未払残業代・給料請求

サービス残業は違法!ブラック企業への罰則と簡単に撲滅する方法4つ

サービス残業の違法性や罰則、これをなくす方法について、悩みを抱えていませんか。

結論から言うと、サービス残業は違法です。

会社が労働者にサービス残業を行わせた場合には、以下の刑罰が定められています。

6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金

 

しかし、実際には、かなりの数の会社においてサービス残業が横行しており、私のもとにも日々サービス残業についての相談が舞い込んできます。

このようにサービス残業が違法であることに気がつき相談に行くという選択をすることができる方は良いのですが、自分のしているサービス残業が違法であることに「気がついていない」という方も多くいるはずです

少しでも多くの方に、サービス残業が違法であることを知っていただき、サービス残業を撲滅できるようにこの記事を書こうと思います。

サービス残業を撲滅させるための対処法は、以下の4つです。

①サービス残業を拒否する
②これまでの残業代を請求する
③労働基準監督署に告発する
④転職する

この記事では、以下の流れで説明していきます。

この記事を読んでいただければ、サービス残業が違法であることやその対処法が明確になりますよ。

ブラック企業の特徴や見分け方については、以下の動画でも詳しく解説しています。

 

 

 

目次

サービス残業は違法!

サービス残業は、違法です。

なぜなら、労働基準法が、残業をした場合には、残業代を支払わなければならないと規定しているためです。

労働基準法37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
「使用者が、…労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」

例えば、労働者が1日に8時間15分働いたとしましょう。

法定労働時間は1日8時間とされていますので、「15分」については残業代の支給が必要となります。

会社が15分の残業代の支払いを怠った場合には違法となります。

以下では、

・サービス残業を強要される場合
・サービス残業を自主的にする場合

に区別して、もう少し詳しく説明します。

サービス残業の強要は違法!

サービス残業を強要することは、違法です

これは、最も典型的なサービス残業です。

例えば、会社が労働者に対して、終業時刻を過ぎた後に残業を命じた場合で、残業代が支払われない場合です。

社長
社長
この仕事を明日までにやっておくように。

  労働者
  労働者
もう終業時刻ですよ。

社長
社長
でも、明日までに準備する必要があるものだから頼むよ。

  労働者
  労働者
残業代は払ってもらえますか。

社長
社長
30分くらいで終わるでしょ。そんなに細かいこと言わないでよ。

このように、サービス残業を強要することは許されないのです。

自主的なサービス残業も黙示の指示があれば違法!

労働者が自主的にサービス残業をする場合でも、会社からの黙示の指示がある場合には違法となります

なぜなら、明示の指示がなくても、黙示の指示があれば、労働時間に該当するためです。

例えば、労働者が時間内に仕事を終わらせることができず、責任を感じて、会社から言われたわけではないものの、残業をする場合です。会社がそれに気がついていて文句を言わないような場合には、違法なサービス残業となります。

労働者
労働者
この仕事は明日までに終わらせなければいけないのに、間に合わなかったな。タイムカードを切って残業をしていこう。

社長
社長
(あれ、昨日残業をしていたのに、タイムカードでは定時に帰ったことになっているな。まあ、勝手に残業してくれる分には助かるし、残業代を支払う必要はないよな…。)

このように、自主的なサービス残業も黙示の指示があれば違法となるのです。

違法なサービス残業についての罰則

違法なサービス残業については、罰則があります。

具体的には、

・刑罰
・付加金

がありますので、それぞれについて説明します。

刑罰

会社が労働者に対して、法定の残業代を支払わない場合には、以下の罰則が定められています。

6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金

付加金

会社は、一定の金員の未払いがある場合には、労働者の請求により、裁判所から、未払い金に加えて、さらに未払い金と同一額の支払いを命じられることがあります。これを付加金といいます。

会社が労働者に対して、法定の残業代を支払わない場合には、労働者の請求により裁判所は、

未払いの残業代と同額の付加金

の支払いを命じることができるのです。

つまり、労働者は、会社に対して、未払いの残業代と付加金で合計2倍の残業代を請求できることになります

ただし、実際に付加金が命じられるのは、悪質性が高い事案の場合です。必ず付加金の支払いが命じられるわけではありません。

違法なサービス残業に「なる例」と「ならない例」

違法なサービス残業に「なる例」と「ならない例」について、それぞれ説明していきます。

違法なサービス残業に「なる例」

違法なサービス残業となる例は、以下のとおりです。

・タイムカードを切らされたうえで残業をさせられている場合
・端数について残業代が支給されない場合
・一定時間以上の残業代をカットされている場合
・自己研鑽・研修という名目で残業させられている場合
・準備や朝礼のために始業時刻前に出勤させられている場合
・持ち帰り残業をさせられている場合

それでは、順に説明していきます。

タイムカードを切らされたうえで残業をさせられている場合

違法なサービス残業の例として、タイムカードを切らされたうえで残業をさせられている場合が挙げられます。

会社は、労働者に対して、残業の証拠が残らないようにタイムカードを切らせることがあります。

残業代を支給しないことと矛盾しないように、残業がなかったことにするのです。

万が一、タイムカードを切らされたうえで、残業をさせられそうになったら、必ず残業をした証拠を残しておきましょう。
例えば、以下のものを証拠として残しておきましょう。

・残業時間や残業内容のメモ
・終業時刻後に送信した業務メール
・タイムカードを定時できるようにとの指示の録音

端数についての残業代が支給されない場合

違法なサービス残業の例として、端数についての残業代を支給されない場合が挙げられます。

残業代は、1分でも残業をすれば支払わなければなりません

例えば、会社は、5分や10分の残業について、残業時間が短いという理由で残業代を支給しないことがあります。しかし、これは許されません。

そのため、端数について残業代を支給しないことは、違法なサービス残業となるのです。

一定以上の残業代をカットされている場合

違法なサービス残業の例として、一定以上の時間や金額について残業代をカットされている場合が挙げられます。

会社が残業代を支給する時間や金額に上限を設けてしまうと、支給される残業代が法律よりも少なくなってしまうためです。

例えば、会社が30時間以上残業した場合には、それ以上の残業代は支給しないという独自ルールを定めていたとしましょう。

会社がこのようなルールを定めていても、労働者は、30時間を超えて残業をすれば、その分の残業代金額を請求することができます。

そのため、会社が一定以上の時間や金額について残業代をカットする場合には、違法なサービス残業となるのです。

自己研鑽・研修という名目で残業をさせられている場合

違法なサービス残業の例として、自己研鑽や研修という名目で残業をさせられている場合が挙げられます。

会社が、労働者に対して、研修やセミナーへの参加を強制する場合には、これも労働時間に該当します。

また、労働者に仕事を命じる場合には、例えその仕事が労働者自身のためになるものであっても、労働時間に該当します。

そのため、自己研鑽や研修という名目で労働者に残業をさせることは、違法なサービス残業となるのです。

準備や朝礼のために始業時刻前に出勤させられている場合

違法なサービス残業の例として、準備や朝礼のために始業時刻前に出勤させられている場合が挙げられます。

準備や朝礼についても、会社に命じられてこれを行う場合には、労働時間に該当するためです。

持ち帰り残業をさせられている場合

違法なサービス残業の例として、労働者に持ち帰り残業をさせられている場合が挙げられます。

持ち帰り残業は、会社に命じられたものであり、プライベートと区別して行う場合には労働時間に該当します。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

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違法なサービス残業に「ならない例」

違法なサービス残業にならない例は、以下のとおりです。

・管理監督者に該当する場合
・裁量労働制がとられている場合
・高度プロフェッショナル制度がとられている場合
・変形労働時間制がとられている場合
・固定残業代が支払われている場合


順に見ていきましょう。

管理監督者に該当する場合

違法なサービス残業にならない例として、管理監督者に該当する場合が挙げられます。

管理監督者は、時間外残業代や休日残業代を請求することができないとされているためです。

管理監督者に該当するのは以下の3つの条件を満たす方と言われています。管理職であれば誰でもあたるわけではなく、むしろ実際にはこれに当たらない方が多くいます。

・経営者との一体性
・労働時間についての裁量
・対価の正当性

ただし、会社は、管理監督者に対しても、深夜残業代は支払わなければなりません。

そのため、深夜残業をしたのに、残業代が支払われていない場合には、違法なサービス残業当たります。

詳細は以下の記事をご覧ください。

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裁量労働制がとられている場合

違法なサービス残業にならない例として、裁量労働制がとられている場合が挙げられます。

裁量労働制がとられている場合には、実際の労働時間数に関係なく、一定の時間労働したものとみなされるためです。

例えば、1日12時間働いたような場合でも、労働した時間は8時間とみなされることになります。

そのため、裁量労働制がとられている場合には、違法なサービス残業にならない可能性があるのです。

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高度プロフェッショナル制度がとられている場合

違法なサービス残業にならない例として、高度プロフェッショナル制度がとられている場合が挙げられます。

高度プロフェッショナル制度が適用される労働者については、残業代に関する規定が適用されないことになるためです。

ただし、例えば以下のような条件を満たす必要があるとされており、条件が厳格なため、これを導入している会社はほとんどありません。

・対象の労働者の年収が1075万円以上であること
・労使委員会の決議
・行政官庁への届出
・対象労働者の書面による同意

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変形労働時間制

違法なサービス残業にならない例として、変形労働時間制がとられている場合が挙げられます。

変形労働時間制では、あらかじめ定めておくことにより、平均して週の法定労働時間を超えなければ、残業代は発生しないこととなるためです。

例えば、以下のように、8時間を超えて労働する日があっても、残業とはならないことになります。

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固定残業代が支払われている場合

違法なサービス残業にならない例として、固定残業代が支払われている場合が挙げられます。

発生した残業代金額が固定残業代を下回る場合には、残業代については既に支払われたことになるためです。

例えば、毎月基本給20万円の他に、5万円の固定残業代が支払われていたとしましょう。

この場合には、労働者が行った残業により発生する残業代金額が5万円以下の場合には、別に残業代が支給されなくても、違法なサービス残業とはなりません。

ただし、固定残業代は、以下のような条件を満たさなければなりません。そのため、実際には、条件を満たしておらず、残業代の支払いとは認められないことがあります。

・残業の対価として支払われていること
・固定残業代以外の部分と明確に区別できること

気になる方は弁護士に相談してみましょう。

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職業ごとのサービス残業の違法性

職業によっては、残業代について法律で別の規律がされている場合もあります。

以下では、

・国家公務員
・地方公務員
・私立学校の教員
・保育士
・パートやアルバイト
・営業職
・農業、畜産業、漁業、水産養殖業、養蚕業等
・秘書業務

の残業代について順に解説します。

国家公務員への残業代不支給は一般職だと違法・特別職だと規律次第

国家公務員に対する残業代不支給は、一般職の場合には、違法です。

一般職の職員の給与に関する法律により、残業については、超過勤務手当や休日給、夜勤手当を支給するとされているためです。

これに対して、特別職の場合には、違法かどうかは規律次第です。

職種別の法律に従うことになるためです。

地方公務員への残業代不支給は原則違法

地方公務員に対する残業代不支給は、原則として違法です。

特別職には原則どおり労働基準法が全面的に適用されますし、一般職にも労働基準法の残業代に関する規定は適用されるためです。

ただし、一部の職員については例外が定められている場合があります。

例えば、公立学校の教職員は、給特法により残業代は支給しないとされています

私立学校の教員への残業代不支給は違法

私立学校の教員への残業代不支給は、違法です。

私立学校の教員には、公立の教員とは異なり、給特法の規定の適用はありませんので、通常どおり労働基準法が適用されます。

例えば、私立学校でも、公立学校のように、残業をさせているのに当然のように残業代を支給しない学校があります。

しかし、私立学校では、教員に対して、残業代を支給しないことは違法なのです。

保育士への残業代不支給は違法

保育士への残業代不支給は、違法です。

保育士は、日中は子どもから目を離すことができません。そのため、書類作成や準備については、終業時刻後に持ち帰り行われていることが多いという実情があります。

しかし、保育士についても通常どおり、労働基準法が適用されます。

そのため、保育士であっても、当然サービス残業は違法となるのです。

パートやアルバイトへの残業代不支給は違法

パートやアルバイトへの残業代不支給は、違法です。

パートやアルバイトにも労働基準法は適用されるため、正社員と同様に残業代を支払わなければなりません。

営業職への残業代不支給は違法

営業職への残業代不支給は、違法です。

営業職に対しても、当然、労働基準法は適用されます。

ただし、事業場外のみなし労働時間制が採用されている場合には、そもそも残業が発生していないとされる場合があります。

この場合には、違法とならない可能性があります。

詳細については以下の記事をご確認ください。

5分で分かる事業場外労働のみなし時間制事業場外労働のみなし時間制とは、労働者が事業場外で業務に従事した場合について、その労働時間を算定し難いときは、一定の労働時間業務に従事したものとみなす制度です。今回は、事業場外労働のみなし時間制について解説します。...

農業、畜産業、漁業、水産養殖業、養蚕業等の残業代不支給は原則適法

農業、畜産業、漁業、水産養殖業、養蚕業等の場合には、法定時間外労働、法定休日労働に対して、残業代を支払わないことも、原則として適法です。

なぜなら、天候や季節等の自然条件に強く影響されやすいことから、法定労働時間や法定休日に関する規定が適用されないためです。

ただし、以下の場合に残業代が支払われていないときには、これらの方も違法なサービス残業となる可能性があります。

⑴ 深夜残業をした場合
⑵ 同一の事業場で他に主たる業務を行っている場合
⑶ 雇用契約書や就業規則で決めた時間を超えて労働した場合

秘書業務に従事する方への残業代不支給が違法かは事案次第

秘書業務に従事する方への残業代不支給が違法かは、事案次第です。

機密事務取扱者は、時間外残業や休日残業を請求することができないとされていて、これに該当する例として「秘書」が挙げられているためです。

しかし、単に秘書であれば誰でも残業代を請求できなくなるわけではありません。

社長秘書や役員秘書など管理監督者と一体となっている方は、残業代不支給が適法となる可能性が高いです。なお、この場合も、深夜残業についての残業代不支給は違法です。

医療秘書・弁護士秘書・学者秘書、秘書長室等の指示で働く方は、残業代不支給が違法となる可能性が高いです。

違法なサービス残業を撲滅する方法4つ

違法なサービス残業をなくす方法には、以下の4つがあります。

①サービス残業を断る
②これまでの残業代を請求する
③労働基準監督署に告発する
④転職する

①から④の順で対処してみることがおすすめです。

それでは説明していきます。

サービス残業を断る

違法なサービス残業をなくすための方法として、最初に行うべきなのは、サービス残業を断ることです。

サービス残業は、先ほどまでに見てきたように労働基準法に反する違法なものです。

労働者がサービス残業をなくしたいと考えている場合には、会社に対して、

「サービス残業はしたくないです」

とはっきり言いましょう。

会社としても、このように明確な意思表示をされたら、サービス残業を強要しづらくなるはずです。

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これまでの残業代を請求する

サービス残業をなくすための方法として、次に行うべきなのは、これまでの残業代を請求することです。

会社は、残業に対して、通常よりも高い賃金を支払わなければならないことに気がつけば、新しく従業員を雇うなど人件費を節約しようとするためです。

過去の残業代を請求することは、将来の残業を減らすうえでは効果的な手段なのです。

会社に対して、

「これまでの残業代を支払ってください」

と言いましょう。

これまでの残業代を請求する方法については、後ほど詳しく説明します。

労働基準監督署に告発する

上記でも解決しない場合に、サービス残業をなくすための方法として行うべきなのは、労働基準監督署に告発することです。

労働基準監督署は、会社に労働基準法違反の事実がある場合には、調査や指導を行ってくれることがあります。

例えば、労働基準監督署に行き、

「残業をしても会社から残業代を支払ってもらえません」

と伝えましょう。

サービス残業は労基署に告発を!今やるべき準備3つと気になるリスクサービス残業を告発する場合には、労基署に行き、実名を伝えて、面談をしてもらうべきです。労基署は会社に実名を通知しません。但し、告発は準備をしてから行くべきです。今回は、サービス残業を告発する方法とその準備、リスクを解説します。...

転職する

いずれの手段でも解決しない場合には、サービス残業なくすための方法として、他の会社に転職することを検討すべきです。

サービス残業が常態化していて改善が難しい場合には、そのような会社で働き続けることが労働者にとっていいとはいえません。

そのような環境自体を変えて、サービス残業がない会社で働くことが根本的な解決になります。

違法なサービス残業については残業代請求が可能!

違法なサービス残業については、後からでも、残業代を請求することができます

会社が残業代を支払わないからといって諦める必要はありません。

残業代の支払いは法的な義務であり、会社は、残業代を請求されたら支払わざるを得ないからです。

以下では、

・残業代金額の例
・残業代の請求方法
・残業代の時効

について説明します。

残業代金額の例

残業代金額については、基礎となる賃金額や会社と合意した労働時間、割増率、残業した時間により決まります。

基礎となる賃金と残業時間により、おおよその残業代金額を早見表にしました。

自分の残業代金額を確認してみてください。

残業代の請求方法

残業代請求をする場合の流れは、以下のとおりです。

STEP1:通知書の送付
STEP2:残業代の計算
STEP3:交渉
STEP4:労働審判・訴訟

順に説明していきます。

残業代請求の方法・手順については、以下の動画でも詳しく解説しています。

通知書の送付

残業代を請求するためには、まず会社に対して、通知書を送付します。

通知書には、残業代を請求する旨を記載する必要があります。残業代の時効を一時的に止めるためです。

また、通知書には、残業代を計算するための証拠についても開示するように記載しておくといいでしょう。

具体的には、以下のような通知書を送付することが多いです。

御通知(残業代請求:時効3年)※御通知のダウンロードはこちら
※こちらのリンクをクリックしていただくと、御通知のテンプレが表示されます。
表示されたDocumentの「ファイル」→「コピーを作成」を選択していただくと編集できるようになりますので、ぜひご活用下さい。

残業代を計算する

残業代を計算するための資料の開示を受けたら、これを踏まえて残業代を計算することになります。

残業代の計算式は、

基礎賃金÷所定労働時間×割増率×残業時間

です。

詳しく知りたい方は、以下の記事をご確認ください。

会社の計算は正確?5ステップで簡単にできる残業代の正しい計算方法残業代の計算方法は、労働基準法で決められていますので、会社がこれよりも不利益な計算ルールを定めても無効です。今回は、残業代を計算する方法を5つのステップで誰でも分かるように簡単に説明します。...

交渉する

残業代を計算したら、その計算結果を踏まえて、会社との間で交渉を行います。

残業代を請求すると会社からも反論がされることになります。争点が明らかになったら、その点について議論をして、折り合いがつくかを検討することになります。

労働審判・訴訟

交渉で解決しない場合には、労働審判や訴訟などの裁判所をとおした手続きを検討することになります。

労働審判は、3回までの期日で、調停を目指す手続きで迅速な解決が期待できます。調停が成立しない場合には、裁判所が一時的な判断を下すことになります。

労働審判とはどのような制度かについては、以下の動画でも詳しく解説しています。

訴訟は、期日回数の制限はなく、1か月に1回程度の頻度で期日が入り、交互に主張を繰り返していくことになります。解決までに1年程度を要する場合もあります。

残業代の時効

残業代の時効は、

2年

です。

支払い日から2年を経過すると順次消滅していくことになります。

ただし、労働基準法が改正されたため、2020年4月1日以降が支払日の残業代についての時効は3年となります。

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サービス残業に悩んでいる方は弁護士の初回無料相談を利用するべき

サービス残業に悩んでいる方は、弁護士の初回無料相談を利用することを強くおすすめします。

理由は以下の4つです。

・会社に残業代を請求できるかを助言してもらえる!
・残業代を計算するポイントを教えてもらえる!
・残業代を請求する手順を具体的に教えてもらえる!
・初回無料相談であれば費用はかからない!

会社に残業代を請求できるかを助言してもらえる!

弁護士に相談すれば、会社に残業代を請求することができるかについて見通しを教えてもらうことができます

会社が残業代を支払わないことが違法なサービス残業とならない場合に該当するのか、悩んでいる方もいるでしょう。

弁護士に相談すれば、会社が残業代を支払わないことが違法となるケースなのかどうかについて助言してもらうことができます。

そのため、まずは弁護士に残業代を請求できるかについての見通しを確認するのがおすすめです。

残業代を計算するポイントを教えてもらえる!

弁護士に相談すれば、残業代を計算するポイントを教えてもらうことができます

自分自身で残業代を計算しようとすると、基礎となる賃金や割増率、残業時間等の計算を誤り、正当な残業代金額よりも少ない金額になってしまうこともあるでしょう。

弁護士に相談すれば、労働事件に注力している弁護士であれば、日々残業代の計算をしていますので、残業代を計算する際に見落としがちなポイントを助言してもらうことができます

実際、相談者の方々が、自分自身で残業代を計算したものを見ると、もっと労働者に有利に残業代を計算することができるケースがほとんどです。

そのため、自分自身で請求する前に、残業代の計算のポイントを弁護士に確認することがおすすめです。

残業代を請求する手順を具体的に教えてもらえる!

弁護士に相談すれば、残業代を請求する手順を教えてもらうことができます

自分自身で残業代を請求しようとすると、どのよう流れで請求していくのか、具体的にどのように行動すればいいのか悩むことが多いでしょう。

弁護士に相談すれば、事案に応じて、通知書の書き方や会社との交渉の方法、会社からの反論に対してどのように対応するかなどについて、助言してもらうことができます。

実際、どのような方法により残業代を請求していくかにより、回収できる金額も大きく変わってきます

正しい残業代の請求方法を知らないと、会社から少ない残業代金額の支払いしか提案されない場合も、その金額で合意せざるを得ず悔しい思いをすることもあるでしょう。

そのため、残業代を請求する際には、どのような方法で請求していくのかについても、弁護士に教えてもらっておくべきなのです。

初回無料相談であれば費用はかからない!

弁護士の初回無料相談を利用すれば、費用をかけずに、リスクや見通しを聞くことができます

弁護士に依頼するかどうか悩んでいる方も、まずは相談をしてみて、どうするかを決めればいいのです。

具体的なリスクや見通しを知らずに、弁護士に依頼するかどうかを決めることはできないからです。

初回無料相談を利用することについて特にデメリットはありません

そのため、サービス残業に悩んでいる方は、弁護士の初回無料相談を利用することがおすすめなのです。

まとめ

以上のとおり、今回は、サービス残業の違法性と罰則やこれを撲滅する方法について解説しました。

この記事の要点を簡単にまとめます。

繰り返し説明したとおり、サービス残業は違法です。

ただし、例えば、以下の場合や職業について、違法サービス残業とはいえない可能性がある。

・管理監督者に該当する場合
・裁量労働制がとられている場合
・高度プロフェッショナル制度がとられている場合
・変形労働時間制がとられている場合
・固定残業代が支払われている場合
・公立学校の教職員など一部の公務員の場合
・農業、畜産業、漁業、水産養殖業、養蚕業等に従事する場合
・社長秘書や役員秘書など管理監督者と一体となっている業務に従事する場合

サービス残業の罰則としては、以下の2つがあります。

・刑罰:6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金
・付加金:裁判所が会社に未払いの残業代と同額の付加金を命じるもの

違法なサービス残業をなくす方法には以下の4つがあり、①~④の順で対処することがおすすめです。

①サービス残業を断る
②これまでの残業代を請求する
③労働基準監督署に告発する
④転職する

この記事を読んでくださった方にサービス残業が違法であることに気がついていただき、少しでもサービス残業を減らすことができれば幸いです。

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残業代には時効がありますので、早めに行動することが大切です。

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