管理職として勤務していたら、リストラの対象とされてしまい悩んでいませんか?
すぐに再就職できる年齢でもないし、ローンの支払い等の生活についても不安ですよね。
管理職は、人件費削減の際に真っ先にリストラの対象とされやすい傾向にあります。
なぜなら、賃金額が高く人件費が圧迫する反面、現場作業ではなくマネジメント業務が中心なので、削減しても会社経営への直接的な影響が大きくないためです。
リストラは労働者の落ち度なく行われるものなので、これが認められるハードルは高く設定されています。
例えば、以下のようなケースではリストラは違法となる可能性があります。
ケース1:退職すると言ってないのに合意退職とするケース
ケース2:人員削減の必要性がないケース
ケース3:希望退職の募集をしていないケース
ケース4:恣意的に対象が選ばれているケース
ケース5:説明や協議が尽くされていないケース
実際、法的には拒否できる場合であるにもかかわらず、よくわからずに退職届にサインしてしまったという管理職の方が多く存在します。
しかし、転職先も決まっていない状態で安易に退職に同意してしまうことは非常に危険です。
交渉次第では、十分な生活費を確保しつつ、キャリア上のブランクなしに転職できることもあります。
この記事では、管理職がリストラの対象となった場合に是非知っていただきたいことをわかりやすく紹介していきますので、一緒に確認していきましょう。
今回は、管理職のリストラについて簡単に説明したうえで、理想的な退職条件を獲得する正しい対処法を解説していきます。
具体的には以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、リストラの対象となってしまった管理職の方がどのように対処すればいいのかがよくわかるはずです。
解雇された場合に「やるべきこと」と「やってはいけないこと」は、以下の動画でも詳しく解説しています。
リストラについては、以下の動画でも詳しく解説しています。
目次
管理職はリストラされやすい?されにくい?
管理職は、人件費削減の際に真っ先にリストラの対象とされやすい傾向にあります。
なぜなら、賃金額が高く人件費が圧迫する反面、現場作業ではなくマネジメント業務が中心なので、削減しても会社経営への直接的な影響は大きくないためです。
例えば、年収800万円の管理職1人に退職してもらった場合と年収400万円の若手従業員2人に退職してもらった場合では、削減できる人件費は同じです。
他方で、後者では2人もの従業員が退職することになってしまい、実際に現場で業務を行う従業員が足りなくなることにより、業務が回らなくなってしまう可能性があります。
また、若手社員が多く退職してしまうと、数年後には管理職社員も高齢となってしまい、主力となる社員がいなくなってしまいます。
そのため、管理職は、非管理職に比べてリストラの対象とされやすいのです。
管理職のリストラは拒否できる?退職勧奨と解雇の違い
管理職のリストラを拒否できるかどうかについては、「退職勧奨」か「整理解雇」かによって考え方が異なっております。
そのため、以下では、「退職勧奨」と「整理解雇」を分けて説明していきます。
退職勧奨
退職勧奨とは、会社があなたに自主的に退職することを促すものです。
退職勧奨ついては以下の記事で詳しく解説しています。
管理職の方が退職勧奨をされた場合でも、これに応じる義務は全くありません。
つまり、退職勧奨については、拒否することができます。なぜなら、退職勧奨は、あくまでも自発的な退職意思の形成を働きかけるための説得活動であり、これに応じるか否かは労働者の自由な意思に委ねられるべきとされているためです(東京地判平23年12月28日労経速2133号3頁[日本アイ・ビー・エム事件])。
例えば、ある日、あなたが人事担当者から面談に呼び出されたとします。
その場で、会社の経営が厳しく、貴方には退職していただきたいとして、退職届にサインするように求めてくることがあります。
この場合にあなたが退職届にサインする義務はなく、拒否して構いません。
他方で、一度、退職届にサインしてしまうと、これを撤回するハードルかなり難しいので注意が必要です。
退職届の撤回については、以下の記事で詳しく解説しています。
整理解雇
整理解雇とは、企業の経営上必要とされる人員削減のために行われる解雇のことをいいます。
整理解雇については、拒否することができません。なぜなら、解雇は、会社が一方的な意思表示により行うものであり、労働者の同意は不要であるためです。
例えば、ある日、人事担当者から解雇通知書を交付された場合に、あなたが「拒否します」と述べたとしても、「拒否するとかそのような話ではない」と言われてしまうでしょう。
ただし、解雇は、労働者の同意がいらない代わりに、厳格な条件が必要とされ、条件を満たさないと濫用として無効となります。
具体的には、整理解雇については、以下の4つの要素につき検討されることになります。
要素1:経営上の必要性(人員削減の必要性)
要素2:解雇回避努力
要素3:人選の合理性
要素4:手続の相当性
そのため、整理解雇をされた場合には、濫用として無効となると主張することは可能です。
整理解雇とは何かについては、以下の記事で詳しく解説しています。
管理職のリストラが違法になる5つのケース
管理職のリストラについては、違法となることがあります。
例えば、以下の5つのケースでは、リストラは違法となり、労働者は現在も従業員であると認められる可能性があります。
ケース1:退職すると言ってないのに合意退職とされるケース
ケース2:人員削減の必要性がないケース
ケース3:希望退職の募集をしていないケース
ケース4:恣意的に対象が選ばれているケース
ケース5:説明や協議が尽くされていないケース
それでは、各ケースについて順番に説明していきます。
ケース1:退職すると言ってないのに合意退職とされるケース
管理職のリストラが違法となるケースの1つの目は、退職すると言ってないのに退職に合意したものとして処理されるケースです。
整理解雇については厳格な条件が必要であるため、あなたが退職に合意していたとして解雇を争われるリスクを回避しようとしているのです。
勿論、あなたが退職する意思を示していないのに、退職に合意していたとすることはできません。
ただし、退職の意思については、退職届を提出していない場合でも、口頭による発言や退職を前提とした行動によっても認定されてしまうことがありますので注意が必要です。
例えば、退職勧奨をされた場合において、あなたが口頭で退職すること自体は分かったと述べたり、既に次の就職先が決まっていると述べたり、このような会社辞めてやると述べたりした場合には、退職に合意したものと認定されてしまうことがあります。
ケース2:人員削減の必要性がないケース
管理職のリストラが違法となるケースの2つの目は、人員削減の必要性がないケースです。
整理解雇が有効かを判断する際には、債務超過など高度の経営上の困難から人員を削減する必要性があったかを考慮するとされています。
例えば、企業全体としてみれば売り上げは好調であるものの、特定の部門については目標を下回っているため当該部門を廃止する場合には、それだけでは人員削減の必要性までは認められないでしょう(東京地判平24.2.29労判1048号45頁[日本通信事件])。
他にも、人権費の高い管理職を解雇して、人件費の安い新規労働者を雇うといった、従業員の入れ替えを行うような方法については、必要性が否定される傾向にあります(大阪高判平23.7.15労判1035号124頁[泉州学園事件]、長野地諏訪支判平23.9.29労判1038号5頁[みくに工業事件])。
ケース3:希望退職の募集をしていないケース
管理職のリストラが違法となるケースの3つの目は、希望退職の募集をしていないケースです。
整理解雇を行うには、まずは解雇以外の方法により、解雇を回避しようとする努力をする義務があります。
例えば、配置転換や労働時間の短縮、希望退職の募集等です。
そのため、希望退職募集をせずに整理解雇を行うような場合には、違法となりやすいのです。
ケース4:恣意的に対象が選ばれているケース
管理職のリストラが違法となるケースの4つの目は、恣意的に対象が選ばれているケースです。
整理解雇を行うには、合理的な人選基準を作成し、それを公正に適用する必要があるとされています。
例えば、好き嫌いで人を選ぶようなことがあってはなりません。
あなたよりも成績が低い労働者が他にもたくさんいるような場合に、「●●はお子さんもいて大変だから仕方ないんだ」、「●●はチャンスが欲しいと言ってやる気を見せた」などの理由で整理解雇の対象を選ぶことはできないでしょう。
ケース5:説明や協議が尽くされていないケース
管理職のリストラが違法となるケースの5つの目は、説明や協議が尽くされていないケースです。
整理解雇を行うには、労働者の了解が得られるよう努力する義務があるため、必要性や規模、時期、方法等について説明し、十分に協議する義務があります。
例えば、説明会を開いたり、個別の面談をしたり、会社の経営状況を示した資料を配布したりといったことを何もしていない場合には、説明や十分な協議があったとはいえないでしょう。
管理職のリストラで獲得すべき7つの退職条件!
管理職がリストラの対象となっても、退職に同意する必要はありませんし、整理解雇の要件を満たしていなければ会社が一方的に解雇することもできません。
もっとも、労働者としても、条件次第では退職に応じても良いと考える場合があるでしょう。
そのような場合には退職条件の交渉を行うことになります。
具体的には、管理職のリストラで獲得すべき条件には、以下の7つがあります。
獲得条件1:特別退職金(パッケージ)
獲得条件2:会社都合退職
獲得条件3:在籍期間延長
獲得条件4:在籍期間延長中の労務免除
獲得条件5:転職成功時の早期退職
獲得条件6:就労支援
獲得条件7:口外禁止
それでは各条件について順番に説明していきます
獲得条件1:特別退職金(パッケージ)
管理職のリストラで獲得すべき条件の1つ目は、特別退職金(パッケージ)です。
特別退職金(パッケージ)とは、通常の退職金とは別に、労働者が退職に応じることの対価として支給される退職金です。
特別退職金とは何かについては以下の記事で詳しく解説しています。
特別退職金については、以下の動画でも詳しく解説しています。
会社は、特別退職金(パッケージ)を支払う法的義務はありません。しかし、会社は、労働者に退職に納得してもらうために退職金の上乗せをすることがあるのです。
特別退職金(パッケージ)の相場は、給与の3か月分~6か月分程度です。
特別退職金の相場については以下の記事で詳しく解説しています。
ただし、外資系企業などでは、6か月~1年6か月分程度の特別退職金が支払われることもあります。
「乙は、甲に対し、特別退職金として、〇万円の支払義務があることを認める。」
※甲が退職者、乙が会社
獲得条件2:会社都合退職
管理職のリストラで獲得すべき条件の2つ目は、会社都合退職です。
会社都合退職とは、主な原因が会社側にある退職のことをいいます。正式には、特定受給資格者といいます。
会社都合退職かどうかは、失業保険を受給する際に重要となり、以下の2つのメリットがあります。
⑴ 会社都合退職の場合には2~3か月の給付制限がない
⑵ 会社都合退職の場合には失業保険の給付日数が雇用権の加入期間や退職した時の年齢により90日~330日です(自己都合退職の場合には、雇用保険の加入期間により90日~150日)
退職勧奨やリストラによる解雇については、会社都合となるのが原則です。
解雇と会社都合退職については、以下の記事で詳しく解説しています。
退職勧奨と会社都合退職については、以下の記事で詳しく解説しています。
「甲と乙は、甲が乙を令和〇年〇月〇日付けで乙都合により合意退職することを確認する。」
※甲が退職者、乙が会社
会社都合退職については、以下の動画でも詳しく解説しています。
獲得条件3:在籍期間延長
管理職のリストラで獲得すべき条件の3つ目は、在籍期間延長です。
退職に合意する際には退職日を決めることになります。
しかし、転職先が決まっていない状況で即日退職してしまうと、転職期間中は無職となってしまい、キャリア上のブランクが空いてしまいます。
転職活動をするにしても、前職に籍を残したまま行った方が説明しやすいですし、好条件での採用を期待しやすいです。
また、入社から1年経たずに退職してしまうとなるとやはり転職条件に悪影響となることもあるので、そのような意味で在籍期間を延長して短期で離職したとの経歴を残さないことを希望する方も多いです。
そのため、2か月~6か月程度の在籍期間延長をすることが良くあります。
ただし、在籍期間を延長する場合には、その期間は離職していないことになるため失業保険を受給できないことに注意が必要です。
「甲と乙は、甲が乙を令和〇年〇月〇日付けで乙都合により合意退職することを確認する。」
※甲が退職者、乙が会社
パッケージとしての在籍期間延長については、以下の記事で詳しく解説しています。
獲得条件4:在籍期間延長中の労務免除
管理職のリストラで獲得すべき条件の4つ目は、在籍期間延長中の労務免除です。
在籍期間を延長するとその期間については、あなたは労働者であるため、労務を提供する義務があることになります。
つまり、本来であれば、在籍期間中は、これまでどおり出社が必要となってしまいます。
しかし、平日は仕事を行わなければならないということになると、転職先の面談の日程などを調整することも難しいですよね。
そのため、在籍期間を延長する場合には、その期間の労務を免除するとの規定を入れることが多くなっています。
「乙は、令和○年○月○日から令和○年○月○日までの甲の労働義務を免除する。」
※甲が退職者、乙が会社
獲得条件5:転職成功時の早期退職
管理職のリストラで獲得すべき条件の5つ目は、転職成功時の早期退職です。
在籍期間を延長したものの、思いのほか早く転職先が決まってしまう場合があります。
そのような場合には、早期に退職することを可能とする条項を入れて置くことでスムーズに新しい会社への入社時期を交渉することができます。
転職成功時に早期退職する場合には、失業保険を受給することは想定されず会社都合とする意味はないので、自己都合としておいた方が良いでしょう。
「本合意書締結日以降、甲が第○項の退職日前に退職する申し出があった場合、第○項の規定にかかわらず、当該申し出日をもって甲は乙を甲都合により合意退職したものとみなす。」
※甲が退職者、乙が会社
獲得条件6:就労支援
管理職のリストラで獲得すべき条件の6つ目は、就労支援です。
会社によっては、転職会社と契約しており、会社の負担で就労支援サービスを利用できる場合がございます。
労働者の転職への不安を払しょくすることにより、労働者が退職に応じやすくするためです。
会社からこのような支援を行う旨の提案があったような場合には、退職条件に盛り込む場合があります。
「乙は、再就職支援会社と甲の再就職支援の契約を乙の負担で行い、退職日から1年間、甲の再就職に伴うサポートを行う。再就職支援会社の選定は乙が行う。」
※甲が退職者、乙が会社
退職時の再就職支援については、以下の記事で詳しく解説しています。
退職時の再就職支援については、以下の動画でも詳しく解説しています。
獲得条件7:口外禁止
管理職のリストラで獲得すべき条件の7つ目は、口外禁止です。
会社側は他の労働者にいくらの特別退職金を支払ったのかを知られたくないため、口外禁止条項を入れることを求めます。
労働者側もリストラの対象となったことや交渉経緯を転職先の会社等に言われたくないと考えるのが通常なので、口外禁止条項を入れることには労働者にもメリットがあります。
そのため、退職合意書には、口外禁止条項を入れておくことが通常です。
「甲と乙は、本合意書の作成に至る経緯及び内容を正当な理由がある場合を除き第三者に口外しないことを確認する。」
※甲が退職者、乙が会社
リストラの対象になった管理職のその後の流れ
管理職がリストラの対象になった場合には、通常、以下のような流れで進んでいくこととなります。
リストラ対象になった場合には、まず面談などで退職を促されることになります。
条件次第では退職に応じる場合には、退職条件の協議を行い、条件が整えば退職合意書の作成をすることになります。
退職を拒否した場合には、再度会社から退職条件を提示されて、期限を設けられ検討を促される傾向にあります。それでも、拒否を続けると、解雇予告や自宅待機命令、解雇と進んでいきます。
管理職がリストラ対象になった場合の対処法5つ
リストラの対象になった場合には、迂闊な対応はNGです。
多いのは、すぐに退職を認めるような発言をしてしまうケースです。
退職自体は、退職届や退職合意書を記載せずとも、口頭でも成立してしまいます。
しかも、明確に「退職する」との発言をしなくても、退職を前提としたような行動や発言によっても退職したものと認定されてしまうことがあります。
例えば、リストラの対象になった場合には、以下のような対処法をとることが考えられます。
対処法1:働く意思があることを示す
対処法2:退職届は書かず退職条件は一度持ち帰る
対処法3:面談は録音する
対処法4:未払い賃金等がないか確認する
対処法5:解雇後は解雇理由証明書を請求する
それでは各対処法について順番に説明していきます。
対処法1:働く意思があることを示す
管理職がリストラの対象になった場合の対処法1つ目は、働く意思があることを示す(退職を認める発言はしない)ことです。
会社は労働者が働き続ける意思を失っている場合には、特別退職金の支払いに消極的になります。
特別退職金は労働者に退職に応じてもらうために支払うものであり、特別退職金を支払わなくても労働者が自ら退職する状況であれば、あえて支払いをする理由はないためです。
そのため、退職の条件を交渉する場合には、あなたとしては働き続ける意思を持っていることを示したうえで、条件次第では検討するという姿勢で行うことになります。
対処法2:退職届は書かず退職条件は一度持ち帰る
管理職がリストラの対象になった場合の対処法2つ目は、退職届は書かず退職条件は一度持ち帰ることです。
退職届を記載してしまうと、それ以降は退職条件の交渉を行うことができません。
なぜなら、会社は退職届を獲得した時点で目的を達成しており、特別退職金の支払いや在籍期間の延長、就労支援等に応じる理由はなくなるためです。
そして、一度、サインした退職届や退職合意書の撤回や取り消しのハードルは非常に高いのが現状です。
退職届の撤回や取り消しについては、以下の記事で詳しく解説しています。
そのため、退職届や退職合意書を示されても、その場ではサインせず、一度持ち帰ることが重要です。
対処法3:面談は録音する
管理職がリストラの対象になった場合の対処法3つ目は、面談は録音することです。
リストラの対象になった後の面談では、会社があなたを辞めさせたいと考えている理由が語られることになります。
これに対して、交渉が決裂し解雇された後になると、会社側にも弁護士が就くことが多くなっており、解雇理由も法的に整理されたものになりがちです。
つまり、人事や社長との面談は、会社に弁護士が就く前に実際に会社が解雇を行おうとしている理由を聞き出す最後のチャンスなのです。
例えば、面談を録音しておけば、面談の際の発言とその後弁護士が入った後に示された解雇理由が矛盾していれば、それを示すことで会社の主張の説得性を下げることができます。
また、リストラの対象となった際の面談では、脅迫行為や強要行為が行われることも珍しくありません。
そのため、自分の身を守るためにも、録音をしておくことが重要です。
退職勧奨の録音については、以下の記事で詳しく解説しています。
退職勧奨の録音については、以下の動画でも詳しく解説しています。
対処法4:未払い賃金等がないか確認する
管理職がリストラの対象になった場合の対処法4つ目は、未払い賃金等が無いか確認することです。
退職合意書を作成する際には、最後に「清算条項」という、会社もあなたもお互い合意書に書いたもの以外は何も請求できないとの規定を入れるのが通常です。
例えば、退職合意書を締結した後に未払いの賃金を支払ってほしいと言っても、清算条項を理由に拒否されて紛争となりかねません。
また、退職条件の交渉時に未払い賃金があることを示すことにより、特別退職金ないし解決金の増額に繋がりやすくなります。
そのため、リストラの対象となった場合には、未払い賃金等が無いかをよく確認しておきましょう。
おおよその残業代の未払い金額については、以下の残業代チェッカーにより登録不要・無料で簡単に確認することができます。
管理職の残業代については、以下の動画でも分かりやすく解説しています。
対処法5:解雇後は解雇理由証明書を請求する
管理職がリストラの対象になった場合の対処法5つ目は、解雇後は解雇理由証明書を請求することです。
解雇理由証明書を請求することにより、会社が解雇した理由が書面により示されますので、それを見ることにより解雇を争うかどうかや見通しを検討することができます。
また、集めなければいけない証拠や争うのにどの程度の労力や時間がかかるのかもわかってきます。
加えて、会社は、解雇理由証明書を出した後には、解雇理由を追加しにくくなるという事実上の効果もあります。
そのため、解雇された場合には、まず解雇理由証明書を求めることになります。
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まとめ
以上のとおり、今回は、管理職のリストラについて簡単に説明したうえで、理想的な退職条件を獲得する正しい対処法を解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・管理職は、人件費削減の際に真っ先にリストラの対象とされやすい傾向にあります。
・リストラについて、退職勧奨は拒否できますが、整理解雇は拒否できません。ただし、整理解雇を行うには厳格な条件があります。
・以下の5つのケースでは、リストラは違法となり、労働者は現在も従業員であると認められる可能性があります。
ケース1:退職すると言ってないのに合意退職とされるケース
ケース2:人員削減の必要性がないケース
ケース3:希望退職の募集をしていないケース
ケース4:恣意的に対象が選ばれているケース
ケース5:説明や協議が尽くされていないケース
・管理職のリストラで獲得すべき条件には、以下の7つがあります。
獲得条件1:特別退職金(パッケージ)
獲得条件2:会社都合退職
獲得条件3:在籍期間延長
獲得条件4:在籍期間延長中の労務免除
獲得条件5:転職成功時の早期退職
獲得条件6:就労支援
獲得条件7:口外禁止
・管理職がリストラの対象になった場合には、通常、以下のような流れで進んでいくこととなります。
・リストラの対象になった場合には、以下のような対処法をとることが考えられます。
対処法1:働く意思があることを示す
対処法2:退職届は書かず退職条件は一度持ち帰る
対処法3:面談は録音する
対処法4:未払い賃金等がないか確認する
対処法5:解雇後は解雇理由証明書を請求する
この記事がリストラの対象とされて困っている管理職の方の役に立てば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。