トラック運転手として働いているものの、会社からの残業代が支払われていない又は少ないと悩んでいませんか。
まず、当然、残業をすれば、
です。
トラック運転手の労働時間は長く、平均で
あると言われています。
残業時間が長くなれば、それ比例して請求できる残業代の金額も大きくなります。
例えば、以下のような方は、
がありますので、この記事で残業代の計算方法を確認してみましょう。
☑歩合給制なので残業代は支払わないと言われた方
☑荷待ち時間が労働時間に含まれていない方
☑何時間残業しても固定残業代以外に残業代が支払われない方
この記事では、トラック運転手の残業代についてよくある勘違いを解消した上で、残業代の計算方法や請求方法をわかりやすく簡単に説明していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、あなたが請求できる残業代や今何をするべきなのかがわかるはずです。
目次
トラック運転手でも未払い残業代を請求できる
トラック運転手でも、残業をすれば、当然
です。
確かに、トラック運転手の場合には、残業時間の上限について一般の労働者と異なる考え方がされています。
しかし、残業をさせる場合には、残業代を支払わなければならないのは一般の労働者の方と同様です。
例えば、厚生労働省による「毎月勤労統計調査 令和元年分結果確報」によると、「運輸業,郵便業」の残業代金額は、
であることが分かります。
(出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和元年分結果確報」を加工して作成)
このようにトラック運転手でも残業代を請求することはできますので、「残業代が少ない」と感じたらこの記事を読んで残業代の未払いがないかを確認してみましょう。
なお、トラック運転手の労働時間規制については以下の記事で詳しく説明しています。
勘違いされがち!実は残業代をもらえる可能性がある3つの時間!
トラック運転手の方の中には、残業代をもらえるはずの時間についても、これをもらえないものと勘違いしている方が多くいます。
例えば、以下の3つの時間については、実は、労働時間に当たる可能性があります。
・荷待ち時間
・車両の整備時間
・日報の作成時間
それでは順番に説明していきます。
荷待ち時間
残業代をもらえる可能性がある時間の1つ目は、
です。
荷待ち時間とは、荷物の積み込みや降ろすのを待つ時間や、多数のトラックがいる場合に順番待ちをする時間です。
荷待ち時間は、
には、労働時間にあたるとされています。
例えば、以下のような場合には、労働時間にあたる可能性が高いと言えます。
・運んでいる積み荷との関係で空調管理・温度管理が必要である場合
・配送先からいつ連絡が来るかが分からず待機する必要がある場合
・複数のトラックが順番待ちをしている状態で数分置きに移動が必要となる場合
「トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)」によると、少なくとも
の荷待ち時間があることがわかります。
(出典:トラック輸送状況の実態調査結果(全体版)を加工して作成)
例えば、これまで1日あたり2時間分の荷待ち時間について残業代が支払われていない場合には、1か月の所定就労日数が22日、所定労働時間が160時間、月給30万円の方ですと、1か月あたり、
=10万3125円
の未払い残業代があることになります。
このように荷待ち時間を労働時間に含めて残業代を計算し直すことで多額の未払い残業代が見つかる場合があるのです。
車両の整備時間
残業代をもらえる可能性がある時間の2つ目は、
です。
出庫前や帰庫後に仕事で使う車両の点検を行う時間や清掃、洗車をする時間についても、労働時間に該当します。
そのため、これまで車両の整備が労働時間に含められていなかった場合には、未払いの残業代が存在する可能性が高いといえます。
日報の作成時間
実は残業代をもらえる可能性がある時間の3つ目は、
です。
日報と言うのは、日々の業務を報告する書類のことです。この日報の作成をする時間も労働時間に該当します。
そのため、日報の作成が労働時間に含められていなかった場合にも、未払いの残業代が存在する可能性が高いといえます。
残業代の支払いを逃れようとする運送会社の言い分4つ
運送会社に対して、残業代を支払ってほしい旨を伝えると、残業代の支払いをしない理由として、以下4つのような言い分が述べられることがあります。
・固定残業代が支払われているとの言い分
・歩合給制がとられているとの言い分
・事業場外のみなし労働時間制がとられているとの言い分
・契約書で業務委託契約や請負契約とされているとの言い分
しかし、運送会社のこのような言い分は、必ずしも残業代の支払いを拒むことができる理由にならないことがあります。
そのため、会社がこのような言い分を述べてきた場合でも、その言い分が本当に正しいのかについて落ち着いて確認しましょう。
それでは、これらの言い分について1つ1つ順番に説明していきます。
固定残業代が支払われているとの言い分
残業代の支払いを逃れようとする運送会社の言い分の1つ目は、
です。
固定残業代とは、実際に残業をしたかどうかにかかわらず、一定の金額を残業の対価として交付するものです。みなし残業代とも言われることがあります。
固定残業代には厳格な条件が必要ですので、例えば以下の3つの場合には、会社の言い分は認められない可能性があります。
・雇用契約書や就業規則に固定残業代の記載がない場合
・固定残業代の金額が不明な場合
・固定残業代が想定する時間を超えて残業している場合
固定残業代については以下の記事で詳しく説明しています。
雇用契約書や就業規則に固定残業代の記載がない場合
雇用契約書や就業規則等に固定残業代の記載がない場合には、固定残業代を支払っているとは認められません。
固定残業代を支給していると認められるためには、会社と労働者の合意によりこれが労働条件となっていることが必要なためです。
つまり、会社が勝手に「固定残業代を支給している」と言い張っても、固定残業代を支給している根拠がなければ、その言い分は認められないのです。
固定残業代の金額が不明な場合
会社が支給しているとする固定残業代の金額が不明である場合には、固定残業代を支払っているとは認められません。
固定残業代の支払いが認められるには、固定残業代部分とそれ以外の部分が明確に区別できることが必要とされているためです。
例えば、「基本給(固定残業代含む)」などとしているだけでは、固定残業代の金額が分かりませんので、会社の言い分は認められないのです。
固定残業代が想定する時間を超えて残業している場合
固定残業代が想定する時間を超えて残業した場合には、会社は、固定残業代では足りない部分の残業代を支払う必要があります。
例えば、月30時間分の時間外労働に相当する金額として固定残業代が支払われているケースでは、月30時間を超えて残業をした場合には、その超えた時間分の残業代を請求することができます。
そのため、固定残業代が想定する時間を超えて残業している場合には、その想定した時間を超える部分については、会社の言い分は認められないのです。
歩合給制がとられているとの言い分
残業代の支払いを逃れようとする運送会社の言い分の2つ目は、
です。
歩合給制がとられているとの言い分には、以下の2種類があります。
・歩合給制のもとでは残業代は発生しないとの言い分
・歩合給の中に残業代が含まれているとの言い分
それぞれについて説明していきます。
歩合給制のもとでは残業代が発生しないとの言い分
まず、歩合給制のもとでは残業代が発生しないとの言い分は、認められません。
歩合給制のもとでも残業代は発生します。
そのため、会社が「歩合給制のもとでは残業代が発生しない」との言い分を述べている場合には会社が勘違いをしていることになります。
ただし、歩合給制がとられている場合には、残業代の計算方法が少し変わりますので注意が必要です。
歩合給の中に残業代が含まれているとの言い分
次に、歩合給の中に残業代が含まれているとの言い分は、含まれている残業代の金額が明確でなければ、認められません。
これは固定残業代の場合と同様です。歩合給のうち、残業代にあたる部分とそれ以外の部分が明確でなければ、残業代の支払いとは認められないのです。
裁判例も、完全歩合給制がとられている会社のタクシー乗務員が残業代の支払いを求めた事案について、歩合給の額が通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分とを判別できないものであることを理由に、会社が歩合給に残業代を含めて支給していたとは認められないとしました(最判平6年6月13日労判653号12頁)。
そのため、歩合給に含まれる残業代の金額が不明確である場合には、会社の言い分は認められないのです。
事業場外のみなし労働時間制がとられているとの言い分
残業代の支払いを逃れようとする運送会社の言い分の3つ目は、
です。
事業場外労働のみなし時間制とは、会社の外での業務について、労働時間を算定することが難しい場合に、一定の労働時間業務をしたものとみなす制度です。
この事業場外労働のみなし時間制を採用できるのは、
です。
トラック運転手の場合には、デジタコデータや配送先の記録により労働時間を算定することは容易ですし、携帯電話により随時指示を出すこともできます。
そのため、トラック運転手の場合には、事業場外のみなし労働時間制を採用しているとの会社の言い分は認められない可能性が高いのです。
事業場外のみなし労働時間制については、以下の記事で詳しく説明しています
契約書で業務委託契約や請負契約とされているとの言い分
残業代の支払いを逃れようとする運送会社の言い分の4つ目は、
です。
確かに、会社との契約が業務委託契約や請負契約の場合には、残業代を請求できない可能性があります。なぜなら、労働基準法が適用されるためには、労働者であることが必要だからです。
しかし、会社と結んだ契約書に「業務委託契約」や「請負契約」と記載されている場合であっても、実際に労働者に当たるかは、実質的に判断されます。
つまり、契約書のタイトルだけ「業務委託契約」や「請負契約」としていても、実際に働いている状況から、雇用契約に当たると判断してもらえる場合もあるのです。
具体的には、労働者に当たるかどうかは以下のような事情を考慮して判断します。
1 ①指揮監督関係の存在
⑴ 具体的な仕事の依頼、業務指示等に対する諾否の自由の有無
⑵ 業務遂行上の指揮監督関係の存否・内容
⑶ 時間的および場所的拘束性の有無・程度
⑷ 労務提供の代替性の有無
2 ②報酬の労務対償性
支払われる報酬の性格・額等
3 ③労働者性の判断を補強する要素
⑴ 業務用機材等機械・器具の負担関係
⑵ 専属性の程度
⑶ 服務規律の適用の有無
⑷ 公租公課の負担関係等
そのため、会社と結んだ契約書に「業務委託契約」や「請負契約」と記載されている場合であっても、実質的に労働者に該当する場合には、会社の言い分は認められないことになります。
業務委託契約や請負契約の場合に、労働者に当たるかについては以下の記事で詳しく説明しています。
トラック運転手の残業代を計算する方法
それでは、実際にあなたの残業代を計算してみましょう。
トラック運転手の残業代の計算方法については、
・固定給のみの場合
・歩合給がある場合
で異なります。
それぞれについて説明していきます。
残業代の計算方法について、より詳しい説明は以下の記事をお読みください。
固定給のみの場合
支払われている給与の種類が固定給のみの場合には、残業代は以下の方法により計算します。
基礎賃金とは、残業代の計算の基礎となる賃金です。家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く賃金の合計額です。
所定労働時間とは、会社が決めた労働時間のことで、基礎賃金を1時間あたりの賃金に引き直すものです。
割増率は、法定時間外残業は1.25倍、法定休日残業は1.35倍、深夜残業は0.25倍です。
残業時間は、法定時間外や法定休日、深夜に働いた時間です。
例えば、1か月の法定時間外残業が60時間、所定労働時間が160時間、月給が30万円の方ですと、1か月あたり、
=14万0625円
の残業代が発生することになります。
残業代の時効期間は2年ですから(2020年4月1日以降に発生するものは3年)、2年分を基準にすると、
=337万5000円
となります。
歩合給がある場合
歩合給がある場合には、残業代は以下の計算式で計算することになります。
歩合給がある場合の計算の2つのポイント
歩合給がある場合には、以下の2つのポイントに注意する必要があります。
【ポイント1:基礎賃金を割る時間の違いに注意】
固定部分については、所定労働時間で割り、1時間当たりの賃金を算定します。固定給については、所定労働時間分の労働に対して支払われるものだからです。
歩合部分については、総労働時間で割り、1時間当たりの賃金を算定します。歩合給は、労働者が実際に労働した時間の出来高に対して支払われるものだからです。
【ポイント2:固定部分と歩合部分の割増率の違いに注意】
固定部分と歩合部分で割増率が異なりますので注意が必要です。
・固定部分の割増率
法定時間外労働 1.25倍
法定休日労働 1.35倍
深夜労働 0.25倍
・歩合部分の割増率
法定時間外労働 0.25倍
法定休日労働 0.35倍
深夜労働 0.25倍
歩合給がある場合の計算例
では、基本給月25万円、歩合給月5万円、月平均所定労働時間160時間、総労働時間220時間、法定時間外労働60時間の場合の残業代を計算してみましょう。
固定給部分については、1か月あたりの残業代は、
=11万7188円
となります。
歩合給部分については、1か月当たりの残業代は、
=3409円
となります。
そのため、1か月あたりの残業代は、合計
=12万0597円
となります。
残業代の時効期間は2年ですから(2020年4月1日以降に発生するものは3年)、2年分を基準にすると、
=289万4328円
となります。
トラック運転手の残業代を請求する方法
では、実際に会社に対して残業代を請求する方法について説明していきます。
会社に対して残業代を請求するためには以下の順に従って行動していくことになります。
STEP1:時効を止める
STEP2:証拠を集める
STEP3:交渉をする
STEP4:労働審判・訴訟を申し立てる
残業代請求の方法・手順については、以下の動画でも詳しく解説しています。
STEP1:時効を止める
残業代を請求する方法のSTEP1は、
ことです。
残業代の請求には、各残業代の給料日から
の消滅時効があります(2020年4月1日以降に発生したものは3年)。
つまり、残業代のうち2年を経過した部分については随時消滅し続けている状況にあるのです。
そのため、残業代を請求すると決めた場合には、すぐに時効を止めるための行動をする必要があります。
具体的には、会社に対して、残業代を請求する旨を記載した通知書を内容証明郵便により郵送することで、残業代の支払いを催告することになります。
例えば、「本書面到達の日から遡って2年分の割増賃金を含む未払い賃金すべて及びこれに対する各支払い日の翌日からの遅延損害金の支払いを請求いたします。」と通知書に記載しておきましょう。
これにより催告から6か月間は時効の完成が猶予されることになり、その間に手続きを行うことができます。
STEP2:証拠を集める
残業代の請求をする方法のSTEP2は、
ことです。
残業代請求に必要な証拠には、
・労働条件に関する証拠
・労働時間に関する証拠
があります。
労働条件に関する証拠
労働条件に関する証拠には、例えば以下のものがあります。
・雇用契約書
・労働条件通知書
・就業規則
・給与規程
これらのうち、どれか一つがあればいいというわけではなく、複数集めた上でどの労働条件が労働者にとって有利かを検討します。
労働時間に関する証拠
労働時間に関する証拠には、例えば以下のものがあります。
①があると心強いですが、これがない場合には、②や③の証拠がないかを検討します。
①②③いずれもない場合には、やむを得ないため、④の証拠により、残業時間を立証していくことになります。
トラック運転手の場合には、タイムカード、タコグラフ、運転日報などの証拠があることが多いので、これらを集めることになります。いずれもない場合には、自分で業務開始時間と終了時間を毎日メモしておきましょう。
また、日報を記録する際には、「出庫時間」「帰庫時間」「休憩時間」「休息時間」「DPFに要した時間」「荷卸時間」「荷積時間」「待機時間」については、必ず正確に記録するようにしましょう
これらの時間を実際より少なく記録したり、多く記録したりすると、その日の業務内容や運転状況と整合しないことになり、信用性が大きく下がってしまうためです。
STEP3:交渉をする
残業代の請求をする方法のSTEP3は、
ことです。
証拠を集めたら、残業代の金額を計算して、その金額を支払うように会社との間で交渉することになります。
交渉を行う方法については、文書でやり取りする方法、電話でやり取りする方法、直接会って話をする方法など様々です。相手方の対応等を踏まえて、どの方法が適切かを判断することになります。
残業代の計算方法や金額を会社に伝えると、会社から回答があり、争点が明確になりますので、折り合いがつくかどうかを協議することになります。
STEP4:労働審判・訴訟を申し立てる
残業代の請求をする方法のSTEP4は、
ことです。
話し合いでの解決が難しい場合には、労働審判や訴訟などの裁判所を用いた手続きを検討することになります。
労働審判は、全3回の期日で調停を目指すものであり、調停が成立しない場合には裁判所が一時的な判断を下すものです。
労働審判とはどのような制度かについては、以下の動画でも詳しく解説しています。
訴訟は、期日の回数の制限などは特にありません。1か月に1回程度の頻度で期日が入ることになり、交互に主張を繰り返していくことになります。解決まで1年程度を要することもあります。
トラック運転手の残業代の判例
トラック運転手の残業代を認めた裁判例として、以下の2つを紹介します。
①東京地判平31.3.28労判ジャーナル90号38頁[アトラス産業事件]
②横浜相模支判平26.4.24労判ジャーナル28号2頁[田口運送事件]
①アトラス産業事件は、トラック運転手の労働者性を肯定した上で、賃金に固定残業代が含まれていることを否定して、残業代請求を認めた裁判例です。
②田口運送事件は、荷場や配送先における待機時間は労働時間に当たることを肯定して、残業代請求を認めた裁判例です。
①東京地判平31.3.28労判ジャーナル90号38頁[アトラス産業事件]
トラック運転手が、会社に対して、残業代を請求した事案について、このトラック運転手の方が「労働者に当たるのか」と「賃金に固定残業代が含まれているか」が争いとなりました。
【トラック運転手が労働者に当たるのか】
まず、裁判所は、以下の事情等を考慮して、このトラック運転手の方は労働者に当たるとしました。
・会社がトラック運転手としての配送業務の割り振りをしていたこと
・会社が運転日報等の提出によって稼働する時間の管理をしていたこと
・業務に用いていた車両が会社名義のものでその必要経費も被告が負担していたこと
・会社の車両を使う関係からトラック運転手の判断で補助者を使用する等して労務提供を代替することが当然許容されないこと
・雇用契約時における労務の対価(賃金)と比較してさほど変わりのない金額の報酬を月額で支給されたこと
【賃金に固定残業代が含まれているか】
また、裁判所は、会社は契約締結の際に賃金に固定残業代が含まれていることを説明したと主張するものの、そのような説明をしたとの証拠がないとして、賃金に固定残業代は含まれていないとしました。
以上のような事情を考慮して、裁判所はトラック運転手の残業代請求を認めました。
②横浜相模支判平26.4.24労判ジャーナル28号2頁[田口運送事件]
トラック運転手が、会社に対して、残業代を請求した事案について、荷場や配送先における待機時間が労働時間に当たるかが争いとなりました。
裁判所は、待機時間中にトイレに行ったり、コンビニエンス・ストアに買い物に行ったりすることがあっても、以下の事情からこれが労働時間に当たるとしました。
・トラックを停車させる場所は出荷場へ向かう行列の途中であるから、行列が前に進む毎に自分の運転するトラックも前進させなければならず、トラックを離れることはできないこと
・荷物は五月雨式に出てくる上、出荷場には、他の運送会社のトラックも20台程度待機していることから、プラットホーム上に荷物が滞留し、迷惑をかけることがないようにするため、荷出し担当者が出してきた荷物を即時に受け取る必要があること
・扱う荷物が乳製品や冷凍食品であるから、原告らは、トラックの管理のほか、トラックの冷凍機等の温度管理を厳格に行うことを要求されていること
・いつ配送先からの連絡があるか分からない状態でトラックとその中の荷物を継続的に管理保管し続けなければならないため、トラックを離れることもできず、携帯電話を手放すこともできないこと
以上のような事情を考慮して、裁判所はトラック運転手の残業代請求を認めました。
トラック運転手の残業代の相談先
トラック運転手がサービス残業をしている場合のおすすめの相談窓口は、以下の5つです。
・社内通報窓口
・労働条件相談ほっとライン
・労働組合
・弁護士
・労働基準監督署
それぞれの相談先の特徴は以下のとおりです。
以下のフロチャートに沿って相談先を決めるといいでしょう。
詳しくは、以下の記事をお読みください。
トラック運転手の未払い残業代請求は勝てる?見通しは弁護士に確認を!
トラック運転手の未払い残業代請求について、どの程度勝訴の見込みがあるかについては、事案により異なります。
未払い残業代を請求できるかどうかは、あなたの労働条件や労働時間、これまで支払われてきた残業代に左右されるためです。
そのため、未払い残業代請求の見通しを知りたい場合には、弁護士に相談してみましょう。
初回無料相談を利用すれば費用をかけずに相談することができますし、集めた方がいい証拠や残業代請求する場合のポイントもアドバイスしてもらうことができます。
初回無料相談を利用するデメリットは特にありません。依頼するかどうか悩んでいる方も、まずは見通しを確認してみてから決めればいいのです。
まとめ
以上のとおり、今回は、トラック運転手の残業代についてよくある勘違いを解消した上で、残業代の計算方法や請求方法をわかりやすく簡単に説明しました。
この記事の要点を簡単にまとめると以下のとおりです。
・トラック運転手も残業代を請求することができます。
・実は残業代をもらえる可能性がある時間として、①荷待ち時間、②車両の整備時間、③日報の作成時間があります。
・トラック運転手の残業代の計算方法は以下のとおりです。
【固定給のみの場合】
【歩合給がある場合】
・トラック運転手の残業代を請求する方法は以下のとおりです。
STEP1:時効を止める
STEP2:証拠を集める
STEP3:交渉をする
STEP4:労働審判・訴訟を申し立てる
この記事が残業代に悩んでいるトラック運転手の方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。