医師として働いているものの長時間の残業がつらいと悩んでいませんか。
医師の残業時間は、株式会社日本能率協会総合研究所が厚生労働省からの受託により行った「平成27年度厚生労働省委託事業 病院アンケート調査結果」によると、
とされています。
また、働き方改革により、一般の労働者の方の残業時間には上限が設けられましたが、現在、医師には、
されています。
これに対して、2024年4月1日からは、医師に対しても残業規制が適用されることになりますが、
の残業を命じることができる場合があるなど、負担の大きさが問題になっています。
また、医師に対しては十分な残業代が支払われておらず、サービス残業が多いという問題点もあります。
医師であっても、
ことが原則です。
今回は、医師の残業規制や残業代のルールについて詳しく解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明します。
この記事を読めば、医師の残業についての悩みがきっと解消するはずです。
残業時間の平均や生活、健康への影響については、以下の動画で詳しく解説しています。
目次
医師の残業時間の実態
医師の残業時間については長時間化する傾向にあります。
この記事を読んでくださっている方も「自分の残業時間が長いのではないか」との悩みを抱えている人が多いのではないかと思います。
そこで、以下では、
・医師の残業時間の平均
・医師の残業が多い理由
について説明していきます。
医師の残業時間の平均
医師の残業時間は、株式会社日本能率協会総合研究所が厚生労働省からの受託により行った「平成27年度厚生労働省委託事業 病院アンケート調査結果」によると、
とされています。
残業時間ごとの割合は以下のとおりとなっています。
(出典:平成27年度厚生労働省委託事業 病院アンケート調査結果を加工して作成)
医師の方の中で月50時間を超えて時間外労働している方は、
にのぼります。
医師の残業時間が多い理由
それでは、なぜ医師の残業時間が長時間化するのかを見てみましょう。
具体的には、
・医師という職業上の性質
・実際に残業が生じやすい業務
について説明していきます。
医師という職業上の性質
医師という職業については、以下の4つの特殊性があると言われています。
・公共性
・不確実性
・高度の専門性
・技術革新性と水準向上性
公共性とは、医師の業務が国民の生命を守るものであり、国民の求める日常的なアクセスや質、継続性、利便性等を確保する必要があることです。このため、法律においても応召義務が設定されています。
不確実性とは、疾病の発生や症状の変化が予見不可能であることです。
高度の専門性とは、医師の業務は業務独占とされており、医師の養成には10年以上の長期を要し、需給調整に時間がかかることです。
技術革新性と水準向上性とは、常に新しい診断・治療法の追及とその活用・普及の両方が
必要であることです。
これらの医師の職業上の特殊性から、残業が生じやすい傾向にあります。
実際に残業が生じやすい業務
実際に残業が生じやすい医師の業務としては、例えば以下の6つがあります。
①緊急対応
②手術や外来対応等の延長
③記録・報告書作成や書類整理
④会議・勉強会・研修解答への参加
⑤勤務開始前の準備
⑥他職種・他機関との連絡調整
「平成27年度厚生労働省委託事業病院アンケート調査結果」によると、医師の時間外労働の主な理由については、以下のような回答となっています。
(出典:平成27年度厚生労働省委託事業 病院アンケート調査結果)
緊急性の高い仕事や診療以外の仕事により、残業が発生していることが分かります。
医師の残業規制は通常の労働者とは異なる
このように長時間化する医師の残業時間について法的な規制はないのかについて紹介していきます。
勤務医師にも通常の労働者と同じように労働基準法が適用されます。
しかし、医師の場合は、残業の上限規制について、通常の労働者とは異なる考え方がされています。
以下では、
・一般的な残業時間の上限規制
・医師への上限規制の適用猶予
・2024年4月1日以降の医師の上限規制
の順で解説していきます。
一般的な残業時間の上限規制
会社が労働者に対して、
です。
法律上、1日の労働時間、1週間の労働時間は以下のように決められているためです。
1週間40時間
しかし、会社は、例外的に
残業を命じても違法になりません。
会社が36協定を締結している場合でも、
とされています。
36協定で命じることができる残業には、以下のような限度時間があるためです。
労働基準法36条(時間外及び休日の労働)
③「前項第四号の労働時間を延長して労働させることができる時間は、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において、限度時間を超えない時間に限る。」
一般的な労働者の残業規制については以下の記事で詳しく解説しています。
医師への上限規制の適用猶予
医師への残業時間の上限規制については、
されています。
つまり、2024年3月31日までについては、医師の残業時間に法律上の上限はないことになります。
労働基準法141条
④「前三項の規定にかかわらず、医業に従事する医師については、令和六年三月三十一日(同日及びその翌日を含む期間を定めている第三十六条第一項の協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算して一年を経過する日)までの間、同条第二項第四号中『一箇月及び』とあるのは、『一日を超え三箇月以内の範囲で前項の協定をする使用者及び労働組合若しくは労働者の過半数を代表する者が定める期間並びに』とし、同条第三項から第五項まで及び第六項(第二号及び第三号に係る部分に限る。)の規定は適用しない。」
2024年4月1日以降の医師の上限規制
2024年4月1日以降の医師の上限規制については、検討会による結論によると、原則は、一般的な残業時間の規制と同様、
とされます。
しかし、例外的に、臨時的な必要がある場合に限度時間を超えて延長することができる時間が一般の労働者と大きく異なります。
以下では、
・診療従事勤務医の適用される水準(A水準)
・地域医療確保暫定特例水準(B水準)
・集中的技能向上水準(C水準)
に分けて説明します。
(出典:医師の働き方改革に関する検討会 報告書の概要)
診療従事勤務医の適用される水準(A水準)
A水準が適用されるのは、医療機関で患者に対する診療に従事する勤務医(診療従事勤務医)です。
A水準では、臨時的な必要がある場合に、例外的に限度時間を超えて残業をさせることができる時間は、
とされています。
一般的な上限規制の場合と比較して以下の4つのポイントがあります。
【ポイント1:月45時間を超える月の回数制限がない】
一般的な上限規制では、年6か月までしか月45時間を超えて労働させることができないとされていました。
これに対して、A水準ではこの回数制限がありません。
臨時的な必要性が生じる時季や頻度が予見不能であることがその理由とされています。
【ポイント2:複数月平均を80時間未満とする規制がない】
一般的な上限規制は、月45時間を超えて労働させる場合には、月100時間未満であることに加えて、2~6か月平均で月80時間未満であることが必要とされていました。
これに対して、A水準ではこの複数月平均を80時間未満とする規制がありません。
医師の診療業務の公共性・不確実性を踏まえれば、ある月の医療ニーズが多く時間外労働が長かった場合に、翌月必ず短くして平均値が一定となるように調節することは、困難であるためです。
【ポイント3:医師の面接指導により月100時間超えが許される】
一般的な上限規制では、臨時的な必要がある場合でも、月100時間超えが許される例外は定められていません。
これに対して、A水準では、医師の面接指導を実施した場合には、月100時間を超える残業が許されることがあります。
【ポイント4:年間の上限時間が960時間とされている】
一般的な上限規制は、年間360時間を超えて労働させる場合には、年間720時間以内とされています。
これに対して、A水準では、年間360時間を超えて労働させる場合には、年間960時間以内とされています。
過労死ラインの「月平均80時間以下」を考慮し、12か月分として960時間としたものです。
なお、一般的な上限規制では時間外労働のみで720時間以内とされているのに対して、A水準では時間外労働と休日労働を含めて960時間以内とされています。
地域医療確保暫定特例水準(B水準)
B水準は、以下の3つの条件を満たすものとして特定された対象医療機関に勤務する医師に適用されます。
①地域医療の観点から必須とされる機能を果たすために、やむなく長時間労働となる医療機関であること
②当該医療機関にB水準を適用することが地域の医療提供体制の構築方針と整合的であること
③医師の労働時間短縮に向けた対応がとられていること
B水準では、臨時的な必要がある場合に、例外的に限度時間を超えて残業をさせることができる時間は、
とされています。
一般的な上限規制の場合と比較して以下の4つのポイントがあります。
【ポイント1:月45時間を超える月の回数制限がない】
B水準では、A水準の場合と同様、月45時間を超える月の回数制限がありません。
【ポイント2:複数月平均を80時間未満とする規制がない】
B水準では、A水準の場合と同様、複数月平均を80時間未満とする規制がありません。
【ポイント3:医師の面接指導により月100時間超えが許される】
B水準では、A水準同様、医師の面接指導を実施した場合には、月100時間を超える残業が許されることがあります。
【ポイント4:年間の上限時間が1860時間とされている】
B水準では、年間の上限時間が1860時間とされています。
現状において3000時間近い時間外労働をしている医師もいる中で、その労働時間を週に20時間分、基礎的な項目から特定行為研修終了看護師の活用や診療行為偏在の是正により削減することにより達成するものとされています。
なお、1860時間には時間外労働と休日労働が含まれています。
これについては、過重労働を懸念する声が上がっており賛同できないとの意見もだされています。
集中的技能向上水準(C水準)
C水準は、一定期間集中的に技能向上のための診療を必要とする医師向けの水準とされており、以下の2類型に分けられます。
【C-1】
初期研修医及び原則として日本専門医機構の定める専門研修プログラム/カリキュラムに参加する後期研修医であって、予め作成された研修計画に沿って、一定期間集中的に数多くの診療を行い、様々な症例を経験することが医師としての基礎的な技能や能力の習得に必要不可欠である場合
【C-2】
医籍登録後の臨床に従事した期間が6年目以降の者であって、先進的な手術方法など高度な技能を有する意思を育成することが公益上必要とされる分野において、指定された医療機関で、一定期間集中的に当該高度特定技能の育成に関する診療業務を行う場合
C水準では、臨時的な必要がある場合に、例外的に限度時間を超えて残業をさせることができる時間は、B水準と同様とされています。
医師の残業を減らす方法3つ
医師の残業を減らす方法としては、例えば以下の3つがあります。
・体調不良がある場合には申し出る
・病院に業務改善をお願いする
・残業の少ない病院に転職する
順に見てみましょう。
体調不良がある場合には申し出る
残業を減らす方法の1つ目は、
ことです。
医師に対しては残業時間の上限規制の適用が猶予されていることは先ほど説明したとおりです。
しかし、医師であっても、過労死ラインについては、通常の労働者と同様に適用されることになります。
そのため、月45時間を超えて時間外労働を長くなるほど脳・心臓疾患が発症する可能性が徐々に高まることになります。
更に、1か月で100時間又は2か月ないし6か月にわたって1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働を行った場合には脳・心臓疾患が発症する可能性が高いものとされています。
使用者は、労働者の健康や安全に配慮する義務がありますので、長時間労働で体調を崩していることを伝えれば対応を検討してもらえるはずです。
特に、2024年4月1日以降は、病院は、月100時間を超える労働を命じる場合には、医師の面談を実施しなければなりませんので、素直に自分の体調を伝えるようにしましょう。
病院に業務改善をお願いする
残業を減らす方法の2つ目は、
ことです。
例えば、以下のような事項については残業時間を削減する効果が見込めますので、病院に提案してみるのがいいでしょう。
・病状を説明する時間を明確に決めて周知する
・チーム制を導入する
・引継ぎのルールを明確化する
まず、病状の説明については、時間外であっても患者からの要望があるとこれを拒みにくい雰囲気があります。そのため、緊急性がある場合以外は病状説明をする時間を「日中〇時~〇時」などと決めておき、患者にそれを周知することが考えられます。
次に、主治医制を撤廃して、チーム制を導入することにより、業務時間外に呼び出しがされるケースを減らすことができます。
また、引継ぎのルールを明確化することも効果的です。終業時刻直前に患者の容態に変化があった場合など、どこまで対応するべきで、何を引き継いでいいのかを決めておかないと、真面目の医師ほど業務が長引き帰れなくなってしまうためです。
残業の少ない病院に転職する
残業を減らす方法の3つ目は、
ことです。
慢性的な人員不足に陥っている病院や業務改善を検討する姿勢がない病院などでは、医師個人の力では残業を減らすことが難しい場合があります。
残業時間は病院によって異なりますので、残業の少ない病院に転職することも検討してみましょう。
医師の転職については、MRT株式会社の以下の記事が参考になります。
医師も病院に対して残業代を請求できる
医師は病院に対して残業代を請求することができないと誤解していませんか?
医師であっても、
ことが原則です。
しかし、多くの病院では、医師のサービス残業が多く行われています。
「平成27年度厚生労働省委託事業 病院アンケート調査結果」によると、「時間外労働の申告状況」について、
にのぼります。
また、申告をした場合であっても、「時間外労働時間に対し、時間外労働手当は支払われているか」との質問に対して、
にとどまっています。
そのため、医師であっても、病院に対して残業代を請求できるのが原則ですが、医師自身が申告をしていなかったり、病院側が支払いをしていなかったりすることによって、サービス残業が非常に多くなっているのです。
病院が医師に対して残業代の支払いをしない言い分3つ
病院が残業代の支払いをしない主な言い分には、例えば以下の3つがあります。
言い分1:年俸制であり残業代は年俸に含まれている
言い分2:残業代を支給する上限時間または上限金額を決めている
言い分3:管理職に当たる
それでは順に説明していきます。
言い分1:年俸制であり残業代は年俸に含まれている
病院が残業代の支払いをしない主な言い分の1つ目は、
というものです。
しかし、年俸制がとられていること、年俸が高額であることだけでは、その中に残業代が含まれているということはできません。
また、事前に残業代が年俸に含まれているという合意をしていたとしても、年俸のどの部分が残業代金額に該当するのかを雇用契約書や就業規則などで明確にしておくことが必要です。
実際、判例は、労働者に高額の年俸が支給されていた事案でも、残業代に当たる部分が判別できないとして、残業代が支払われていたとはいえないとしています(最判平29.7.7判タイ1679号163頁[医療法人康心会事件])。
そのため、年俸制であることは、残業代の支払いをしなくていい理由にはならないのです。
以下の記事で、年俸制がとられている場合の残業代について詳しく説明しています。
言い分2:残業代を支給する上限時間または上限金額を決めている
病院が残業代の支払いをしない主な言い分の2つ目は、
というものです。
しかし、病院は、勝手に残業代を支給する上限時間又は上限金額を決めることはできません。
残業代の支給については、労働基準法や双方の合意による雇用契約で決められているためです。
なお、一定時間以上の残業を禁止している場合には、それを超える時間については、病院の指揮監督が及ばないものとして残業時間に当たらない可能性はあります。
ただし、その場合でも、病院が上限を超えて残業が行われていることを知りつつ、異議を唱えずこれを放置していたような場合には、黙示の指揮命令が認められるものとして、残業代の支給が必要となるでしょう。
言い分3:管理職に当たる
病院が残業代の支払いをしない主な言い分の3つ目は、
というものです。
管理職と言われる方の中には、法律上の「管理監督者」の方と、これにあたらない「名ばかり管理職」の方がいます。
「管理監督者」の方は、時間外残業や休日残業をしても残業代を請求できません。
「管理監督者」に該当するのは、以下の条件を満たす方で、特に限定的に考えられています。
・経営者との一体性
・労働時間の裁量
・対価の正当性
病院から管理職と扱われている多くの方は、実際には「名ばかり管理職」であるというのが実情です。
管理職の残業代については詳しくは以下の記事で説明していますので読んでみてください。
医師の残業代を計算する方法
それでは、医師の残業代を確認してみましょう。
残業代については、以下の方法で計算します。
基礎賃金は、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金以外の賃金の合計額です。
所定労働時間というのは、病院において決められた労働時間です。
割増率は、法定時間外労働では1.25倍です。
残業時間は、法定労働時間外や法定休日、深夜に働いた時間です。
残業代の計算方法について、詳しくは以下の記事で説明しています。
例えば、月給80万円の医師の方が月50時間の残業をしたと仮定しましょう。その場合、月平均所定労働時間を160時間とすると、1か月分の残業代金額は以下のとおりとなります。
=31万2500円
残業代の消滅時効の期間は2年ですから(2020年4月1日以降が給料日のものは3年)、2年分の残業代を基準にすると以下のとおりとなります。
=750万0000円
以下のリンクからあなたの未払い残業代を簡単に確認することができますので使ってみてください。
医師の宿直に残業代はでる?
医師の宿直については、原則として、
のみが支払われます。
しかし、以下の場合には、その時間については、宿直手当のみならず、残業代の支払いもされることになります。
・勤務時間終了後も通常の勤務形態が継続している場合
・突発的な事故等により昼間と同態様の労働に従事する場合
医師の宿直と残業代については以下の記事で詳しく解説していますので読んでみてください。
医師の残業代請求は弁護士に依頼すべき
医師が残業代請求をする場合には、弁護士に依頼することを強くおすすめします。
その理由は、以下の3つです。
①煩雑な手続きを丸投げできる!
②正当な残業代を回収できる可能性が高まる!
③病院と直接やりとりをせずに済む!
煩雑な手続きを丸投げできる!
弁護士に依頼すれば、
することができます。
残業代を請求する場合には、以下の作業が必要になります。
・証拠の収集
・残業代の計算
・交渉や裁判手続
例えば、残業代請求については、2年分を請求しようとすると700日以上の残業時間を計算したうえで、その他の労働条件についても正確に把握する必要があり、慣れていないと大きな負担となります。
交渉や裁判も専門性の高い手続きであり、自分自身で行う場合の負担は大きなものです。
そのため、残業代を請求する場合には、弁護士に依頼して、これらの手続き丸投げしてしまうことがおすすめなのです。
正当な残業代を回収できる可能性が高まる!
弁護士に依頼すれば、
というメリットがあります。
病院に対して、残業代を請求すると多くの場合、病院からはそれに対して反論をされます。
例えば、みなし残業代を支払っていたと反論される場合もありますし、残業は禁止していたのに医師が勝手にしていたものであると反論されることもあります。
このような場合に、正当な残業代を取り戻すためには、法律や裁判例に基づいて、説得的に主張を行う必要があります。
また、場合によっては、裁判手続きなどの法的な手続きを進める必要が出る場合もあります。
そのため、より正当な残業代を回収できる可能性を高めるためには、法律の専門家である弁護士に依頼することがおすすめです。
病院と直接やりとりをせずに済む!
弁護士に依頼すれば、あなたは
残業代の請求をすることができます。
病院との間で、残業を払ってほしいと直接やりとりをすることに心理的な抵抗やストレスを感じてしまう方もいますよね。
弁護士に依頼すれば、このようなやり取りは全て弁護士が行いますので、あなたは病院と直接残業代についてやり取りをする必要はありません。
労働審判などの手続きを取れば、場合によっては、数時間程度、病院の方と同席する必要が生じる可能性もありますが、その場合でも、裁判官や弁護士が同席しています。
そのため、病院とのやり取りに抵抗やストレスを感じる場合には、弁護士に依頼してしまうことがおすすめです。
まとめ
以上のとおり、今回は、医師の残業規制や残業代のルールについて詳しく解説しました。
この記事の要点を簡単にまとめると以下のとおりです。
・医師の残業時間は、1か月あたり平均34.1時間とされています。
・医師への残業時間の上限規制は、2024年3月31日まで適用猶予されています。
・医師への残業時間の残業規制は、2024年4月1日以降については、原則、一般的な残業時間の規制と同様、月45時間、年360時間とされます。ただし、臨時的な必要がある場合に延長できる時間については、診療従事勤務医の適用される水準(A水準)は月100時間未満・年960時間、地域医療確保暫定特例水準(B水準)・集中的技能向上水準(C水準)は月100時間未満・年1860時間とされています。
・医師であっても、原則として、病院に対して残業代を請求することができます。
この記事が残業に悩んでいる医師の方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。