手段1:会社への申入れ・社内調査
手段2:労働組合による団体交渉
手段3:労働審判・訴訟
手段4:配転の無効確認・元職復帰・差額賃金・慰謝料
それでは、これらの手段を順番に説明していきます。
手段1:会社への申入れ・社内調査
まずは、人事部や社内の相談窓口へ申入れを行う方法があります。
会社が問題を把握していない場合には、社内調査によって配置や仕事内容が見直される可能性があるためです。
申入れでは、異動の理由、現在の仕事内容、退職面談の内容などを具体的に伝えます。
そのうえで、仕事を与えることや、隔離をやめること、元の部署へ戻すことなどを求めましょう。
後から内容を確認できるよう、申入れはメールや書面で行うことが望ましいです。
手段2:労働組合による団体交渉
労働組合に加入し、会社との団体交渉を求める方法もあります。
労働組合の代表者には、組合員のために会社と交渉する権限があり、会社は正当な理由なく団体交渉を拒否できません。
団体交渉では、異動理由の説明、仕事の付与、元の部署への復帰、賃金の回復などを求めることが考えられます。
社内に労働組合がない場合には、個人で加入できる外部の労働組合へ相談する方法もあります。
手段3:労働審判・訴訟
会社との話し合いで解決できない場合には、労働審判や訴訟を検討します。
労働審判は、労働者と会社とのトラブルについて、原則として3回以内の期日で話し合いや判断を行う手続です。
話し合いがまとまらない場合には労働審判が出され、どちらかが異議を申し立てると訴訟へ移ります。
労働審判とは何かについては、以下の記事と動画で詳しく解説しています。
争いが複雑で、多くの証拠を確認する必要がある場合には、初めから訴訟を起こすことも考えられます。
どちらの手続が適しているかは、求める内容や会社の対応を踏まえて判断しましょう。
手段4:配転の無効確認・元職復帰・差額賃金・慰謝料
追い出し部屋の違法性が認められる場合には、配転命令が無効であることの確認を求められる可能性があります。
配転が無効であれば、元の部署や職務へ戻すことを会社に求めることも考えられます。
異動に伴う降格や賃金減額も無効である場合には、本来の賃金との差額を請求できる可能性があります。
また、隔離や退職強要などが違法な行為に当たり、精神的な苦痛を受けた場合には、慰謝料を請求できることもあります。
ただし、すべての請求が認められるわけではないため、異動の経緯や証拠を踏まえて検討する必要があります。
追い出し部屋についてよくある疑問6つ
追い出し部屋についてよくある疑問としては、以下の6つがあります。
Q1:追い出し部屋に開き直って居座ってもよいですか
Q2:違法だと思う異動命令は拒否してもよいですか
Q3:追い出し部屋の問題は労働基準監督署へ相談できますか
Q4:追い出し部屋を理由に退職すると自己都合退職になりますか
Q5:会社に残るより転職した方がよいですか
Q6:追い出し部屋が楽しい場合は開き直るのはありですか
これらの疑問を順番に解消していきましょう。
Q1:追い出し部屋に開き直って居座ってもよいですか
A.追い出し部屋に配属されても、自分から退職する必要はありません。
退職勧奨に応じるか、拒否して働き続けるかは、労働者が決めることだからです。
会社に残る場合には、出勤を続け、指示された仕事に対応しましょう。
仕事がないときは、上司へ業務を求めたうえで、そのやり取りを記録します。
ただ居座るのではなく、働く意思を示しながら、会社の対応を記録することが必要です。
退職勧奨の拒否については、以下の記事と動画で詳しく解説しています。
Q2:違法だと思う異動命令は拒否してもよいですか
A.違法だと感じても、異動命令を自己判断ですぐに拒否することは避けましょう。
異動命令が有効であった場合には、業務命令に従わなかったとして、注意や処分を受けるおそれがあるためです。
配置転換は、業務上の必要性がない場合や、不当な目的がある場合などには無効となる可能性があります。
まずは、異動に納得していないことをメールなどで伝え、弁護士へ相談しましょう。
健康に重大な影響が出ている場合には、医師の診断を受けたうえで、異動に従うべきかを検討する必要があります。
Q3:追い出し部屋の問題は労働基準監督署へ相談できますか
A.追い出し部屋について相談することはできますが、労働基準監督署だけで解決できるとは限りません。
配置転換の有効性やパワハラなどは、労働基準法違反の取締りとは異なる問題を含むためです。
配置転換、賃金の引下げ、いじめ、パワハラについては、都道府県労働局の総合労働相談コーナーが相談を受け付けています。
総合労働相談コーナーは、労働局や労働基準監督署の中に設置されていることがあります。
配転の無効確認や慰謝料請求まで求める場合には、弁護士への相談も検討しましょう。
Q4:追い出し部屋を理由に退職すると自己都合退職になりますか
A.退職届を提出した場合でも、必ず自己都合退職として扱われるわけではありません。
退職勧奨や繰り返される嫌がらせが原因で退職した場合には、雇用保険上、特定受給資格者と判断される可能性があるためです。
離職理由は、会社の記載だけではなく、本人の説明や証拠も確認したうえで、ハローワークが決定します。
離職票の内容が事実と違う場合には、ハローワークへその旨を伝えましょう。
辞令、退職勧奨のメール、面談の録音、業務日誌などを提出できるようにしておくことが必要です。
Q5:会社に残るより転職した方がよいですか
A.会社に残るか転職するかは、追い出し部屋の状況だけで決めるべきではありません。
本人の希望、心身の状態、会社に改善を期待できるか、転職後の条件などによって、適した選択が変わるためです。
例えば、会社へ申入れをすれば元の仕事へ戻れる可能性がある一方、心身の不調が強い場合には、環境を変えることを優先した方がよいこともあります。
退職を決める前に、退職条件、失業給付、転職先の見通しを確認しましょう。
感情的に退職せず、残る場合と転職する場合の利点と不利益を比べることが必要です。
Q6:追い出し部屋が楽しい場合は開き直るのはありですか
A.仕事が少ない状態を負担に感じていないのであれば、直ちに退職する必要はありません。
ただし、仕事が楽であることと、その状態を長く続けることが自分に合っているかは別の問題です。
業務経験を積めなかったり、人事評価や今後のキャリアに影響したりする可能性があります。
会社に残る場合でも、仕事を求めた記録を残し、資格取得や転職準備などを進めることが考えられます。
現在の負担だけではなく、数年後の働き方も考えたうえで判断しましょう。
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まとめ
以上のとおり、今回は、追い出し部屋とは何かを説明したうえで、違法性や特徴6つと配属された場合の簡単な対処法を解説しました。
この記事が追い出し部屋に悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。





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