最近、「ブラック企業」という言葉を聞く機会が増えてきましたよね。
しかし、ブラック企業について、明確な定義や法律があるわけではないため、問題点や対処法がわかりにくいと悩んでいる方も多いはずです。
ブラック企業とは、一般に、労働者を酷使して劣悪な労働環境で働かせる企業との意味で用いられる傾向にあります。
ブラック企業には特徴がありますので、入社する前に気がつくことができて、これを回避することができればベストです。
しかし、面接の段階ではその内情を知ることができず、入社してしまってからブラック企業であったと気付くことも多いのが実情です。
ブラック企業に入社してしまった場合には、その会社を「退職すること」、「通報すること」、「訴えること」などの選択肢があります。
また、ブラック企業を相談することができる窓口についても、複数整備されていますので、相談しやすい環境が整ってきています。
今回は、ブラック企業についての基本的な知識の全体像を分かりやすく概観していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、あなたのブラック企業について疑問も解消するはずです。
ブラック企業の特徴や見分け方については、以下の動画でも詳しく解説しています。
目次
ブラック企業の意味
ブラック企業とは、一般に、労働者を酷使して劣悪な労働環境で働かせる企業との意味で用いられる傾向にあります。
ただし、ブラック企業の定義は、厚生労働省においても、明確にされているわけではありません。
ブラック企業とは何かについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ブラック企業の特徴
ブラック企業の特徴を知ることで、注意しなければいけない会社がどのような会社なのかがわかってきます。
以下のような特徴がみられる会社は、ブラック企業の可能性があるので気を付けるようにしましょう。
・理不尽な精神論を語る
・契約書や規則等の証拠は作らない
・やりがいばかり強調して低賃金
・ワンマン経営で社長の言うことが絶対
・長時間の残業
・ハラスメントの横行
・労働基準法を守らない
・退職させてもらえない
・有給休暇を使えない
・ノルマがきつい
・簡単に採用される
具体的には、入社しようとしている会社がブラック企業かどうかを見分けるには、以下の10個の事項について確認してみるべきです。
・雇用契約書や労働条件通知書の有無
・固定残業代の想定している残業時間
・賃金体系が明確か
・ネットの評判や口コミ
・社員の雰囲気
・年齢層に偏りがないか
・採用人数が多すぎないか
・タイムカードの有無
・就業規則の有無
・深夜に電気がついていないか
ブラック企業の特徴については、以下の記事で詳しく解説しています。
ブラック企業が多い業界ランキング
一般にブラック企業が多いと言われる業界をランキングにしてみると、以下のとおりです。
これらの業界にある企業に入社する場合には、ブラック企業の特徴がないか特に慎重に確認するべきでしょう。
ブラック企業の多い業界については、以下の記事で詳しく解説しています。
ブラック企業リスト
ある企業がブラック企業かどうかを判断する際に参考になるものとして、いわゆる厚生労働省の「ブラック企業リスト」というものがあります。正式名称は「労働基準関係法令違反に係る公表事案」といいます。
以下のように、企業名や違反した法律、事案の概要がリストになっています。
「労働基準関係法令違反に係る公表事案 令和〇年」といったワードで検索すると、上位にヒットすることが多いので試してみてください。
ただし、公表されている事案の中心は、労働安全衛生法違反となっています。ブラック企業リストには掲載されていないものの、「長時間の残業」や「残業代の未払い」、「ハラスメント」が横行している会社も多く存在することに注意が必要です。
(参考:労働基準関係法令違反に係る公表事案(令和2年3月1日~令和3年2月28日分)[掲載日:令和3年3月31日])
ブラック企業リストについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ブラック企業と残業時間
残業時間は、ブラック企業かどうかを判断する上で重要な指標となります。
残業時間ごとの特徴を整理するとの以下のとおりとなります。
これを踏まえて、残業時間別のブラック度をまとめる以下のとおりです。
月25時間以下【ホワイト】
月25時間~月45時間【ブラック度:☆☆☆】
月45時間~月80時間【ブラック度:★☆☆】
月80時間~月100時間【ブラック度:★★☆】
月100時間超【ブラック度:★★★】
ブラック企業の残業時間については、以下の記事で詳しく解説しています。
ブラック企業に入社してしまった場合の対処法
もしも、ブラック企業に入社してしまった場合には、例えば以下の3つの対処法があります。
・ブラック企業を退職する
・ブラック企業を通報する
・ブラック企業を訴える
順番に紹介していきます。
ブラック企業を退職する
働いている会社がブラック企業であった場合には、退職することも選択肢の1つです。
例えば、積極的に退職を検討するべきケースとして、以下の4つがあります。
ケース1:月100時間を超える残業があるケース又は月45時間を超える残業が恒常化しているケース
ケース2:サービス残業が多く、かつ、残業代の支払いを求めても応じてもらえないケース
ケース3:会社がハラスメントを認識しているのに、何ら改善の措置を講じないケース
ケース4:十分な説明や根拠なく給料が引き下げられるケース
ブラック企業をスムーズに退職するためのポイントは、以下の7つです。
ポイント1:退職は2週間以上前に伝えること
ポイント2:退職理由はよく考えること
ポイント3:退職届はコピーしておくこと
ポイント4:離職票の交付を求めること
ポイント5:有給休暇を消化すること
ポイント6:引き継ぎには協力すること
ポイント7:私物を引き取ること
ブラック企業を退職する際には、以下のようなトラブルが生じがちなので注意しましょう。
トラブル1:大勢の前で退職理由を言わされる
トラブル2:会社に退職できないと言われる
トラブル3:会社から書類に署名押印を求められる
ブラック企業を退職する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
ブラック企業を通報する
ブラック企業で働いている方が職場環境に問題があることを通報したい場合には、以下の手順で行うといいでしょう。
手順1:事実関係と証拠を整理しておく
手順2:労働基準監督署に面談に行く
手順3:助言に従った上で調査や指導の報告を待つ
労働基準監督署は、通報があった場合でも、通常、会社に誰が通報したかを伝えることはありません。
しかし、他の原因により、あなたが労働基準監督署に通報したことが、会社に知られてしまうことがあります。
そのため、自分が通報したことが会社にバレたくない場合には、以下の3つの対策をしておきましょう。
対策1:通報したことを他の従業員に言わない
対策2:通報するタイミングに気を付ける
対策3:会社内で通報の準備をしない
ブラック企業を通報する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
ブラック企業を訴える
以下のようなケースでは、ブラック企業を訴えることも選択肢となります。
ケース1:残業代が支払われないケース
ケース2:不当な解雇が行われたケース
ケース3:執拗な退職勧奨をされたケース
ケース4:ハラスメントにより精神的苦痛を受けたケース
ケース5:危険な業務により病気やケガをしたケース
ただし、ブラック企業を訴えると言っても、いきなり訴訟をすることはおすすめしません。
訴訟を行うには、多くの労力や時間がかかるため、まずは任意の話し合いによる解決を模索するべきだからです。
ブラック企業を訴えたい方に、おすすめの手順は以下のとおりです。
手順1:通知書の送付
手順2:交渉
手順3:労働審判
手順4:訴訟
ブラック企業を訴える方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
ブラック企業についての相談先
ブラック企業についての相談先は、以下のフロチャートに従って検討するといいでしょう。
ブラック企業についての相談窓口の特徴をまとめると以下のとおりです。
まとめ
以上のとおり、今回は、ブラック企業についての基本的な知識の全体像を概観していきました。
この記事がブラック企業についてもっと知りたいと感じている方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。