未払残業代・給料請求

残業代未払いには罰則がある!申告方法と労働者が請求できる倍の制裁


残業代の未払いに悩んでいませんか。

労働者に対して、残業代を支払わない場合には、会社側には

6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金

が科されることになります。

残業代の未払いについて、会社側に罰則を科してもらうためには、

労働基準監督署へ申告

をするべきです。

また、労働者は、この罰則とは別に、以下の民事上の請求をすることができます。

・未払い残業代の請求
・遅延損害金の請求
・付加金の請求

残業代の未払いについて、民事上の請求をするには、

弁護士に依頼することがおすすめ

です。

特に、付加金は、残業代を支払わない会社に対して、未払いの残業代金額に加えて、更にこれと同一金額の支払いを制裁として命じるように裁判所に求めるものです。つまり、残業代未払いの会社は、未払い残業代の2倍の金額を労働者に支払わなければならない可能性があるのです

この記事では、以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、残業代が未払いの場合に、会社にどのような罰則が科されるのか、あなたがどのような請求をすることができるのかが明確になるはずです。

 

 

残業代未払いの罰則

会社が労働者に対して、残業代を支払わない場合には、罰則が科されることになります。
以下では、

・残業代未払いの罰則の内容
・残業代未払いの罰則の対象

について説明します。

残業代未払いの罰則の内容

会社が労働者に対して残業代を支払わない場合には、罰則として、

6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金

が科されることになります。

労働基準法119条
「次の各号の一に該当する者は、これを6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。」
一「…第37条…の規定に違反したもの」
労働基準法37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
1「使用者が、…労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」

残業代未払いの罰則の対象は誰

残業代未払いの罰則の対象は、以下のとおりです。

・法律に違反した代表者や上司
・会社

法律に違反した代表者や上司

まず、罰則の対象となるのは、残業代の支払いの規定に違反している者であり、

違法な残業を命じている者

です。

具体的には、例えば、以下の者が罰則を科される対象となります。

・会社の代表者
・残業代なしの違法な残業を命じている上司

会社

また、従業者が残業代の未払いの規定に違反した場合には、事業主、つまり

会社

にも、罰則が科されることになります。ただし、会社が違反防止に必要な措置をした場合には、この限りではありません。

なお、会社には、懲役刑を科すことはできないため、科されるのは罰金刑のみです。

~残業をさせること自体の罰則~

会社は、労働者に対して、残業を命じるには、会社と労働者を代表する者との間で協定を結んでおく必要があります。これを36協定といいます。

労働基準法は、1日の法定労働時間を8時間、1週間の法定労働時間を40時間としていて、これを超える場合には上記協定が必要としているためです。

36協定で定めることができる残業の上限時間は、原則として、月45時間とされています。ただし、例外的に、年間6か月以内であれば、月100時間未満の残業が違法とならないことがあります。

会社が36協定を結ぶことなく労働者に残業を命じたり、36協定の範囲を超えて残業を命じたりする場合には、残業代の支払いの有無にかかわらず、罰則として、

6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金

が科されることになります。

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残業代未払いの罰則が科される主なケース

残業代未払いの罰則が科される主なケースとして、以下のものがあります。

ケース1:法定労働時間を超えて働かせたのに残業代を支払わない場合
ケース2:法定休日に働かせたのに残業代を支払わない場合
ケース3:深夜に働かせたのに残業代を支払わない場合

ケース1:法定労働時間を超えて働かせたのに残業代を支払わない場合

会社は、労働者に対して、

法定労働時間を超えて働かせた場合

には、残業代を支払う必要があります。

法定労働時間は、1日8時間、1週40時間とされています。

労働基準法32条(労働時間
1「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。」
2「使用者は、一週間の各日について八時間を超えて、労働させてはならない。」

そのため、会社は、労働者に対して、1日8時間、1週40時間を超えて働かせても残業代を支払わない場合に罰則が科されることになります。

ケース2:法定休日に働かせたのに残業代を支払わない場合

会社は、労働者に対して、

法定休日に働かせた場合

には、残業代を支払う必要があります。

法定休日は、週に1日与えなければならないとされています。

労働基準法35条(休日)
1「使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない。」

そのため、会社は、労働者に対して、週1日の法定休日に働かせても残業代を支払わない場合に、罰則を科されることになります。

ケース3:深夜に働かせたのに残業代を支払わない場合

会社は、労働者に対して、

深夜に働かせた場合

には、残業代を支払う必要があります。

深夜は、午後10時から午前5時までです。

労働基準法37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
4「使用者が、午後十時から午前五時まで…の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」

そのため、会社は、労働者に対して、午後10時から午前5時までの間に働かせても残業代を支払わない場合には、罰則を科されることになります。

 

 

残業代未払いの罰則を科すには労働基準監督署に申告をする

会社側に残業代未払いの罰則を科してほしい場合には、

労働基準監督署に申告

することになります。

残業代未払いを申告する場合には、労働基準監督署に行き自分の名前を伝えた上で面談を行うことがおすすめです。なぜなら、メールや電話に比べて、この方法が最も効果的なためです。

労働基準監督署に残業代の未払いを告発した場合には、以下の流れで進んでいきます。

・面談
・調査
・是正勧告や指導
・逮捕や送検

まず、労働基準監督署に面談に行くと、詳しい事情を聞かれることになります。そして、会社に対する請求書の書き方や未払い残業代の計算方法を教えてもらえる場合もあり、継続して面談を行うこともあります。

次に、労働基準監督署は、会社への調査を行うことになります。これは、予告したうえで調査に入る場合もありますし、予告なしに調査を行う場合もあります。調査は、資料の確認や、ヒアリングなどが行われます。

調査の後、法律違反や改善の必要が見つかった場合には、会社に対して、指導が行われることになります。

そして、特に悪質性が高いような事案では、逮捕・送検される場合もあります。

残業代未払いの労働基準監督署への告発については、以下の記事で詳しく説明しています。

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実際にあった送検された事例

では、実際にあった送検された事例を一部紹介していきましょう(厚生労働省労働基準局監督課:労働基準関係法令違反に係る公表事案[令和元年6月1日~令和2年5月29日公表分])。

ただし、罰則が科されるのは、特に悪質性の高い事案に限定されており、残業代未払いの場合でも、逮捕・送検まではされないケースがほとんどです

より確実に会社に対して残業代未払いの責任を追及した場合には、後述する民事上の請求を検討しましょう

E社のケース

【事案概要】
外国人技能実習生2名に、9か月間の時間外・休日労働の割増賃金合計100万円以上を支払わなかったもの
【違反法条】
労働基準法第37条
【送検日】
令和2年5月14日送検

H社のケース

【事案概要】
外国人技能実習生6名に対し違法な時間外労働を行わせたもの
【違反法条】
労働基準法第32条
【送検日】
令和元年6月12日

D社のケース

【事案概要】
労働者3名に、1か月間の時間外労働又は休日労働に対する割増賃金合計約18万円を支払わなかったもの
【違反法条】
労働基準法37条
【送検日】
令和2年5月13日

K社のケース

【事案概要】
36協定の延長時間を超えて違法な時間外労働を行わせたもの
【違反法条】
労働基準法32条
【送検日】
令和2年5月19日

M社のケース

【事案概要】
労働者4名に、8か月間の時間外労働、休日労働及び深夜労働の割増賃金合計約115万円を支払わなかったもの
【違反法条】
労働基準法37条
【送検日】
令和元年12月10日

 

罰則とは別に労働者が民事上請求できる3つのお金

労働者は、残業代未払いにつき、会社に対して、罰則とは別に以下の3つの民事上の請求をする権利があります。

・未払い残業代の請求
・遅延損害金の請求
・付加金の請求

未払い残業代の請求

労働者は、会社に対して、これまでの

未払い残業代の請求

をすることができます。

未払い残業代の請求は、退職後であっても可能です

ただし、残業代の時効期間は2年ですので(令和2年4月1日以降に発生したものは3年)注意が必要です。

遅延損害金の請求

会社は、給料日までに残業代を支払わない場合には、

遅延損害金

を付した上で、支払いをしなければなりません。

遅延損害金の利率は、以下のとおりです。

例えば、退職後であれば、100万円の残業代未払いであっても、年間14万6000円の遅延損害金が発生することになります

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付加金の請求

会社は、一定の金員の未払いがある場合には、労働者の請求により、裁判所から、未払い金と同一額の支払いを命じられることがあります。これを付加金といいます。

会社が労働者に対して、法定の残業代を支払わない場合には、労働者の請求により裁判所は、

未払いの残業代と同額の付加金

の支払いを命じることができます。

つまり、労働者は、会社から、未払いの残業代と付加金で合計2倍の残業代を支払ってもらえる可能性があるのです

ただし、付加金は請求すれば常に命じられるわけではなく、付加金の支払いが命じられるのは、悪質性が高く、かつ、会社が裁判になっても残業代を支払わないような事案です。

よく分かる付加金請求使用者は、残業代や解雇予告手当の支払いを怠った場合には、労働者に対して、付加金の支払いを命じられる場合があります。この付加金とはどのようなものでしょうか。今回は、付加金について解説していきます。...

残業代未払いの場合に集めるべき証拠

残業代請求に必要な証拠には、以下のものがあります。

・労働条件に関する証拠
・労働時間に関する証拠

労働条件に関する証拠

労働条件に関する証拠には、例えば以下のものがあります。

・雇用契約書
・労働条件通知書
・就業規則
・給与規程

これらのうち、どれか一つがあればいいというわけではなく、複数集めた上でどの労働条件が労働者にとって有利かを検討します。

残業時間に関する証拠

残業時間に関する証拠には、例えば以下のものがあります。

残業代の証拠一覧

①があると心強いですが、これがない場合には、②や③の証拠がないかを検討します。

①②③いずれもない場合には、やむを得ないため、④の証拠により、残業時間を立証していくことになります。

 

 

残業代未払いの相談先

サービス残業のおすすめの相談窓口は、以下の5つです。

・社内のコンプライアンス窓口
・労働条件相談ほっとライン
・労働組合
・弁護士
・労働基準監督署

それぞれの相談先の特徴は以下のとおりです。

残業代未払いの相談窓口の特徴

以下のフロチャートに沿って相談先を決めるといいでしょう。

残業代未払いの相談先フローチャート

詳しくは、以下の記事をお読みください。

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残業代の未払いの民事上請求は弁護士に依頼すべき

残業代未払いの民事上の請求は、弁護士に依頼することを強くおすすめします。

理由は、以下の4つです。

・遅延損害金や付加金も含めて請求してもらえる!
・残業代を代わりに計算してもらえる!
・交渉や裁判手続きを代わりにしてもらえる!
・完全成功報酬制であれば着手金や報酬金により費用倒れにならない!

遅延損害金や付加金も含めて請求してもらえる!

弁護士に依頼することで、代わりに

遅延損害金や付加金を含めて請求

してもらうことができます。

遅延損害金については、その起算日や利率を誤ってしまうと請求できる金額にも影響がでます。付加金についても、裁判所にこれを認めてもらうには会社の悪質性を適切に指摘する必要があります。

そのため、遅延損害金や付加金の請求したい場合には、弁護士に依頼するべきです。

残業代を代わりに計算してもらえる!

残業代請求に強い弁護士に依頼することで、

代わりに残業代を計算

してもらうことができます。

残業代の計算については、基礎賃金や割増率、残業時間の計算など、自分で計算しようとすると労働者に有利な事項を見落としてしまいがちな点がたくさんあります。

残業代事件に注力している弁護士であれば、ミスしやすいポイントを熟知していますので、残業代を適切に計算することができます。

また、残業代請求については、2年分を請求しようとすると700日以上の残業時間を計算したうえで、その他の労働条件についても正確に把握する必要があり、慣れていないと大きな負担となります。

そのため、残業代を請求する場合には、残業代請求に注力している弁護士に代わりに計算してもらうことがおすすめです。

交渉や裁判手続きを代わりにしてもらえる!

弁護士に依頼すれば、会社と

代わりに交渉や裁判手続き

をしてもらうことができます。

残業代を請求する場合の文面や交渉の方法などについては、事案ごとに異なります。

残業代請求に注力している弁護士に依頼すれば、これまでの経験から、あなたの事案に応じて、適切に残業代を請求してもらうことができます。

煩雑な手続きや専門性の高い手続きを、代わりに任せてしまうことができるのです

そのため、残業代を請求する場合には、残業代請求に注力している弁護士に依頼することがおすすめです。

完全成功報酬制であれば着手金や報酬金により費用倒れにならない!

完全成功報酬制の弁護士であれば、万が一獲得できる残業代が少なかったとしても、着手金や報酬金により、

費用倒れになることはない

です。

なぜなら、完全成功報酬制であれば、着手金の支払いをする必要はなく、弁護士報酬については獲得できた残業代の中から支払えばいいためです。

また、弁護士に依頼する段階で、どの程度の残業代を回収できる見通しかについても助言してもらうことが可能です。

そのため、残業代未払いにつき民事上の請求をする場合には、弁護士に依頼することがおすすめです。

 

まとめ

以上のとおり、今回は、残業代未払いの罰則について、労働基準監督署への申告方法と労働者が請求できる民事上の請求を解説しました。

この記事の要点をまとめると以下のとおりです。

・会社が労働者に対して残業代を支払わない場合には、罰則として、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されることになります。
・会社側に残業代未払いの罰則を科してほしい場合には、労働基準監督署へ行き実名を伝えた上で面談をして申告するべきです。
・労働者は、残業代未払いにつき、罰則とは別に、①未払い残業代の請求、②遅延損害金の請求、③付加金の請求をする権利があります。

この記事が残業代未払いに悩んでいる方の助けになれば幸いです。

以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。

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