会社からサービス残業をさせられていて訴えたいとの悩みを抱えていませんか?
サービス残業を当たり前とするような職場の雰囲気には嫌気がさしてしまいますよね。
サービス残業を訴えるとは、違法なサービス残業が行われていることについて第三者機関に申し出で判断を求めることをいいます。
サービス残業を訴える方法には、労働基準監督署に告発する方法と裁判所に訴える方法があります。
サービス残業で会社を訴える場合には、まずは証拠を集めて、弁護士に相談することをおすすめします。
そのうえで、未払い残業代を請求するとの通知書を出して、それでも支払いがされない場合には、労働審判や訴訟を提起することを検討しましょう。
労働者が働きながらサービス残業を訴える場合のリスクとしては、嫌がらせを受けること、残業を禁止されること、退職勧奨をされることなどがあります。
これに対しては、退職後にサービス残業を訴えること、嫌がらせや退職勧奨に立ち向かうといった対策があります。
この記事をとおして、サービス残業を訴えるために必要な知識を少しでも多くの方に知っていただければ幸いです。
今回は、サービス残業を訴えるとはどのような意味かを説明したうえで、会社を訴える2つの方法と簡単な手順、リスクとその対策について解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、サービス残業を訴えるにはどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
サービス残業を訴えるとは?
サービス残業を訴えるとは、違法なサービス残業が行われていることについて第三者機関に申し出で判断を求めることをいいます。
労働基準法では、労働者が残業をした場合には、雇用主は残業代を支払わなければならないとされています。
具体的には、労働者が1日8時間又は1週40時間を超えて働いた場合、週1日の法定休日に働いた場合、午後10時~午前5時まで間に働いた場合には、残業代を支給しなければならないとされています。
しかし、サービス残業が横行している会社では、この労働基準法のルールが守られていないことになります。
そのため、このような法律違反について、公的な機関である労働基準監督署や裁判所に判断を仰いでいくことになります。
ただし、労働基準監督署や裁判所も、労働者からの申し出がないと判断を下すことは困難です。
従って、サービス残業に問題を感じている労働者は、サービス残業を訴えることになるのです。
サービス残業を訴える方法2つ
サービス残業を訴えるには、公的な機関に申し出て判断を求めることになります。
具体的には、サービス残業を訴える方法としては以下の2つがあります。
方法1:労働基準監督署に告発する方法
方法2:裁判所に訴える方法
それでは、これらの方法についてそれぞれ説明していきます。
方法1:労働基準監督署に告発する方法
サービス残業を訴える方法の1つ目は、労働基準監督署に告発する方法です。
労働基準監督署は、労働基準法等の法令に違反する事実を取り扱っています。
例えば、サービス残業についても、労働基準法の残業代の支払い義務に違反している問題となりますので、労働基準監督署への告発が可能です。
サービス残業を労働基準監督署に告発する方法は以下の記事で詳しく解説しています。
労働基準監督署への告発をした場合には費用がかからないというメリットがありますが、裁判所に訴える方法に比べて実効性が乏しいというデメリットがあります。
法的な争点が出てきた場合に対応が難しくなる場合があり、また、会社側が是正指導に応じない場合に支払いを強制することができないためです。
未払い金額が50万円未満の方の場合には、裁判所とおしての解決は労力と費用に見合わない可能性が高いため、まずは労働基準監督署への告発を検討するといいでしょう。
方法2:裁判所に訴える方法【おすすめ】
サービス残業を訴える方法の2つ目は、裁判所に訴える方法です。
裁判所に訴える方法は、裁判所に労働審判や訴訟の申し立てを行い、判断を仰ぐ方法です。
労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きであり、調停が成立しない場合には労働審判委員会が審判を下します。
迅速、かつ、適正に解決することが期待できます。
労働審判については、以下の記事で詳しく解説しています。
労働審判とはどのような制度かについては、以下の動画でも詳しく解説しています。
訴訟は、期日の回数の制限などは特にありません。1か月に1回程度の頻度で期日が入ることになり、交互に主張を繰り返していくことになります。
解決まで1年程度を要することもあります。
残業代の裁判については、以下の記事で詳しく解説しています。
この方法によるメリットとして、法律上の争点が生じても、いずれの主張が正しいのか判断してもらえますので、会社側が的を射ない反論をしていても構わずに回収できます。
また、会社側が支払いを拒んだとしても、会社の財産を差し押さえて強制的に回収することが可能であるため、実効性も高いです。
未払い金額が50万円を超えていて、適正な未払い残業代を確実に回収したい方におすすめな方法です。
サービス残業で会社を訴える簡単な手順4つ
サービス残業で会社を訴えるには、手順があります。
いきなり訴えるのではなく、訴える前にいくつかの手順があるのです。
具体的には、サービス残業で会社を訴える手順は以下のとおりです。
手順1:証拠を集めておく
手順2:弁護士に相談する
手順3:通知書を出す
手順4:労働審判・訴訟を提起する
それでは、各手順について順番に説明していきます。
残業代請求の方法・手順については、以下の動画でも詳しく解説しています。
手順1:証拠を集めておく
サービス残業で会社を訴える手順の1つ目は、証拠を集めておくことです。
サービス残業と判断してもらうためには、残業をした証拠が必要不可欠です。
サービス残業を行わせるような会社では、従業員が残業をした証拠を残さないように様々な手段が講じられていることも珍しくありません。
例えば、サービス残業を訴えるには、タイムカードや勤怠記録は正確につけておくべきです。
もし、タイムカードや勤怠記録が会社にない場合には、一日の最初と最後のメールやチャット、家族に帰宅する旨の連絡をするLINEやメールなども証拠となります。
その他、ノートなどに働いた時間をメモしておくことでも有用です。毎日、働き始めた時間と、仕事を終えた時間を1分単位で正確に記載しておきましょう。
労働時間の証拠については、以下の記事で詳しく解説しています。
手順2:弁護士に相談する
サービス残業で会社を訴える手順の2つ目は、弁護士に相談することです。
サービス残業については法的な問題であり、事案によっておさえておくべきポイントがあります。
早い段階で弁護士に相談していたかどうかで、最終的な結果に大きな差が出てきます。
そのため、残業問題に強い弁護士に、見通しや集めておくべき証拠、方針等について、相談するといいでしょう。
現在は、初回相談無料の弁護士も増えていますので、弁護士への相談の敷居も低くなっています。
手順3:通知書を出す
サービス残業で会社を訴える手順の3つ目は、通知書を出すことです。
弁護士との相談による見通しや方針に基づいて、会社に対して、残業代を請求していきましょう。
具体的には、以下のような通知書を送付することが多いです。
ただし、可能であれば、弁護士に依頼して、残業代請求を任せてしまうことがおすすめです。
残業代の請求は専門的な手続きであり、その計算も法的な知識が必要となるためです。
手順4:労働審判・訴訟を提起する
サービス残業で会社を訴える手順の4つ目は、労働審判・訴訟を提起することです。
会社に通知書を送っても残業代が支払われず、話し合いによる解決も難しそうな場合には、裁判所を使った解決を検討することになります。
ただし、未払い金額が少ないような場合には、一度、労働基準監督署に告発することを検討しましょう。
サービス残業を訴えることによるリスク3つ
働き続けながらサービス残業を訴えることには、事実上のリスクもあります。
訴えている相手方と顔を合わせ続けることになるため、心身ともに消耗することになります。
例えば、サービス残業を訴えることによるリスクとしては、以下の3つがあります。
リスク1:嫌がらせ(賞与の不支給や異動命令等)
リスク2:残業禁止
リスク3:退職勧奨
それでは、これらのリスクについて順番に説明していきます。
リスク1:嫌がらせ(賞与の不支給や異動命令等)
サービス残業を訴えることによるリスクの1つ目は、嫌がらせです。
サービス残業を訴えると会社と敵対的な関係になってしまい職場で陰湿な嫌がらせを受けることがあります。
例えば、よくあるのが賞与の不支給や異動命令です。
賞与や異動は会社に裁量が大きく、何かしらの理由をこじつけてこれらの手段を取られた場合に、労働者としても簡単には対抗できないことがあります。
リスク2:残業禁止
サービス残業を訴えることによるリスクの2つ目は、残業禁止です。
サービス残業を訴えると、会社はこれ以上未払い残業代が増えるのを防ぐために残業禁止する命令を出してくることがあります。
残業を禁止されるため早く帰ることができるようになり労働時間の意味ではホワイトになります。
しかし、他の従業員が残業をしている中、自分だけ帰らなければいけないことに気まずい思いをする方もいるでしょう。
リスク3:退職勧奨
サービス残業を訴えることによるリスクの3つ目は、退職勧奨です。
在籍しながら残業代を請求した場合によくあるのが会社から退職してほしいとお願いされることです。
退職勧奨に応じるかどうかは労働者の任意ですし、断ることができます。
しかし、退職してほしいと言われること自体が心理的な負担となってしまうという方もいるでしょう。
退職勧奨については、以下の記事で詳しく解説しています。
サービス残業を訴えることによるリスクへの2つの対策
サービス残業を訴えることによるリスクについては、対策を講じることができます。
対策を講じておくことにより、心身への負担を軽減することができます。
具体的には、サービス残業を訴えることによるリスクへの対策は以下の2つです。
対策1:退職後にサービス残業を訴える
対策2:嫌がらせや退職勧奨に立ち向かう
それでは、これらの対策について順番に説明していきます。
対策1:退職後にサービス残業を訴える
サービス残業を訴えることによるリスクへの対策の1つ目は、退職後にサービス残業を訴えることです。
残業代の請求は退職後であっても行うことができます。
給与の支払日から3年の時効が完成していない範囲であれば、後から遡って請求することも可能なのです。
退職後に残業代を請求すれば、嫌がらせをされたり、働きづらくなったりといったリスクを回避することが可能です。
例えば、残業代の請求手続を弁護士に依頼してしまえば、ほとんど会社の人と顔を合わせたり、直接のやり取りをしたりすることなく、残業代を回収することができます。
退職後の残業代請求については、以下の記事で詳しく解説しています。
対策2:嫌がらせや退職勧奨に立ち向かう
サービス残業を訴えることによるリスクへの対策の2つ目は、嫌がらせや退職勧奨に立ち向かうことです。
残業代を請求する場合でも退職しなければいけない理由は全くないので、嫌がらせや退職勧奨に屈しないという強い気持ちがある場合には、働きながら請求することも可能です。
働きながら請求するメリットとして、残業代の請求開始後も未払い残業代が増えていきますので3年以上の残業代を回収することが可能となることがあります。
また、会社に在籍している状態なので証拠も集めやすく、残業代を争う中で争点が出てきた場合に、適切な証拠を提出しやすいです。
サービス残業を訴える場合によくある疑問3つ
サービス残業を訴える場合には、よく以下の3つの疑問が生じることがあります。
疑問1:サービス残業は何時間から訴えることができる?
疑問2:サービス残業は過去に遡って訴えることができる?
疑問3:サービス残業は誰を訴えるべき?
それでは、これらの疑問を一緒に解消していきましょう。
疑問1:サービス残業は何時間から訴えることができる?
サービス残業については、1分から訴えることができます。
会社は、1分単位で残業代を支給しなければいけないためです。
ただし、1分の残業代を回収するために訴えるという場合には、回収のための労力や費用が見合わないことがあり、経済的には不合理とてしまうことがあります。
疑問2:サービス残業は過去に遡って訴えることができる?
サービス残業は、過去に遡って訴えることもできます。
給与日から3年の時効が完成していない範囲で請求できるためです。これは退職後であっても同じです。
例えば、末日締め翌25日払いの会社では、2023年12月1日時点で残業代の請求を開始した場合、2020年11月分まで遡って請求することができます。
疑問3:サービス残業は誰を訴えるべき?
サービス残業を訴える際には、雇用主を訴えることになります。
サービス残業を命じていたのが上司や社長である場合でも、訴えの相手方は雇用主である会社となります。
残業代請求はリバティ・ベル法律事務所にお任せ!
残業代請求については、是非、リバティ・ベル法律事務所にお任せください。
残業代請求については、交渉力の格差が獲得金額に大きく影響してきます。
リバティ・ベル法律事務所では、残業代請求について圧倒的な知識とノウハウを蓄積しておりますので、あなたの最善の解決をサポートします。
リバティ・ベル法律事務所では、残業代問題に関して、「初回相談無料」「完全成功報酬制」を採用していますので、少ない負担で気軽にご相談できる環境を整えています。
残業代の未払いに悩んでいる方は、一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。
まとめ
以上のとおり、今回は、サービス残業を訴えるとはどのような意味かを説明したうえで、会社を訴える2つの方法と簡単な手順、リスクとその対策について解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
・サービス残業を訴えるとは、違法なサービス残業が行われていることについて第三者機関に申し出で判断を求めることをいいます。
・サービス残業を訴える方法としては以下の2つがあります。
方法1:労働基準監督署に告発する方法
方法2:裁判所に訴える方法
・サービス残業で会社を訴える手順は以下のとおりです。
手順1:証拠を集めておく
手順2:弁護士に相談する
手順3:通知書を出す
手順4:労働審判・訴訟を提起する
・サービス残業を訴えることによるリスクとしては、以下の3つがあります。
リスク1:嫌がらせ(賞与の不支給や異動命令等)
リスク2:残業禁止
リスク3:退職勧奨
・サービス残業を訴えることによるリスクへの対策は以下の2つです。
対策1:退職後にサービス残業を訴える
対策2:嫌がらせや退職勧奨に立ち向かう
この記事がサービス残業を訴えたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。