未払残業代・給料請求

残業90時間はきつい!過酷な長時間残業が違法な理由と取るべき行動

残業90時間はきつい!過酷な長時間残業が違法な理由と取るべき行動

悩み月90時間という過酷な長時間残業をしている現状に、疑問を感じていませんか

残業が90時間に及ぶ月が連続してくると精神的にも、肉体的にもきついですよね。

月90時間を超える残業は、違法となる可能性があります

一部の例外はあるものの、月の残業時間の上限は、36協定というもので決められており、特別な事情がない場合は月45時間、年360時間までとされているためです。

また、月に90時間を超える残業が2か月以上続くと過労死ラインを超えており、死の危険と隣り合わせの非常に危険な行為です。

月90時間の残業が常態化した会社から抜け出す最も確実な方法は、残業の少ない会社に転職することです。

加えて、このような違法な残業をさせる会社は、法律上成り立たない言い訳をして残業代をしっかりと払っていない場合が多く、高額な残業代を請求できる可能性があります。

そのような、月90時間の残業から抜け出し、残業代を請求するためには、適切な対応をしていく必要があります。

この記事を通して、月90時間異常の過酷な長時間残業に直面した場合にどのように対応していけばいいのかを知っていただければと思います。

今回は、残業90時間はきついことを説明したうえで、過酷な長時間残業が違法な理由と取るべき行動を解説していきます。

具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事で分かること

それでは、順番に解説していきます。

残業時間の平均や生活、健康への影響については、以下の動画で詳しく解説しています。

 

 

 

 

残業月90時間はきつい!1日の生活と過酷な現実

月90時間の残業を続けることは精神的にも肉体的にもきついもので、1日の生活は過酷です
月22日出勤する方ですと、月90時間の残業をする場合には、平均で毎日

90時間÷22日
約4時間程度

の残業をすることになります。
これを基に1日のタイムスケジュールの例を見てみると、以下の通りです。

残業90時間の場合の1日のスケジュール

残業を終えて帰宅する頃には23時になっており、睡眠時間は7時間ほどです。

ですが、プライベートな時間はなく、確保しようとすると睡眠時間を削るほかありません

また、家族との時間を取ることはおろか、食事を一緒に取ることすら難しいスケジュールです。

そのため、月90時間の残業を続けることは、労働者にとって大きな負担となるものであり、今すぐに対策を講じるべきなのです。

残業月90時間は違法?36協定の限度時間

月90時間の残業を命じることは、違法となる可能性があります

残業時間には制限があり、違法とならない場合にも厳格な条件があるためです。

ここでは、残業時間の原則と例外について、以下の順で説明していきます。

・月90時間の残業は違法となるのが原則
・月90時間の残業が違法とならない例外

月90時間の残業は違法となるのが原則

月90時間の残業は、違法となるのが原則となります。

そもそも、労働時間の上限に関しては労働基準法にて1日8時間、週40時間までと定められています

労働基準法32条(労働時間)
1「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。」
2「使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。」

この時間を超えて労働させる場合には、会社は労働者との間で、事前に残業についての協定を結んでおく必要があります。

この協定を、36協定と言います。

この協定は労働組合や、組合がない場合従業員の代表者などと会社が、毎年結ぶことが通常です。

協定締結後は、その旨を労働基準監督署に届け出る必要があり、この協定を結んでいないにも関わらず残業をさせることは、違法となります。

そして、36協定においても労働者に残業させることができる時間の上限は、原則として1ヶ月45時間とされているのです。

労働基準法36条(時間外及び休日の労働)
4「……限度時間は、一箇月について四十五時間……とする。」

そのため、原則として月45時間を超えての残業は違法であり、常態的に残業90時間を超えているような場合には違法の可能性がより一層高いといえます

月90時間の残業が違法とならない例外

月45時間を超えての残業が例外的に認められる場合があります

36協定には月45時間を超えて労働させることができる特別条項を設けることができるとされているためです。

具体的には、以下の場合には、例外的に45時間を超えて労働させることができるとされています。

(ⅰ)通常予見できない業務量の大幅な増加により残業をする必要が生じたこと
(ⅱ)特別協定が締結されており、その範囲内で残業を命じていること

ただし、特別条項により残業時間を延長する場合でも月100時間が限度となりますし、2~6か月平均月80時間以内である必要があります

そのため、月90時間の残業が常態化している場合には違法の可能性が高いのです。

残業時間の上限については、以下の記事で詳しく解説しています。

残業時間の法律上の上限は何時間?
残業時間の法律上の上限は何時間?36協定があっても違法となる5例会社は、労働者に残業を命じる場合には、36協定が必要とされており、これがある場合でも無制限に残業を命じることができるわけではありません。今回は、残業時間の法律上の上限と36協定があっても残業が違法となるケースについて解説します。...

 

 

 

 

残業90時間と過労死のリスク

月90時間を超える残業を続けていると、以下のような健康被害・死亡のリスクが生じます

①脳・心臓疾患-過労死
②うつ病・適応障害等-過労自殺

それでは、順番に解説していきます。

脳・心臓疾患-過労死

月90時間を超える残業を続けた場合には、脳・心臓疾患の発症及びこれによる死亡のリスクがあります。

なぜなら、業務による過度な負荷やストレスが加わるとともに、生活リズムや食生活も乱れてしまうため、血管病変等が著しく増悪するためです。

具体的には、以下のような疾患を発症するおそれがあります。

〇脳血管疾患
・脳内出血(脳出血)
・くも膜下出血
・脳梗塞
・高血圧性脳症
〇 虚血性心疾患等
・心筋梗塞
・狭心症
・心停止
・解離性大動脈瘤

そして、行政は、いわゆる過労死ラインとして、以下のように通達しています。

「発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できる」

そのため、90時間を超える残業については脳・心臓疾患のリスクが高いと言えます。

うつ病・適応障害等-過労自殺

月90時間を超える残業を続けた場合には、うつ病や適応障害等の精神疾患の発症及びこれによる自殺のリスクがあります。

これは、月90時間を超える残業は、労働者に対する精神的負荷が大きいためです。

行政通達は、精神的負荷が「中」となる例として、「1か月に80時間以上の時間外労働を行った」ことを挙げています。

そのため、月90時間を超える残業が、精神的な負荷がかかることは行政も認めており、うつ病・適応障害のリスクがあるのです

残業90時間の残業代はいくら?大まかな月給ごとに紹介

月90時間を超える残業をした場合には、請求できる残業代も高額になる可能性が非常に高くなります

これは、残業代が残業をした時間をもとに計算するためです。

ここでは、以下の順番で残業代に関して解説していきます。

・残業代の計算方法
・月給別の残業代の計算例

それでは、順番に解説していきます。

残業代の計算方法

残業代の計算方法は以下のとおりです。

基礎賃金÷所定労働時間×割増率×残業時間数

基礎賃金は、残業代の計算の基礎となる賃金のことをいいます。基本給とは若干異なるため、注意が必要です。

所定労働時間は、就業規則や雇用契約において労働することと定められている時間数です。

割増率は、法定時間外労働は1.25倍、深夜労働(22時~5時)は法定時間外労働に0.25倍さらに割増、法定休日労働は1.35倍です。

つまり、休日ではない日の深夜に法定時間外労働をした場合は、1.25+0.25で、1.5倍の割増率になります。

残業代の時効は3年のため、訴えを起こしてから3年分遡って請求することができます

以下の記事で残業代に関して詳しく説明していますので、気になる方は読んでみてください。

会社の計算は正確?5ステップで簡単にできる残業代の正しい計算方法残業代の計算方法は、労働基準法で決められていますので、会社がこれよりも不利益な計算ルールを定めても無効です。今回は、残業代を計算する方法を5つのステップで誰でも分かるように簡単に説明します。...

月給別の残業代の計算例

ここでは、月給別で請求できる残業代の金額を紹介していきます。

また、ここでいう月給には家族手当、通勤手当等の各手当や臨時で支払われた賃金などは含めずに計算します。

また、年間休日日数125日程度(土日、祝日、年末年始、夏季5日が休み)で、月平均所定労働時間は160時間として計算しています。

それでは、以下の順番で見ていきましょう。

・月給25万の場合
・月給30万の場合
・月給40万の場合

月給25万の場合

月給25万円の場合には、毎月90時間の残業(法定時間外労働)をした場合の3年分の残業代は、

基礎賃金25万円÷月平均所定労働時間160時間×割増率1.25×90時間×36か月=

632万円

程度となります。

月給30万の場合

月給30万円の場合には、毎月90時間の残業(法定時間外労働)をした場合の3年分の残業代は、

基礎賃金30万円÷月平均所定労働時間160時間×割増率1.25×90時間×36か月=

759万円

程度となります。

月給40万の場合

月給40万円の場合には、毎月90時間の残業(法定時間外労働)をした場合の3年分の残業代は、

基礎賃金40万円÷月平均所定労働時間160時間×割増率1.25×90時間×36か月=

1012万円

程度となります。

 

 

 

 

残業90時間の方が残業代を請求する4つのステップ

残業代を請求するためには、手順を踏む必要があります。

必要な手順は以下の通りです。

STEP1:通知書の送付
STEP2:残業代の計算
STEP3:交渉
STEP4:労働審判・訴訟

それでは、順番に解説していきます。

残業代請求の方法・手順については、以下の動画でも詳しく解説しています。

STEP1:通知書の送付

残業代を請求するためのSTEPの1つ目は、通知書の送付です。

最初に、内容証明郵便を利用し、会社に通知書を送付することになります

理由は以下の2つです。

・時効を一時的に止めるため
・資料の開示を請求するため

具体的には、以下のような通知書を送付することが多いです。御通知※御通知のダウンロードはこちら
※こちらのリンクをクリックしていただくと、御通知のテンプレが表示されます。
表示されたDocumentの「ファイル」→「コピーを作成」を選択していただくと編集できるようになりますので、ぜひご活用下さい。

STEP2:残業代の計算

残業代を請求するためのSTEPの2つ目は、残業代の計算です。

会社から開示された資料をもとに、残業代を計算することになります

もしも開示してもらえないなどの場合は、自分で記録しておいたタイムカードの写真等の出退勤の時刻が分かるものをもとに計算することになります

残業代の計算方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

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STEP3:交渉

残業代を請求するためのSTEPの3つ目は、交渉です。

残業代を計算したら、次に会社との間で残業代の支払いについて交渉することになります

まずは、計算した具体的な金額について、会社に対して請求しましょう。

そうすると、通常は会社からも計算方法について、何らかの反論があります。

会社との間で争いとなっている箇所については、裁判例や法律に照らして、説得的に主張を行うことになります。

STEP4:労働審判・訴訟

残業代を請求するためのSTEPの4つ目は、労働審判・訴訟です。

交渉をしても話がまとまらない場合には、労働審判や訴訟の申し立てを行うことになります

労働審判とは、3回以内の期日で調停による解決を目指すものであり、調停が成立しない場合には、裁判所により一時的な判断が出されます。

労働審判については、以下の記事で詳しく解説しています。

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訴訟は、期日の回数制限は特になく、1か月に1回程度期日が入り、交互に主張を行うことになります。解決までに1年程度かかることもあります。

残業代請求の訴訟については、以下の記事で詳しく解説しています。

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残業90時間の会社から抜け出す手順3つ

残業90時間の会社から抜け出すには、転職することが最も有効な手段です。

具体的な抜け出す手順は以下の3つです。

手順1:証拠を集める
手順2:退職届を出す
手順3:残業の少ない会社に転職する

残業90時間の会社から抜け出す手順3つ

それでは、順番に解説していきます。

手順1:証拠を集める

残業90時間の会社から抜け出す手順の1つ目は、証拠を集めておくことです。

残業代を請求する場合はもちろん、失業保険を受給する際や何らかの健康被害が生じてしまった場合に備えて、長時間の残業をしていたことを説明できるようにしておく必要があります

しかし、そもそも月に90時間もの残業が常態化するのは違法の可能性が高いです。

違法行為をしている上に残業代を払っていないような会社は、その証拠が残らないようにしている可能性があります。

そのため、退職前に、残業時間が分かるような証拠をできるだけ多く残しておきましょう。

最も明確な証拠は、タイムカードになります。

もしも、定時でタイムカードを押すように指示されていたり、そもそもタイムカードがないようであれば、入退館記録や業務メール、日報等の営業記録がないかを確認しましょう

それらもないようであれば、自分で各日の業務開始時間、休憩時間、業務終了時間、業務内容をメモしておきましょう

残業の証拠については、以下の記事で詳しく解説しています。

残業代請求の証拠がない人も必見!必要な証拠と簡単な証拠集めの方法会社に対して、残業代を請求するには証拠が必要です。しかし、今手元に証拠がなくても焦る必要はありません。今回は、残業代請求に必要な証拠とその集め方を解説します。...

手順2:退職届を出す

残業90時間の会社から抜け出す手順の2つ目は、退職届を出すことです。

退職届は、退職日の2週間前には提出する必要があります

提出する方法は、直接渡しても、内容証明郵便により郵送しても、どちらでも構いませんが、直接渡す場合にはコピーを取っておくべきです。

退職届には、以下のような事項を記載しましょう。

・退職する意思と退職の日付
・離職票の交付請求
・退職する理由(必須ではありません)
・有給休暇の取得申請(必須ではありません)

例えば、以下のように記載します。退職届

※退職届のダウンロードはこちら
※こちらのリンクをクリックしていただくと、退職届のテンプレが表示されます。
表示されたDocumentの「ファイル」→「コピーを作成」を選択していただくと編集できるようになりますので、ぜひご活用下さい。

また、まれに退職に際して復讐などのために会社への嫌がらせを考える方がいます。

しかし、会社への嫌がらせは、内容によっては会社から訴えられる可能性があります

長時間の残業を強いられていたことなどに対する怒りは分かりますが、ここは冷静に対応しましょう。

もしも会社に対して何かしたいと考えているなら、労働基準監督署に相談するなどの合法的な手段のみを行うように気を付けましょう。

手順3:残業の少ない会社に転職する

残業90時間の会社から抜け出す手順の3つ目は、残業の少ない会社に転職することです。

残業の少ない会社に転職するためのポイントは以下の4つです。

・長時間分の固定残業代がないかを確認する
・タイムカードがあるかを確認する
・業務量と比較して人員が少なすぎないかを確認する
・社員数に対して採用人数が多すぎないかを確認する

これらの点に注意し、転職先を探しましょう。

~残業90時間は会社都合退職になる?~

「いずれか連続する2か月以上の期間の時間外労働を平均して1か月で80時間を超える時間外労働が行われたため離職した者」は、特定受給資格者の条件として挙げられています。
そのため、会社都合退職として失業保険を受給する際に有利に扱ってもらえる可能性があります
ハローワークインターネットサービス – 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要 (mhlw.go.jp)

会社都合退職については、以下の動画でも詳しく解説しています。

 

 

 

残業90時間の会社を辞めない場合にするべき対処法4つ

会社を辞めることが難しいと考える方もいるでしょう。

そのような方は、残業時間を適正にするために、以下の対処法を行うのがいいでしょう。

対処法1:上司に相談する
対処法2:残業を拒否する
対処法3:産業医と面談する
対処法4:労働基準監督署に相談する

残業90時間の会社を辞めない場合にするべき対処法4つ

それでは、順番に解説していきます。

対処法1:上司に相談する

会社を辞めない場合にするべき対処法の1つ目は、上司に相談することです。

まずは上司に残業を減らして欲しいと、素直に相談しましょう。

上司に相談する際のポイントは、どの程度の残業をしているのか、それによってどのような悪影響が生じているかを具体的に説明することが重要です。

例えば、以下のようなポイントです。

・先月の残業が何時間だったのか
・体調不良がある場合にはどのような症状が出ているのか(医師の診断書はあるか)
・睡眠時間やプライベートへの支障

具体的に状況を説明することで、上司もどのような配慮を必要としているのか、どの程度緊急性があるのかなどを判断しやすくなるためです。

会社は労働者の健康や安全に配慮する義務を負っています。

そのため、このような相談をすれば、何らかの配慮をしてくれる可能性があります。

対処法2:残業を拒否する

会社を辞めない場合にするべき対処法の2つ目は、残業を拒否することです。

先ほど説明したように、月90時間の残業を2か月以上連続で命じることは違法です。

そのため、労働者は、そのような長時間の残業は拒否することを考えることができます。

サービス残業を強要されている場合でも、サービス残業はしたくない旨を明確に伝えましょう

残業の拒否については、以下の記事で詳しく説明しています。

残業拒否したらクビになる?拒否できる6つの場合と上手に断る方法会社から残業を命じられても拒否できる場合があります。今回は、残業を拒否できる場合や上手に残業を断る方法、残業拒否を理由とするクビや懲戒が許されない場合について解説します。...

対処法3:産業医と面談する

会社を辞めない場合にするべき対処法の3つ目は、産業医と面談することです。

なぜなら、産業医と面談することで、必要に応じて措置の指示が出るためです。

重い措置では要休業といったものから、時間外労働の制限、禁止、就業時間の制限など、様々な措置があります。

また、措置が出た場合、その措置に関して、産業医から会社に勧告してくれます

例えば、月90時間の残業にストレスを感じて、産業医面談を受けたとしましょう。

そこで産業医が残業時間を抑えるべきだと判断した場合、産業医から上司に掛け合って、時間外労働を○○時間以内に抑えるように、といったように提言してもらえるのです。

労働安全衛生法により産業医の勧告権が定められています。

これを受けた会社は、産業医の意見を尊重し、対応を行う必要性が生じます

この勧告を受けて、対応・対策として何をしたか、何をしなかったのかは、その理由も含めて明確に文書に残す必要があります

そのため、勧告を合理的な理由なく拒否することは難しくなっています。

加えて、労働安全衛生法により、労働者が産業医への面接指導を申し出た際に、その労働者が月80時間を超えて残業をしていた場合、産業医面談を実施することを会社は義務付けられています

たとえその会社の規模が小さく専任の産業医がいなかったとしても、申し出があれば拒否することは違法となります。

自社に産業医がいないから産業医面談は行わないという言い訳は通用しないのです。

もし会社に産業医がいなかったとしても、地域産業保健センターの登録医に面接指導の実施を依頼するなどの必要性が生じます。

対処法4:労働基準監督署に相談する

会社を辞めない場合にするべき対処法の4つ目は、労働基準監督署に相談することです。

労働基準監督署に相談すると、会社に対して労働基準法違反の事実について調査を行い、その結果に応じて指導をしてくれます

先ほど説明したように、月90時間の残業を2か月以上連続で命じることは、労働基準法の上限規制に違反した違法なものになるため、労働基準監督署に相談することが考えられます。

しかし、労働基準監督署は人手不足な現状があり、全ての事案に対応することが難しい現実があります

緊急性の高い事案を優先して調査する傾向にあるため、匿名による相談や電話のみの相談だと、緊急性の低い事案として扱われてしまう可能性があるのです。

そのため、労働基準監督署に動いてもらうためには、実際に労働基準監督署に赴き、自分の名前と会社の名前を告げて行うことがおすすめです。

労働基準監督署に自分の名前を伝えた場合でも、相談者の名前が会社に伝わらないように配慮してもらうことができます

そのため、伝わらないようにしたい場合は明確に希望を伝えておきましょう

労働基準監督署に通報する方法は、以下の記事で詳しく解説しています。

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まとめ

以上のとおり、今回は、残業90時間が違法かどうかを説明した上で、抜け出すための方法について解説しました。

この記事の要点を簡単に整理すると以下の通りです。

・月90時間の残業をする場合、帰宅は22時頃となり、プライベートな時間はなく、家族との時間も取ることができません。

・月90時間の残業は違法となるのが原則です。
36協定で特別条項が定められていれば月90時間の残業が違法とならない場合もありますが、90時間の残業が常態化するのは違法になります。

・残業90時間が常態化している場合に請求できる可能性のある残業代は、月給別で以下の通りです。
月給25万円の場合:632万円
月給30万円の場合:759万円
月給40万円の場合:1012万円

・残業90時間の方が残業代を請求するステップは、以下の4つです。
STEP1:通知書の送付
STEP2:残業代の計算
STEP3:交渉
STEP4:労働審判・訴訟

・残業90時間の会社から抜け出す手順は、以下の3つです。
手順1:証拠を集める
手順2:退職届を出す
手順3:残業の少ない会社に転職する

・残業90時間の会社を辞めない場合にするべき対処法は、以下の3つです。
対処法1:上司に相談する
対処法2:残業を拒否する
対処法3:産業医と面談する
対処法4:労働基準監督署に相談する。

この記事が90時間を超える長時間残業に悩んでいる方の助けになれば幸いです。

以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。

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