あなたはサービス残業について正しく理解できていますか。
サービス残業というのは、簡単にいうと、
のことです。
サービス残業は、
です。
もしも、あなたがサービス残業をしている場合には、これまでの残業代を請求することができます。
あなたがサービス残業について悩んでいる場合には、適切な機関に相談することが解決へのポイントです。
また、場合によっては、サービス残業をさせられていることについて告発するという手段が有効な場合もあります。
今回は、サービス残業の基本的な知識の全体像を分かりやすく概観していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、あなたのサービス残業についての悩みが解消しますよ。
目次
サービス残業の意味
サービス残業というのは、簡単に言うと、
のことをいいます。
残業というのは、1日8時間、週40時間の法定時間を超えて働いた時間、週1日の法定の休日に働いた時間、午後10時~午前5時の深夜に働いた時間などをいいます。
詳しくは、以下の記事をお読みください。
サービス残業は違法
サービス残業は、
です。
会社は、労働者に残業をさせた場合には、残業代を支払わなければならないとされているためです。
労働基準法37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
「使用者が、…労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」
会社が残業代の支払い義務を怠った場合には、以下の刑罰が定められています。
労働基準法119条
「次の各号のいずれかに該当する者は、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」
一「…第三十七条…の規定に違反した者」
詳しくは、以下の記事をお読みください。
サービス残業については残業代を請求できる
これまでサービス残業をしていた場合には、会社に対して、残業代を請求することができます。
以下では、
・残業代の計算方法
・残業代の請求方法
・残業代請求についての会社の反論
・残業代の時効
について説明します。
残業代の計算方法
残業代の計算方法は、以下のとおりです。
基礎賃金は、残業代の算定の基礎となる賃金です。以下の除外される手当以外の賃金の合計金額となります。
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金
・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
所定労働時間は、会社が決めた労働時間のことをいいます。基礎賃金を1時間当たりの賃金に引き直すために、基礎賃金を所定労働時間で割ることになります。
割増率は、以下のとおりです。
残業代の早見表を作りましたので、あなたの残業代金額を確認してみてください。
詳しくは、以下の記事をお読みください。
残業代の請求の手順
残業代の請求手順は以下のとおりです。
STEP1:通知の送付
STEP2:残業代の計算
STEP3:交渉
STEP4:労働審判
STEP5:訴訟
STEP1:通知の送付
残業代を請求するためには、会社に対して通知書を送付することになります。
理由は以下の2つです。
・時効を一時的に止めるため
・資料の開示を請求するため
具体的には、以下のような通知書を送付することが多いです。
※御通知のダウンロードはこちら
※こちらのリンクをクリックしていただくと、御通知のテンプレが表示されます。
表示されたDocumentの「ファイル」→「コピーを作成」を選択していただくと編集できるようになりますので、ぜひご活用下さい。
STEP2:残業代の計算
会社から資料が開示されたら、それをもとに残業代を計算することになります。
残業代の計算方法については、既に説明したとおりです。
STEP3:交渉
残業代の金額を計算したら、その金額を支払うように会社との間で交渉することになります。
残業代の計算方法や金額を会社に伝えると、会社から回答があり、争点が明確になりますので、折り合いがつくかどうかを協議することになります。
STEP4:労働審判
話し合いでの解決が難しい場合には、労働審判などの裁判所を用いた手続きを検討することになります。
労働審判というのは、全3回の期日で調停を目指すものであり、調停が成立しない場合には裁判所が一時的な判断を下すものです。
労働審判を経ずに訴訟を申し立てることもできます。
労働審判とはどのような制度かについては、以下の動画でも詳しく解説しています。
訴訟
交渉や労働審判での解決が難しい場合には、最終的に、訴訟を申し立てることになります。
訴訟は、期日の回数の制限などは特にありません。1か月に1回程度の頻度で期日が入ることになり、交互に主張を繰り返していくことになります。解決まで1年程度を要することもあります。
残業代請求に対する会社の反論
サービス残業について残業代を請求した場合に想定される会社からの反論としては、以下の5つがあります。
・管理監督者に該当するとの反論
・裁量労働制がとられているとの反論
・高度プロフェッショナル制度がとられているとの反論
・変形労働時間制がとられているとの反論
・固定残業代が支払われているとの反論
順に説明していきます。
管理監督者に該当するとの反論
サービス残業について、残業代を請求した場合に会社から想定される反論として、
があります。
管理監督者は、時間外残業代や休日残業代を請求することができないとされています。
ただし、管理職であれば、誰でも管理監督者に該当するわけではありません。
管理監督者に該当するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
・経営者との一体性
・労働時間の裁量
・対価の正当性
実際には、これらの要件を満たさない名ばかり管理職が多いのです。
詳しくは、以下の記事をお読みください。
裁量労働制がとられているとの反論
サービス残業について、残業代請求した場合に想定される会社からの反論として、
があります。
裁量労働制がとられている場合、実際の労働時間数に関係なく、一定の時間労働したものとみなされるためです。
例えば、実際には、1日に12時間働いた場合であっても、労働した時間は8時間とみなされることになるのです。
そのため、裁量労働制がとられている場合には、残業をしても残業代を請求できないことがあります。
詳しくは、以下の記事をお読みください。
高度プロフェッショナル制度がとられているとの反論
サービス残業について、残業代を請求した場合に想定される会社からの反論として、
があります。
高度プロフェッショナル制度が適用される労働者には、残業代に関する規定が適用されません。
詳しくは以下の記事をお読みください。
変形労働時間制がとられているとの反論
サービス残業について、残業代を請求した場合に想定される会社からの反論として、
があります。
変形労働時間制がとられている場合、あらかじめ定めておくことにより、平均して週の法定労働時間を超えなければ、残業代は発生しないことになります。
例えば、以下のように、8時間を超えて労働する日があっても、残業とならないことになります。
詳しくは、以下の記事をお読みください。
固定残業代が支払われているとの反論
サービス残業について、残業代を請求した場合に想定される反論として、
があります。
固定残業代が支払われている場合には、残業代が発生していたとしても、その固定残業代に相当する金額は既に支払われていたことになるためです。
ただし、固定残業代には厳格な条件がありますので、会社が固定残業代を支払っていると反論する場合でも、その反論が認められるとは限りません。
具体的には、以下の2つの条件を満たしていることが必要です。
・残業の対価として支払われていること
・固定残業代以外の部分と明確に区別できること
詳しくは、以下の記事をお読みください。
残業代の時効
残業代の時効は、支払日から
です。
2年を経過すると順次残業代は消滅していくことになりますので、残業代を請求する場合には、早めに時効を止める必要があります。
なお、2020年4月1日以降に発生する残業代の時効期間は3年となります。
詳しくは、以下の記事をお読みください。
サービス残業をなくす方法4つ
サービス残業をなくすためには、以下の4つの順序により対処するべきです。
①サービス残業を断る
②これまでの残業代を請求する
③労働基準監督署に告発する
④転職する
順に説明していきます。
サービス残業を拒否する
サービス残業をなくす方法の1つ目は、
ことです。
先ほども説明したようにサービス残業は違法な行為です。
と明確に伝えましょう。
残業代を請求する
サービス残業をなくす方法の2つ目は、
ことです。
サービス残業をしたくないと伝えているのに会社から残業代を支払ってもらえない場合には、これまで働いた分の残業代を請求しましょう。
会社は、割増された残業代を支払わなければならないことを知れば、人件費を節約するために業務量を減らしたり、新しい社員を雇ったりすることを検討することになります。
そのため、これまでの残業代を請求することで、将来の残業を減らすことができるのです。
労働基準監督署に告発する
サービス残業をなくす方法の3つ目は、
ことです。
労働基準監督署に告発することで、会社に対して、調査や指導をしてもらえる可能性があるためです。
詳しくは、以下の記事をお読みください。
転職する
サービス残業をなくす4つ目の方法は、
ことです。
上記3つの方法をとってもサービス残業が解消しない場合には、その環境自体を変えてしまった方が早いことがあります。
そのため、最終的には、転職も検討することになります。
サービス残業の相談窓口
サービス残業のおすすめの相談窓口は、以下の5つです。
・社内のコンプライアンス窓口
・労働条件相談ほっとライン
・労働組合
・弁護士
・労働基準監督署
それぞれの相談先の特徴は以下のとおりです。
以下のフロチャートに沿って相談先を決めるといいでしょう。
詳しくは、以下の記事をお読みください。
サービス残業についてよくある5つの悩み
サービス残業については、以下のような5つの悩みをよくお聞きします。
・サービス残業の平均は?
・サービス残業は当たり前?
・自主的なサービス残業は適法?
・残業代を請求したら会社に嫌がらせされない?
・サービス残業は断ってもいいの?
以下では、これらの悩みについて順に解消していきます。
サービス残業の平均は?
サービス残業の平均は、
です。
(出典:日本労働組合総連合会「労働時間に関する調査」)
そのため、この平均時間を大きく上回るような方は、ブラック企業に勤めている可能性がありますので注意してください。
サービス残業は当たり前?
サービス残業は、
です。
先ほども説明したように、サービス残業は、残業代の支払い義務に違反した違法なものであり、刑事罰も定められています。
例えば、会社によっては、
「自分の仕事が遅いのが原因だ」
「人手不足なのだから仕方がない」
「残業代を支払うお金がない」
などとの言い訳を述べることがあります。
しかし、これらは全てサービス残業を正当化する理由にはなりません。
会社に都合のいい理由を述べて違法行為を正当化するものであり、典型的なブラック企業の言い分です。
万が一、会社が、このような理由を述べて、サービス残業を行うことが当たり前であるなどと述べても、悩む必要はありません。
自主的なサービス残業は適法?
自主的なサービス残業であっても
です。
なぜなら、会社による指揮命令は必ずしも明示のものは必要とされておらず、会社が労働者の残業を知りつつ黙認している場合には、残業代を支払う必要があるためです。
そのため、労働者が自主的に残業をしているからといって、必ずしも残業代を支払わなくていいことにはならないのです。
従って、自主的にサービス残業をする場合であっても、会社の迷惑になってしまうこともありますので、注意が必要です。
残業代を請求したら会社に嫌がらせされない?
残業代を請求したことを理由に会社が労働者に対して
です。
残業代を請求することは労働者の権利です。
残業代請求をしたことを理由に不当な人事権を行使した場合には濫用となりますし、暴力や暴言を行えば不法行為となり得ます。
詳しくは、以下の記事をお読みください。
サービス残業は断ってもいいの?
サービス残業を命じられたら、明確に
です。
なぜなら、会社は、残業を命じる場合には、残業代を支払わなければならないためです。
そのため、サービス残業を強いられる場合には、しっかりと断りましょう。
相談先に悩んだらまずは弁護士の初回無料相談がおすすめ
サービス残業について、相談先に悩んだら、まずは弁護士の初回無料相談を利用することを強くおすすめします。
理由は以下の4つです。
・残業代を請求できる見通しを教えてもらえる!
・残業代の計算方法を助言してもらえる!
・残業代を請求する方法を助言してもらえる!
・初回無料相談であれば費用はかからない!
残業代を請求できる見通しを教えてもらえる!
弁護士に相談することで、残業代を請求できる見通しを教えてもらうことができます。
残業代を請求しようとすると、通常、会社からも何らかの反論がなされることになります。
会社からどのような反論がされることが想定され、請求が認められる可能性がどの程度あるのかということについては、残業代請求の経験が豊富な専門家でないと判断が難しい事項です。
そのため、サービス残業に悩んでいる場合には、弁護士に残業代を請求できる見通しを聞いてみましょう。
残業代の計算方法を助言してもらえる!
弁護士に相談することで、残業代の計算方法を助言してもらうことができます。
残業代の計算については、基礎賃金や割増率、残業時間の計算など、自分で計算しようとすると労働者に有利な事項を見落としてしまいがちな点がたくさんあります。
残業代事件に注力している弁護士であれば、ミスしやすいポイントを熟知していますので、正確な残業代を計算する方法を助言することができます。
実際、相談を受けていると、本当はもっと有利に計算できたはずなのに、見落としてしまっている方が多くいます。
当然、弁護士に依頼した場合には、代わりに残業代を計算してもらうことができます。
そのため、残業代を請求する場合には、弁護士に残業代の計算方法を確認してから行うことがおすすめです。
残業代を請求する方法を助言してもらえる!
弁護士に相談すれば、残業代を請求する方法を助言してもらうことができます。
残業代を請求する場合の文面や交渉の方法などについては、事案ごとに異なります。
弁護士に相談すれば、これまでの経験から、あなたの事案に応じた、残業代の請求方法を助言することができます。
当然、弁護士に依頼した場合には、これらの煩雑な手続きを任せてしまうことができます。
そのため、残業代を請求する場合には、どのような方法により請求するべきかについて、弁護士に相談してから行うことがおすすめです。
初回無料相談であれば費用はかからない!
初回無料相談を利用すれば、費用をかけずに弁護士に相談することができます。
依頼するかどうか悩んでいる場合にも、まずは相談してみて、見通しや費用、リスクを確認してから、どうするか決めればいいのです。
初回無料相談を利用するデメリットは特にありません。
そのため、サービス残業に悩んでいる場合には、弁護士の初回無料相談を利用することがおすすめです。
まとめ
以上のとおり、今回はサービス残業の基本的な知識をまとめさせていただきました。
この記事の要点は以下のとおりです。
・サービス残業というのは、簡単に言うと、残業代を支払ってもらうことができない残業のことです
・会社が労働者に対して、サービス残業をさせることは、違法です
・これまでサービス残業をしていた場合には、会社に残業代を請求できます
・サービス残業をなくすためには、①サービス残業を拒否する、②残業代を請求する、③労働基準監督署に告発する、④転職するという順序により対処するべきです
・サービス残業のおすすめの相談窓口は、①社内のコンプライアンス窓口、②労働条件相談ほっとライン、③労働組合、④弁護士、⑤労働基準監督署の5つです
この記事がサービス残業に悩んでいる方の役に立つことができれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。